異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~   作:月城 友麻

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3-8. MacBook Pro

「シアンって凄いわ。何だってできちゃうんですね」

 オディーヌは感嘆して言う。

「いやいや、人間についてはダメだね。人間は複雑すぎるから簡単なデータ処理じゃどうしようもないんだよ」

 シアンは肩をすくめる。

「そうか、だから国づくりでも人については僕がやるんだね」

 レオが横から言う。

「そうそう。人間はコピーしたりできないからね。今いる人たちの心を動かさないとダメで、そういうのに僕は向いてない。そこはレオとオディーヌに期待してるんだ」

 そう言ってニッコリと笑った。

「あれ? 私は?」

 レヴィアが寂しそうに突っ込む。

「あー、もちろん! レヴィちゃんにも期待してるよ!」

 シアンは焦りながらレヴィアの肩をポンポンと叩いた。

「いいですよ……、私になんて気を遣わなくても……。ちゃんと二人をサポートしますから……」

 すっかりいじけてしまうレヴィア。

「そうそう! パルテノン神殿! レヴィちゃんに合わせてアレンジしといたよ!」

 そう言ってシアンはテーブルの上に、純白の柱がきれいに並んだ神殿の模型を出した。それはパルテノン神殿をベースにして、屋根にドラゴンの意匠を加えた荘厳なものだった。

「うわぁ!」「素敵……」

 レオとオディーヌは思わず声が出る。

 すねたレヴィアはチラッと眺め……。

 口元をちょっとニヤけさせながら、

「悪く……ないかもしれないですね……」

 と、淡々と言った。

「またまた~、嬉しいくせに~」

 シアンがレヴィアのほほを指先でツンツンとつついた。

「うしし、いいものですな」

 レヴィアはそう言って相好を崩す。

「そしたら、エーイ!」

 シアンは山に向かって両手を開いた。

 直後、山の稜線が爆発し……、爆煙がゆっくりと流れていくと、白亜の神殿が煌めく。

「うぉぉぉ!」

 レヴィアは思わず叫ぶ。

 木の生い茂る山の稜線にいきなり現れた神殿は、澄み通った宮崎の青空の元で陽の光を浴び、林立する純白の柱を美しく浮き上がらせる。屋根のところのドラゴンはタワマンと同じオレンジ色のタイルがあしらわれ、街の風景ともなじんでいた。

「綺麗……」

 オディーヌはウットリとして眺める。

「うちの国のシンボルですね!」

 レオはうれしそうに言った。

「うむ、我の威光が隅々にまでいきわたるのう」

 レヴィアは上機嫌だった。

「あそこにはどうやって行くんですか?」

 オディーヌがシアンに聞いた。

「え? 行けないよ?」

「へ!?」

 驚くレヴィア。

「だって、一般人には近づくこともできない白亜の神殿って方がカッコいいじゃん」

「どこからも見えるけれども誰にも行けない……。確かにイイかも……」

 レオがうなずきながら言う。

「え? 誰も……こないの? そ、そうなの?」

 レヴィアはそう言って、寂しそうに肩を落とした。

 

     ◇

 

「さて、午後はどうしようか?」

 シアンがみんなに聞いた。

「スタジアムとかを建てようよ!」

 レオがうれしそうに両手を上げる。

「うんうん、商業地ね」

「病院と学校もですな」

 レヴィアが言う。

 すると、オディーヌは、

「あのー、パソコンを一つ欲しいのですが……」

 と言った。

「あ、そうだね。じゃあ、オディーヌはパソコンで調べものしてて」

 そう言ってシアンは、MacBook Proの16インチモデルとパソコン操作の本をドサドサッと出した。

「うわっ! あ、ありがとうございます!」

 オディーヌはずっしりとした鈍く銀色に輝くMacBookを手に取り……、どうしたらいいのか分からず困惑する。

「どれ、基本を教えてやろう」

 レヴィアはMacBookを取り上げると、パカッと開いて電源ボタンを押した。

 

     ◇

 

 夕方になって宵闇が迫ってくる頃には街の整備はほぼ終わった。

 道には街灯がともり、ショッピングモールやオフィスビル、消防署に美術館など各建造物にはライトアップが施されており、静かな夜の訪れの中で街は綺麗に光のハーモニーを奏で始める。

 大通りには大きなイチョウ並木が整備され、丁寧なライトアップが上質な街の雰囲気を演出している。

 パーティールームに集まった一行は街を見下ろしながらその光のハーモニーを感慨深く眺めていた。

「綺麗だね……」

 レオはそっとつぶやく。

 すると、一台のバスが静かに大通りを走ってきてバス停に留まった。

「あれ? 誰かいるの?」

 オディーヌが驚く。

「あれは自動運転じゃよ。テスト運行させとるんじゃ。ぶっつけ本番では怖いからのう」

「自動運転……、何でもアリですね……」

 オディーヌはゆっくり首を振った。

 

 レオが描いた自由の国は、こうしてたった一日で主要機能を備えてしまった。もちろん、ハードウェアが整っても動かし、使う人がいなければただのゴーストタウンである。国づくりはいよいよ勝負所へと差し掛かっていく事となる。

 

 

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