「ほらほら、遠慮せずに食べて」
「水・・・おかわり・・・入れたぞ」
「ねぇねぇ、五十鈴さん救出の話聞かせてよ!」
「私は機動部隊迎撃の話をしてほしいです」
エドワーズが入院している間戦勝パーティーを控えていたこともあって、宴会は大盛り上がりであった。当然ながら皆の関心事はたった2人で機動部隊を全滅させたエディとリッチであり、詰め寄って話を聞こうとした。
「うん、わかったから。一つ一つ話していくね(エディ、適当に誤魔化して話してね)」
「じゃあ、まず初めに・・・(解ってるよリッチ。それより荷造りどうしよう・・・明日には出発したかったのに・・・)」
事件のことは伏せつつ、エディ達は武勇伝を語った。
「すごい!」
「私も空挺降下、やってみたいです」
漣と潮が手を叩いた。
「舞鶴の艦隊の子達に訓練するんですか?」
大潮が訊いてきた。
「う、うん。向こうの設備によるけど・・・」
「舞鶴の鎮守府はしばらく閉まってたけど、エディさんのためにいい設備が整えられてるかも・・・」
霰も会話に加わった。若葉と同じぐらい静かな子で、所属する部隊も異なっていたため、彼女とはなかなか話す機会がなかった。
「まだ現場に行ってないから、詳しくはわからないけど。僕と姉さんでやれるだけやってみようと思うんだ」
「きゃーリッチちゃんかっこいい!」
漣が茶々を入れた。
「あれ?曙ちゃんがいないけど」
「曙はこういうのは柄じゃないって部屋に籠ってます」
朧が説明してくれた。
「ふーん、残念だね」
「あの子はいつものことだから。さあ、宴もいい感じになってきたところで、恒例の飲み比べと行きましょう!」
進行役の舞風がテーブルの中心にあった覆いを外す。
「今回の物は、我らがエース島風がはるばる軽巡寮から銀蠅した名品『猫殺し』!鯖落ち防止に必須のこの一本!呑むのは私の姉で今度私とシンガポール派遣が決定した陽炎!!」
「やっと会えた!」
「アメリカからやってきた「空飛ぶ駆逐艦」エディ&リッチ!」
「やるしかないか・・・」
「明日は二日酔いで荷造りね」
エディ達も当然ながら参加させられた。そして、4人目は・・・
「普段はおしとやかに見える?でもほんとは勇猛果敢な古強者!敵艦隊に突入して雷巡と相討ち持ち込んだ。初霜!」
「頑張ります!」
盃になみなみと酒が注がれる。
「リッチ、わたしお酒なんて初めてだよ・・・どうしよう」
「やるだけやってみよう・・・これも経験だね」
「皆さん席について!盃を持って!よーい、始め!」
飲み比べが始まり、陽炎と初霜が飲み始めた。エディも慌てて盃をあおる。
「!?・・・ゲホッゲホ」
初めて体験するアルコールののどに焼けつく感覚に、思わずむせてしまう。リッチも同じく悪戦苦闘している様子だった。
「エディちゃん、大丈夫?無理しないでね・・・」
潮が心配そうに聞いてきた。
「うん、大丈夫。まだまだいけるから」
エディは心配させないように返す。せっかく用意されたものだし、無駄にして皆の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「つらいのは最初だけよ!西洋人ってお酒に強いらしいし、酔えばすぐ楽になるから。ほら・・・どんろん持ってひて!」
陽炎はエディを元気づけるが、次第にろれつが回らなくなり、危うい手つきで酒を注いでいた。そういわれて呑み続けるうちに、体がポカポカして気分がよくなってくる。
「ちょっと・・・初霜、あまり寄るな・・・」
「いいじゃあない。若葉ちゃんも飲もうよ//」
「熱いぞ。ちょっと離れろ」
「もう、いけず」
初霜は若葉に言い寄っている。若葉はいやがりながらも逃げてはいない。
(・・・熱い)
酔って体の熱くなったリッチは自ら服を脱ぎ始めた。
「ねぇ、この部屋あついし、皆も脱ごうよ」
リッチは他の艦娘の服まで脱がせ始めた。
「うわっ!?やめてください!」
「うへへ//形は姉さんが一番だけど、潮ちゃんの身体は姉さん以上にフカフカだね(モミモミ)」
「いやああああああああああああ」
潮は顔を真っ赤にしながら下着を脱がせようとするリッチから逃げ回る。皆それを見て笑った。
「酒を呑め呑め 吞むならば 日の本一のこの槍を 飲みとるほどに飲むならば これぞ真の黒田武士」
初春が黒田節を口ずさみながら宴を眺めた。陽炎は勢いよく飲み続けたがついに気分が悪くなってトイレに走って行った。リッチは走り疲れ、エディの胸に寄りかかって寝息を立てている。エディはいつも以上に陽気になって、皆と談笑しながら初霜と一騎打ちだ。
「まらまらまけませんよ・・・ゆきちゃんみたいににんきはないけど、わらひもぶくんかんれふ」
「わたしだってなんにもなかったにほんかいぐんをさいけんひたんでしゅ。ぶそうのだいきぼてっきょでくんれんかんとしてかつやくしれ、さらにしんがたそなーもそうびしれ、にっぽんのためにがんばったんでしゅよ!」
初霜が武勲自慢をすると、エディも対抗して頭に思い浮かぶ自慢話を続ける。
「わらいひはしまいかんのにゃかでいちばんりょうりできます!」
「わたしはりょうりできないけど、おっぱいならおおねえさまにまけないもん!」
「にゃーにゃーにゃー!」
「きゃんきゃんきゃん!」
「こらー!夜中に騒ぐなー!」
2人の自慢合戦になったところで軽巡達が注意しに来て、宴はお開きとなった。
「ほら、リッチ帰るよ!」
「姉さんprpr」
エディはまだ眠っているリッチを背負って、部屋に戻った。
「こら!起きなさい寝坊助たち!」
翌朝、誰かに頭を叩かれて起こされる。見ると、曙が頭巾をして仁王立ちしていた。傍らには朝食が置かれている。
「朝ハミルトンさんって人から連絡が来たの。昼には出発するようよ。朝食は作ってあるから早く食べて準備しなさい!」
エディとリッチは布団から出て、朝食を食べる。その間に曙はてきぱきと片づけをしてくれた。
「おいしい!ありがとう!曙ちゃん」
「そ、そう・・・よかった」
「曙はこうなることを見越してパーティーに来なかったのかい?」
リッチが言った。本心を見抜かれて曙は思わず恥ずかしそうな顔をする。
「だ、だったらなに?私は単に宴会が嫌いで行かなかっただけよ!馬鹿騒ぎにつき合わず昨日はよく眠れたから、朝早く起きて機嫌が良くて、あんたらがちゃんと準備できてるか気になっただけで・・・ほんと、それだけなんだから!」
曙はおかわりのご飯をよそいながら言った。その割には随分とこったものが並んでいる。
「荷物はそこにまとめてあるから。細かくはわからなかったけど、同じ系統のだけまとめておいたから、後は自分でやりなさい!」
そう言うと、曙は部屋を出て行った。その姿を偶然見かけた子日によれば、曙は見たこともないぐらい楽しそうにスキップしていたそうだ。
時間よりやや早めについて、鎮守府の正門でエディたちを待っていると、アタゴという重巡洋艦娘が通りかかり、立ち話をした。アメリカ艦にもそうそういないスタイル抜群なアタゴから魅惑的なネタを披露してもらっていると、エディ達がやってきた。
「ハミルトンさんおまたせ!」
エディは元気よく手を振った。私も振り返す。
「またせちゃったかな?」
「いや、アタゴさんの取材もできたし早く来てよかったよ」
私はアタゴを見て言った。
「アタゴさんに見とれてたんじゃないの」
「確かに魅力的だね。楽しいお話もさせてもらったし」
エディの質問に当たり障りのないよう答える。
「うふふ、エディちゃんのお尻を追ってやってきたっていうから心配だったけど、この人なら安心ね」
アタゴが冗談めかして言った。なぜかリッチが私を激しく睨んでくる。いや、私は決してロリコンではないんだが・・・。
「山岸さんほどじゃないけど、顔は結構いいから、エディちゃん達も早めに確保したほうがいいんじゃない」
「「もう、茶化さないでくださいよ!」」
私とエディが同時に言う。はっとなって目を合わせ、なんだかおかしくなって笑ってしまった。
「お似合いの二人ね」
アタゴもくすくす笑う。
「おーい!待って!」
声が聞こえて振り返ると、駆逐艦娘達がいた。
「朝は手伝えなくてごめん。これ、お弁当だから」
少女の一人が風呂敷に包まれたお弁当を渡した。
「ありがとう漣ちゃん!」
「これはお守りじゃ。大事にするといい」
「うん、初春さん!じゃあ、行ってくるね」
エディは出発しようとした。すると、
「ちょっとまった!」
正門から少女が走りこんできた。
「島風、どうしてそんなところから」
「間に合ってよかった。これ、東京土産。向こうに着いたらこれで機嫌取りするといいよ」
中には菓子類が入っていた。正面からもう一人、鈴の髪飾りの少女が息を切らして入ってきて、エディにもたれかかった。
「はぁ、はぁ・・・そのお菓子、自分たちで食べちゃダメよ・・・いい?」
「うん。何から何までありがとう曙ちゃん」
「これぐらい当然よ、だってあんた達は・・・その、妹分なんだから!・・・だからね、どうなるかわからないけど、2人とも必ずここに帰ってきてね。それまで私がここを守るから」
「うん。大好き!曙ちゃん」
曙はエディとリッチとハグを交わす。
「じゃあ、みんな。行ってきます!」
こうして私とエディ達は舞鶴へ旅立った。
次回から舞鶴訓練所編で、大まかな流れは決まってるんですが、誰を出すかが決まってません。駆逐艦で出てほしいキャラを募集します。