駆逐艦「ありあけ」出撃します!   作:創生路ハイローラー

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おまけ話なのになぜか3話にまたがってしまいました。


第33話 妖精さんとひみつのへいきこうじょう 中篇

 翌朝、エディはいつものようにベッドで目を覚ました。

「ふぁ~おはよう!」

「おはよう、エディ」

 寝不足気味なのか、リッチが眠そうに目をこするっていることに違和感を覚える。そして記憶をたどって、自分は昨日弾薬庫で寝たことを思い出した。

「あれ?なんでわたし、ベッドで寝てるの?妖精さんは?」

「エディが寝てるときに捕まえた。今はエディの箱の中に入れてる」

「司令官は?」

「始末した」

 弾薬庫に忍び込んできた妖精さんを捕まえたリッチは、エディに触ろうとしたハミルトンを気絶させて弾薬庫に閉じ込め、そのままエディを連れて部屋に戻ったのだ。

「リッチ、いくらなんでもやりすぎだよ」

「エディに触ろうとしたんだから当然の報いさ。もう朝だし、そろそろ奴をたたき起こそう」

 

 

 弾薬箱を片付けたら後頭部に衝撃を感じて、そのまま意識が飛んだ私は、翌朝リッチにたたき起こされた。日課のランニングを済ませた後で、朝食の準備をする。準備が整うと、エディは妖精の入った箱をテーブルの上に置いた。

「この中に妖精さんが入ってるんですか?」

 春雨が興味深そうに箱を見ている。

「昨日の晩にこんなことやっとったんか。うちにも教えてくれたらええのに」

「なぁ、早速あけてみようぜ!」

 深雪が急かす。

「じゃあ、開けるね」

 エディは箱の戸に手を掛けると、妖精さんが飛び出さないように慎重に開けた。

「妖精さん、出てきていいよ」

 エディがそういうと、ホールドアップした妖精さんたちがプルプル震えながら出てきた。総勢5人。全員同じ色の作業着を着ている。

「あの・・・」

「ぴえー!」

 私が話しかけたら5人中3人が怯えて失禁した。

「は、はわわわわわ・・・」

「たべられる、かんむすさんたちのちょうしょくにされちゃう」

「ふぉーくでさされて、ないふでばっさり・・・」

「そんな惨い事しません。落ち着いてください。ちょっとお聞きしたいことがあるだけです」

 異常に怯える妖精さんたちを何とかなだめる。しかし妖精さんは「ききたいこと?」「きいたあとどうなる?」「ようずみになる」「そうなったらけされる!」「ききたいこときいたらけされる・・・・・・・」といって、

「「「わたしはしじされてやっただけです!なんにもしらないのです!」」」

 と、口をそろえて泣き出した。

「消しません。安心してください。いいですか、毎回鎮守府から依頼を受けて、弾薬庫に物資を補充したのはあなた達ですか?」

 話が進まない・・・あの物資は一体どこから運ばれてきたのか?

「わたしたちはしたうけです!」

「はけんがいしゃにしょうかいされました!」

「がいぶじゅちゅうってやつです!」

「しんやきんだったのできゅうりょうたかかったのです!」

「6にんひとくみ、えがおのたえないあかるいしょくば。そうきいてだまされました」

 妖精社会もブラックだなぁ・・・

「あれ、6人? まだ一人居るんですか?」

 エディが言った。

「はい、さいきんここにすみついたよそものがひとり」

「その余所者さんはどこに?」

 もしかしたらとり逃したのかもしれない。そうなるとこちらの印象が悪くなってしまう。

 しかしそれは杞憂だったようで、「なかでくつろいでます」と妖精さんは答えた。「でてきていいよ」「でてこいや!」「かんむすさんがおよびだぞ」「おまえがさいしょにくわれるです」と半分脅しのような形で呼ばれて、余所者さんは箱から出てきた。余所者さんは、他の妖精さんとは違い、私達を見ても特に怯える様子はなく、むしろ好意的だった。彼女(?)はあたりを見回すと、エディをじっと見つめて「マスター?」と呟いた。

「え?」

 エディは驚いた様子で妖精を見つめた。

「もしかして、これに乗ってたの?」

 エディーは箱を指して言った。妖精は「はい」と答えた。

「じゃあ、これが何かわかる?」

 乗っていたなら謎の艤装のことを知っているだろう。しかし余所者さんは首を横に振る。

「わたしはただのもと航海士ですゆえ、それはわからないです」

 余所者さんは大きな羅針盤を取り出して言った。

「え?じゃあ、一緒にいた他の妖精さんは?」

「いぜん砲手だったり、機関士だったり、あたらしく装備妖精になったのもいました。いまは町ではたらいてます」

 妖精さんの口から町という単語が出てきた。町があるなら、生産の拠点となる工場も存在するはず。

「町はどこにあるんですか?」

「あそこです」

 妖精さんは窓の外を指した。鎮守府に隣接する、妖精さんたちの家、そして工場が見えた。灯台下暗し。まさかの近所である。

「みんなマスターにおいだされて、町ではよそものとしてくうやくわずの貧しいくらしです」

「そう、悪いことしちゃったね。ごめん」

 エディは妖精さんに謝った。

「あなたはどうして一体何のためにこの中に?」

「それは、マスターがいちばんしっているはずです」

「わたしが?」

 エディは首をかしげる。やはり心当たりはないのだろう。何はともあれ、欲しかった情報は聞き出せた。

「とにかく、知りたい情報は手に入りました。ありがとうございます」

「もうおわり?」

「じょうほうてにいれた」

「わたしたちもうようずみ」

「たべられる」

「「「ぴゃあああああ」」」

「食べません。迷惑も掛けたので、お口に会うかわかりませんが、朝食を召し上がってください」

 私は朝食用に買ってきたアップルパイを一切れ差し出した。

「かんみだ!」

「かんみですな」

「なんねんぶりかのごちそうですな」

「もうはんとしもまともなめしくってねぇやってられっか!」

「はは、喜んでもらえて何よりです」

 妖精さん達は目をキラキラさせて、アップルパイにかぶりついた。あっという間に完食して、もう一切れ与えると、これも食べつくしてしまった。エディ達は食パンも与えてみたがあまりいい反応はせず。角砂糖は喜んで受け取った。妖精さんは甘いものが好きらしい。

「「「にんげんさんはかみさまです」」」

 満腹した妖精さんはさっきまでとは打って変わって私になついてくれた。艦娘たちにも楽しんでもらえて、小さなゲストを迎えた朝食は有意義なものとなった。

 

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