これは世界最強と呼ばれるある馬のお話。 作:エタノールの神様
津山駅を北に見る、動物としては騒音で不快きわまりない汽笛だのブレーキの音だのが聞こえるなぞここに牧場?な立地の下松牧場は日本駄馬(ジャパニーズポニー)の生産牧場として一部で有名である。シホノアルフォート先輩やメグロケンタッキーじいさんみたいな競走馬も生産しているが、どれもジャパニーズポニーの血が入っている関係かステイヤー気味である。どの馬も母系をたどっていくと中国大返しに参加した馬の血が入っているのだとか…。我もそうだったわ。
突然関係ないことを言われてみな困惑しただろう。更に困惑させることになるが申し訳ないとだけ謝っておく。
この牧場は日本古来の馬を保存しているために文科省からとんでもない額の補助金を受けているが、それでも足りないくらいたくさんの馬を飼育している。よってカネがないのである。まあそのせいでシホノアルフォート先輩の競走馬としての登録が抹消されていないのだが…
特に今年はポニーの買い手がつかなかったため大赤字のようである。ポニーはサラブレッドと違い乗馬くらいしか用途がないため、乗馬クラブがあまり好調でない下松牧場では売れなければ飼育するだけ金の無駄になっている。特にある一頭の餌代がものすごく高くつくのだとか。誰がそんなに高級飼料を食い漁っているのだろうか(すっとぼけ)
とりあえず牧場主の家の土間に上がり込んでテレビの音だけでも聞きますかな。
ピーンポーン
「はーい」
なんだなんだ来客か?じゃあくせもんだったときに備えて立ち上がっとこ。よっこいしょっと。
「どちら様で?」
牧場主の奥さんが出たみたいだ。…牧場主なにやってんだよ一家の主だろ。
「私はテレビ朝◯の社員の平田と申します。」
テレビ◯日!?さっさと追い払え!うちはアカの家じゃないぞ!
「本日は先日電話でお話しした当社の番組への出演依頼の件でお伺いしております。」
「番組への出演依頼?」
「あれ?電話でお話しておりませんでしたか?」
なんたそりゃ!うちは牧場であって芸能事務所じゃないぞ!…あっ、シホノアルフォート先輩かな?でもアルフォート先輩が引退したの24年前らしいし、先輩は御歳28歳だし、さすがに売国メディアもそこはわきまえてると思うんだけどな…
がたがたがたと、階段を駆けるおとがしたと思ったら牧場主が降りてきた。
「すみません、お電話いただいた下松牧場の社長をしております下松と申します。出るのが遅れて申し訳ございません。玄関で話すのもなんですし御上がりください。」
とりあえず面倒な話が始まりそうなのでアルフォート先輩のところに逃げよう。それで麦入り飼料を少し横取りしよう。そうしよう。
ライスがいなくなった牧場主の家では、テレビ◯日の社員と牧場主が商談?をしていた。
「テレビ朝日で今、「明石家さ◯まのナンでもダービー」っていう番組をやっているのを御存知でしょうか?」
うちをとりあげてくれるのはありがたいが相手はテレビ朝◯だ、気をつけて対応しないとカネを掠め取られる。一応馬が盗まれないように今日はすべての馬に厩務員をつけてある。…ライスが逃げてないか心配だな。
「ええ。毎週火曜、楽しく拝見しております。それで家のポニーに出走してほしい、ということでしたね。」
「はい。下松牧場にはサラブレッドにも負けないスピードで走るポニーがいる、しかも武士が愛用した日本駄馬の子孫であるという噂を私の上司が耳にしまして、なんとしても出走を取り付け…ゲフンゲフン、出走していただけないかと伺いに参りました。」
今コイツ『なんとしてでも』っていったな。
「うーん困りましたね、負担重量が90kg以上ならサラブレッドにも負けないと言い切る自信はあります。しかしお宅の番組では人間が競走をしているではありませんか。しかも走って競う競走じゃなくて争って競う方の競争でしょう?なぜうちの馬を?」
「その疑問ごもっともだと思います。説明が不足しておりました。
十一月の収録で、スプリンターズハンデと題して、スポーツ選手と芸人、そしてポニーを競走させるレースを企画しております。ポニーの出演は一頭取り付けたのですが、企画の◯んまさんから『馬が一頭じゃおもろないなあ』と言われまして、」
「それでうちに来ているわけですね。」
「はい。ギャラは弾みますよ!せっかく出走していただくんですから、60万でどうでしょうか?」
なるほど、私はギャラ(出演料)の相場は全く知らないが、とれるだけとっておいた方がいいだろう。まあ相手はテレビ朝日だ、裏に特亜がついてるからいくらぶんどったってつぶれはしないだろう。ならうちがつぶれないようにできるだけぶんどるまでだ。
「うちのポニーは血統の関係ですべてが文化財です。一部の馬は神社で神様に仕える神馬です。だからそれに値する額でないと。150万円でいかがでしょう?」
「そんな大金私の部署からはでませんよ!…70万!70万円でどうですか!」
さすがに大きく出すぎたか。
「うちの馬も安く見られたものですね。せめて130万はないと。それでも足りないくらいですが。」
「うー、では予算一杯まで引き出して75万でどうでしょう?」
予算そんだけかーい。でも何とかしてうちの牧場をテレビで宣伝していただかなくては…!
「予算一杯なら仕方ないです。うちも経営がカツカツですから乗らないという手はありませんからね。」
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
「しかし条件があります。」
「なんでしょう。」
「馬名は『ゲンマイシャワー』、主戦騎手はJRA騎手の馬鳥羽均騎手でお願いします。」
さあどうなるライス!