これは世界最強と呼ばれるある馬のお話。   作:エタノールの神様

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父は元神馬、母は現役神馬、母父は引退農耕馬。

スプリンターズハンデに向けての我の調教はどこか狂ってるように思える。

 

まずスタジオで走るためそこになれるためにゴム蹄鉄を履いてそれになれる調教、スタートダッシュの調教、短距離でとまる調教、42.195km(公道)を走りきる調教。

 

最後の調教要らないんじゃないかと思う。マラソンなんてスプリントに関係ないでしょ。我が出走するのは100メートル走であってマラソンではないのだ。なぜスタミナをつける必要があるのだ。全力で抗議してやる。

 

 

その手段がなかった。ひえん。(馬なので)

 

「今日はプールじゃない、マラソン!」

 

嫌じゃ!なぜ4ヶ月も先のために暑い暑いしかも舗装されてない道を走らねばならんのだ。それに小学生や中学生ばかりずるいぞ!馬だって冷たい水に浸かりたいのだ!

 

だから頼む!引き綱を放してくれ!

 

 

周りの馬だって見てるだろ!そこの元神馬とか!…元神馬?

 

『おいおい、何をそんなに暴れているのだ』

 

『あっ、パパン』

 

『あまり厩務員に迷惑かけるなよ』

 

『でもコイツ真夏の真昼の公道を走らせようとするんだぜ!』

 

『さっきしっかり水を飲んでテントの下で霧を浴びていたではないか』

 

くっそ、さすが「理有主君(リアルシュクン)号」の名を持つだけはあるな。我が父は。元神馬め。

 

ちなみに我が父は南部馬と木曽馬の混血である。もっと詳しく言うと父が木曽馬、母が南部馬である。

 

現時点でわかっている我が血統を見せてしんぜよう。

 

父、理有主君(リアルシュクン)

 

母、天雷鳥(テンライチョウ)

 

母父、丸損杉(マルゾンスギ)

 

父は特盛神社の元神馬。私の半兄に当たる主君神楽(シュクンカグラ)の誕生によって神馬を引退した。神馬時代は城の鬼門を塞ぐ神社の神に仕える神馬にふさわしい礼節と威厳ある振る舞いで参拝客に好評だった…らしい。

 

母は久田神社の現役神馬。現在久田神社周辺の町をダムにしようと言う話があるため、神馬の存在をダム建設反対運動のダシにすべく繁殖にやって来ていた時に我を産んだ。尚岡山県は地元住民全員の反対署名をみても建設を止める気はないらしい。当該地区はそこの町役場も中型ショッピングモールもあるのに。残念。(我はそこで作られているやまびこって言う古い品種の米が好きなので全馬力をもって反対する。人間どもはコシヒカリとかが好きらしいけど。)品種は三春駒と土佐馬のハーフらしい。

 

母の父は農耕馬…でいいのかな?ある林業屋さんが杉を増産するにあたって切り出した木の運搬用に買った馬らしい。けど買ってすぐ外国の安い木材の台頭によって廃業を余儀なくされた。品種はどこで購入したのか純血の三春駒。

 

うむ、我が血統は実に奇怪!侍の馬に侍の馬掛け合わせたら武士の馬ができるんじゃね!?って発想で掛け合わせたに違いない。そうに違いない。

 

だから血統がスタミナよりだからと言って長距離走れるとは限らないのです。キタサンブラック見やがれ!あれは母父サクラバクシンオーだけどスプリントできないだろ!…まだブラックタイドはおろかサクラバクシンオーさえ種牡馬入りしてないわ、ひえん。

 

「はー、わかった今日はやめだ、明日は馬鳥羽さんが乗るから暴れんじゃねえぞ。」

 

安息と同時に爆弾ぶっこんで来やがった!てかあれじゃん、名前「ゲンマイシャワー」で主戦騎手が「馬鳥羽 均

」、血統も親族もネタまみれ、もう競馬ファンとギャンブル親父歓喜じゃん。

 

えっ馬鳥羽さんくるの?えっ?えっ?

 

 

 

 

 

 

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