少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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建設は爆発

俺達が魔王軍とトリス王国から奪った土地の、魔の大森林の脇

 

その一角に立っている俺達の目の前にあるのは、地球から取り寄せた大量の資材

拡声器を手にした6号がその上に乗り、咳払いしてから話し始めた

 

『おはよう諸君。この俺が秘密結社キサラギ、グレイス支部長の戦闘員6号さんだ。今回の任務は、魔の大森林開拓のため、足掛かりとなる要塞建設が目的となる。地球で深刻化している環境汚染や人口増加による土地問題、食料問題。諸君の肩には人類の未来が懸かっており………』

 

「話が長いし何を言っているのかサッパリ分からん!くだらない挨拶はいいからとっとと始めろ!」

「隊長が急に難しい言葉使っても、ちっとも似合わないですよー」

「おい6号ー!それこの間アスタロトさんに言われた事そのまんま言ってるだろー」

 

柄にもなく真面目な話を始めた6号に、居並ぶ面々が罵声で囃し立てる

6号はしばらくそれを聞いた後、声を張り上げて叫んだ

 

『うるせー!アジトが完成すれば俺はお前らみたいな下っ端社員とは別格の存在になるんだよ!そこんとこを理解しやがれ!』

「私はあくまでもこの国の騎士だ!貴様らの怪しげな結社に入った覚えはないぞ!」

「そうですよー、あたし達を勝手に社員扱いするのやめてくださいよー!」

 

偉そうに言い放つ6号に、スノウとロゼが文句を言う

 

『かーっ!守銭奴のエロ女と大食いキメラが偉そうな口ききやがって。それとそこの女装キメラはもっとシャキッとしろ!』

 

6号が資材にもたれ掛かってぐったりとしているラッセルを指差す

 

「なんでお前寝てんの?」

「……昭弘の筋トレに付き合わされたせいで全身筋肉痛なんだよ」

 

案の定というか、夜遅くまで昭弘のトレーニングに付き合わされたラッセルは、全身の筋肉を破壊され尽くしていた

その様子を気の毒そうに眺めていたシノが、トラ男にふと尋ねる

 

「トラ男的にはどうなんだ?ラッセルが昭弘みたいになってもいいのか?」

「体質的にラッセルにゃんはガチムチにはなれないから別にいいにゃあ。今の柔らかいラッセルにゃんも好きだけど、ちょっと身が引き締まったラッセルにゃんもそれはそれで悪くねぇにゃん」

 

相変わらずブレないトラ男に俺が感心していると、拡声器を手にしたアリスが前に出る

 

『おいお前ら。アジト建設さえ上手くいけばテント暮らしとはおさらば出来るんだぞ。自室でエロ本も読めるし、庭先に畑を作っても何も言われない。莫大なボーナスと豪勢な食事だって出してやる。……分かったな?それじゃあキリキリ働け』

 

頼れる俺達の司令塔の指示に、6号達は人が変わったようにテキパキと動き始めた

 

 

 

 

順調に進む基礎工事を見て、俺はそこまで苦労しなくて済むだろうと思っていた

 

だがそれは大きな間違いだった

 

「ラッセルー!!」

「昭弘!回収頼めるか!?」

「…おいあいつどこまで吹っ飛んでくんだ」

 

突如として森の中から飛び出してきたカエルの群れによって、逃げ遅れたラッセルの体が景気よく吹っ飛ばされる

ただのカエルならいざ知らず、相手は自爆特攻を習性とするミピョコピョコ

すでに建材にも被害が及んでいた

 

「おいオルガ!ラッセルは大丈夫なのか!?まだアイツを逝かせるわけにはいかないんだ!」

 

珍しく心配そうな顔でスノウが聞いてくる

こいつそんなにラッセルと仲良かったっけか?

 

「一応戦闘キメラだし大丈夫……だと思うが……。というかなんで建設現場にメイド服で来てたんだアイツ」

「疲れてぶっ倒れてたとこを俺がそのまま引っ張り出して来たからな」

 

昭弘がグシオンのバトルアックスを手に言う

 

つまりメイド服のまま筋トレさせられて、疲れてそのまま寝てたせいでそのまま連れてこられたのか

元敵とはいえ哀れだな

 

「バハリン飲ませとけ。それがダメなら電気ショックで無理やり起こしてから考えよう」

「そ、そうか!私より下の扱いを受けているアイツを見ていると、心が安らぐのだ!」

「誰かそのクソ女を森に捨ててこい!」

 

相変わらず最低だったスノウに6号がキレている間にもミピョコピョコは湧き続け、どんどん被害が大きくなっていく

 

「もう七回目の襲撃だぞ!もっとマシな候補地は無いのかよ!」

 

この数時間で何度も何度も攻撃を受けて、6号もイライラが募っている

森からやって来る魔獣の対処に追われ、建築がちっとも進んでいないのだから無理も無い

 

「ぶんどった土地はここしかないからな、諦めろ。嫌なら他国を侵略してこい」

「なんでここに来て急に実力行使に出なきゃなんねぇんだよちくしょー!」

 

たしかに大変ではあるが、避けて通れない道でもある

なんせこの大陸の大部分が、この魔の大森林らしいからな……

こんなところで躓いてちゃ、惑星開拓なんて夢のまた夢だ

 

「オルガ、今度は蛇と蟹が来てるよ。また凄い数だ」

「おい三日月、あれは蟹じゃなくてザリガニっていうんだぞ。旨いから今度お前にも食わせてやるよ」

「それは別にいいや」

 

お前モケモケとは親友なんじゃないのかよ

けど今はそんな事はどうでもいい

問題は次から次へと殺到してくる魔獣たちだ

 

「くそっ!おい流石にちょっとおかしくないか?俺も魔の大森林に入った事はあったが、ここまでじゃなかったはずだ!」

 

俺がそう言うと、森の中を双眼鏡で観察していたアリスが指差す

 

「やつらの背後を見てみろ。カチワリ族の連中はこうやって縄張りを守ってるんだな、興味深い」

 

森の中で、奇妙なお面を被った人間が武器を手に魔獣を追い立てていた

今までの魔獣はあいつらがけしかけてたって事か

 

「んな事言ってる場合かよ。おい三日月、俺とお前で突っ込んで散らすぞ」

「わかった」

 

痺れを切らした昭弘と三日月が、グシオンリベイクとバルバトスに変身して森の中に飛び込む

しばしの戦闘音の後、魔獣の襲来はひとまず収まったが、建材が砕けてしまっているし、いつの間にかラッセルの姿もない

 

「ったくキリがねぇな……。おい、トラ男さん達キサラギ部隊も呼び戻そうぜ!」

 

疲れはてた6号が地面に尻をつけて言う

 

「まだトリスや魔王軍とは戦争中だからな。商売敵にアジト建設の邪魔はされたくないんだが、そうも言ってられねぇか……」

 

 

 

 

カチワリ族による攻撃があった翌日

一応は建物としての様相を見せ始めた要塞の一角で休憩していると

 

「おいオルガ!また蛮族が出た!」

 

6号の叫びに目を向けると、そこにはまたしてもお面を被った先住民の姿

 

「カチワリ族とは違う連中だな。見たところ武器は持ってねぇが」

「あの程度ならスノウとロゼだけでどうにかなるだろ。お前らは作業を続けろ。このままじゃいつまで経っても完成しねぇからな」

 

もう一端の建築士みたいな格好でいたスノウが蛮族の姿を見て声を上げる

 

「む、おい6号!あれはヒイラギ族だ!自然との調和、共生を旨とする連中で、魔法とも違った不思議な力を行使してくる厄介な連中だ!」

 

不思議な力と聞いたアリスが、あからさまに嫌そうな顔を見せる

 

「ここにきてまた新しいオカルトパワーとかふざけんなよ。おい三日月、ちょっと行って潰してこい」

「やめろやめろ!まだ向こうはなんもしてきてねぇだろうが!」

 

もしかしたら友好的なやつらも居るかもしれない

ほら、あいつらは襲ってこないで楽しそうに……

 

「なんかアイツらが踊り出したぞアリス!俺も空気読んで交ざってくる!」

「そんな事で中断すんな!……いや、本当になにしてんだアイツら」

 

突然円を組んで踊り出したヒイラギ族に俺達が困惑していると、何かに気づいたアリスが空を見上げながら言った

 

「ちょっと待て、降り注ぐ太陽光の量がおかしいぞ」

 

 

俺達の要塞の辺りが眩しく照らされた瞬間

 

空から光の降り注ぎ、要塞の上部を木端微塵になった

 

 

「ぶわあああああああ!!!!」

「うああああああああああ!!!!」

 

 

儀式を終えたヒイラギ族が森へ引き返した後

焼け跡が残る地面に転がっていたシノが声を大にして言った

「ビーム!ビームだぜ三日月!また新しいモビルアーマーか!?」

「ビームってよりはレーザーだな。おそらく光の収束攻撃だろう。対策は考えておかねぇとな」

 

他の仲間がなんとも無さそうにしているのを見て、6号が祈りを捧げながら言った

 

「お前らバチ当たりだぞ!きっと神パワーだよ神パワー!天罰的なものを落としたんだって!」

「なんで全く関係ない神様に裁かれなきゃいけねーんだ。おいオルガ、お前からも何か……」

 

天を仰ぐ6号と呆れるアリス

 

 

「「し、死んでる……」」

 

その目の前で俺は焼死体となって転がっていた

 

 

 

その翌日

 

丸焦げから生き返った俺を待っていたのは猛烈な砂嵐だった

 

「おい6号、そっちもっと引っ張れ!テントがひっくり返っちまうぞ!」

「もうひっくり返ってるんじゃねぇかコレ!?骨組みがひしゃげててもうどっちが上かもわかんねぇ!」

 

吹き荒れる砂嵐によって、仮設テントや資材が次々に吹き飛ばされる

6号の言うとおり、本当に神を怒らせたのかもしれない

不死と災いの神なんてのがいるくらいだから、砂嵐の神や蛙の神がいたっておかしく無い

 

というか『災い』の神……?

 

「……砂で何も見えん。全員無事か?」

「昭弘さん、ラッセルさんが吹っ飛ばされて木に引っかかってるので回収お願いします。あたしはこのムピョコピョコのお肉を避けとかないと…」

「俺はラッセルのお守りじゃないんだが……。まあアイツが身動き取れないのは俺のせいでもあるからな」

「わ、私もこの戦利品だけは……」

 

強欲にテントにしがみついていたスノウの頭に飛ばされた岩が直撃し、そのまま一緒に空へ飛んでいく

 

「さっきまであんな晴れてたクセに!って、あー!スノウが!」

「森のそばでこんなバカでかい砂嵐が起きるのも変だな。一応収束に向かってるが……」

 

アリスが冷静に分析していると、小さな爆発音とともにまたしてもカエルが飛び込んできた

 

「おいオルガ!風に乗ってミピョコピョコが飛んできてるぞ!」

「シノ!アイツらを撃ち落とせ!」

「無茶言うんじゃねぇよぉぉぉ!!」

 

結局、抵抗むなしく要塞の基盤は吹き飛んだ

 

 

 

「なあ、やっぱり他の土地探した方がいいんじゃねぇか?このペースでポイント稼いでると、そろそろ対俺専門の自警団が結成されそうなんだよ」

「シノはたまにはセクハラ以外でポイント稼いでこい。しかし、この状況が続くのはあまりよくないな」

 

現在、俺達が持っているポイントは、すべて建築資材につぎ込んでいる

このまま泥沼に物資を注いでいると、いざとなった時に戦闘でポイントを使えない

 

ミカはここ最近はずっと畑仕事に熱中しているので、悪行ポイントはほぼ無し

 

昭弘はまったくと言っていいほどポイントを稼げていない

アリスが強面な外見を生かして借金とりをやらせていたが、それもすぐに終わってしまった

 

このままだと二人は変身分も怪しいのだが、アリスが本部と交渉してこっちの星のサンプルと引き換えでポイントを手に入れてくれているのでなんとかもっている

 

「お前ら情けねぇなあ。ちょっとは俺を見習ったらどうだ?」

 

6号が見せびらかしているポイントは200近く

これだけ要塞建設につぎ込んでなおそれだけのポイントを持っているとは、どんな悪行をやらかしたのか

 

「古参戦闘員をナメるなよ?この程度のポイント稼ぎは朝飯前ってヤツさ」

「そうだな、悪かったよチャックマン」

「せっかく忘れかけてたんだからやめろよぉ!」

 

こいつはそこまで大がかりな犯罪には手を染めないだろうが、時々本当にバカをやらす事がある

心配だし、今度発信器でも付けておくか

 

 

 

さらに翌日

 

いつまでたっても進まない建築に業を煮やし、前線で戦っていた戦闘員を何人か借りてきたのだが

 

「こんな所にいられるか!もう俺は地球に帰るぞ!」

「一人でもそれを許したら我も我もと他の戦闘員も帰りかねないからダメだ」

 

6号を始め、その全員が萎縮して逃げ出そうとしていた

 

理由は、今日の相手は魔獣ではなくゾンビだからだ

 

「6号もゾンビがダメなのか。たしかに装甲越しでもスゲー臭うしなぁ」

 

シノがフラウロスの、あるかないかわからない鼻を押さえながら言う

 

「臭いじゃねぇよ!いいか?ゾンビ映画なんかじゃ、俺達みたいなヒャッハーしてるチンピラなんかが真っ先に殺されるんだぜ」

 

6号がまたわけのわからないジンクスを持ち出して言い訳し、他の戦闘員もそれに首肯く

 

「大の男が揃って情けない!どけ、私が始末してやる!」

 

ここのところアリスにボーナスを貰って張りきっているスノウが前に出て、早速手に入れた三代目フレイムザッパー片手にゾンビを火葬し出した

 

「やっぱり戦闘ならそれなりに頼りになるな……。おいお前らどこ見てんだ」

 

重い鎧を脱ぎ捨て、全身を使って剣を振るうスノウ

いつの間にか元気を取り戻した戦闘員達が、立ち上がって応援し始めた

 

「いいぞ異世界人!あんた最高だ!」

「すげー!揺れてる揺れてる!」

「俺達にもっとあんたの活躍を見せてくれ!」

 

……ある一点を凝視して

 

「……もう好きにやってくれ」

 

俺が呆れていると、森の奥から今までとは比べものにならないほどのゾンビの群れが現れた

 

「おいおいおい!なんだよあの数は!」

「退避だお前ら!」

 

その数なんと数百体

これ全部魔の大森林で死んだ人間かよ……!

 

「……これ、グリムの仕業じゃないよな?」

「そんなわけないじゃないですか!グリムはあれでもずっとこの国のために頑張ってきてるんですよ!」

 

要塞を放棄して逃げながらふとロゼに尋ねると、とんでもないというふうにロゼが否定する

でもゾンビは魔獣や先住民みたいに俺らを狙う理由も無いと思うんだがなぁ

 

ゼナリスの呪いだと考えれば、ここ最近の出来事も辻褄が合うんだが……

 

「じゃあアリスがオカルト嫌いなように、向こうも科学的なものを敵視してるとか……」

「全面戦争なら望むところだ。今度はやつらの森ごと焼いてやる」

 

追ってくるゾンビの集団に火炎ビンを投げつけるアリスを見て、俺は自分の言ったことを後悔した

 

 

 

またしても翌日

 

『野郎ども、用意はいいか?自分達は悪の組織だ、良心なんか捨てちまえ。ゾンビもモケモケもピョコピョコも、森と一緒に焼却だ』

「「「「「「「ヒャッハー!」」」」」」」

 

アリスの指揮の元、俺達は手に火炎放射器を担いで森の中へ進軍した

 

「これこれ!やっぱこれだよ悪の組織ってのはよ!」

 

煙対策にガスマスクを被った6号が、辺りに生い茂る木々を焼き払いながら言う

俺もそれに習って草木に火をつけるが、地球の環境のために他の星の環境を壊して良いのか疑問が募る

 

「お前らは炎に強いってのがいいよなあ。露払いは任せたぞ」

『だからって俺の後頭部を執拗に焼こうとすんなよ。溶けないだけで熱さは感じるんだからよ』

 

戦闘員達がキャンプファイアー感覚でどんどん森を焼いていると、焦った様子のスノウがユニコーンに乗ってやって来た

 

「おいお前達!大森林に何をしているのだ!」

「あんまりにも邪魔ばかりしてくるから、森ごと焼くことにしたんだが……。やっぱまずかったか?」

 

何も知らない俺がそう返すと、スノウは呆れたように言った

 

「まったく……!急いでここから逃げないと森の反撃が来るぞ!」

「……そりゃどういう事だ?」

 

スノウの言葉の意味はすぐに分かった

俺達が立っていた地面が突然割れ、そこから現れた植物の根が次々と襲いかかってきたのだ

 

「なんじゃこりゃあああああ!?」

「ひゃああああ!?た、隊長ー!!」

 

それまで森を焼いていた戦闘員達が足首を掴まれ、宙釣りにされる

キサラギ社員だけでなくロゼも捕まっており、6号達がその元へ駆け寄る

 

「何してんだバカ共!」

 

ロゼを助けるつもりだと思ったのか、捲れそうになっているロゼのスカートを凝視している6号に昭弘がキレている

この状況でも呑気な戦闘員にも、次々と根が這い寄っていた

 

「うおおお!?やめろ!俺は6号みたいな露出癖は持ってない!」

「この場には美少女が何人もいるんだぞ!?何で俺のところに来るんだよ!」

 

もう統率もへったくれもなく、皆逃げまどっている

かくいう俺もさすがにこんな状況に対処できるはずもなく、自分に迫ってくる根を焼くのに手一杯だ

 

「おいオルガ、こりゃ一旦退いた方が……あっ」

「ちょっおまっ!?無理やり担いできたんだからせめて守れよぉぉぉ!!」

 

昭弘に背負われていたラッセルが根に囚われ、抵抗も出来ずに宙に浮く

 

「うーん、絵面的には触手責めされる囚われの美少女メイドなんだけどなぁ」

「しみじみ見てないでお前も昭弘と一緒に助けてこい!」

「いや、この隙に私たちだけでも脱出すべきだ!」

 

思わぬ植物の逆襲に右往左往しながら、俺達は森から逃げ出した

 

 

 

全身ボロボロになって大森林の入り口に座り込む俺達の前で、アリスがなにやら薬品のようなものを取り出していた

 

「さっきから何してるんだ、それ」

「除草剤を試してるんだよ。よし、この星の植物にもちゃんと効果があるみたいだな」

 

そう言いながら、そばに置いてあった農業などで薬を散布するためのドローンの起動に取りかかった

 

「あーっ!変なのが飛びました!隊長、アレなんですか!?」

「相変わらず君たちは変な物を持ち出すね……。おー、飛んでる飛んでる………」

 

何かが琴線に触れたのかやたらと興奮するロゼと、すっかりアウェーな様子のラッセルが、飛び立ったドローンを眺めている

 

「よし、これで問題が無ければ、大量のドローンで一気に………」

 

アリスがコントローラーを手に動作をチェックしていると、小さな破裂音とともにドローンの姿が消えた

 

「一瞬でいなくなりましたよ!ドローンってすごいんですね!」

 

ロゼがドローンの機能だと勘違いしているが、今のは間違いなく攻撃だ

 

「また森の中からだ…。今度は何が来るってんだよ!」

 

精密射撃が可能な野生生物なんて厄介極まりねぇじゃねぇか……

 

俺だけでなく6号も森から現れた未知の敵に向き合い……

 

「美少女だ!この星には美少女の生る木があるんだ!バンザイ!」

「「「「バンザイ!」」」」

 

他の戦闘員(+シノ)と一緒に歓声を上げた

 

6号達が興奮するのも無理はない

森から現れたのは全裸の女だったのだから

 

しかし体に蔓のようなものを纏わせて自在に動かしているのを見るに、コイツも森の魔物なのだろう

 

「見てくれに騙されるな!こいつらは敵だぞ!」

 

俺の言葉を証明するかのように、その植物女は6号達に棘のようなものを飛ばしてきた

 

「いだだだだだ!戦闘服越しなのにすげー痛い!」

「痛い痛い!頭に当たったらザクロになるぞ!」

「昭弘とシノは盾になれ!さすがにMSの装甲までは……!」

 

キサラギ製の戦闘服でさえダメージをカット仕切れないだけでなく、グシオンやフラウロスの装甲にも傷がつくほどの威力を持っている

 

これが原生生物とか冗談じゃねぇ!!

 

「た、助けてぇ!!見てくれだけとは言え女に服を脱がされるのはちょっと……待って!そこから水は出ないから!!」

「もうその役立たずは置いてこい!」

 

逃げ遅れたラッセルが捕まってメイド服をびりびりに破られている間にも、植物女の攻撃は続く

 

「きゃあああああ!アリス!アリース!!」

「重機でもダメか……。これは撤退だな」

 

爆発するパワーショベルに背を向け、俺達はグレイスの街へ逃げ帰った

 

 

 

キサラギが占領して仮アジトになっている公園に座り込む

連日のように撤退戦が続いてるせいで全員ヘトヘトだ

いや、ミカだけはいつも通りの平然さを保っているが

 

「……やっぱり君たちはバカだ。あの程度で魔の大森林は開拓できないよ、なんのためにボクたちがこの国を侵略してたと思ってるんだ」

 

トラ男に自分からもたれ掛かるほどまでに憔悴しきったラッセルが言う

 

「お前寝て拐われてただけなのに偉そうな事言うんじゃねぇよ!助けてやった俺達に感謝して今日の晩飯は肉じゃがにしろよ!」

「お、お前らが無理やり連れてったんだろ!……まったく、最近は散々だ……。筋肉痛になるし、砂嵐に飛ばされるわ服は破られるわ………」

 

今のラッセルの格好は、魔王軍に居たときの以前の服装に戻っている

破られたメイド服を見てちょっと残念そうにしていたが、それを言ったら食事に変な物を混ぜられそうなので言わないでおいた

 

「俺が魔王軍の相手してる間にそんなことになってたなんてにゃあ。今夜はラッセルにゃんの好きなだけ甘えていいにゃん」

「…………」

 

トラ男に優しく頭を撫でられたラッセルが、トラ男の腹に顔を埋める

心が疲れてると人ってのは変わるもんだな

 

たぶん明日になったらまた否定するだろうが、もうすっかりなついてる判定されてるからな

 

「しっかしこの星の植物はたくましいなぁ……。ん?おい三日月、その手に持ってるの何だ?俺にはなんかの実に見えるんだが」

「さっきあいつからもぎ取ってきた。これも育てられるんじゃないかな」

 

ミカの手にはあの植物女に生っていた実が握られている

つまりこれを育てていくとゆくゆくは……

 

それに気付いた6号がミカにすり寄る

 

「でかした三日月!そいつを使って、俺達に従順な美少女を育てようぜ!」

「お前に任せられるか。そいつは貴重なサンプルになるんだ。三日月、しっかり世話するんだぞ」

「わかった」

 

アリスが6号を引き留めて言う

このまま放置するとミカの農園が完成した時に美少女まみれになりそうで心配だが、今はそれよりも……

 

「で、結局要塞建設はどうするんだよ」

 

俺が目下最大の問題について言うと、6号とアリスは顔を見合わせ

 

「「明日考えよう」」

 

そう言っていそいそとテントに籠っていった

 

お前らほんっとそっくりだな

 

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