駆逐艦「ありあけ」出撃します!   作:創生路ハイローラー

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 書き続けるために、1話書いてその次の回の半分を書いてから投稿してます。
 1話完結してしまうと、そっから後が書けなくなる気がするので・・・

 旅路後編です



第4話 旅路Ⅱ

 それからはエディだけでなくリッチも積極的に仲間の艦娘と話すようになった。エディ達は哨戒の空き時間を見つけては、談話室でトランプをして遊んだり談笑したりして、親睦を深め合った。

 そうこうするうちに一行はハワイに到着し、日本の海域まであと数日といったところまで来ていた。

「それでね、その時丹陽さんが・・・」

 台湾派遣組の姉妹艦マラニーが、かつての台湾での思い出を話す。この船団には同じく台湾組のキンバリー、トワイニング、ヤーネルがいて、エディ達とも比較的交友があった。

 そんな彼女たちが台湾での記憶を話すときに必ず登場する丹陽は、どうやら元日本海軍の所属だったらしく、そのこともあってか彼女たちは日本に赴任するエディとリッチに特別な関心を向けていた。

「でも丹陽さんはあまり日本でのことは聞かせてくれなかったなぁ」

「嫌な思い出でもあったのかなぁ?」

 キンバリーとヤーネルが言った。

「もし今度その丹陽さんにあったら、あなたたちが会いたがってたって伝えるわ」

 エディが提案すると、台湾組も喜んだ。

「ねぇエディ。あなたも日本の話をきかせなよ」

 トワイニングが言った。エディは困ったように首を横に振った。

「何度も言ったけど、日本のことは覚えてないの。日本語とかはほとんど問題ないんだけどね。リッチもおんなじみたいで・・・」

 エディとリッチは知識としての日本のことはかなり詳しく、日本語の読み書きや礼儀作法には自信があったが、なぜか日本での記憶はすっぽり抜けていた。

「私たちははっきりと覚えてるのにねぇ?」

 キンバリーは首をかしげる。台湾組には明確な記憶があり、一部の例外を除けば他の殆どの艦娘も同様であった。

「どこかに鍵があるのかもね」

 全員がしばらく考え込むが、答えが見つからない。そうこうしているうちに扉が開いて、コーラの瓶と菓子の袋を抱えてリッチが帰ってきた。

「おっそーい!」

 キンバリーはそう言うとまずコーラを受け取り、ヤーネルも続いた。

「ごめん、船長の目を避けてたら遅くなっちゃって」

 リッチがそう言うと、他の駆逐艦たちも「ああ、あの豚か」と言って笑った。食堂のおじさんや乗員たちは皆親切だが、ペリー船長はケチで威張りやで、自分に取り入る人間で周りを固めて無理やり船員を統制していた。しかも艦娘を快く思っていない節すらあった。

「ほんと最悪だよ、あいつみんなから嫌われてるんだぜ。小間使いの坊主が掃除中に道を譲るのが少し遅れただけなのに、さんざん殴って機関室送りにしたとか」

 トワイニングがいった。

「うわぁ・・・ひっどいわねぇ」

 マラニーが言うと、他の艦娘も小間使いに同情する。リッチは誰かに聞かれていないか気になるのか、外をちらちらと見ていた。

「そういや夢で船の魂の話を聞いたけど、あいつが船長になってから、過積載になってるらしいわ」

 キンバリーが言った。船の魂を持つ艦娘の中には、船に触れることで船の声を聞くことができる者もいる。キンバリーは船の中で眠ると話せるらしい。

「違法に資材を密輸して、私腹を肥やしてるのかもねぇ」

 ヤーネルが推測した。あの豚のやることだからそれで間違いないだろうと艦娘たちは同意する。

「もう我慢できないわ。わたしたちでやつを懲らしめない?」

 曲がったことが嫌いなエディがついに口火を切る。他の艦娘たちは驚いて彼女を見やった。

「やつの密輸品を見つけ出して帳簿とつき合わせて、連邦警察に突き出してやるの!どう?簡単でしょ!」

 エディは自信満々に説明する。周りは唖然としていたが、マラニーが恐る恐る尋ねた。

「で、でも。どうやって帳簿を見つけるの?」

「船長に恨みがある小間使いを味方に引き入れれば楽勝よ」

「取り入ってる連中の目は?」

「大丈夫。人に取り入るやつは簡単に買収できるって大姉ちゃんが言ってた」

「「「・・・・・・」」」

 その言葉にみんな黙り込む。軍上層部との交渉も行っていたフレッチャーの言葉は、彼女たちにとって大きな説得力を持つからだ。

「えっへん!じゃあこれで決まりかしら?善は急げだよ!」

 暴走気味なエディに台湾組は気圧されてしまった。リッチは時計をチラチラ見ていたが、やがて落ち着いた表情で言った。

「話の大筋はまとまったけど、もう哨戒の時間だよ。海に出れば聞かれる心配もないし、ゆっくり話し合おう」

 リッチの助け舟に、台湾組もこれ幸いと立ち上がって準備を始めた。こうなるとエディも仕方なく準備を始める。

「大丈夫なの?あの子本気だけど・・・」

 ヤーネルはリッチに小声で話しかけた。

「エディは熱しやすいけど冷めやすいから、哨戒してる間に忘れるよ」

「ああ、なるほど」

 6人が準備を始めて甲板に上がろうとしたその時、哨戒機を飛ばしていた軽空母から無線が入った。

《敵艦隊接近!厳重警戒!繰り返す!厳重警戒です!》

 




 次回、緊迫の初戦闘。
 私も戦闘は初めて書きます。乞うご期待。

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