駆逐艦「ありあけ」出撃します!   作:創生路ハイローラー

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 校正せずに投稿してたら姉に怒られました。

 戦闘回です。書いてて武者震いします。ではどうぞ!


第五話 逃走航路 前篇

 敵艦発見の報を受けたエディ達は、甲板から海に飛び込むように発進した。すぐさま輪形陣をとって、商船団の周りを固めた。

《こちら駆逐艦キンバリー。ウェーキィ、状況は?》

《こちら護衛空母ウェーク・アイランド。敵艦隊は重巡を旗艦に軽巡1隻と駆逐艦4隻です。6時方向で距離1500。速度32ktでこちらを追いかけてきます》

《こちら輸送船トライデント、レーダーに敵は映っていない。誤認ではないか》

 ペリーは敵襲がないと思っていたようで気の抜けたことを聞いてきた。ウェーキィはマイクを切った状態で舌打ちをした後、再びマイクに手をかけて丁寧に返す。

《艦載機がはっきりととらえました。間違いありません。それよりそちらの輸送船はどれほど速度は出ますか?》

《基準積載量なら34kt出るはずだ》

《逃げ切れますね。航路そのままで全速力で航行してください》

《わかった》

《船団各船に通達。敵艦隊の接近につき、緊急警戒行動に入ります。安全が確保されるまで船団の艦船は護衛艦の私ウェーク・アイランドの指示に従ってください》

《了解》

 輸送船の機関が轟音を上げて、船団が加速し始めた。駆逐艦娘たちもそれに続くなか、エディは周囲を見回した。気づいたヤーネルが話しかける。

「どうしたのエディ?」

「ちょっと変な音聞こえない?」

「えぇ?私には聞こえないよ」

「音探の故障かな?」

 エディは海に入った直後から、海の音に違和感を感じていた。

「どこから出てるのかわからないけど、まるで・・・泣いてるみたいな・・・」

 ヤーネルは不思議そうに首をかしげた。リッチもまわりを見渡すが聞こえてないようだ。

「エディは昔から特別耳がいいから、きっと遠くの雑音が混ざって変に聞こえるんだよ。とりあえずやるべきことに集中しよう」

 リッチがそういうとエディも安心して、音探を切ってしまった。

 

 

 こうして逃避行が始まったが、早速問題が起きた。トライデント号の速度が上がらなかったのだ。

《トライデント号、29ktしか出ていない。機関に不調はないか?》

 ウェーキィが通信を入れる。

《こちらトライデント号、機関には異常はない》

《では、積み荷を捨てて船を軽くしてください。我々の戦力では敵船団に対処できません》

 数秒間の沈黙。だが、耳を疑うような回答が返ってきた。

《・・・あぁ、機関の故障が発見された。当艦の速度はこれ以上でない》

 ウェーキィは呆れて返す。

《繰り返し警告します。積み荷を捨ててください。船を軽くして少しでも速度を上げてください》

《だまれ!この船に捨てるものはない!貴様らがいくら死んでも構わん!この船を護衛しろ!》

《・・・》

 生真面目な性格だが気弱なウェーキィは思わず無線を切った。他の駆逐艦娘だけでなく、トライデント号以外の商船もあきれ果てた。

《あの豚め、密貿易を隠したいからって、私たちを捨て駒にするつもりだ》

《ウェーキィ!あんな船見捨てて残りの船だけで逃げましょう!》

 トワイニングとキンバリーはカンカンに怒って提案した。ウェーキィは震えながら答えた。

《・・・だ、だめだよ。あの船の護衛は軍からの命令で・・・》

 命令と言われてキンバリーも頭が冷えた。キンバリーは深呼吸をして頭を整理し、無線を取り直した。

《クソッタレね。もういい、わかったわ。私が指揮を引き継ぐ。日本軍に増援の連絡は?》

《一応してみた。幸い向こうの艦隊が近くに展開してるから、3時間後には駆けつけられるって》

《何が「幸い」よ、3時間もかかったらとっくに追いつかれて全員サメの餌よ!》

《ふぇぇん・どうしろってのよ!》

《とにかく逃げるしかないわ!てかあなたキャラ変わってない?》

《仕事上しっかりしてただけですよ!》

《じゃぁ、あなたは情報収集と時間稼ぎを!艦載機でやつらに攻撃できないの?》

《ご、ごめんなさい。ただ警戒すればいいかなって思って、直掩機と爆雷装備のヘルダイバーしか積んでないんです》

《それでいいわ!とにかく奴らの気を引きなさい!》

《りょ、了解です!》

《ほかの駆逐艦は陣形を維持。指示があるまでひたすら前進よ》

 一通りの指示を出すと、キンバリーはコーラの瓶を出して一気に飲み干した。マラニーは周囲を確認しながら楽しそうに言った。

「ずいぶん張り切ってるね」

「当たり前でしょ、私がここで沈んじゃ丹陽さんに笑われちゃうわ」

「なら、私たちも頑張らないとね」

 マラニーは武器をチェックしなおすと、再びキンバリーを見た。普段はおっとりしている彼女だが、その眼には闘志が宿っていた。

「生き残ろう」

「ええ」

 敵艦隊との距離1300、まだ敵の射程外。

 

 

 

 敵艦隊発見から1時間半が経った。船団前側をエディとリッチ、ヤーネルは船団を先導しつつ前方の警戒に当たった。この状況で最も恐ろしいのは、深海棲艦が増援を呼んでいること。頭を押さえられて包囲殲滅されることである。

「電探、目視異常なし」

「ソナーも異常ないよ」

 一瞬たりとも気を抜かず、視覚、聴覚を研ぎ澄まして、いてほしくない敵を必死に探す。

《敵艦隊との距離、800を切りました。重巡の射程内です》

 無線が入る。程なく後ろから砲弾が降り注ぎ始めた。商船団に動揺が走る。

《こちら商船シエラー。敵の砲撃が来てる!大丈夫なのか?》

《落ち着いてください。この距離では当たりません》

 キンバリーが落ち着かせようと必死に説得するが、シエラーは勝手に速度を上げ始めた。

《あの豚と心中するなんて糞くらえだ!早く速度を上げて俺達だけで脱出する!!》

《落ち着いてください、船団から離れると危険です!突出しないで!》

 キンバリーの制止も聞かず、シエラー号は前進し、他の船もそれに続き始めた。前衛をしていたエディ達はこの不用意な行動に混乱して隊列が乱れる。この時エディは音探のスイッチを切っていたことを思い出し、再び音探を起動させた。海中にはまだあの不快な音が満ちていたが、かすかに別の音を聞き取った。訓練で聞きなれた、自分でも撃ったことのある、そして、自分に向かってきたときに最も戦慄する存在。

《急速回頭!急い・・・》

 言い終わる前に、大きな爆発が起きる。見ると、船の前半分を吹き飛ばされたシエラー号が、爆炎を上げていた。

 




 距離についてはよくわからんので適当にしています。
 自分の頭の中では大体2000が航空機の索敵範囲、1500で航空攻撃、1200から戦艦の射程内、800で重巡、400で軽巡、100で駆逐艦。魚雷は50以下ということにしてます。
 基本的に有視界戦闘なので、戦艦の射程が400mぐらいでしょうか?
 詳しい人がいたらちょうどいい基準を教えていただたきたいです。
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