少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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少年兵、復活します

真っ白な空間

 

白い部屋ではない

 

地平線と呼ぶべきか、彼方の果てまでが全て白で塗られた不思議な空間に俺は立っていた

 

 

ここは天国か何かか……?

 

 

「ようこそ、オルガ=イツカ。私は不死と災いを司る神ゼナリス」

 

目の前に現れた女?が言う

 

輪郭も表情も、何故かぼやけていてよく見えない

 

なぜ女だと思ったのかもわからない

 

「オルガ=イツカ……今こそ、我が忠実なる信徒と、我が名において、あなたに不死の呪いを……………えっ待って」

その女は俺に手をかざしたかと思うと、急に声のトーンを落として言った

 

「え、何これ………何なのこの力は…………ええっ!?本当に何なの!?」

そう言って驚愕する女

 

「な、なぁ……俺がどうかしたのか?」

不審に思い尋ねる

 

「ね、ねぇあなたもしかして前世は神だったりするの?私の力が介在する余地が無いくらい、信仰に似た力が溢れてるんだけれど!」

 

「えっ?」

 

「これはある種のミーム……?いや、もはや宗教だわ!これなら不死くらい簡単に身に付けられるじゃない!!」

 

 

………は?

 

 

「お、おい!それっていったいどういう事だよ!」

 

「私に聞かないでよ!ああもう面倒くさい!またあの女神の仕業!?チート能力は配りすぎるなって言ったのに!!もうあなたには関わりたくない!出てって!!」

 

そう言ってその女がパチンと指を鳴らすと、俺の体は下に向かって引っ張られて落ちていく

 

「ちょっ!おい!待てよ!!」

 

「力はあげるからうちの信徒によろしくね!あと代償も要らないわ、あなたとは関わらない方がいい気がするもの!!じゃあ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ!」

 

おかしな世界から帰還し、目を覚ました俺の眼に映ったのは、何か薬を手にしたアリスだった

 

「お、起きたか。また無茶やらかしたじゃねぇか」

 

 

「……なぁ、俺は死んでたのか?」

アリスに尋ねる

未だにさっきのことは信じられない

もしかしたらあれは単なる夢で、俺はかろうじて助かったのかもしれない

 

「おう、バッチリ死んでたぞ。自分の検査だから間違いない」

「マジかよ……」

死んだ事があるとはいえ、これはまだ二回目だ

さすがに死ぬことに慣れたくは無いが、一回目より明らかに落ち着いている自分が怖い

あいつが本当にゼナリスだとしたら、俺はグリムと同じ力を手に入れた事になる

何の力も無しにいきなり神に会えるとは思えないしな…

もしかしてグリムが俺に……?

 

ふと思ったことを尋ねる

「あれから何日経った?」

「まだ一ヶ月しか経ってねぇぞ」

「あのなぁアリス。機械のお前と違って、人間にとっては一ヶ月ってのはそれなりに長い時間なんだぞ」

そんな俺に、アリスは少しうんざりしたように答える

「わかってるよ。一ヶ月の間、毎日毎日ここにあいつらが来てたからな」

 

そのアリスの台詞に、ひとまず俺以外は無事だと分かって安心する

「そうか…全員無事か……」

 

俺が枕に頭を埋めて一息吐くと、廊下から6号の声が聞こえてきた

「おいアリス、オルガはまだ起きねぇのかー?今日起きなかったら顔に八裂きミート君ペイントを……」

部屋に入るなり、俺を見て固まる6号に声をかける

 

「よぉ、元気そうだな」

 

「っ………!!心配かけさせやがって!!」

 

俺の言葉に、6号は嬉しそうに笑った

 

 

 

 

それから、俺が死んでからの顛末が説明された

 

ガダルカンドを倒し、ハイネに一ヶ月間の休戦協定を持ちかけた事

6号は調子に乗ってポイントがマイナスになるまで武器を呼んだために、今は地球へは帰れない事

そしてその事を隠すために、この国に戦闘員を派遣する計画を提出し、ポイントがプラスになるまで6号をこの星に置いておく事

などなど……

 

「なるほどな……。まぁ大体の状況は分かったよ」

 

俺の言葉に、アリスが驚いて言う

「すげーなお前。6号がスノウのパンツ下ろした事も理解できたのか」

味のある表情のアリスに、俺もなにいってんだと肩をすくめてから言う

「んなわけねーだろ。プラスにするポイント稼ごうと、うちの隊員を剥こうとして取っ組み合いの喧嘩になったことも意味わかんねーよ」

 

6号は反省していない顔だが、そんな6号のおちゃらけさが今はありがたい

 

そういえば……

 

「……なぁ、そういやさっき俺の顔に落書きしようとしてたが、他には何もしてねぇだろうな」

 

そんな俺の質問に、6号はわざとらしく目をそらした

 

「おい、何した」

俺が6号に掴みかかると、アリスは呆れるようにため息を吐いて俺の下腹部を指差した

 

ズボンを下ろして確認するとそこには

 

 

と書かれていた

 

「これをやったのは……」

声を低くして聞く俺に、アリスが答える

「6号だぞ」

 

俺は病み上がりの体に鞭を打って、6号と全力の追い駆けっこを繰り広げた

 

 

 

 

 

 

6号を捕まえて、仕返しに同じ位置にバエルソードと書きなぐって満足した後

俺は、ミカがいつもトレーニングをしているアジトの裏庭にやって来た

 

「ミカ!ここに居たのか」

「オルガ……!」

俺が声をかけると、ミカは嬉しさと安心の入り交じった顔をして小さく笑顔を見せた

「オルガ…オレ……」

「いいんだ、ミカ。別にお前のせいじゃねぇよ」

 

 

俺が横に座ると、ミカは少しうつむいてから言った

 

「オルガ……オレ決めたよ」

 

決意を秘めた顔でミカが言う

 

「あいつはオレが倒す」

 

こうなったミカを止められる奴は居ない

 

「分かったよミカ。けど……」

「無茶はするな……でしょ?」

「……ああ」

 

今のミカと俺なら、きっと同じ過ちは繰り返さない

 

 

 

 

 

やることがあるからお前も同席しろとアリスに呼ばれ、ミカと共にアジトの地下室にやって来た

そこには6号もいた

「おし、全員集まったな」

俺たちを見て、アリスが立ち上がって何かを準備し始める

 

「集まったは良いが、何すんだ?」

アリスは俺の質問に答える事なく、目の前の機械に掛けられた布を外した

それは、地球からこの星へ来るときに乗せられたものとまったく同じカプセルだった

 

「そういや一ヶ月経ったんだもんな。転送装置が使えるようになったのか」

「ああ。これからは、こいつでじゃんじゃんうちの戦闘員を連れてきて、こっちの侵略を手伝わせられるぜ」

そんな6号の言葉に、少し不安になる

 

「一応こっちの連中との相性もあるし、まだ基盤も安定してねぇんだ。そんなにヤバい奴は呼ばない方が……」

「心配すんな。誰か決まってるのは一人だけだが、そいつ含めてキサラギの戦闘員は、みんなヘタレのチキンか変態紳士だけだ」

その変態紳士が問題にならないかって言ってるんだが

あとそのヘタレチキンの連中は全員が6号級のバカじゃないだろうな

 

 

 

現地戦闘員の増員に際して、幹部から一度話があるとして、俺たちは転送装置の横に備え付けられたモニターの前に集まっていた

 

やがてモニターに、キサラギ最高幹部の顔が映る

 

『やぁ諸君!久しぶりに君たちの顔が見れて僕も……』

 

「やいこらてめぇゴラ!!ふざけんなよリリス様このやろう!!」

「6号、気持ちは分かるが落ち着け。モニター越しじゃ、何やっても意味ねぇよ」

この星へ無責任な転送をした張本人に向かって、6号がモニターを掴んで叫ぶ

 

『そ、そうだよ6号!オルガの言う通りだ、分かったら下がって僕の話を聞きたまえ。それと、僕に暴言を吐いたことを謝って……』

「あぁん!?こっちはこっからでもあんたらを涙目に出来るんだぞ!!そこんとこ理解してから言ってもらえますかねぇ!!」

「お、おい6号何を……」

 

『ふ、ふん!無駄だよ6号!キミが何と言おうと……こ、こらっ!分かった!分かったからズボンを下ろしてソレをモニターに押し付けるのはヤメロォ!!』

 

 

 

『……さて、話が逸れたがよくやったね諸君。無事に転送装置を使用可能にし、現地民とのパイプも作るとは。期待以上の働きだ』

「リリス様が俺を褒めるとか、何企んでるんすか?」

『き、キミはすっかりひねくれてしまってるね…。まぁ悪の組織の構成員としては正しい姿か。とはいえ、今回の功績は素直に評価しているよ』

 

リリスが自分だけは理解してあげるよと言わんばかりにうなずいているが、6号は鼻をほじりながら言う

「じゃあ給料上げて、ついでに幹部の地位を明け渡してください」

『ついでで幹部の地位を奪おうとするなよ!僕だって地球で遊んでる訳じゃないんだよ!?』

 

相変わらず頼りない上司のせいで、このままじゃ本題に入れないと思い、俺から聞く

「それで、戦闘員は何人くらい送ってもらえるんだ?」

『現時点では、怪人二人を含めた十数人ってところかな』

 

リリスの回答に、またしても6号がモニターに引っ付いた

「おいふざけんなよ!こっちじゃ何にだって悪行ポイントを使うんだぞ!せめて戦力ぐらいまともなものを寄越せよ!」

『地球じゃ、ヒーローとの戦いにはいくらでも戦力が必要だからね。最初は怪人だって一人もいなかったんだから、感謝してよね』

そう言ったリリスは、何故か俺の方をチラと見ると

 

『まぁ、感謝するなら、一人は僕らじゃなくて、オルガにかもね』

「………は?」

 

 

『それじゃあ、戦闘員を送ろうか!戦闘員6号以下三名!詳しい指令は追って出されるだろう!これからもキサラギと地球の未来のため、そして君らがリストラされないために頑張ってくれ!』

「リストラって俺をやる気にさせるための嘘じゃ無いのかよ!?本当にソレだけは納得できねぇんすけど………!!」

6号が突っかかる横で、ついに起動した転送装置にエネルギーが入る

やがて小さなスパークと閃光が走り、転送装置が煙で充満した

装置のハッチを空け、戦闘員が出てくるのを待つ

やがて転送装置から立ち込めた煙が消え、そこにいる戦闘員の顔が見え始めた

 

その中に一人

 

知っている顔があった

 

「げほっごほっ…ちくしょうリリス様め……帰ったら上だけじゃなく下も剥いてやるからな……」

6号がそんな事を言っているが、もはやそれもどうでもいい

 

 

なぜならそこに居たのは……

 

「よぉ、オルガ!」

 

「シノ………!?」

 

 

鉄華団の団員、ノルバ・シノだった

 

 

シノが、驚きで動けない俺に対して言う

「……あ?どうしたオルガ、鉄華団の流星隊隊長、ノルバ・シノさんだぜ、嬉しくねぇのか?それとも忘れちまったか?」

「そんなわけあるか!!」

あの日から、一度もシノの事を忘れた事はない

いや、お前だけじゃねぇ、俺は……

 

「何か変な事になってっけどよー、またよろしく頼むぜ!団長!お、三日月も元気そうじゃねぇか!」

 

「うん。シノも変わってなくて良かった」

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、オルガ達の知り合いか。だからリリス様がオルガに感謝しろって言ってたんだなぁ」

「おう!おめぇが6号か!乳のデッケーねーちゃんから話は聞いてるぜ!」

「それってどっちのねーちゃん?」

「どっちもだよ!お前相当心配されてたぜ、弱っちぃから死んじまってねぇかってな!」

「ここへ送り込んだのはその二人だし、俺に旧式の改造を施したのもあの二人なんだがなぁ」

 

その二人とはアスタロトとベリアルの事だろう

確かに胸はシノの好みだと思うが、あの二人にセクハラしてよく無事だったな

 

「そういやぁシノ、お前怪人として来たってことは……」

「おう!もちろんあるぜ、俺様と流星号の華麗な変身がよ!!」

そう言って背中の阿頼耶識から、派手なピンクの装甲を出し入れするシノ

 

「ほう、お前も三日月と同じ変身能力持ちか。悪行ポイントも稼げそうな性格みたいだし、戦力として期待できそうだ」

そんな事を言うアリスを、シノは少しの間眺めると

「あー、あんたが聞いてたあんどろいどってヤツか。なぁ、もっと乳でっかくしてもらえよ。その方がいろいろと捗るだろ」

 

「……こいつは6号と気が合いそうだな」

アリスが呆れるように返すと、その後ろから今度は違う声が聞こえた

「シノはわかってねぇにゃん。このくらいのちいちゃい子が一番かわいいにゃん」

「そうかぁ?やっぱ女は乳あってこそだろ!」

 

「それと、その猫は何なんだ?」

 

その声の主は猫?のような外見で二足歩行している怪人だった

どうみても獣なのに何で二足歩行なのかとかそのサングラスはなんなのかとか気になる事は多いが、全部話されてももう理解が及ばないんじゃないかと半ば諦める

 

「俺の名前はトラ男。ちいちゃい子が大好きな、引退した暁には改造手術で美少女にしてもらう予定の怪人にゃん」

ああ、やっぱり分からなかった

 

またとんでもないヤツが来やがったな……

 

「なぁ、本当にキサラギにまともな人間はいないのか?」

「自分の記憶回路が正しければその質問はもう六回目だが答えてやろう。そんなやつ一人も居ないぞ」

アリスから無慈悲な解答を受け取り愕然とする俺を見て、6号が首を振る

「おいオルガ!トラ男さんをそこらの変態と一緒にするんじゃねぇよ。トラ男さんは決して子供に手は出さない紳士という名の変態だ!」

「いや、でも今美少女になりたいって……」

 

俺が理解できずにいる横で、シノがうんうんとうなずく

「その気持ちもちょっと分かるぜ。俺だって、自分におっぱいがあれば毎日揉めるのになーとか考えたことあるからな!」

「それ、俺もあるわ。でもずっとは嫌だからおっぱいパッドとか人格入れ替わりとかそういうんじゃないとダメだよなー」

「いつかオルガにも分かる日が来るにゃん。それに、オルガからは子供に好かれそうなオーラがプンプンするにゃん」

そう言ってトラ男が俺の肩に手を置く

分かりたくないのは俺がおかしいのか?

 

俺が話に着いていけてないのを見て、アリスが同情するような視線を向けながら言う

「トラ男はこんなだが、森林やジャングルでのゲリラ戦のプロだ。変態だが、戦力としちゃ期待出来るだろ」

 

そんなアリスの台詞を聞いたトラ男は

「口の悪い美少女も悪くねぇにゃん。ま、アリスにゃんにこう言われた以上、張り切るから期待するにゃん」

 

本当に大丈夫か………?

 

 

 

 

6号が他の戦闘員と話をしてる間に、俺は部屋の隅でシノとミカと話していた

「しっかしまたオルガに会えるなんてなー」

シノはそう言って感慨深そうに宙を見つめる

「そういや、すまねぇなオルガ。俺がしくじっちまったから……」

「いいんだよシノ。お前はよくやってくれた」

シノは俺たちのために体を張ってくれたのだ

感謝こそすれ、恨む理由などない

お陰で俺たちは犠牲を少なく撤退できたのだから

 

シノが神妙な顔で聞いた

「なぁオルガ、ヤマギの奴は……」

 

「きっと上手くやってるよ…ミカと昭弘がなんとか守ってくれたらしいからな」

それを聞いたシノは歯を出して笑う

「そっかぁ……昭弘とかビスケットにもまた会えるといいな!」

 

ビスケット

 

「……ああ、そうだな」

その名前を聞いて、俺は全身が強張るのを感じた

 

 

 

 

残りの戦闘員のチェックはアリスに任せてアジトを出ると、そこには俺たちの隊の面々が揃っていた

 

「「副隊長!!」」

全員が駆け寄ってきて、体をペタペタと触ったり、手を握ったりしてくる

「心配かけたな、お前ら」

「心配なんてもんじゃないわよ!!まったく……!本当に………!!」

「副隊長!!あたしもすごい心配したんですよ!」

「オ、オルガ……お前、もう大丈夫なのか?」

 

「おう、この通りだ」

心配そうに聞いてきたスノウに対し、ガッツポーズで安心させる

「そうか……。して、その男は?お前達と似たような格好だが」

スノウがシノの服装をまじまじと見る

 

そして対するシノはスノウのある一点をガン見すると

「デッケー……」

「おい6号。この男はお前と同じバカの予感がする。殴っていいか?」

何かを察したスノウが拳を握りしめて6号に聞く

「今日来たばかりなんだから問題は起こすな。というか三日月級ならお前じゃ勝てないぞ」

6号の答えにスノウは顔をひきつらせる

「み、三日月級!?お前達はあんな実力者を何人も抱えているのか!?」

 

 

「あ、あの、隊長達のお仲間なんですか?」

ロゼがシノに近づいて尋ねる

シノはロゼの体つきを、顎に手を置きながら見ると

「うーん、変な格好してるが伸び代ありってとこだな。よーし嬢ちゃん、いっぱい食ってでっかくなれよ!」

「はい!でっかくなります!」

たぶんシノが期待してるのは身長じゃないと思うが、まぁこのままにしといた方が仲も良くなるだろ

 

そして当然シノの視線はグリムへと移る

「な、何よ。結婚してちゃんと私を養ってくれるなら胸の一つや二つなら触らせても……」

そう言って顔を赤くするグリムに対してシノは小さく唸ると

 

「デッケーけど色気が足んねぇな」

 

「偉大なるゼナリス様!この男に災いを!」

「やめろやめろこんな街中で!」

シノを呪おうとして6号に押さえつけられるグリムに対して俺は言った

 

「なぁグリム。ちょっと話せるか?」

 

 

 

ミカとシノをスノウとロゼに押しつけ、俺はグリムの車椅子を押しながら街を歩く

 

シノが『とうとうオルガも女を知ったか』とニヤニヤしていたのがなんか嫌だが…

 

それにグリムも、いつもならやんややんやと面倒な事を言うのだが、今日は鳴りを潜めている

 

黙っていても進まないので、夢であったことを言う

「俺、ゼナリスってのに会ったのかもしれねぇ」

 

「…………」

グリムはやはり押し黙ったままでいる

「もしそうなら…あれはお前が………」

 

「……えぇ、そうよ。私があなたを呪ったの」

「やっぱりか」

ようやく口を開いたグリムから出たのは、半ば予想していた答えだった

 

「ごめんなさい副隊長!」

そう言って頭を下げるグリム

「何言ってんだよ。謝る必要なんかねぇよ。俺が今こうして立ってられるのは、お前のお陰なんだからよ」

そう言っても、グリムは未だ申し訳なさそうに顔を伏せている

 

そのまましばらく歩いていると、グリムが言った

「………でも、副隊長の体って少し変なのよね。本来なら復活には代償が必要なのに、副隊長の場合は何も使わなかったし。それに私が呪いを掛けた時も、何も要求されなかったわ」

 

グリムの呪いには、それに応じた対価が必要

魔法の原理はよく解らないが、グリムが人を呪う時には、確かに触媒にした人形が消えているわけだし、嘘では無いだろう

 

「正直、それが一番変なのよね、私は自分の呪いが解ける覚悟であなたに呪いを掛けたのだけれど……」

さらっととんでもない事を言うグリム

 

ゼナリスは言っていた

俺の体には不思議な力が流れていると

よく分からないが、代償は要らないと言っていたし、そういう事なのだろう

 

「まぁ、良いじゃねぇか。全員無事なんだしよ」

「………そうね」

そう言ってグリムは、俺が復活してから初めての笑顔を見せた

 




不思議な力とは団員の団長を思う力……

ではなく、我々がオルガをおもちゃ…ゲフンゲフン……宗教じみた扱いで信じている事に起因します

なので別に何かエモい理由があるわけではありません

一応、代償無し、その場復活、のいつものヤツです
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