武神のお気に入り   作:行雲流水

1 / 5
 エロゲ作品に女オリ主をぶち込むなよという話ですが、私の趣味全開作品なので。

 【注意】・女オリ主です。
     ・R-15とGLタグは念の為。
     ・神様転生の為、適当に強い。
     ・オリ主総受け予定。
     ・タイトル適当。

 趣向に合わない方はブラバお願いします。┏○))ペコ




第一話:川神学園

 穏やかな春風が教室の窓のカーテンを揺らし、差し込む陽の光は教室内を明るく照らす四月。四限目の授業終了のチャイムから数分、我がクラスである二年C組の教室は大半の腹減り生徒たちが勢いよく食堂を目指し、残っている面々が各々机の上に持参した弁当を広げている。

 

 「窓から美少女登場っ!」

 

 言葉通りに窓から一人の少女が現れると『きゃあ』と沸き立つ黄色い声と『おお』と鼻の下を伸ばしたクラスの面々に手を振り余裕の対応をしながら、私の机の目の前に立ちにぃっと年相応の笑顔を浮かべて獲物を見定める。

 

 「渡しませんよ、川神先輩」

 

 私の弁当に伸びた手を払いのければ、彼女は顔をむっとして睨み頬を膨らます。美少女と自称したように彼女は寸分たがわぬ美女である。

 高い身長に鍛え上げた肢体。それらを彩る胸と尻は肉感が凄いことになっているのだから、一歳年上とはいえこの差はなんだろうと考えてしまうが、私の周囲にはそういう人が多い気がする。義姉さんに義姉さんの学友の方々は色濃い面子でありながら、みんな美人ときたもんだ。時折、理不尽な側面が現れるけれど、それも彼女たちの魅力だろう。

 

 「えーっ! 良いじゃないかー少しくらい。お前の作る弁当上手いんだし、一口二口食べた所でそんなに減りはしないだろ?」

 

 だというのにこの台詞。かなりジャイアニズムを発揮している。川神という名から想像できる通り武道の総本山『川神院』の次代を継ぐ人であるのに、こうも理不尽極まりなくていいのだろうか。

 

 「確実に減ってますって。というかいつもいつも強奪しにくるなら、自分の食い扶持くらいちゃんと持参してきてくださいよ」

 

 そう弁当なり食堂で食べる分のお金なり。とはいえ目の前のこの人は宵越しの金を持たない主義なのか、よく金欠に見舞われている。

 そうなると自分のファンの子たちにサービスしながら集っているのだけれど、私の場合理不尽に奪われ見返りなど全くない。彼女の弟分というか舎弟である二年F組の直江くんについ愚痴を吐いてしまったことがあり、彼も不味い状況だと判断してくれたのか川神先輩に話をしてくれたようだけれども、一向に収まる気配はなく。

 

 「ケチだなあ……こんな美少女がお願いしてるのに、なんで靡かないんだお前は」

 

 己の容姿の良さを理解していることと、持ち前の強さから彼女は随分と漢前。その自信から行動の端々が大胆であり、今も私の顎を片手でくいっと持ち上げて顔を近づけている。

 この場合、顔を赤らめて恥ずかしがるのが一般的なのだろうけれど、彼女の行動と似たことをする同性を知っている所為か、イケメンな行動をとられてもあまり心に響かない。そういえば仕事が忙しく世界中を飛び回っているその人は、元気にしているのやら。便りがないのは元気な証拠というのだし、いつものように親友を引き連れて王道を闊歩しているに違いない。

 

 「先輩の場合お願いじゃなくて強奪ですし、私が靡かないならファンの子たちにでもお願いすればいいじゃないですか」

 

 一瞬反れた思考を戻して目の前の美人さんを睨むと気を良くしたのか、顎に置いていた手を解き刹那で私が座っている椅子の後ろに回り込んで後ろから抱き留められる。

 

 「それもいいが、お前を相手にするもの楽しいんだよ」

 

 今まで居ないタイプだからからかい甲斐があると私の耳元で彼女がのたまうのだけれど、それを無視して箸を手に取り弁当に伸ばす。

 

 「…………」

 

 しれっと胸に伸びた手がぐにぐにと揉んでいるけれど何が楽しいのやら。というよりもこの行動に慣れてしまっている私も私だけれども、慣れてしまった犯人は今頃国外で高笑いをしている気がする。

 

 「無視するなぁ! ――樹希の不感症っ!」

 

 黙々と箸を進める私に涙目になりながら、また窓から飛び出して行った先輩こと川神百代。武神と呼ばれて名高い彼女に、私は不感症じゃないと心の中で文句を呟く。正面を切って言ってしまうと『手合わせ』という名のリンチというか、寝技のデパートへと誘われてしまうので絶対に言わない。

 

 ――そういえば、いつからこんな関係になったんだっけ?

 

 ふと浮かんだ疑問に記憶を掘り返してみた。

 

 ◇

 

 東京、柴又。鉄邸にて。

 

 夕ご飯を終えて片づけも済ませて自室で就寝時間まで時間を潰そうと机に向かい腰を下ろしたその時だった。

 

 「樹希、少しいいか?」

 

 部屋に響くノックの音が二回したあと、くぐもった慣れ親しんだ声が届く。

 

 「うん、大丈夫。――どうしたの、乙女義姉さん」

 

 部屋に訪れ襖を引いた義姉の姿を見上げれば奇麗に微笑み手招きをする。

 

 「取り合えず居間に行こう」

 

 学園を卒業した義姉は大学に通う為、居候をしていた松笠にある親戚の対馬家からこちらへと戻ってきていた。椅子から立ち上がり義姉と並んで廊下を歩いて居間へと入れば、そこには養父母とその父である義祖父の姿。武者修行と称して海外へとしょっちゅう旅に出ている養父母に破天荒な義祖父がこうして一堂に揃う事は珍しく、私の面倒を見てくれるのは専ら面倒見の良い義姉であった。

 

 「もうすぐ樹希は受験生だろう。どこか希望する学校はあるのか?」

 

 「特に考えていないけど、家から近場の公立校に行きたいかなあ」

 

 前世なんてものがあるお陰で勉強に関してはそこそこの自信がある。あとは目指す学校の偏差値を超えればいいだけだから、悲観はしていない。

 

 「そうか。強い希望がないなら松笠にある私立の『竜鳴館』か川神の『川神学園』を受けてみるのはどうだろう」

 

 「確かどっちも私立校だよね? 学費が掛かるし家から遠いしあんまり行きたくはない、かな……」

 

 松笠も川神も隣県であり、ここから通うには遠い場所にある。となれば義姉と同じくどこかに転がり込むしかなくなるし、私立校なら学費も高くつくだろう。

 

 「お金の面は気にしなくていいんだ。それは親である僕たちの責任だよ。ただ乙女から話を聞くに、学校であまり上手く馴染めていないだろう?」

 

 噂というものは好奇心もさることながら、あっという間に広がっていく。事故で両親を失い親戚の家を転々としていた私を遠縁である鉄家が養女として迎え入れてくれた。私が鉄家の養女であるというのはいつの間にか学校内で知れ渡っていたし、己の力を制御できていなかった小さい頃は突然鉛筆やらを折ってよく周囲を驚かせ『ゴリラ女』と言われ恐れられていた。小学生でありながらそれを軽く超える身体能力が備わっていたのは、私が前世の記憶を持っていたからとしか言いようがない。

 

 生まれ変わる際、自称神さまに『作中最強の力』とやらを与えられていたのだ。

 

 作中というからには何かの作品なのだろうけれど全く知らない作品だった。最強の力と言われ恐ろしい世界にでも生まれ変わるのかと覚悟していたけれど、まったく平和な現代社会で拍子抜けしたものだ。でもすぐに私の異常さが現れる。前世の感覚で行動を起こすと、何が違うのかよく物を破壊した。その姿を見て実の両親は私をバケモノ呼ばわりしたし、周囲の人たちの反応も同じだった。

 事故で親を亡くしてしまったのは運が良かったのか悪かったのか。バケモノだと罵られ親戚中をたらい回しにされたけれど、最低限の食事と雨風を凌げる部屋は与えられていたのだから。そうして数年が経ち遠縁だった鉄家に異質な力に目を付けたのか養子として迎え入れられた。

 

 「……義姉さん」

 

 学校で孤立していることは黙っていて欲しいと義姉には言い含めていたのだけれど、どうやら彼女のお節介スキルが発揮したようで、養父母に話したらしい。

 

 「すまない樹希。だが竜鳴館か川神学園ならお前を受け入れてくれる土壌がある」

 

 世話になっている義姉に反論など出来るはずもなく、とつとつと理由を語る義姉の言葉に耳を傾ける。破天荒な学園だから色んな人がいるし、私が目立つことはそうそうないこと。

 義姉の在学中に竜鳴館体育武道祭に訪れたことがあるけれど、館長はヘリから投下された鋼鉄を拳で打ち砕くだいたり、義姉も義姉でドッチボールの競技でボールに竜を降臨させて校舎の壁を穿っていたし……。確かに私が目立つ理由は消えてしまうなあと納得して、どちらかの学園を受けてみようかという気になってくる。

 

 「それを考えるなら竜鳴館よりも川神学園の方が合うかもしれないな」

 

 「そうなの?」

 

 「ああ。武道の総本山といわれる『川神院』の存在が大きいから武を示したい人間が多く集まる土地柄だし、丁度川神院の御息女も在学していると聞く」

 

 私がきちんと鉄流を習うようになったのは中学生になってからである。小学生までは日常生活に支障が出るほど力加減が身についていなくて、そちらの方に尽力していた。

 ようやく義姉や義祖父からのアドバイスで普通の生活を送れるようになり、鉄流を習ってみるかと問われたのもその頃だった。体を動かすことは好きだったし、なによりも義姉や義祖父、道場の人たちとの手合わせは楽しかったし、幼い頃は持て余していた力を自分のモノとして扱えるようになるのも嬉しかった。

 

 中学では私が小学生の頃『ゴリラ女』と呼ばれていた事が噂で広まっていたので畏怖されていたし、自ら進んで友人を作ろうともしていなかったので友と呼べる人はほぼ皆無なので良い機会なのだろう。それならと川神学園の入学試験を受けることを決め、中学三年生の三学期に家へと届いた合格通知に家族みんなで歓喜した。

 

 「義姉さん。ソレはあそこにお願いします」

 

 「わかった。――しかし荷物が少なすぎじゃないか?」

 

 腰に手を充てて溜息を吐く義姉。元からあまり荷物を置くことが好きではないのだから仕方ない。義姉の部屋は園芸の趣味が高じて花が飾っているので、寂しく感じるのだろう。

 

 「そうかな? 最低限は揃ってるし、寮暮らしだから調理器具とかは買い揃えなくていいから助かるよ」

 

 川神学園の近くにある寮へと入ることも決まり、春休みももうすぐ終わりという時期に荷物を運んでいるのだけれど、配送だけを頼み部屋への移送を業者さんに頼っていないのが笑える。

 義姉も人並外れた力を持っているし、私も尋常でない力を発揮できるので大きな荷物があっても、二人居れば問題はない。道すがら通る人たちがこちらをちらりと見るものの、あまり驚いていない様子が新鮮だった。

 

 「なにかあれば直ぐに言うんだぞ?」

 

 「心配しすぎだよ、乙女義姉さんは」

 

 雑談を繰り広げながら入寮している人たちに挨拶をしたり、近所の地理を把握したりすれば入学式は直ぐにやって来た。

 

 真新しい制服に袖を通し短いスカートに気を取られながら、白がベースだから汚れないように気を付けねばと感じつつ、通学路を進み多馬大橋に差し掛かると学園への合流地点である為に、多くの川神学園生が歩いてた。

 別名変態の橋と呼ばれているそうで、奇行に走る人が多く居るらしい。春だというのに冬物のコートに身を包み、素足に革靴、その上はスネ毛が見えているので短パンかパンツのみの着用なのか。とにかく関わらない方が良いなあと視線をそらして学園を目指そうと前を向いた時。

 

 「失礼、川神百代殿とお見受けするっ!」

 

 「いかにも」

 

 変態さんが居た別方向から張りのある低い声がこだまし、無意識に声に反応して視線を向ける。そこに居た白い道着を着込んだ男性に相対するのは、川神学園の制服を着た一人の女子生徒。背が高く長く伸びた黒髪に意志の強そうな瞳。美人さんは見慣れているけれど、これまたその人たちに引けを取らない美人さんで。

 

 ――この人……強い。

 

 道着を着込んだ男性ではなく、川神学園の制服を着た女子生徒に対して抱いた正直な気持ちだ。義姉や義祖父、義姉の紹介から知人となった竜鳴館の館長やその弟さんに娘さん。強い人たちと手合わせをしてきてそれなりに強いと思っているけれど、橋の中央で相対しているこの人の実力も凄いものを感じる。世界は広いねえと足を止め、入学式までの時間には間に合うかと腕時計で確認。

 

 「俺は――……、拳法家だ」

 

 一瞬吹いた強い風に男性の名前は聞き取れなかったが、どうやら川神院の総代である川神鉄心さんとの手合わせを望んだけれど、孫である川神百代さんとの手合わせに勝たなければならないルールが存在するそうで。

 学園生と聞いていたのでこの場で待っていれば、そのうち訪れると川神院の人たちから聞いたそうだ。朝から賑やかだなあと目を細めていると、川神さんとやらは仕合を受けるようで、一緒に登校していたであろう仲間内の数人で交通整理まで始め、河原へと二人降りていく。

 

 一定の距離を取って一礼。さてどちらが先に仕掛けるかとのほほんと橋の上から見下ろしていると、私の周りにも見物客が多く押し寄せているけれど大半は学園の生徒。

 わいわいと騒ぐ人だかりに紛れ、様子を眺めていると一瞬で勝敗は決まり、男性が川神鉄心さんへと挑戦する権利を失っていた。奇麗に一礼した後、携帯電話を手に取りどこかに連絡を取り始めた川神さん。瓦の片隅で伸びている男性への対処なのだろうか。救急車なのか警察を呼んだのかは分からないけれど、あのまま放置するのはよろしくないよなあと納得。

 

 「また川神さんの勝ちかあ」

 

 「強いなあ」

 

 「きゃーっ! モモちゃんカッコいいー!!」

 

 感嘆の声と黄色い声が入り交じり、仕合も終わったせいか学園を目指す為に人だかりが解かれ始めた。その波に乗って私も学園へと足を向けて入学式へ参加するために体育館へと歩を進めていると、人力車が自転車並みのスピードで車道を走り去っていた。一瞬ではあったけれどメイド服を着込んだ女性が曳いてい気がするし、それと一緒に男性の高笑いも聞こえていたような。私服ならば学生ではなく保護者なのだろうか。まだ入学式までは時間があるし、保護者の来場時間はズラしていたハズである。時間に遅れないようにと早めに来たのかも知れないし、今日だけの光景だろう。

 

 そんなこんなで入学式が始まり学長や生徒会に来賓者からの挨拶を聞いていれば、いつの間にか終わりを告げていた。

 編入されたクラスへと赴き学園内での主なイベントやルールについての話が始まる。宇佐美と名乗った我が一年E組クラスの担任教師は随分と気だるそうにしているけれど、仕事はきっちりこなしているようだ。正直、口うるさい教師よりもこういう人の方が助かる。

 

 「そんじゃ、自己紹介よろしく。先生は適当に聞いてるから、出席番号順で」

 

 あいうえお順で決められているので『あ』から始まる人は唐突な教師の提案にしどろもどろしつつ、名前と出身中学校を告げて無難に趣味を述べていた。自分の順番になるにはもう少しばかり時間があるから、なにかないものかと頭を捻る。そうこうしているうちに前の席に座る子に順番が回ってくると、勢い良く立ち上がり赤みがかった茶色のポニーテールを揺らして背を伸ばして声を上げた。

 

 「川神一子っ! 趣味は決闘に鍛錬っ!」

 

 そう言い切れる当たり川神という街は変わっている。そもそも決闘って法律で禁止されているというのに、彼女の言葉に誰も何も突っ込まず黙認されているのは学園内だからなのだろうか。

 そういえば朝に出会った川神百代さんと同じ苗字だけれど、姉妹なのだろうか。まあ川神という地名だし、この辺りに根付いている家名なのかもと結論付けて、まだ続いている自己紹介に耳を傾ける。

 

 「勝負ならいつでも受けるわっ!」

 

 自信満々の明るい声で言い切る川神さんに続いて、私の順番が回ってきたのでゆっくりと席を立って前を向く。

 

 「東京からこちらへと参りました鉄樹希(くろがねいつき)です。まだ地理に慣れずご迷惑を掛けることがあるかもしれませんが、これから三年間よろしくお願いします」

 

 とまあ無難に済ませた。鉄と名乗った瞬間少し教室内がざわついたような気もするが『はい、次―』と宇佐美先生の声でバトンは後ろの席の人へ。

 ふと気づいたのだけれど彼ら彼女らが名乗る家名は武家の名前が多い。土地柄なのか、それとも家族が言っていた『川神は武を極める人が多く集まる』という質の為なのか。どちらにせよ朝の光景を踏まえると、刺激的な日常を送れそうだと窓の外に目を向ける。

 

 ――川神学園に入学。

 

 その選択肢を選んだ私が武神と呼ばれる少女に懐かれることに、そう時間はかからなかった。

 




 6515字←一話当たりの文字数が気になるのでここを利用させて頂きます。

 なんとなくマジ恋の曲を聴いていたら懐かしさの余りPCに再インストール。ノリと勢いが好きな作品んです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。