少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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二人の相棒

 

「おい6号、いい加減起きろ。スノウが怒ってるぞ」

 

俺はテントの中で爆睡している6号の頬を軽く叩きながらそう言った

 

6号は目を開けるが、すぐにそれを閉じ

「……ワンテンポ遅らせた方が尾行に気付かれにくいだろ?あいつにもそう言っといてくれ………」

「俺もそう思ったんだがな。あいつ、遺跡に財宝が隠されてるんだと睨んでるみたいでよ」

 

「……しょうがねぇなぁ」

 

6号がボサボサになった髪を掻きながらテントから出る

 

すでに他の皆は軽めの朝食を済ませ、6号を待っていた

 

まだ6号は眠そうだし、代わりに隊員の準備チェックでも……

 

「……おいスノウ。まさかその格好で行くつもりじゃないだろうな」

「ん?それがどうかしたのか」

スノウが頭に疑問を浮かべて聞いてくる

 

「脱いでけ」

「オルガ、貴様まだ砂漠での遭難気分が抜けていないのか?6号だったら斬り捨ててやったところだぞ」

 

最近のスノウは遺憾なことに、俺も6号に負けないバカだと見ている

こいつも相当なダメ人間だと思うが、ダメのベクトルが違うので優劣付けがたい

 

「尾行っつったろ。その鎧じゃ音が出るだろ?」

「むぅ……。しょうがない、ちょっと待ってろ」

 

俺に言われて仕方なくテントの中でガチャガチャと鎧を脱ぐスノウ

 

その隣には準備万端と言わんばかりの表情のグリム

 

「……グリムは車椅子から降りろ」

「ちょっと副隊長。トリスに行った時から思ってたけど、最近私の扱いがおざなりじゃない?」

 

グリムが抗議してくるが、こればっかりはしょうがない

 

「車椅子で尾行なんかできるわけ無いだろ。持ってっても、階段なんかがあったらまた誰かにおんぶしてもらうんだろ」

「砂漠で足裏を火傷してから、もうこの子からは降りないって決めたのに……」

 

名残惜しそうに愛車にしがみつくグリムを引き剥がし、車椅子をバギーにしまう

 

「シノ、お前はいつまでフラウロスでいるつもりなんだ?」

「……やっぱりダメか?」

 

シノが恐る恐る言ってくるが、回答は決まっている

 

「ダメに決まってんだろ。どうやっても音が出るし、中に入ったらなるべく小さく屈んでる方が良いからな」

「四代目にはあんまり乗れてねぇから、できるだけ使ってやりてぇんだがなぁ」

 

 

いまいち緊張感のない仲間を引き連れ、魔王軍の監視を潜り抜けて遺跡の入り口へたどり着いた

扉のロックは解除されて開けっ放しだし、相手もすっかり油断しているようだ

 

「警備はザルだな。扉も閉めてないし、中には見張りも立ててないみたいだ」

「埃まみれじゃねぇか。足跡は残っちまうが、音は消せそうだな」

 

中に入ると、そこには異質な通路が続いていた

壁や天井には照明が埋め込まれ、小部屋のようなものもいくつか確認できた

 

外から見たときも思ったが、雨を降らせるアーティファクトとどことなく似ている

 

「おいおい、俺達は文明レベルが低い惑星を選んで送られたんじゃなかったのか?」

「ずっとファンタジーだったくせに、ここだけSFって感じだぜ」

 

いまさらリリスや他の幹部達を責めはしないが、こちらとしては文句の一つも言ってやりたいところだ

 

「……やはりこの星は文明レベルにズレがあるな。過去に発展した文明があり、一度崩壊したと考えるのがしっくりきそうだ。まぁ、そもそも……」

 

アリスがそう言いながらロゼを見るので、俺と6号もそれに連られる

 

「な、何ですか?どうしてあたしを見るんですか!?」

 

「コイツ自体があり得ない生き物だもんなぁ」

 

6号がそう言うので、俺もロゼの体をまじまじと眺める

食べた物に応じて体に現れた形質は、自然にできたものとは考えにくい

 

個人的には、見た目の抵抗は魚の方があると思うが

ロゼの場合、人間らしさが残っている事が気味悪がられているのだろうか

 

「ロゼは魔法で産み出されたもんだと思ってたが、この感じだと……」

「はい。私が見つかった遺跡とは別のはずなんですが、壁や天井の形とか模様なんかがどことなく見覚えあるような気がします」

 

ロゼの遺跡はグレイス王国でも調査中らしいが、どこまで分かっているのだろうか

この国のことだ、全て分かっている上でダシに使われているのかもしれない

 

『なぁオルガ。ロゼちゃんの記憶が戻ったとして、人間側だと思うか?』

 

シノがそんな事を聞いてくる

 

『……確証はねぇよ。けど、あいつはグリムや俺達の事も慕ってくれてるし、きっと大丈夫なはずだ』

 

…何が大丈夫なんだ?

 

もしロゼが人類の敵だとしたら、無理して俺達といるより魔王軍に居た方が幸せなんじゃないか

 

「くそっ!俺はまたこんなことを……」

 

自分に嫌気がさして頭を掻く

 

「副隊長、どうしたんですか大声出して。見つかっちゃいますよ?」

 

「……悪い。なんでもねぇ、先を急ごうぜ」

 

 

そこから少し通路を進んだ脇に、何かが落ちていた

 

ハイネ達が破壊したのだろうか

人間大ほどの大きさの残骸が転がっていた

装甲の隙間から機械の配線が飛び出しているその姿は……

 

『おいアリス、これってどう見てもロボットだよな』

『えらく経年劣化が激しいが、まぁロボットだなあ』

 

6号とアリスが互いに頷き合う

 

『なぁ、アンドロイドとロボットってのはどう違うんだ?かわいいのがアンドロイドで、そうじゃないのがロボットか?』

シノが、俺も気になっていた事を言った

 

『そりゃお前アレだよ……。なぁアリス、アレだよな』

 

6号が知ってる風を装ってそう言うと、アリスが呆れながら言った

 

『外見が人ならアンドロイドって感じで別にいいぞ。あとはAIとかそういう話だが……』

 

『うん。知らん』

『それは俺も知らねぇ』

 

『…もし侵略が成功したら、教育普及は急務だな』

 

アリスが戦闘員の知識不足に頭を悩ませている間に、スノウはロボットのパーツを広い集めていた

 

「おい、お前達も見てないで手伝え!こいつなんかは持ち帰ればそれなりに……!」

「そんなもん全部終わってから回収に戻れよ!あいつらに先越されたらどうすんだ!」

 

こんな時でもがめつさを忘れないスノウに6号が言うが、アリスとシノもロボットの残骸を見て屈み込む

 

「確かにこいつらの構造は気になるな。三日月、いくつか持っててくれ」

「修理すれば使えるようになんのか?なぁオルガ、なるべく綺麗な奴を持って帰ろうぜ!」

 

「お前らもかよ!」

 

6号がたまらずキレるが、結局いくつかの残骸を持って帰る事にしたらしい

スノウが袋いっぱいに担いで笑みを浮かべた

 

そう後ろで、グリムが埃まみれの足を上げて気持ち悪そうに言った

「うぅ、素足にこの大量の埃は堪えるわ…。ねぇロゼ、またおんぶして………ロゼ?」

 

グリムが、どこか上の空のロゼを見る

 

「あたし、なんだかこの子達と遊んだ事があるような……」

 

 

 

 

 

 

しばらく進むと、なにやら戦闘の光が見えた

顔を覗かせてそこを見ると、そこにはハイネともう一人

ほぼ人間の姿だが、腕にはヒレのような物を生やし、尻尾が生えたその姿はロゼに似ている

ロゼが爬虫類を思わせる姿なのに対して魚に似た姿をしていが、恐らくはロゼと同じキメラだろう

 

「あれが話にあった最後の四天王か……」

「たしかにロゼに似てるね」

「あのねーちゃんおっぱいデケーな!」

(お前ら静かにしろ!)

 

思わず声を抑えるのを忘れてしまったが、幸いこちらには気付いていないようだ

ハイネが気楽そうに話しかける

 

「そろそろゴールが近そうだね。ラッセル、あんたも大分魔力を使ったみたいだけど休憩を取らなくてもいいのかい?」

「戦闘キメラの魔力は無尽蔵だからね。食べ物さえ切らさなければ一日中だって水魔法を放てるさ」

 

(あいつ、今戦闘キメラって言ったぞ。どうやら予想は当たったみたいだな)

(名前は水のラッセルっていうらしいし、水の使い手か…。スタンガンでも取り寄せるか?)

(まだ様子見だな。あいつの戦闘力を見てからにしよう)

 

 

「それじゃあとっとと攻略しようか。こんな不気味なところからは早く出て、魔王城でゆっくり寝たいよ」

「ボクにとってはここは故郷みたいなものなんだけどね……。まぁしょうがないか、ハイネは現代環境に適応した魔族だしね」

 

 

(現代環境に適応した魔族?キメラは魔族より前から存在してるってことか?)

(リリス様いわく、この星の生物の進化には不明な点が見られるそうだ。こりゃ、魔族自体が人造生物な可能性も出てきたぞ)

(この遺跡を作った文明の仕業か……。ゾッとする話だな)

 

 

それからも二人は、時には助け合い、時には軽口を叩き合いながら、幾度となく迫り来る敵と罠を何度も退けていた

 

二人の絆が垣間見えたが、それを隠れながら見ていた俺達は

 

(へっへっへ……!やつら、何も知らずに油断してやがる。横取りしてやるのが楽しみだぜ)

(おうおうおう、仲睦まじいじゃねーか。あのガキんちょ、あんなおっぱいと一緒に夜営してんのか?羨ましーぜあんにゃろう)

 

6号とシノが邪悪な笑みを浮かべる

それを見ていたスノウは不安そうに俺を見た

 

(おいオルガ、こうしてあいつらの頑張りを見ていると、なんだか躊躇してしまうのだが……)

(ここまで来たらやるしかねぇだろ。国の存亡が掛かってるんだ、良心は今だけどっかに預けとけ)

 

俺達が軽い葛藤に苛まれている間にも、6号はまた何か思い付いたのかグリムへ耳打ちする

 

(おいグリム、こっからあいつらを呪えるか?あいつら二人とも魔法使い系みたいだし、一時的に魔法が使えなくなる呪いをかけてやるのはどうだろう)

 

(誰かを呪う時はそれなりの声量で言葉にしないと効果が無いわ。でも、なかなかいい手ね)

(あたし、もういたたまれないんですが……)

 

 

 

 

俺たちの思惑を他所に、やがて二人は大部屋のようなところへ足を踏み入れた

どうやら、目当ての物を見つけたようだ

 

「これが砂の王に対抗出来る切り札かい?またとんでもない大きさだね……」

 

ハイネがそう言って見上げるのは、巨大なガラスの格納庫

 

「ああ、本来コイツは地上に繁殖した猿どもを駆除するための兵器さ。これで砂の王を駆除した後は、うざったい人類を根絶やしに出来るね」

 

ラッセルが悪い笑みを浮かべながらそう言う

 

その話だと、元々対人間を想定して作られたようだが、ありゃまるでモビルスーツじゃねーか

 

埃を被っていてうっすらとしか見えないが、人型の巨大ロボットがそこにあった

 

人が乗るのか、自動で動くのかわからないが、この星の一般技術と比べると明らかにオーバースペックなことに違いはない

 

「またあんたはそんな事を……。そこまで人間が憎いのかい?」

「ああ、憎いね。それがボクを作った創造主の願いだし」

 

ラッセルがそんな不吉な事を言う

 

ロゼとラッセルの製作者が同じだとすれば…

 

いや、今はよそう

 

「ハイネはあいつらが憎くないの?何度も酷い目に遭わされたって聞いたけど」

 

「これは戦争だしね。一々あいつらを憎んでいたらしょうがないだろう?憎しみに囚われた奴を一人知ってるけど、あんたにはそうなってほしく無いよ」

 

「あの黒いヤツの事?あいつ、うるさいからどっかやって欲しいんだけど」

 

ハイネとラッセルがそんな話をしている間に、6号は二人のすぐ後ろまで移動している

案外気づかれないもんだ

 

「そう言うなよ。あいつだって、いろいろと思いがあってやってるんだからさ……。じゃあラッセル、期待してるよ」

「任せてよ。……うん、状態も良いしどこかが故障している様子もない。この分なら…………」

 

ラッセルがガラスケースの前に備えられたコンソールを弄っていた時

 

「死にさらせぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ほっ!?」

 

6号がラッセルの背後に忍び寄り、股間を思いっきり蹴りあげた

 

中性的な顔立ちだが一応、男……だよな?

 

ラッセルは急所への一撃をくらい、変な声を出しながらその場に倒れる

 

6号がそれを踏みつけて勝ち誇った

 

「魔王軍幹部、水のラッセル討ち取ったり!!」

「ラッセルーーッッ!?」

 

ハイネが悲鳴を上げて駆け寄ろうとするが、そこへシノが割って入る

 

「おっと、ねーちゃんはおとなしくしててもらおうか!」

「な、なんであんた達がこんな所に!?」

 

涙目になりながら俺達を見て驚愕するハイネ

 

「悪ぃなハイネ。この兵器は俺達が回収させてもらう。もし抵抗すれば……」

 

俺が銃を突き付けながらそう言い、ミカが口から泡を吹くラッセルを押さえつける

 

 

「おお、お前ってヤツは!いやちょっと待て、ひょっとしてあんた達はずっと後をつけてたのか!?で、最後の最後で美味しいところをかっさらおうと!?」

 

自分で言いながらどんどん青ざめるハイネ

 

「……よく分かってるじゃねぇか」

「そうだよ、お前らが露払いした後を悠々とついてきた」

「酷すぎるだろ!そんなのズルい!」

 

俺にはハイネの抗議が耳に痛いが、6号とシノにはそんなこと無いらしい

 

「よーしおっぱいのねーちゃん。俺もせっかくのおっぱいを傷つけたくねぇ。おとなしくして、ちょっとおっぱいを揉ましてくれれば、悪いようには……」

「おっぱいおっぱいうるさいよ!あんたは見ない顔だけど6号の同類って事がよく分かったよ!!」

 

とうとう怒り出したハイネをよそに、6号はミカに掴まれたラッセルへ視線を向ける

 

「よし三日月、そいつを起こせ。アリスにこの兵器の情報を……」

 

「6号。こいつもう息して無いよ」

「クリティカルヒットだったな。やるじゃねぇか6号」

 

と、二人がそんな事を……

 

「……は!?」

「ラッセルー!」

 

その場にいた全員が6号の所業にドン引きし、ハイネは泣きながらラッセルの体にしがみついた

 

「え、マジで!?俺子供を殺っちゃったのか!?」

「おいおい6号、何もそこまでやらなくたって…」

 

当の6号もさすがに子供を手にかけるのは罪悪感があるのか、慌ててラッセルを掴む

白目を向きながら口から大量の泡を吹き出してぐったりとするラッセルの腕に、アリスが注射器を立てて言う

 

「一応カンフル剤打ってみるが、ダメだったら諦めろよ」

 

 

 

 

アリスの処置から数分後

うめき声と共に、ラッセルがなんとか戻ってきた

 

「う……一体何が……?」

 

「おう、目が覚めたか?変な事は考えるなよ。ハイネがどうなっても知らねぇぞ」

 

そうラッセルに警告する

たぶん6号とシノがハイネにすることは決まってるが

 

「お前は俺の一撃で瀕死の重症を負ったんだ。でもまあ勝敗は付いたからな。優しい俺達は治療を施してやったってわけさ」

 

まだ意識がはっきりしないのか青い顔でボーっとするラッセルを覗き込みながら、6号が言う

そしてそれを見ていた仲間達は…

 

(ガキを背後から不意討ちしといて、よくあそこまで勝ち誇れるよな~)

(まったくだ、しかも慌てて治療していた癖に)

(勝敗は付いたとか、勝手に決めちゃってますしね…)

(さすがのゼナリス様もドン引きされているご様子よ)

(ねぇオルガ。オレ、見てるだけでいいのかな)

 

 

「……なるほど、不意討ちを食らったのか。で、キミはこの兵器を横取りするために、ボクの復活を待っていたんだね……」

「そういうわけだ。変な動きを見せたら、お前だけじゃなくその機械とハイネにも攻撃を仕掛けるからな」

 

そう言ってラッセルの首元を掴み、頭に銃を突き付ける6号

 

「まずはコイツを開けてもらおうか。その後はこのデカブツの操り方を教えてもらおう」

 

(まるでこっちが悪者じゃねーか…あいつ、ちょっとやり過ぎなんじゃねーの?)

(あたし極悪人になった気分です…)

(悪の組織だし、間違って無いけど…)

(これは国のため、そう、国のためなんだ……)

(ねぇスノウ、私の目を見て言ってご覧なさいな)

 

隊員が思わず目を背けるのもお構い無しに、6号はラッセルをコンソールに向け直させる

 

「起動方法は簡単だよ。この施設の関係者なら、実は誰にだって動かせる」

 

そう言ってコンソールを触っていたラッセルの体が青く輝く

 

「おい、なんかヤバくないか…」

 

そう言った瞬間、ラッセルの体は光になってガラスの中へ吸い込まれていった

それと同時に、中に収められた機械の光が明滅を繰り返す

 

「これはもう手遅れ臭ぇな……!」

「お前ら一旦離れろ、回収は諦めて破壊に移行だ!」

 

俺達が離れると、ガラスを突き破って巨大な手が現れた

その手が、そのまま自身を封じ込めていたケースを破壊して立ち上がる

 

その姿は巨大な人型兵器

俺達が知るどのモビルスーツとも似て非なる外見だが、それ以外に形容しようがない

 

「動くなぁぁぁぁ!!!」

 

6号がすかさずハイネを背後から押さえて銃を背中に突き付けるが、ハイネは不敵に笑うと

 

「……ラッセル、後は任せていいかい?」

《ああ、コレさえあれば楽勝さ。先に帰って待っててよ》

 

そんなやり取りを終えた瞬間、ハイネは腕の魔導石とは違う石を取り出して掲げた

 

「させるかぁぁぁぁぁ!!!」

「えっ!?ちょっ!きゃあああああ!!」

 

何かを察知した6号が石を奪おうと手を突っ込む

 

 

しかし、あと少し遅かったのかハイネの姿は忽然と消え……

 

「おっ、やったな6号。お宝ゲットじゃねぇか」

「6号お前……」

 

6号の手には、ハイネが身に付けていたブラジャーが残されていた

 

《………ッ!ハイネを辱しめた猿め!踏み潰してやる!!》

 

ハイネがどんな目に遭っているか理解したのか、ラッセルが操るロボットが6号へ向けて動き出す

 

 

「おっと!そうはさせねぇぜ!」

 

6号に向かって手を伸ばすロボットの前に、シノがフラウロスへと変身して立ちふさがる

 

 

「そんなにハイネが好きならくれてやるよマセガキが!!」

「あっ!もったいねぇ!!」

 

6号がロボットの前にハイネのブラを投げつけると、ラッセルが動揺したのか動きが止まる

 

《ボクとハイネはそんなんじゃ………あっ!》

 

その隙に、バルバトスに変身したミカがロボットの頭部へ瓦礫を投げ付ける

 

《そんな攻撃効かないよ!》

 

「だったらコイツを食らいやがれ!」

 

ミカに気を取られて足元へ手を伸ばすロボットに、フラウロスがキャノンを食らわせる

ピカピカだった装甲に傷が付き、ロボットは少し体勢を崩した

それを見逃さなかったミカが、傾くロボットの体にメイスを叩き付ける

 

狭い屋内では不利と見たのか、ロボットがリフトで上へ上がっていき、ドームの天井に穴が開く

 

《……ッ!ちょこまかと鬱陶しいヤツだな……!いいよ!どうせ出口はあそこだけだ。外なら全力で相手出来るからね!》

 

 

 

 

ラッセルが外へ飛び出して行った後

俺達はひとまず小部屋へと待避して作戦を立てていた

 

俺達が籠城すると見たのか、ラッセルは遺跡そのものへ攻撃を始めている

すでに壁や天井に亀裂が入り、パラパラと瓦礫が降ってきていた

 

「さて、これからどうする?」

 

アリスが気楽そうにあぐらをかきながら言った

こいつはキサラギでバックアップをとってあるからって余裕だな……

 

「俺と三日月なら、あんなヤツ大した敵じゃねーよ。さっきの感じだとそこまで強く無さそうだったしな」

「どうだろうな。見たところ携行火器は持ち合わせて無いみたいだったが、何か内蔵されてるのかもしれないし……」

 

シノが自信満々に言うが、6号は厳しい顔だ

 

「外には魔王軍の雑魚兵も残ってるしな。ハイネが部下を連れて戻ってこないとも限らねぇし、早めに決着を付けねぇと……」

 

「あの、あたしが交渉してみましょうか…?」

 

俺達が意見を出し合っていると、ロゼがおずおずと申し出た

 

「あたし、あの人の同類っぽいですし……。それにもしかしたら、自分の素性が分かるかも知れませんし……」

 

そう明るい表情で提案するロゼ

 

 

だが、そう言うロゼの肩は……

 

「よし!いいかロゼ、まずは仲間意識を高めさせるために……」

 

6号がロゼの肩を掴んで激励するが、俺と同じように気付いたようだ

 

 

平静を装っているが、ロゼは小さく震えていた

 

 

魔王軍の幹部級の力を持っていても、まだ幼い子供

自分の素性に何か不吉なものを感じているのか、あのロボットの実力を肌で感じ取っているのか

 

 

6号は小さくため息を吐くと、ロゼから手を離してアリスに言った

 

「……おいアリス。何か良い手は無いか?」

「一つ、絶対にアイツを倒せる手がある」

 

6号の言葉に、アリスが笑って言う

 

「なんだ、あるならそう言えよ」

「問題が無い訳じゃない。まず、あのロボットの回収は諦めろ。そして、その準備のために時間を稼いでもらう必要がある。最後に、お前達全員のポイントを使う事になるだろうが、構わないか?」

 

アリスの試すような説明に俺達は

 

「いまさら回収なんて二の次だろ?破壊しても依頼は達成できるしな」

「時間稼ぎなんてしてたら、先に俺達が倒しちまうかもな!」

「ポイントなら、また貯めれば良いしね」

 

「俺はキサラギが誇る最古参の戦闘員6号さんだぞ。そんなの今さら知ったことかよ!」

 

そんな自身に溢れた言葉を返してやった

それを聞いたアリスは、少し呆れたようなそれでいて楽しそうな顔を見せた

 

「よし、スノウとグリムとロゼは自分の手伝いをしてくれ。今からいろいろと組み立てる必要がある」

 

アリスは相当大がかりな何かを呼び出すつもりのようだ

スノウ達はアリスの指示で先ほどのドームの所へ向かっていく

 

と、部屋の入り口で見張っていたシノが叫んだ

「おいアリス!魔王軍の下っ端が入り込んでんぞ!」

 

「ちっ、おいシノ!アリス達の護衛は任せていいか!?」

俺の言葉に、シノだけでなく隊の皆が振り返ると

 

「へっ!そういうことは“守れ”だけで十分だろオルガ!」

「あたしも、オークくらいなら片手間に相手できますから!」

「ゼナリス様の力で活躍できないのが癪だけど、仕事は果たすわよ!」

「この遺跡は宝の山だからな!こんなところでやられる訳にはいかん!」

 

本当に頼りになる奴らだよお前らは

 

 

「何を取り寄せるつもりか知らねぇが、頭を使うのはお前の仕事だ。頼りにしてるぞ、賢い相棒」

 

「頭と性格に関しては不安しかねぇが、戦う事と生き残る事に関してだけは信頼してるよ、強い相棒」

 

そう言ってアリスに背中をバシッと叩かれた6号が、楽しそうに駆け出した

 

なんだかんだ言って、いいコンビじゃねぇか

 

 

 

俺も負けじとに笑いかける

 

「俺達も負けてらんねぇぞ!」

 

「ああ、言ってくれオルガ!」

 

 

 

いつも横にいて、何度無茶やってもついてきてくれた

 

“相棒”に

 

 

「やっちまえミカ!!」

 

 

 

 

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