これは世界最強と呼ばれるある馬のお話。 作:エタノールの神様
米とはうまいものである。それは馬になっても変わらぬ。
馬房にある物を三角食べしたところでそんなに美味しいわけではないし、たまに飼い葉に食塩が入っているとうれしいくらいだろうか。
しかし、私は厩務員などの見ておらぬところで脱走し、隣のサラブレッドなどがおるところへと行き、その辺のサラブレッドを追い回し、アラブに追い回され、輓馬(本州なのになぜいるのかは知らない)に睨まれ、 さらに牧場の外に脱走し、暴走族共々、警察の世話になり、バイクに乗れない牧場主の息子(高校受験生)の股に頭を突っ込み、強制的にのせてゲーセンに放り投げ、おいて帰るなどという奇行を繰り返した結果、通常のポニーと比べて運動量が以上に多くなった。
よって腹が減るのである。これは必然である。
腹がへっては戦が出来ぬ。奇行も出来ぬ。
と言うことで、まだまだ寒い一月の大地を蹴って、たまたま空いていた扉を通り抜け、牧場主の自宅に侵入し、置いてある米袋(30kg・紙)を破いて頭を突っ込んで、モグモグ、パクパク。モグモグ、パクパク。
んーーーーー!米はやっぱり旨い!
「あー!ライスお前またやりやがったな!」
げっ!牧場主のお父さん(92)だ!にげろ!
このじいさんめっちゃ足速いんだよなぁ!初見70代?って思ったわ!
それはそうと私の名前は「ライス」であります。この名前の由来は一昨年の菊花賞、去年の天皇賞(春)を勝ったライスシャワー号から頂いたものだと私は信じている。絶対に「家に侵入して米を食い漁っているから」ではないと信じている。…信じていいんだよな?
「龍之介!達哉!ライスがまた脱走しとる!」
「またか!」
フフフ!厩務員を呼んだってムダムダムダァ!その厩務員は私が子馬の頃にいきなり股間を蹴ってやったからな!おそらく奴等はセン馬ならぬセン人間だ!恐れをなして後ろからは近寄れんよ!
パカッパカッパカッパカッパカッ
『お前まーた厩務員さんに迷惑かけよって』
『おっ!シホノアルフォート先輩じゃないすか!ちっす!』
『ちっすじゃねえよ。お前が脱走したせいで俺が龍之介の野郎にコキ使われてんじゃねえか。』
『いいじゃないすか。先輩サラブレッドでしょ?いい運動じゃないすか。』
『こちとら御歳28歳なんだよ!転んで肉とか御免なんだよ!それにお前地味に速いし!』
『地味って言うくらいなら捕まえてみれば?』
『調子にのりやがって…』
ハハハ!捕まえてみたければ追い付くんだな!…ん?
「よっと!よっしゃ引き綱捕まえた」
捕まった…だと…?
「お前、今夜は夜間放牧な」
悲報、我単独で夜間放牧
2021年7月12日、名前の由来(主人公の思い込み)を「昨年の菊花賞を勝ったライスシャワー」から「一昨年の菊花賞と昨年の天皇賞(春)を勝ったライスシャワー」に変更。ブラリアン初登場と時系列が合わなくなるのでね。