少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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少年兵の因縁
異星の儀式


キサラギから追加の人員が送られてから数日後

 

俺の目の前で6号たちは城の訓練所を占拠し、模擬戦という名のごっこ遊びに勤しんでいた

 

「かーっ!まったくキサラギ様々だぜ!ちょっと道行く女の子の尻触ったり胸揉んだりしても注意されるだけで済むんだからよぉ!!」

と、すっかりキサラギに染まったシノが訓練所に入ってきた

 

「シノお前なぁ……」

「固いこと言うなよオルガ!悪行ポイントも貯まって俺たちの戦闘力も上がるし、モチベーションも上がる!そんでこの国を守ってやってんだから、必要経費って奴で全部お咎め無し!」

 

キサラギの悪行ポイントシステムは一応ティリスに説明しており、一線を越えた犯罪はしないという約束で一応はお目こぼししてもらっている

まぁキサラギの戦闘員は本当にヘタレばかりだったので、そんな派手な悪事を働く奴はいないだろう

 

「心配すんなって!子供に手は出してねぇし、グリムさんにだってなんもしてねぇよ!」

とシノがまたそんな事を言ってくる

「グリムとは別にそんなんじゃねぇってのに…」

メリビットさんの時もそうだが、お前らは俺がそんなに女に飢えてると思ってるのか?

正直グリムは裏が無いから話しやすくはあるが、結婚したいかと聞かれるとやっぱりなぁ

 

 

「で、お前らは何やってんだ」

俺の目の前で冷や汗を流している6号とトラ男に言う

 

「いや……えっと」

「な、何でも無いにゃん」

俺の質問に、わざとらしくはぐらかす6号とトラ男

 

「6号どこだぁぁぁ!!今日という今日は許さん!!」

と、6号を探すスノウの怒声が聞こえる

それに反応するように、グシャリという何かが折れる音が聞こえた

その音の元を見ると、トラ男の手に折れた刀身が握られており、ちょうど真ん中くらいから折ったらしく、隣の6号の手には柄の側が握られている

しかもトラ男はその人間離れした握力で、刀身にヒビを入れていた

 

 

 

その剣ってスノウがローンを組んでまで買った愛剣じゃなかったか

 

 

「6号!私の愛剣をどこへやった!私が五年ローンで買った……」

「その剣なら、もっと乳でかくて甘やかしてくれる主人を見つけに旅に出たぜ」

シノがスノウを落ち着かせようとそんな逆効果な事を言う

「そんなバカな話があるか!というか私はこれでも胸のデカさと剣の取り扱いには自信があるのだ!私以上の主人など………」

そこまで言ったスノウは、6号とトラ男の手に握られている変わり果てた愛剣を見つけ、膝から崩れ落ちる

 

「うっうっ……フレイムザッパー……。寝る前には必ず磨いてあげたフレイムザッパー……。買った日は嬉しさで朝まで眠れなかったフレイムザッパー……。寒い日の夜は毎日抱いて寝たフレイムザッパー……。」

6号達に怒る事もなく、ただ泣き崩れるスノウ

折られた事による怒りよりも先に悲しみが来ているのを見るに、本当に剣が好きなんだな

 

「うぅむ、これはちょっと見てられないにゃん」

「でも、トラ男さんが片っぽ握りつぶしちゃったからもう修理もできないっすよ」

「いい案があるぜ。スノウちゃんのおっぱい揉んで貯めたポイントで、何かいい刃物を……ぅわとぉ!!」

シノの言葉にスノウが目尻に涙を浮かべながら怒りで立ち上がる

「おのれ許さんぞ貴様ら!フレイムザッパーの仇!!」

そう言いながらフレイムザッパーの柄で殴るのはどうなんだ?

と、俺がスノウの死体蹴りに疑問を浮かべていると、トラ男が手に付けられた装置を使って何かをキサラギに申請したようだ

やがて虚空に小さな穴が開くと、そこから一振りの刀が現れた

 

刀は、前にマクマード・バリストンの家で見たことある

噂では相当な切れ味らしいが、実際に振るわれたところを見たことは無い

トラ男はそれをスノウの前に差し出した

 

「愛剣の代わりにこいつをやるにゃん」

「トラ男さまぁぁぁぁぁ!!」

スノウは渡された刀を舐め回すように何度も鞘から出し入れすると、トラ男に絡み付いてねだった

「実は最初に会った時から、トラ男様はただ者ではないと思っていたのです!もしや他にも業物を……?」

「てめぇ、初めて俺に会った時はいきなり斬りかかってきたにゃん。気持ち悪いから様付けは止めるにゃん」

 

「さっすがトラ男だぜ、問題を解決しながら、おっぱいの信頼も勝ち取るとはよ」

「俺は小さい子が好みだからこのデケェ女は範囲外にゃん」

「さすがは怪人トラ男さんだ。とんでもねぇぜ」

その信頼はどこから来るんだよ

この外見だから当のロゼや子供からの好感度が高い事が余計にヤバい

中身は普通のおっさんだし、何よりその密かな野望が変態なのだ

 

あとシノはスノウの事をおっぱいと呼ぶのは止めろ

 

 

 

 

 

魔王軍との停戦期間も開けたため、俺達は魔王軍との戦闘に駆り出されていた

あの戦い以来、敵の幹部の姿は確認されていない

少なくない戦力とゴーレム、そして四天王の一人を失ったのだ

立て直しにはそれなりの時間がかかるだろう

 

「オラオラ!戦闘員6号様だ!冥土の土産に覚えとけ!」

「キサラギ社員のお通りだ!道を空けやがれ!」

「隊長!その悪人っぽいセリフはまだやるんですか!?」

ロゼが俺と6号の台詞に相変わらず抗議してくるが、悪行ポイントのためには仕方のない事だ

 

ちなみに、トラ男とキサラギ戦闘員は別の場所で戦っている

初めは不安もあったが、戦闘員達の予想以上の活躍によってそれは払拭されていた

正直、今も木の陰で寝ているグリムよりもよっぽど頼りになる

 

「バカ野郎!戦争に悪人もクソもあるかよ!勝った方が正しいんだよ!」

「あたしバカだけどそれは違うと思います!」

「いや、ロゼ。それは6号の言う通りだ」

「ふ、副隊長!?」

俺はロゼの肩に手を置き、反対の手で6号を指差して言う

「今の6号を見ろ、相手がどんなに正しくてもねじ伏せそうだろ?こんな風に敗者に何か言う権利ってのはねぇんだ。同じことを相手にされないためには、俺達も勝つしかねぇ」

「や、やっぱり人類とは愚かで滅ぼすべき存在なんじゃ……」

「俺を反面教師みたいに扱うのは止めろよ!これは悪の組織の戦闘員マニュアルにも書いてあるんだからな!」

 

6号が文句を言っていると、恍惚とした表情で血を被ったスノウが同じく血で塗られた刀を撫でながらこちらへ走ってきた

その姿はパッと見では殺人鬼にしか見えない

「おい6号!私は試し斬りを済ませたからもう満足だ!後でお前たちにも聞かせてやろう。この剣は凄いぞ、それはもうズパズパと……」

「聞きたくねぇよそんなの…」

スノウが理解不能な事を言う後で、大きな爆発音がした

 

「しかし、あの二人はすごいな相変わらず」

スノウがそう言う二人とは、シノとミカのことだ

二人とも変身をし、迫り来る魔王軍の部隊を蹴散らしている

 

「三日月!そっち行ったぞ!」

「わかってる」

近距離で鬼のような機動力と攻撃力を発揮するバルバトスと、変形で二つの姿を使い分けて遠近両方に対応するフラウロス

戦い慣れた二人のコンビネーションが、魔王軍を少しの抵抗も許さずに蹂躙していく

最後に残されたゴーレムを、キャノンで粉々にしたシノが叫ぶ

「っしゃー!見たか!これが俺様と流星号の力だ!!」

 

それを聞いたスノウが、少し申し訳なさそうに俺に尋ねた

「なぁ、流星号というのは…その……」

「何も言うなよ……?」

遠い星の人間なら、シノのセンスも光るかと思ったが、やはりここでもあまり格好良くは無いようだ

 

 

 

 

 

今日もまた小競合い程度の戦闘を済ませた後

今やキサラギ社員行きつけの場所と化したいつもの酒場に、貰いたての給料で飲みに繰り出した

 

「っかぁぁぁぁ!!仕事の後の一杯はたまんねぇな!」

「まったくだぜ!酒も女も溢れてて、その上英雄扱いだ、気分良いなんてもんじゃねーよ!!」

今やすっかり意気投合した6号とシノは、肩を組み、揃って酒を喉に流し込む

 

「よーし、今日は俺の奢りだ!ジャンジャン飲めよ!」

そして気分の良くなった6号が奢りだすまでが通例となっている

その奢りもアリスから借りた金で払うというのがまた酷い話だ

今日貰いたての給料も、きっとすぐに底をつくのだろう

 

「あたし、ご飯奢ってくれる時の隊長だけは大好きです!」

「私も、こういう太っ腹なところは嫌いじゃないわよ!でもお金使いが荒いのは伴侶としては減点ね!」

「ハッハッ、そんなに褒めるなよ。給料日にはまた奢ってやるからな!」

 

「凄いな6号、お前には今のが誉め言葉に聞こえるのか……」

俺が驚く横で、そんな6号を冷ややかな目で見つめながらアリスが言う

「その前に自分が貸した金を返せよ」

 

 

「そう言えば、アリスが着いてくるなんて珍しいね」

ミカが机に運び込まれた野菜料理に手を伸ばしながら言う

たしかにそうだ

前までは何か理由を付けて断っていたが…

6号も不思議に思ったのか、アリスに聞いた

「リリス様に食事機能でも付けてもらったのか?」

「お前どんどん隠さなくなってきたな」

 

一応、俺たちが違う星からやって来た事は、隊のメンバーには話してある

どこからともなく人を連れてきたりしたのだから、無用に怪しまれるくらいなら、いっそ話してしまおうと言うのが一つ

それに、どうせ隠していてもどこかでボロが出るだろうというのが一つだ

 

最初こそ可哀想なものを見る目で見られたが、今では凄い魔法使いみたいなものだと勝手に納得しているらしい

そしてもちろんアリスがアンドロイドだという事も伝えてある

 

「店まで付いてきたのは調査の一環だよ。例えばオルガ。その目の前の料理に何が使われてるか知ってるのか?」

そう言ってアリスが指差したのは、拳大ほどの骨付き肉

拳というか、腕とか脚のような部位もある

「さぁ……?そもそも合成じゃない肉なんてほとんど食ったこと無かったし……」

「たしかに気になるな、おっさーん!俺がいつも頼んでる日替わり肉って何が使われてんのー?」

6号が店主に問うと、店の奥からオークの死体を抱えて現れて言う

「今日はオーク肉だよ。魔王軍との小競合いで、オーク肉が安いんだ」

 

それを聞いた俺はちょうど口に含んでいた肉を吐き出し、6号はそれが載せられた皿をそっと除けた

 

「隊長?食べないのならあたしが貰っちゃいますよ?」

そう言って美味しそうにかじりつくロゼを見て、ロゼが以前戦場で丸焼きにしたオークをその場で食べようとしていた事を思い出した

あの時はロゼが野生児なのだと思っていたが……

 

「ここに来て初めて文化の違いを思い知ったぞ俺は……」

 

ミカは嫌そうな顔をしながらもオーク肉を一口齧ると、それからはもう吹っ切れたのか、何の抵抗も無く残りを口に入れ始めた

シノはそんなことお構い無しに、運ばれた料理を口に入れてそれを酒で流し込む作業に夢中になっている

後で教えてやるべきだろうか

 

「食材と言えば……数日前三日月が苗のようなものを持ち出していたが、家庭菜園でもするつもりなのか?」

「うん。それがどうかした?」

ミカに、スノウが悩みながら言う

「うーむ、本来なら国が認可していない施設での農作は禁止されているのだ。なんせ魔の大森林から魔物が寄ってくるからな」

 

そんなスノウに6号が珍しい物を見たような顔で言う

「お前、なんだか久しぶりに騎士っぽいこと言ってんじゃん」

「その言い様は納得いかんが……。とにかく農業をするのなら気を付ける事だな」

「……止めないのか?」

俺の疑問に、スノウは笑みを浮かべて言う

「あれはお前たちの故郷の作物なのだろう?市場に流せば高値が付くことは間違いない。まぁ実を言うと、私もその昔隠れて他所の植物を栽培して大変な目に遭った事があるのだが、三日月ならば問題あるまい」

「やっぱコイツ騎士失格だろ」

 

「とにかく、この星の連中が当たり前に食べている物でも、地球人にとっては毒かもしれない訳だ。そろそろ本腰入れて調査を始めるぞ」

 

「別に良いけど、この6号さんを雇おうってんなら報酬は高く付くぞ?」

「これは本来、お前もやらなきゃいけない仕事なんだがなぁ……」

「報酬はいくらだ?愛剣のローンのためにも、ぜひ私も参加させてくれ!」

最初は子供から金を借りる6号を、ゴミを見る目で見ていたスノウも、最近では羽振りの良いアリスから何かにつけて仕事を請けようとしている

その様は若干惨めだが、当人が幸せなのだから良しとしよう

 

「……そうか、まぁガイドは必要だから構わないが、ロゼとグリムはどうだ?」

「ええっと、明日は空けておけってグリムが…」

「明日は月に一度のゼナリス集会があるからね。まぁ集会って言っても、私以外だとロゼと副隊長しか居ないけど」

 

「「えっ」」

と、俺とロゼが思わず声をハモらせた

「ロゼ、お前いつの間にゼナリス教に入信したんだ?」

「副隊長こそ……。ねぇグリム、あたしお茶会みたいなもんだって聞いてただけなんだけど!」

どうやらロゼも何か勘違いしていたらしい

 

「もう対価の食事は奢ってあげたんだし、ちゃんとお茶も出してあげるからちゃんと来るのよ?それと副隊長はもうれっきとしたゼナリスの信徒なんだから、参加するに決まってるじゃない。これからは祭壇にも顔を出すのよ?」

「俺、そのゼナリスに色々と拒否されたんだが」

「おい、お前のオカルト話のためにオルガは貸さんぞ。そろそろまともに活動しないと幹部連中がうるさいからな」

相変わらず魔法や呪いに対して厳しいアリスを、6号がたしなめる

「まぁいいんじゃねぇか?この星の原生生物くらい、俺とスノウだけでも何とかなるだろ」

「自分はオカルトが幅を効かせるのが許せんだけだ、オルガの好きにするといいさ。ただし、お前までバカな事を言い出したら即刻記憶処理を施すからな」

 

 

 

 

翌日の夕刻、俺とロゼは言われた通りに、グリムに呼ばれた喫茶店にやって来た

「で、集会って何すんだ?」

そこにいたグリムに俺が聞くと、グリムは少し考えた後

 

「……何をしようかしら」

 

「決まってなかったの!?」

無計画なグリムに唖然とするロゼ

こんな事なら俺も6号達と一緒に行くべきだったか?

 

「だって、いきなりこんなにゼナリス教徒が増えるだなんて考えもしてなかったんだもの」

「そもそもあたしはこんな集会知らなかったんだけど」

 

いまいち釈然としない俺達の前に、男性店員が注文を取りに来た

「お客様、何かご注文はございますか?」

「この定食を六人前お願いします」

「ちょっとロゼ!食事はもう済ませたでしょ!!あなたまた文無しなんだからって私に奢らせるつもりじゃないでしょうね!」

ロゼがグリムの制止を振り切って注文をし、それをメモした店員は俺にも……

 

「こんな夕方に女を二人も侍らせたそこのお兄さんは何かございますか?」

と、そんな事を憎たらしそうに言ってきた

 

「えっ、じゃあ俺は水を……」

「けっ!」

 

…………

 

「やっぱりこの飲み物を……」

「ご注文ありがとうございます!」

俺が注文をするや否や、その店員の顔が元の笑顔に戻る

 

俺は、それを呆然と見ていたグリムに耳打ちすると

「グリム、悪いことは言わないからこの店に来るのはこれっきりにした方がいいぞ」

「そ、そうね……。前はあんな店員居なかったんだけれど……。というか何だかゼナリス様を崇める者の匂いを感じたわ」

 

ゼナリス教徒って俺達以外にいるのか?

というかそれなら教祖のお前が把握しておけよ

 

「とにかく、何か早いとこ目的を決めろ。じゃなきゃ、ロゼが追加の注文をしちまうぞ」

俺の言葉でメニューを覗き込むロゼに気付いたグリムが、慌てて立ち上がる

「そうだわ!最近アンデットを呼び寄せて無いじゃない!これじゃ、せっかく力を与えてくれたゼナリス様に申し訳ないわ!今日はそうしましょ!だからロゼ!もうここを出るわよ!」

「あ、これとこれお持ち帰りでお願いします」

「ロゼ!!」

 

 

 

グリムに連れられて、街からちょっと離れた丘のような場所に案内された俺は、ロゼに一つ尋ねる事にした

「なぁ、お前そんなに金に困ってるのか?給料が出たばっかりなのに文無しだし、その服も一帳羅なんだろ?」

「あたし、給料が出たらすぐ食べたこと無い魔獣の肉を買うのに使っちゃうんですよね」

ロゼだって俺達と一緒になってからはそれなりの給料を貰っているはずだが、それでも一瞬で使い切るのか

 

6号達は本気でロゼをキサラギに引き抜こうとしていたが、そう言えばキサラギって超が付くほどのブラック企業だったな……

いや、幹部の奴らは好き勝手やってるみたいだし、下っ端の待遇が悪いだけか?

ロゼに食事を与えなかったりすると、俺達まで食われないだろうな

 

「で、こんなとこで死者を甦らせるのか?」

「今日は正確には死者を甦らせるんじゃなくて、アンデットを呼び起こすだけね。私なら簡単な意志疎通ができるけど、普通の人じゃ何も話せないし」

 

「ねぇグリム、これって前にスノウさんに怒られてたやつじゃない?あたし止めた方がいいのかな」

「私はゼナリスの信徒、その信徒がしもべを呼んで何が悪いの?この間はスノウにバレちゃったけど、今回はちゃんと証拠隠滅するから大丈夫よ」

「もし危険な事だったらすぐにスノウと6号にチクってやるからな」

 

何か道具をいろいろと並べてから、グリムが何か呪文のように呟くと、地面に薄い光が走った

そこから白い玉のようなものがいくつも空中に飛び出していく

 

「これがアンデットっていうのか?何だか思ってたのと違うような……」

「これはゾンビじゃなくてゴーストですね、食べるところが無いので嫌いです。ゾンビは臭いからもっと嫌いですけど」

「ふわふわ飛んで……なんと言うか変な感じだな」

数十のゴーストはふよふよと俺達の周りを回っている

 

「どう?これがゼナリス様によって遣わされた私のしもべ達よ!」

と、自慢げに言うグリムだが、当のゴースト達は飛び回るだけで、別にグリムに従っている感じはしない

というか

 

「そんなに強くなさそうだな」

「正解です副隊長。下級ゴーストの力なんてせいぜい人に冷気をかけるくらいです」

そんなもんなのか

まぁこれだけ集まってると害は無くても気持ち悪いが

 

俺の反応が気に入らないのか、息を切らしたグリムが納得がいかないように言う

「どうしてそんなに反応が薄いの!?下級とはいえこれだけ呼ぶと結構疲れるんだからね!!」

 

「コイツは何て言ってる?」

「そうね……『こんな何も無いところで呼ぶんじゃねぇこの行き遅れが』ですって!?ねぇ、この人もう還してもいいかしら!!」

「勝手に呼んで勝手に返されるのも迷惑そうだな」

 

 

「ねぇ、皆あなたの前髪がカッターみたいに飛ばせないのかって気になってるみたいなんだけど、どうなの?」

「そんなわけねぇだろうが」

 

 

 

「おう、帰ったか」

「おう、お前らも無事で……。6号はどうしたんだ?」

 

「分からん、森でモケモケに襲われていたところを助けてやったのだが……」

「モケモケ?」

 

「でっかいザリガニだよ。肉のサンプルが取ってあるが、少しなら食ってもいいぞ」

「いや、遠慮しとく」

ザリガニはよく知らないが、話には聞いたことがある

かなりグロテスクな見た目らしいが……

 

「うっうっ…。せっかくできた俺の友人を生醤油かけて食いやがって……」

「何があったのか知らんが、お前がまともじゃないことは分かったよ」

訳のわからない事を言う6号を横目に、採ってきた植物を仕分けするアリス

 

「それよりオルガ。ちゃんとオカルト詐欺師の種は暴いてきたんだろうな」

「お前そんな目的で俺を行かせたのかよ。まぁ見せてもらったけど、種は無いんじゃねぇか?」

オカルトへの敵意剥き出しのアリスが俺に聞くが、俺は化学にもそこまで詳しくないので、あれがオカルトか何なのかはよく分かっていない

 

「ちょっとアリス!あなたまだ私の力を信じようとしないの?いいわ!明日あなたにも見せてあげる!」

「良いだろう。しっかり種を仕込んでおくんだな、この高性能なアリスさんを騙せると思うなよ」

自信満々な顔で言い合い、一歩も譲らない二人

正直どっちの言い分も正しいと思うんだが、お互い譲れないものがあるらしい

 

「俺も参加した方が良いか?」

「オルガ、お前はもうあのペテン師の術中にある。今後は怪しげな儀式には関わるなよ」

「ちょっと!待ちなさい副隊長!貴重な信徒を逃がすもんですか!」

 

結局、アリスと雇われた6号とスノウに阻まれて、翌日のグリムの儀式には参加出来なかった

 

アリスからは、『悪魔なんて大した事ない』とだけ言われた

 

一応、バルバトスとフラウロスも悪魔の名前なんだがな

 

 

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