少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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因縁の対決

「秘密結社キサラギ社員、戦闘員6号だ!ガンガンうるせぇんだよクソガキが!壁殴りならラブホでやれ!」

 

崩落を始めた遺跡から飛び出した6号が、ラッセルが操るロボットに蹴りを入れながら叫ぶ

 

《やっと出て来たね。ハイネには悪いけど、まずはお前から潰してやるよ!》

 

「俺らを忘れんじゃねぇぞ!」

 

俺がそう言うと同時に、ミカがロボットの足元へ飛び込み、そのままジャンプしてその頭を蹴り付ける

そこがコックピットになっているのか、ラッセルの言葉が止まる

 

《………ッ!またお前か!》

「大きいだけなら、やりようはあるよ」

 

その後も、ミカは高硬度レアアロイ製のメイスと滑腔砲を使って絶えず攻撃を仕掛けた

始めは新品同然だったロボットの体は傷とススにまみれて見る影もない

 

そしてそのすぐ足元で、6号は拳銃でコックピットに牽制射撃を加え続けている

 

《くそっ!……お前は何なんだよさっきから!ちょこまかと鬱陶しい奴だな!》

「へっ!どんなエネルギーを使ってるのか知らないが、その図体なら長くは持たねぇだろ!」

 

俺達の目的は時間稼ぎだ

6号はラッセルの注意を引くために、無意味と分かっている拳銃の攻撃を続けながら言った

 

《コイツの燃料は操縦者の生命力さ!常人ならすぐに尽きるとこだけど、ボクみたいなキメラが乗れば問題無い!》

「持久戦なら望むところだ!俺達のしぶとさを舐めるなよ!」

 

俺も6号に続いて攻撃を加える

 

《お前だって何も出来ないくせに!》

 

怒ったラッセルが俺に向けて手を振り下ろす

 

「オルガ!」

 

6号が叫ぶが、俺はあえてその場から動かなかった

 

そのまま俺の視界はロボットの手の平で埋め尽くされ、鈍い音が鳴る

 

《ふん…まずは一匹……》

 

ラッセルがロボットの手を地面から持ち上げると、そこには手形とともに俺の死体が……

 

「……俺は止まらねぇよ!」

 

俺は地面から立ち上がって宣言した

 

《な、何だよお前……!?何で潰されてピンピンしてるんだよ!!》

「……へっ!まだ信じられねぇが、ありがたいもんだ!」

 

思惑通り、復活した俺を見てラッセルは怯んだ

 

「そぅら!よそ見してると斬り刻んじゃうぞー!」

《うわっ!?お、お前何を……!》

 

そこへ6号が腰からチェーンソー状の武器を抜き、ロボットの脚を斬りつけた

 

あれはガダルカンドをミンチにした、R-バッソーという6号お気に入りの武装らしい

キサラギ製のその刃が、ロボットの装甲を切り裂いて………

 

「あ、ヤベ…!」

 

ロボットは体勢を保てなくなったのか、6号の側へ倒れ込んできた

斬り込みすぎたのかR-バッソーの刃が抜けず、6号はそのままロボットの下敷きになる

 

「6号!!」

 

ラッセルがロボットの体を起こすと、6号は半身を潰されて苦しそうに呻いた

戦闘服のお陰で即死はしなかったのは幸いだが、このまま放置する訳にはいかない

俺は6号の元へと……

 

《お前は普通の猿みたいだね。ちょっと予定と違うけど、これで終わりだよ!》

 

ラッセルが6号を掴もうと手を伸ばした時、ロボットの頭に砲弾が命中して爆炎が巻き起こった

 

「そうはいくかぁ!!」

「シノ!」

 

崩壊しかけている遺跡の上にあるのはフラウロスの姿

 

「待たせたなオルガ!!お前も見て驚け!これが俺達の秘密兵器!!」

 

そうシノが叫ぶと、遺跡の壁を突き破って巨大な何かが現れた

 

《待たせたな相棒。後は自分らに任せとけ》

 

スピーカーで辺りに響くアリスの声

 

その声は、目の前の蜘蛛型巨大兵器から聞こえる

 

またとんでもないもんを呼び出しやがって…

 

「………やっちまえ!」

 

親指を突き立ててそう返す6号

致命傷ではあるが、スノウ達が駆け寄っているので大丈夫だろう

 

《な、なんだコイツは……》

《自分の相棒にずいぶんとやってくれたじゃねぇか。本気の自分とデストロイヤーさんに勝てると思うなよ》

 

唖然とするラッセルのロボットに、アリスが操る巨大蜘蛛兵器が襲い掛かった

 

 

 

「おい、6号は平気か!?」

 

アリス達がラッセルと戦っている間に、俺は6号を介抱するスノウ達の元へ向かった

 

「意識は無いが、脈も安定している。まさかコイツがここまでやられるとは……」

 

スノウはぐったりと目を閉じて眠る6号の頭を膝に乗せながら心配そうに言った

 

たしかに俺も、何をやっても死なない奴だと思ってたが、そこは6号も人間ってことだ

 

「ねぇ副隊長、私たちには何かできる事は無いの?」

「アレを組み立ててくれただけでも十分だよ。お前らはアイツに近づきすぎんなよ」

 

俺がそう言って三人を後ろに下げている間に、アリスはデストロイヤーの体躯を活かしてラッセルのロボットを追い詰めていた

反撃しようにも、ミカとシノがぴったりとくっついて援護してくるので、思うように対応できていないようだ

 

 

もうロボットの装甲はところどころ剥がれ落ちているし、このまま行けば……

 

俺がそんな事を考えたのがいけなかったのだろうか

 

 

轟音とともにデストロイヤーの体が大きく揺れた

 

 

《………ッ!?》

 

《………へ?》

 

ロボットに覆い被さったデストロイヤーの頭部に、巨大な斧が突き刺さっていた

 

そして体に小さな爆発がいくつも起こり、デストロイヤーがその巨体を地面に伏せる

 

「アリス!!」

 

俺はアリスの名前を叫んだ

コックピットに直撃はしていないはずだが、返答が無い

 

「今の攻撃は……あいつか!?」

 

シノの言葉に攻撃のあった方向を見るとそこには

 

 

 

『ああ…見つけた。間に合って良かった……』

 

グレイス王国での戦いでも見た、黒いモビルスーツ

 

 

しかし、一つ大きな違いがある

 

 

《お、お前その姿は……!?》

 

ラッセルもその姿に驚きの声を出す

 

『彼らがこれ以上罪を重ねる前に……』

《ボクを助けに来たんじゃないのかよ!》

 

 

 

その黒い体が、モビルスーツそのものの大きさになっていた

 

 

 

 

俺はデストロイヤーの頭部に登り、コックピットを叩いてアリスを呼んだ

 

「おいアリス!無事か!?」

《……平気だよ。デストロイヤーさんのダメージコントロール力を舐めんじゃねぇ》

 

黒煙とスパークが時々見えるが、アリスの言葉を証明するかのように、デストロイヤーは依然としてその動力を絶やさず立ち上がろうとしていた

 

「そうか……。お前一人でアイツら二体を相手出来るか?」

《それは難しいな。というかあっちの黒いヤツはタイマンでも勝てるか怪しい》

「………ッ!」

 

そんな絶望的なアリスの返事

 

アリスとキサラギの秘密兵器を持ってしても敵わない相手……

そんなの、俺に相手出来るはずもない

 

《一つ手がある。三日月、シノ、聞こえるか?》

 

「聞こえてるよ」

「お、おう!」

 

アリスの呼び掛けに、ミカとシノが体勢を立て直しつつあるデストロイヤーの脇に戻り、変身を解く

 

《お前ら“怪人”には特殊能力がある。変身とは別にな》

「特殊能力……!?」

 

《リリス様お手製の怪人には皆、“巨大化能力”がある》

 

巨大化

 

つまり、あの黒いモビルスーツがやった事と同じ事をするわけだ

 

同じ大きさになれば、勝機はある!

 

「そうか、それなら……!」

《まだ聞け、巨大化には代償もある。生命力を使うデメリット付きだ》

 

安堵して意気揚々としていた俺は、アリスの説明に言葉を失う

 

「…そんなの………!」

 

 

認められるか

 

あいつに……また同じ苦痛を味会わせろってのか

 

ここで

 

ここまで来て

 

 

そんなの認められるか……ッ!

 

 

もうこうなったら、何とか俺達が気を引いてる隙にアリスの攻撃で……

 

「やらせてくれ、オルガ」

「ミカ……!?お前そんなの……!!」

 

俺の前にミカが立って言った

 

俺はそれを止めようと肩を掴んで……

 

 

「オレでなきゃ、あいつは倒せない。あいつはオレが倒さなきゃダメなんだ」

 

ミカの強い言葉

 

「でも、またあの時みてぇに……」

 

このままじゃまた……

 

「オルガ!」

 

……ッ!

 

「頼む」

 

ミカがそう言って目を閉じる

 

 

 

そこまで言われちゃ止めらんねぇよ

 

 

 

「……ミカ。俺からの命令は二つだ」

 

 

俺はミカの肩を掴んで

 

 

「何が何でもアイツに勝つこと。そんで……」

 

 

ミカの目を見て

 

 

「これが終わったら、俺と一緒に野菜育てようぜ」

 

 

ミカと向き合って

 

 

言った

 

 

「ああ、やるよ。それがオルガの命令ならね!」

 

 

ミカの顔が、自信に溢れた笑みに変わった

 

 

 

 

 

オルガに背を向け、またぶつぶつと騒いでいる黒いモビルスーツを見る

 

「おい三日月!俺も援護するぜ!」

 

シノがそう言ってフラウロスのキャノンを上下させる

 

「シノはアリスの方についてて」

「は?でもアイツは……」

 

「オレが一人でやる」

 

「……分かったよ。負けても、担いで逃げてやっから心配すんな!」

 

シノは笑って応えてくれた

 

 

「ああ」

 

仲間達を背後に、全身に力を込めて念じる

 

一瞬、体が浮くような感覚に包まれる

 

閉じていた目を開けると、三日月・オーガスはバルバトスのコックピットに居た

 

背中の阿頼耶識が確かにバルバトスと繋がっており、両手をレバーに載せると、かつての戦いが思い出された

 

「バルバトス。お前とこうするのも久しぶりだな」

 

オレの呼び掛けに、バルバトスは応えるようにリアクターへ火を入れた

阿頼耶識から情報が伝わり、網膜に情報が投影される

 

そこに映るのは、エドモントンで倒した黒いモビルスーツ

 

画面の端にはwarningとdangerの文字

 

このまま戦っても勝てないのだと伝えようとしているのだろう

 

 

「また、代償が欲しいんだろ?でも、そうする訳にはいかない」

 

 

どこまでも強欲で貪欲で最後まで諦めなかった、もう一人のオレの相棒

 

 

宝の在処を示し

獣と会話し

友情を回復する力を持つ

 

そんな悪魔の名前を冠したガンダムに

 

 

「オレは前に進み続ける。だからお前も、オレに着いてこい」

 

バルバトスの目が光り、リアクターの動く音が全体に伝わる

 

 

 

そうだ

 

 

もっと“貸せ”お前の全部!!

 

 

 

 

 

 

目の前で、かつて戦ったモビルスーツの姿へと変貌する罪深き子供

 

あの時、自分が越えられなかった相手

 

『罪深き子供……。今日ここで、お前達の罪はようやく祓われる……』

 

今度は負けない

 

負けるわけにはいかない

 

ここまで私を信じてくれた人のためにも

 

クランク二尉………

私はあなたの意志を継げているのでしょうか

 

ボードウィン特務三佐………

私はあなたの清廉さを継げているのでしょうか

 

 

『もうわからない………。もしこの世界にいるのなら教えてください!私は、あなたの正しき信条に!あなたの思いに答えられているのでしょうか!?』

 

そう叫んでも、当然自分に声を掛けてくれる者はいない

 

あの時

どんな手を使っても仇を討つと決めた時

 

俺の道は決まったのだ

 

 

 

 

 

『私に出来る事は……もう………!!』

 

そこまで言ったモビルスーツの頭が開き、中から赤く光る機械の目が現れてこちらを見る

 

 

『貴様の悪魔の皮を剥ぎ取り!貴様の罪を削ぎ落とす事のみ!!』

『そういうのは、本当の悪魔にやってよ』

 

 

コックピットとスピーカー越しに言葉を交わす

 

互いに顔も見たことが無い

 

片方は相手を悪魔と呼び

片方は相手を見てすらいなかった

 

そんな関係で終わった二人が、どういう因果か再び合間見える

 

 

『………最後に貴様に問う。貴様らはあの人の名前を………』

『クランクでしょ。いい加減覚えたよ』

 

あの時はすぐに消えた名前

 

今はもう、脳裏にこびりついて離れないその名前を言う

 

 

『ならばそれだけで結構……!その名を胸に、懺悔しながら逝けッ!!』

 

黒いモビルスーツが斧を振り下ろすのも構わず、オレは言った

 

『だったら、あんたも覚えてよ』

 

 

あのおっさんがそうしていた

 

決闘は、名乗りで始まるもの

 

 

『オレの名前は三日月・オーガス。今から、もう一度あんたを倒す男の名前だ』

 

『……いいだろう!!私はアイン・ダルトン!この決闘を捧げ、クランク二尉への手向けにするッ!!』

 

 

 

 

 

始まった戦いは、常に三日月が優勢だった

 

大型メイス、太刀、レンチメイスの三つを使い分ける三日月の攻勢に、アインはすっかり呑まれていた

 

迷いの無い連撃が、グレイズアインの装甲を奪っていく

 

『これなら……ッ!』

『まだだ……。私は、クランク二尉の涙を……!』

 

そう叫んで斧を振りかぶったその懐に潜り込んで殴り付ける

返しに伸ばしてきた腕を掴んだ三日月は、それを背負い投げした

地面に転がるグレイズアイン目掛けてメイスを叩き付けようとするが、仰向けのままスラスターを全開にしてそれをかわした

その移動先へ、レンチメイスへ持ち代えたバルバトスの攻撃が入る

 

『ぐっ……!何故だ……!なぜ何の信念も持たず、正しき道を歩まないお前達が……ッ!』

『信念とか、そんなのどうだっていい……。オレはオルガと鉄華団のために戦うだけだ……!』

 

いつだって、鉄華団の進む道は一つだ

 

オルガが示した道

 

それがオレ達の……

 

『ならば何故だ!そこまでの想いを持ちながら何故!!何故あの人を手に掛け、あの人を脅かした!!』

『そんなの、敵だったからに決まってるでしょ!』

 

そう言ってくるグレイズアイン

 

………?

 

敵だから

 

倒さなきゃいけないから以外に

 

 

理由が必要か………?

 

 

『そんな……!そんな割りきって……!?それでお前はなんの罪の意識も持たないと言うのか………!!?』

 

まるでその事が信じられず、唖然とするかのようにグレイズアインの動きが止まる

 

そこへ片足を退きながら太刀を構え、コックピット目掛けて突き出す

 

『これで………!!』

『………ッ!!』

 

それをすんでのところで刀身を掴んで止めた

 

『私は…!私は……!私は…………!!』

 

グレイズアインの頭部が、まるで苦しんでいるように何度も何度も動く

 

 

『ウゥうおォアァァぁァぁぁァ!!!!』

 

まるで獣のような雄叫びとともに太刀の柄までを掴み、バルバトスごと放り投げた

 

『な………っ!』

 

あまりの剛力に、三日月は太刀から手を離して引き下がる

 

『もっと……!もっと私に力を……!!ファリド特務三佐!!わたしに、仇を討つための力をもう一度!!』

 

バルバトスの太刀を半分に叩き折りながら、グレイズアインはその目をさらに赤黒く光らせた

 

『もっとよこせ……!!グレイズアイン!!』

 

 

 

 

 

グレイズアインが野獣へと変貌する様を見ていたアリスは、デストロイヤーのコックピット越しにラッセルへと言った

 

《おい、お前の仲間が大変みたいだが?》

《……っ!あいつの面倒なんて見てられないよ!》

 

ラッセルがロボットの腕を伸ばしてデストロイヤーを殴るが、凹みを作るだけに終わる

その腕を振り払い、デストロイヤーはお返しと言わんばかりにタックルをかました

密着した状態でアリスが言う

 

《お前、アイツの事をどこまで知ってる?あの巨大化はキサラギの技術に似てるんだよ》

《知らないよ!連れてきたのは魔王だし、面倒を見てたのはハイネだからね!!》

 

と、べらべら喋るラッセル

しかし、アリスが知りたい情報は得られなかった

 

《なら、お前を喋らせとく必要も無いな》

 

《な、何…!?》

 

「ギャラクシーキャノン!発・射!!」

 

デストロイヤーがその手足でロボットの動きを止めた瞬間、四足形態へと変形したフラウロスが全出力を集中させた一撃を放った

 

《うわあああああ!!》

 

その渾身の一撃は、胴体を貫通とまではいかなかったものの、装甲に大穴を空け、内部のシステムに甚大なダメージを与えた

 

ロボットが体制を維持できずに倒れる

 

「く、くそっ……。こんなはずじゃ……!」

「確保ーー!!」

 

頭部のコックピットから飛び出してきたラッセルを、スノウが取り押さえる

しかし当のラッセルはまだ負けた気ではないようで、手から水の球を生み出して威嚇する

 

「お前ら雑魚相手に………!」

 

「偉大なるゼナリス様!この男の娘に災いを!全身の水分を持っていかれるがいい!!」

「ひっ!?」

 

グリムはそう叫ぶと同時に、怯えるラッセルの目の前でミイラになった

 

「グ、グリムーー!!」

 

「…ハッ!やっぱり人類はバカだな………ぴぎゃっ!!」

 

煽るラッセルの背後から現れたのは、デストロイヤーから降りたアリス

ラッセルは情けない声とともに、ビクビクと震えながら地面に転がった

 

「ア、アリスさん!それって……」

「スタンガンっていう、痺れさせる道具だよ。食うか?」

「食べませんよそんな物騒なもの!」

 

抗議するロゼと、グリムと6号を介抱するスノウ、そして人型へ変形するシノを見たアリスは、その場にいない一人の男を思い出した

 

「……オルガはどこ行った?」

「ミカさんの側に行くって言って……」

 

ロゼが指差した先には、三日月が操るバルバトスとアインが操るグレイズアイン

そしてその闘いの目の前で仁王立ちするオルガの姿

 

「あのバカ………」

 

相変わらず、責任感の塊だな

 

そこへ駆け寄ろうとするシノを押さえながら、アリスはそんなことを思った

 

 

 

 

グレイズアインの動きが変わった

 

おそらく、ミカがバルバトスに力を求めた時と同じ状態になっているのだろう

 

『ウがァァァァァァぁ!!!』

 

先程までと違い、姿勢を低くして全身を使いながらミカへ襲い掛かっている

 

バルバトスの装甲へ、まるで食らいつくかのように体をぶつけてくる

 

その戦いぶりに、ミカも及び腰になっているのが分かる

 

 

何やってんだ……

 

 

何やってんだミカ……

 

 

お前はそんなんじゃねぇだろ

 

 

鉄華団の悪魔は!

 

俺の相棒は!

 

 

 

 

「負けんじゃねぇぞミカーー!!」

 

 

 

俺がそう叫んだ瞬間、ミカの動きが止まって見えた

 

 

 

そしてその次の瞬間には、グレイズアインの脇腹に折れた太刀が突き刺さっていた

 

 

 

 

 

『オ……おぉオォぉォ………!!』

 

自分の意識がどこにあるのかわからない

 

目の前がスパークで見えなくなる

 

失った体の感覚も甦り、まるでそこにあるかのように痛む

 

『わたしは………!クランク二尉……!ボードウィン特務三佐……!』

 

何度名前を叫んでも、返ってくる事は無い

 

 

またしても突き立てられた鉄の刃

 

 

変わらない……

 

変われない……

 

 

『申し訳……ありま………!』

 

最後まで言う事も出来ずに、アイン・ダルトンの意識は暗闇の底へ落ちていった

 

 

 

 

 

元の大きさまで小さくなって、地面に落ちる黒いモビルスーツ

 

それを確認したアリスが、デストロイヤーのスピーカーから言った

 

《聞こえてるかお前ら。ラッセルの身柄は押さえた。トリスの連中も撤退したぞ。こっちの勝ちだ》

 

アリスのその言葉を聞いた俺は空を仰いで笑った

 

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