変わったウサギのミンク   作:マリモ二等兵

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危惧してるもの程早く来る

 ズニーシャ飛び降りを始めて一年後。

 

 いつものように体が慣れ、あまり苦痛を感じなくなってきた。完全に慣れたわけでは無いのでまだこれを続けられそうだが、それももって数ヶ月。

 武装色は成長して10分の1くらいの確率で内部破壊が成功するようになった。

 見聞色も少しずつではあるが成長している。

 

 ジャックが来るまで後4年。

 

 4年という時間は15年生きた私からしても短い。

 朝起きて、家族とすごし、夜には修行、そして寝る。

 それらを繰り返していればあっという間に4年が経つ。

 そのおかげで毎晩寝る時、明日にでもジャックが来るのではないかと思う。

 実際は来ないのだが、それでも1日が終わる度に“その時”が近づいている事を思うと緊張に近い感覚を覚える。

 この感覚は自信が無い証拠だ。

 これを感じてる間はいくら鍛えてもジャックには勝てない。

 絶対に勝てると、慢心とも言えるほどのバカみたいな自信を持たなければ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 1年後。

 

 

 案の定ズニーシャ飛び降りは効果が無くなった。

 しかし飛び降りは私に大きなプレゼントをくれた。それは今まで取れない、出来ないと嘆いていたもの。

 

 

 ―――悪魔の実の覚醒だ。

 

 

 覚醒した感覚は今でも忘れられない。

 自分が変わったと、はっきり感じた瞬間だった。

 

 ゾオン系の覚醒は超人系(パラミシア)自然系(ロギア)のように新たな事が出来るようになるわけではないが、その代わりにより強い肉体と異常な生命力を得る。

 覚醒前と覚醒後では力の差はまるで別人のようになり、さらに普通なら数週間は動けなくなりそうな傷を負っても1日、速ければ数時間で回復するようになる。

 

 そんな覚醒をした私よ、今までの結果を思い出せ。

 修行して強くなった時、私に大きな変化が起きていたな。

 これにはよく頭を悩まされていた。

 そう、身長だ。

 私は力が強くなると必ず身長が伸びていた。

 今回はズニーシャ飛び降りと覚醒。

 案の定伸びまくり、通常時は3メートルほど、獣型は20メートルほど、人獣型は10メートルほどになっていた。

 獣型は巨人族と比べても大きく、人獣型は巨人族一歩手前だ。

 

 予想していたが実際になってみると大きくなりすぎ。

 どうするよこれ………。

 

 

 身長問題に頭を悩ませてると、CP9の人が身長、というか体格を縮めていたのを思い出す。

 

 その技の名は、生命帰還。

 

 それは本来動かすことのできない髪の毛を自由自在に動かしたり、食べたものを一瞬で消化したり、体の形を変えたりと、悪魔の実の能力者を疑う芸当が出来る技術だ。

 かなり有用なので体得しておきたい技術だが、ここで問題が発生。

 私は生命帰還の体得方法を知らなかった。

 獅子のような男が修行内容のようなものを喋っていた“記憶”があるけど、全く参考にならない。

 とにかく厳しい修行をすれば良いのは分かるけど、具体的に何をすればいいのか分からない。

 『生命』の文字がつくのだから生命に関する何かをすれば体得出来そうだ。思いつくのは死にかけになるか………死にかけになるか。

 

 もし死にかけになるしか体得方法が無かった場合、私がゾウに居る限り難しそうだ。

 というのも、私は筋トレとゾオン系の覚醒で体はビックリするくらいカチコチだ。

 飛び降りは勿論のこと、包丁で斬りつけてみても返ってくるのは血ではなく金属音だけだ。カッチカチだよカッチコチ。

 ペドロとかに斬ってもらうのも考えたけど、どんな顔をして斬ってくれと頼めばいいのだろうか?

 そんなわけで私を瀕死にする方法はゾウには無い。

 

 ジャックが来るまで後3年。

 

 ………ま、なんとかなるさ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 1年後。

 

 

 時が経つのは早いと、17歳になって思う。

 

 生命帰還だが、まるで体得出来る気がしない。1年前と今の私を比べても技量は1ミリも変わってないだろう。

 なんというか、今までの修行とは何かが違う。その何かのせいで、一歩前にも進めない。

 

 それとは別に覇気の方は順調の一言。

 内部破壊の成功率は偶に失敗するくらいの90%くらい。

 未来視は出来てないが、確実に上達してきている。この調子ならジャック到達までに未来視体得も夢じゃない。

 いや、こんな簡単に未来視が出来るなら世界中の猛者はみんな未来視を体得してる。

 何かそれに到達するのを防ぐ壁のようなものがあるのか?

 うーむ。ま、今考えたってしょうがない。

 そこまで上達したら考えるとしよう。

 

 ジャックが来るまで後2年。

 

 不安は少ない。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 1年後。

 

 

 あと1年すれば運命の日が来ると思うと心臓がやかましくなる私、18歳。

  

 相変わらず生命帰還の進展は無し。

 髪の毛に意識を向けたり、体に力を入れて小さくなるよう頑張ってみたが、何も起きなかった。

 肉体を変形させるというのはゾオン系の能力に似てるし、変身の感覚を思い出しながらもやってみたが、これも無意味に終わる。

 

 一方で覇気はやはり順調。

 武装色はジャックと戦うには申し分ないほど成長しており、まだまだ伸びしろはありそうだ。

 見聞色も上達してるという実感はあるけど、未来視には至っていない。壁にもぶつかってないし自分が予想しているよりも未来視の道は遠そうだ。

 

 でも、たとえ未来視が出来なくても勝機はある。

 ただ未来視さえあれば戦いを有利に進めやすいだろうから体得しようとしてるだけだ。必須では無い。

 

 1年後、彼が来る。

 

 不安は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 彼が来た。

 

 待ってたよ。

 

 

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