少年兵、派遣します!   作:アカザタナ

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鉄血本編見てるとオルガは真面目だなぁと常々思います
本当にザックみたいな奴がもっといれば…


少年兵と不死の力
遭遇と祝詞


増えすぎた人口、環境問題、地球の抱える問題を解決するため、名誉ある異星探索の第一号として選ばれた俺達は……

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「だぁぁぁぁ!!!ちくしょう!!やっぱりあの女は大バカだぁぁぁぁ!!」

 

落ちていた

 

空から

 

 

「落ち着けお前ら、賢い自分とリリス様がこんなときのためにパラシュートを用意してある」

 

パニックになっている6号の肩を掴み、アリスがまったく表情を変えずに言う

 

「でかしたぁぁ!よし!これを……一個しかねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「何でだよ!!!!」

 

アリスから受け取った鞄を掴んで絶叫する俺達

 

「そう言えば昨日リリス様がパラシュートのチェックをするとか言って引っ張り出してたな。なるほど、戻し方が分からなかったから放置したらしい」

「ちくしょうあのバカ女!!!!」

 

 

「何か無いのかよ!!!」

「自分には自爆機能くらいしか無いぞ、それよりもそこの三日月を頼れ」

 

「はぁ!!?何言って……」

「オルガ、掴まってて」

 

そう言ったミカの背中にある阿頼耶識から白と青の装甲が生え、その体を包み込んでいく

ミカの顔が見えなくなった後に代わりに見えるのは二本の角と緑に光るツインカメラ

 

なぜか人並みのサイズになっているが間違いない

そこに現れたのは三日月・オーガスの愛機

 

ガンダムバルバトスだった

 

「ミカお前!!?」

「おおおおおおい!!!?俺も乗せろよぉぉぉぉぉ!」

「お前はパラシュートがあるだろ。早く開け、地面に激突するぞ」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

スラスターで減速し、ゆっくりと地面に降り立ったバルバトスの背中から降りる

すると、ミカを覆っていた装甲がするすると阿頼耶識に吸い込まれていき、しまいにはいつもの形に完全に戻ってしまった

 

「ミカ…そいつは……」

「オレの阿頼耶識と脳にバルバトスのデータがあったから、それを復元出来るよう改造するって言われたんだ。勝手に受けたけど、ダメだったかな。」

 

そのためにミカの阿頼耶識に拘ってたのか…

俺はモビルスーツに乗ってなかったから何も無かったのか、それともガンダムだからできたのか

 

「ダメじゃねぇけどよ……いや、それにしたってどうやって……」

「ソイツは変身系の怪人の技術だな、呼び出してるというより、デバイスから展開するタイプみたいだ」

 

声に振り替えると、そこにはケロリとした顔でパラシュートを切り離すアリスと、憔悴しきった顔の6号がいた

 

「お前ら、無事だったか…」

「無事なもんか!!ちくしょうあのボクっ子…今すぐ帰って泣くまで乳揉んでやる!!」

 

6号の遠慮ないセクハラ発言にドン引きしていると、アリスからとんでもないことが告げられた

 

「今すぐは無理だぞ、装置を呼び出すにしてもここじゃ組み立てられない。それに空間の安定化に一月はかかるからな」

 

……は?

 

「おい、俺は転送装置で一瞬で行来出来るからこの任務を承けたんだが……!?」

「そりゃリリス様に騙されたな」

「……本物のろくでなしじゃねぇか」

 

キサラギに入って本当に良かったのか?

本当に人の命をなんだと思ってるんだ

CGS時代を思い出す酷さだぞ

 

いや、俺も同じことを団員にやらせてたのか?

 

俺がやるせない気分になっている横で、6号も頭を抱えていた

 

「まただよ、またハメられた!あいつらもう許さねぇ!幹部連中に改造手術を受けないかって言われた時も………!!」

 

改造…そういえば

 

「……ミカ、お前体は平気なのか?」

「うん、平気。それよりこれからどうすればいい?」

 

ミカの言葉に、ひとまずは胸を撫で下ろす

せっかく五体満足でいられたのに、人体改造でまた機能不全になんてなっていたらたまらないからな

 

さすがに今はものを考えられそうに無い

ただでさえ知らない場所で考えが回らないのに、あんな送り出され方をすればなおさら

 

 

だが、アンドロイドなら話は別だ

「さっき降下中に知的生命体の集落らしきものが見えた、位置はマークしてある。先ずはソコへ向かうとしよう」

 

平然とするアリスを見ていろいろと吹っ切れたのか、6号が立ち上がった

「くそっ!おい、改めて自己紹介だ。俺は今までどんな戦場でも生き残ってきた、キサラギ最古参のエリート戦闘員。そう、戦闘員6号さんだ」

 

「自分はキサラギ社製美少女高性能アンドロイド、キサラギ=アリスちゃんだ。立場的にはお前らと同じ平社員だからな。タメ口を利いてもいいぞ」

 

「俺は元鉄華団団長、現キサラギ新入り戦闘員のオルガ=イツカだ。戦力としちゃ期待出来ねぇだろうが、最低限自分の身は自分で守る」

 

「……えーっと、元CGS三番組…元鉄華団遊撃隊隊長…現キサラギ戦闘員……?ガンダムバルバトスパイロット、三日月・オーガス」

 

各々が自己紹介を終えると、それぞれ口を曲げて言う

 

「俺の方が先輩なんだからタメ口でいいぞってのはこっちのセリフだろ」

「ミカ…流石にCGSの部分はもう名乗らなくて良いんだぞ」

「自信があるんだか無いんだか分からん名乗りだな」

「自分で高性能って言っていいの?」

 

 

しばらく歩いていると、アリスの言う都市が見えてきた

 

「そう言えばお前ら、悪行ポイントはどれだけある?」

 

アリスがふと立ち止まって言った

 

俺が腕につけられた端末機を見ると、それぞれ数字が表示されている

これが悪行ポイントというものらしい

 

「俺は今300ってとこかな」

「俺とミカは50ずつもらったが…あれ?おい、ミカそれ…」

 

ここへ来る前、前もって悪行ポイントというシステムについては説明を受けた

 

キサラギ所属の人間が悪行をこなすことで貯まるポイントであり、これと交換でより強い武器や嗜好品を手に入れられる

いわばキサラギの社内通貨のようなもの

 

そんなシステムが上手く成り立っているのか甚だ疑問だが、キサラギ社員はこのポイントで武器や装備を手にいれるしかないらしい

それを最初に50ポイントずつ受け取ったはずなのだが

 

ミカの表示されているポイントは24

 

つまりすでに26ポイント使っている事になる

だが、今まで何か呼び出した事は無かった

………ということは

 

「どうやらさっきの変身にもポイントを使う仕様らしいな」

「嘘だろ……」

 

もはやバックアップがずさんとかではなく、単純にケチなのだと悟った

 

「あの城砦都市を攻略するには300ぽっちじゃ心許ないな、三日月の変身が使えりゃまだ何とかなったかもしれんが…ひとまず徒歩で向かって潜入するぞ」

 

 

 

 

 

「嘘つきー!何が地球に似通った星だ!こんなん地球に居るかバカァ!!」

 

6号がこちらへ迫ってくる謎の生き物に向けて、拳銃を乱射しながら叫んだ

 

「なんだこいつら!これも犬ってやつか!?」

「銃を抜け!数が多いから撃ち漏らすなよ!」

 

俺達に襲いかかってきたのは見たこともない化け物だった

ガキのころ、路地裏を占拠していた野良犬を思い出したが、こいつらはそんなものよりはるかに凶悪だ

 

まず第一にデカイ

成人男性に覆い被される程だ

現に今、6号がその体ですっぽり見えなくなっている

 

「おい!お前も手伝えよ!アンドロイドが人間様を盾にすんな!」

「自分は高性能なアンドロイドと言っただろ。高性能なのでよりリアルを追求し、普通の少女並みの戦闘力となっております」

「このポンコツめ!お前高性能とか絶対嘘だろ!」

「何でこの任務に選ばれたんだよ!」

 

前から飛びかかってきた一体の喉元に支給されたナイフを突き立て、怯んだ隙に蹴り飛ばして別の一体に向き合う

 

初めての肉弾戦にしてはよくやっている方だと思いたいが、いまだに致命的な一撃は与えられずにいて一向に数が減らない

 

「右から来てるぞオルガ、勿体ぶらねーで銃使え銃」

「弾にもポイントを使うんだろ?だったらこんなとこで使ってられるか!」

「なら三日月くらい豪快にやれ豪快に」

 

アリスがそう言って高くのぼっている土埃を指差す

その中で戦っているミカは、バルバトスと一緒に出したメイスを振り回して化け物を叩き潰していた

 

一応、俺とミカに支給された戦闘服には筋力補助の機能があり、ミカの小さな体でも身の丈ほどあるメイスを軽々扱えていた

もっとも、ミカ本人の筋力も充分すぎる程あるのだが

 

アレを真似するのは俺には無理だな…

 

「誰か助けてくれー!!手が、手がプルプルしてる!!」

 

数体に群がられていた6号がたまらず助けを求める

 

「こっちは今動けねぇ…アリス、何とかできねぇか?」

「自分ポンコツなんで打開策は思い付きません、使えないヤツですいません6号さん」

 

アリスはまるでふてくされた子供のように体育座りをしながら言った

 

「助けてくださいお願いします!」

「お前本当に機械なんだよな…?」

 

人間に恩を売るというとんでもない機械に驚愕しながら、新手の犬モドキと対峙する

その間にもミカは一体、また一体とメイスで犬モドキをぺしゃんこにしていた

 

俺が新しく6号へ飛びかかろうとしていた奴を蹴り飛ばしていると、6号にへばりついていた奴が短い悲鳴と共に吹き飛んだ

見るとアリスが手にショットガンを持ち、俺の後ろから構えていた

 

「よし来たぞお前ら、これから三日月以外は自分に敬語使えよ」

 

偉そうにそう言ってくるが、実際助かっているので文句は言えない

 

それからなんとか犬モドキの襲撃を退けた俺達の方へ向かってくる何かを、ミカが発見した

 

「なんだあれ……?」

「何かに乗ってる人間だな……あれは馬か?」

 

つられて6号と一緒に見ると、馬のようなものに乗った集団が土埃を上げながらこちらへ迫っていた

 

「現地住民か。自分が言語を解析してお前らに埋め込まれたチップを通して覚えさせるから、余計なことせずにとりあえず話を聞いとけ」

 

「えっ、そんなことできんの?」

「おい、俺はそんなチップ埋め込まれた記憶が無いんだが」

「今そんなことはどうでもいい。それより、ここは自分に任せとけ」

 

どうでもいいわけあるか

この分だと、絶対まだ何か隠してあるだろ

もしまた会うことがあったら、そのときは俺も6号と一緒に何か仕返ししてやるか?

 

 

「答えろ!貴様らいったい何者だ!?」

 

銀髪に剣を携え、馬に似ている生き物に乗った女がこちらに向けて声を上げていた

 

全く知らない星の知的生命体相手の意志疎通など、本来なら何年もかかってもおかしくない話なのだが

 

「なぁ、お前らにもあの言葉理解出来てる?」

「ああ、不思議とな……」

「うん」

 

どうやらアリスの話は本当らしく、しっかりとその女の言葉を理解出来ていた

 

「そうか…俺としちゃあここらで不思議な力に覚醒してあいつらの言葉がわかるようになったとかの方が嬉しいんだがなぁ」

「前から思ってたが、お前のその自信と欲はどこからくるんだよ」

 

 

それから、明らかに不審な俺たちに関しての説明がアリスによって始まった

 

先ず、6号はアリスを変態から守るために戦い、その時のダメージで脳に障害を負い、アリスと共に療養中だという

俺はそんな6号のかつての戦友で、国のために勇敢に戦ったがあえなく敗れ、放浪の身だったところを二人に出会い、旅に加わった

そしてミカは凄い力をもっているが記憶がなく、自分を探すために旅に加わった

 

というのが俺たちの設定だ

 

「お前何言ってくれてんの?なんで俺が頭の悪い子扱いされてんの?」

 

説明を受けた女から哀れむような視線を向けられた6号がアリスに抗議する

 

「いいか6号、アホなお前じゃ絶対そのうちボロが出る。だがこの設定なら…」

「一般常識を知らなくても、変なこと口走っても大丈夫って訳か、考えたな」

「お前ら俺に恨みでもあんの?」

 

6号が納得がいかない顔で首を傾げているが、当の相手はこれで納得したようだ

「まぁ、事情は分かった。魔の大森林を抜けてきたというのは普通ならとても信じられないが、これを見せられてはな。我が国はお前たちを歓迎しよう。」

 

都市へ向かう道中では軽くこの国について説明された

彼女はこの国の騎士であり、名前はスノウ

この国の名はグレイス王国といい、領土をねらう魔王軍と戦争状態にあり、国境線で争いが絶えないという

魔王軍は数で勝り、戦況は劣勢に立たされている

しかしグレイス王国には古い伝承があり、選ばれた勇者が現れ、魔王を打ち破るというものだ

 

それを聞いた6号が、設定通りに頭の悪い勇者宣言をしたが、その勇者というのはこの国の王子と分かり膝をついた

あれで本気だというのだから凄い奴だ

ああいう奴の方が案外大物に……ならないか

 

「この国の現状は理解してくれたか?それでもこの国に滞在するというのであれば、お前達を歓迎しよう。……それに、仕事のつてだって紹介できる、これも何かの縁だ、話だけでも聞いてみないか?」

 

『おい、これはチャンスだ。お願いしとけ。この星の連中の戦闘力を測るには素晴らしい環境だ。破壊工作もしやすいしな』

『お前アンドロイドなだけあって容赦ねぇなぁ。でもまぁ生活基盤はあった方がいいよな。』

『組織の力は軍事力で決まるって言うしな、この流れなら身分証も必要無いだろうし…』

『ねぇオルガ、凄い見られてるよ』

 

一応、キサラギの任務に関する話はニホンゴで話す事になっている

そんなうまいこと使い分けられるものかと不安ではあったが、これがなかなか上手くいくもので、現にスノウは話の内容を理解できずに訝しげな顔をしている

 

まあ自分たち知らない言語でこそこそと話されれば警戒して当然だろう

 

「ごめんなさい。この人達はアホなので、私達の国の言葉で分かりやすく説明してあげたんです。ですが、戦う事に関しては任せても大丈夫です」

「なぁ俺とミカは6号ほどアホじゃないと思うんだが」

「お前ら隙あらば俺を貶すのやめてくんない?」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。お前達には期待している!ふふ……ふへへへ………」

 

アリスの言葉を聞いたスノウは、そんな気持ちの悪い笑いを上げた

 

 

 

 

「なぁあれって何なんだ?俺の目には戦車に見えるんだが」

「戦車が何かは俺にも分かねぇが、俺にはモビルワーカーモドキか何かに見えるな」

 

都市に入ってすぐのところに、物騒な戦闘兵器のようなものが鎮座していた

回りの建物はレンガと石でできているのに、こいつだけ鉄製なのも相まって、場違いな異質感を振り撒いている

 

「これはその昔この国を魔獣の脅威から守ったアーティファクトで……あっコラ!勝手に登るんじゃない!保存の魔法を掛けてあるが、もう劣化が激しいのだ!壊れたりしたらどうする!」

「いや、もしかしたら阿頼耶識が付いてないかって気になってな」

 

現状、隊で一番戦闘力が低いのは俺だ

6号ほど場慣れもしていないし、アリスのように射撃で完結している訳でもなく、ミカのように体にモビルスーツを纏って強化することも出来ない

ならせめてこいつぐらいはと思ったのだが、あてが外れたな

 

それより今一番の問題は

 

「魔法?なぁ今魔法って言った!?」

 

魔法と聞いて明らかに興奮している6号だ

 

このあと何をするかは火を見るより明らか

何とか6号が早まるまえに…

 

「おい、待て…」

 

結局制止は間に合わず、俺たちは他人の振りにいそしむ事になった

 

 

 

 

いろいろと言い訳を並べ立てる6号を引っ張って王宮にたどり着いた俺たちは、特に何かされるでもなくそのまま謁見室のような場所へ通された

 

そこで待っていたのは金髪に小綺麗なドレスに身を包んだいかにもなお姫様

クーデリアよりもさらに若く、部外者の俺達を見ても落ち着いた笑顔を絶やさない

 

「スノウ、お帰りなさい。任務ご苦労様でした。…それでこの方達は?」

 

呼ばれたスノウがお姫様の脇に行き、何かを説明し終えたのかこちらに向き直った

 

「四人とも、頭を下げろ。こちらにおらせられる方がこの国の王女、クリストセレス=ティリス=グレイス様だ」

 

「長ぇ名前」

「お姫様ってみんなそうなの?」

「ぶ、無礼者!」

「…………」

 

6号とミカの言葉に、アリスはため息を吐き、俺は頭を抱える

 

もし本当に彼女がこの国の王族なら、無礼を働けば即日死刑なんてこともありえる

もっと危機感を持てと言いたいが、自分も同じことを思っていただけになんとも言えない

 

だが当のお姫様はクスリと笑うだけで不機嫌な素振りは見せなかった

 

「随分と素直な方ですね。なるほど、確かにこの国の住人ではないようです。その反応といい見慣れない服装といい」

 

「あんたの事はなんて呼んだらいい?グレイス様か?クリストセレス様か?」

「お前!敬う気持ちがあるなら敬語も使え!」

 

スノウがたまらず6号に掴みかかるが、ティリスは笑みを崩すことなく話しかけた

 

「ティリスでお願いいたします。あと、敬語も結構ですよ、様も必要ありません。自然体でお願いします」

「そうか?なんか悪いな」

 

お姫様ってのは高飛車なイメージばかりだが、クーデリアといい、実際にはそんな奴には会ってないな

 

俺がそう考えていると、ティリスは一転して深刻そうな顔で話し始めた

 

「…それで、皆さまの強さを見込んでお話があるのですが……」

 

 

 

 

 

「まったく、外国人だからといって口の利き方も知らないとはな!私の評価まで下がったらどうしてくれる!」

 

謁見の間を後にした俺達に、スノウが罵声を浴びせ続ける

 

「あまり怒らないでくださいスノウ様。確かに礼儀も知らないアホですが、戦う事に関してはプロですから」

 

ティリスの話というのは、魔王軍との戦争で数を減らしている戦力を少しでも増やしたいという

いわば傭兵みたいな仕事を頼まれたわけだ

 

「俺たちをわざわざ連れてきた理由がようやく分かったな。俺らが戦場で活躍すれば、お前の手柄にもなるってわけだ」

「あっ、そういう事かよ!だったらそう言えよ!俺の力とセクシーな体が欲しいって!」

「体はいらんわ!」

 

くねくねと体を捻る6号を叩き、もういいとばかりに振り返ったスノウの顔はなんというか邪悪な顔としか言いようがない顔になっていた

 

「もう言っておくが、私は手柄と金、そして名剣が何よりも好きなんだ!」

 

そう言ってスノウは腰に据えた剣を抜いて頬擦りした

ハアハアと息を荒げながら、辛抱たまらんといったふうに刀身を触るスノウ

 

ああ、やっぱりこいつもダメな奴だったか

 

「なぁ6号、お前からは私と同類の匂いがする。私はそれなりの地位にいるから、お前のためなら多少の権限なら行使してもいい。それに三日月!私の見立てではお前はかなりの手練れと見た。お前を新参と迫害する輩がいれば近衛騎士団の権限で捻り潰してやろう。お前達には期待しているぞ!」

 

目を光らせながらそんな事を言うスノウに、俺だけでなく6号も若干引いていた

 

よく堂々と不正行為の話をできるな

まさかもう俺達は共犯だとでも言うつもりじゃないだろうな

不気味な笑い声をあげるスノウを見ると不安が募る

金のために味方を売るような奴じゃない事を信じよう

 

 

同類扱いされて嫌がる6号とめんどくさそうにスノウを振り払うミカを連れて、中庭に出た時だった

そこに、またしても明らかに場違いな物体が佇んでいた

 

「スノウ様、アレはなんですか?」

「さっきの奴と違って明らかなオーパーツ感があるんだが…」

 

高さは三メートルくらいだろうか

青色の箱形の機械に、小さな操作パネルらしきものがついていた

そこを弄りながらアリスが言う

 

「なかなか状態もいい。おそらく動力はソーラー式か。一体コレは何に使うのですか?」

 

ペタペタと触る俺達にため息を吐きながら、スノウが答えた

 

「コレも我が国のアーティファクトの一つで、雨を降らせられる伝説級の遺物でな。時期になると王族が祈りを捧げて雨を乞うしきたりなんだが、見ての通り今はもう動かん。コレもやがては朽ちていくことだろう」

 

祈るだけで雨を降らせる機械なんて、また凄いな

降雨装置なんて、俺のいた世界でもコロニーの中とか限られた環境でしか利用されていない筈だ

それを地上でできるとは……

 

しかしキサラギからすれば珍しくも無いらしく、アリスが操作パネルを外してその中の配線をまじまじと見ると

 

「これぐらいならわたしが治せるかもしれません。中を弄ってみても?」

「ほ、本当か!?わかった!全責任は私が取るから、やってみてくれ!」

 

アリスの言葉に、スノウは興奮してアリスの手を取りながら言った

 

そんな簡単に言っちゃっていいのかよ

騎士団の隊長がどれくらい偉いのか知らないが、一介の兵士にそこまでの権利があるとは思えないが……

 

パネルを外したアリスはどこから出したのか、工具を握りしめてアーティファクトに腕を突っ込んだ

 

『お前、なんでそんなもん持ってんの?』

『自分のメンテナンスぐらい自分でやるからだよ』

 

6号の質問に、アリスが誇らしげに言う

たしかに、一ヶ月孤立無援の状態を想定されて作られているわけだもんな

 

『しかし凄いな、全く知らない星の遺物を修理出来るなんて』

『キサラギ社製の高性能アンドロイドを舐めるなよ?この程度朝飯前だ。わかったら、お前もポイントで自分に何かプレゼントしてくれていいんだぞ』

『勘弁してくれよ…』

 

そもそも俺は悪行なんて進んでやれる人間じゃない

だからポイントは本当に大事に使っていかなくちゃならないんだ

とはいえ、口は悪いが頼れる奴だ余裕があれば何か用意してやるか

アンドロイドが貰って喜ぶものなんて想像つかないが

 

「なぁ、スノウがずっとにやけ顔でこっちを見てるんだが、あいつ絶対手柄を要求してくるぞ」

「あいつ何もしてねーじゃん」

「それはお前らもだぞ…よし、これでいけるはずだ」

 

アリスがそう言った瞬間、アーティファクトが淡く発光し始め、それと同時に合成音声で何かを喋りだした

 

《これより再起動を開始します。

それに伴いパスワードを再設定してください》

 

「なるほどな、この国の人間は、音声認識のパスワードを祝詞だと勘違いしてた訳だ」

「まぁ、伝承や伝説なんてだいたいそんなもんだろ。魔法なんてのも科学の延長線に過ぎねぇよ」

 

そこまで否定する必要もないと思うが、アリスの言い方に凄みがあったのでそれ以上言うのはやめた

 

 

「じゃあここからはティリスとかお偉いさんに任せるんだろ?さっさと……」

 

 

「おちんちん祭り」

 

…………

 

《パスワードの設定が完了しました》

 

 

「何やってんだ6号ー!!」

 

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