八幡とアクアリウムと彼女   作:myo-n

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今更だけど、性格おかしいとかこのキャラはこんな事言わない!とか思うのはいいけど心の中で秘めといてね。
私はただ書きたい物を書いてるだけだから。


中編-2

煩わしい午後の授業がチャイムにより終了する。

 

「さて……帰るか」

 

奉仕部?

そんなものは知らん、今日は帰るのが吉だ。

家で積み上げられたゲームが待っている。

部活をサボってするゲームは極上なのだよ。

 

「せ〜んぱいっ♪」

 

「……一色か」

 

また面倒なのに捕まってしまった。

 

「ちょっと今日ですね〜生徒会の仕事が多くってぇ……先輩さえ良ければ手伝って欲しいんですよ〜(訳:手伝え)」

 

「え、いや……今日は家でアレでアレな用事があってだな」

 

「何か言いました?」

 

「いえ何でもありません」

 

いろはす怖ぇぇよ。

ゲームで良くある、はいしか選べない選択肢じゃねーか。

理不尽だ……。

 

「決まりですね!ほんと助かります〜♪」

 

「はいはい、あざといあざとい」

 

ほんと、この小悪魔は人を利用する事に長けすぎている。

 

「あっ、いろはちゃん!やっはろ〜♪」

 

「由依先輩こんにちは〜。今から先輩貰ってきますけどいいですよね?」

 

「うん、生徒会の仕事大変だもんね!ヒッキーでよかったら持ってって!」

 

俺はペットか何かですかね。

あー……働きたくない。

家でゴロゴロしたい。

 

「はぁ……一色を生徒会長にしたのは俺だからな。それくらいは責任取るわ」

 

「えっ、もしかして責任とか言って私に会いに来る口実をこじつけてあわよくばを狙ってるんですか。ごめんなさい重いし普通にストーカーですし先輩は先輩としか見れないので無理ですごめんなさい」

 

思い返せばこうして一色に突然振られるのは何回目だろう。

うん……考えたら負けなやつだな。

 

「いや違ぇから」

 

「ヒッキー……流石にストーカーは駄目だよ?」

 

「お前は話の文脈をもう一度思い出してこい」

 

「ひどい!ヒッキーのバカ!」

 

このアホの子はいつになったら賢くなるんだろう。

 

「ねぇ先輩、そろそろ行きましょうよ〜」

 

「おい、腕を引っ張るんじゃない」

 

散歩を嫌がる犬の気分が今ならよく分かる。

彼らも散歩という名の労働を強いられているのだ。

 

「でも、こうでもしないと来てくれませんよね?」

 

図星だから反論できない。

今日は家に帰ってゲームしたかった……

 

「パッとやって早く帰るぞ。という訳で由比ヶ浜、今日は部活休むわ」

 

「分かった、ゆきのんに伝えとくね!」

 

「さんきゅー」

 

「お願いします〜。ほら先輩、行きますよ!」

 

「っ」

 

やだこの子腕組んで来たんだけど。

不覚にもドキッとしてしまった。

並の奴なら勘違いして失恋するレベルだ。

平常心平常心……

 

「……だから引っ張るなって。こういうのは葉山とかにやれよな」

 

「勘違いしないでくださいね?これは今から仕事(地獄)を手伝ってくれるお礼なんですから♪」

 

何だろう、今物騒な言葉な見え隠れした気がするんだが。

……気のせいだよな?

 

「いいから早く離れろ。誰かに見られたら誤解されるだろ」

 

「私は誤解されてもいいんですよ……?」

 

「ん、何か言ったか?」

 

「何でもありません!先輩は隙あらばいなくなるのでこれは仕方ないんです。さ、行きましょう!」

 

腕に籠る力が強い……どうやら余程一色に信用されてないようだ。

 

そして腕は組んだまま、満面の笑みの一色に引き連れられて生徒会室へと向かう事になった。

道中に何人か見られたので死ぬほど恥ずかしかったのは言うまでもない。

 

---

 

「たでーま……」

 

「おっかえり〜。ってどしたのお兄ちゃん」

 

「何でもない……シャワー浴びてくるわ」

 

「ついでにお風呂も洗っといて〜」

 

「へいへい……」

 

まさかこんなに疲れるとは思わなかった。

思い出すだけで嫌になる書類の山。

終わったのが完全下校の1時間後とか……学生なのに社畜かよ。

もちろん、残業代は無い。

むしろ一色に駅まで送らされたまである。

 

「あーーーー生き返る……」

 

風呂から上がってマッ缶を飲む。

甘さが五臓六腑に染み渡る……

 

「冗談は目だけにしてよね〜。はい、晩御飯」

 

今日のメニューはハンバーグか。

 

「……」モグモグ

 

「……どう?美味しい?」

 

「世界一美味しい」

 

「ちなみに今回、隠し味に新しい物を加えました〜!さて、何でしょうか!」

 

「小町の愛情」

 

「ぶっぶ〜、それは既に入ってるよ!あ、今の小町的にポイント高い!」

 

「はいはい、高い高い」ナデナデ

 

「むぅ……お兄ちゃん適当な返事はポイント低いよ?」

 

「チーズとチリソースだろ?」

 

「せーかいっ!何で分かったの!?」

 

「いつも小町の料理を食べてるからな、これくらいの隠し味くらい余裕で分かるぞ。今の八幡的にポイントたかーい」ナデナデ

 

「えへへ〜♪」ニパッ

 

うちの妹はいつからこんなに可愛くなったんだろう……デフォルトだったな。

 

ピリリリリリ

 

「お兄ちゃん携帯鳴ってるよ〜」

 

おかしい……俺の連絡先を知っているのは小町と両親、あと一色ぐらいしかいない。

 

一色は先程仕事をあらかた終わらせたから連絡してくる事はないとして……両親も電話をかけてくることはまずない。

そして小町は目の前にいる……ということは。

 

「間違い電話だな」

 

「でもこの番号、陽乃さんのだよ」

 

「マジか」

 

だから何であの人俺の連絡先を知ってるの?

教えたつもりはないのに……

 

とにかく……ここは出た方が吉だな。

もし出なかったら後でどうなるか分かったもんじゃない。

 

ピッ

 

「はいもしもしどなたでしょうか」

 

『比企谷君ひゃっはろ〜♪元気してる?』

 

「つい先程までまだ元気でした。ご飯食べてるんで後でかけ直してください」

 

『んー、いや♡』

 

うぜぇ……

やっぱりこの人は苦手だ。

 

「はぁ……で、用件は何ですか」

 

『やだなぁ、アクアリウムSOBUの件だよ〜』

 

「そう言えばそんな事もありましたね。まぁでもあれは」

 

『捨てるつもり……でしょ?』

 

「……よく分かりましたね」

 

やっぱりこの人は苦手だ。

 

『比企谷君なら普通にしそうだからね〜。女の勘ってやつよ』

 

この人の場合そんな生易しいものではないと思うんだがそれは言わないでおこう。

 

「別にいいじゃないですか。元々、偶然当たった物ですし、使う相手がいないなら宝の持ち腐れですから」

 

『本当にそう思ってるの?』

 

雪ノ下さんの声色が変わった。

いつもの茶化すような口調から、真面目で冷たい口調へと。

 

「……何が言いたいんですか」

 

『言葉の通りだよ。私と雪乃ちゃん以外にも色んな人に誘われてるでしょ?だけど君はその選択を避けようとしている。何でか分かる?」

 

「……さぁ、単純に行く意味がないからですかね」

 

『君さ、薄々気づいてるでしょ。彼女達の好意に』

 

「……」

 

『沈黙は肯定と取るよ』

 

「……ほんと、嫌な性格してますね」

 

『まぁね』

 

思い当たる節がないと言えば嘘になる。

現に、今日は色んな奴の挙動がおかしかったしな。

 

ただ、単にアクアリウムSOBUに行きたいだけなんじゃないかと思う自分がいるのも確かだ。

 

「仮にあいつらが俺に好意を抱いてるとして、俺には選ぶなんて事できませんよ」

 

『出来ないんじゃなくて、したくないだけでしょ』

 

「……そうとも言いますね。でも別にいいじゃないですか、俺は今のこの状況が気に入っているので」

 

『それは逃げの言い訳だよ。折角皆んな頑張ってるのに気持ちを踏みにじるような事はしちゃダメ』

 

この人は、本当に痛いところを突いてくる。

もしあいつらの気持ちを聞いたら、今のこのバランスは崩れ落ちるだろう。

だから、選びたくないんだ。

 

でもそれをさせては貰えないらしい。

 

「はぁ……分かりました。今週中には結論を出します」

 

『今すぐじゃないんだ〜。予想通りのヘタレっぷりだね♪あ、やっぱりお姉さんと行きたい?』

 

「それはないです」

 

『相変わらず比企谷君は冷たいねぇ。まぁいいや、用件はそれだけだから。じゃね』

 

ブツッ

 

「あの人にはいつになっても敵う気がしない……」

 

「何だったのお兄ちゃん?」

 

「聞き耳立ててたから大体分かるだろ」

 

「それはそうだけど、お兄ちゃんの口から聞きたいんだよ」

 

全くこの妹はどれだけ兄の事情に首を突っ込むのだろう……

だが嫌な気はしない。

 

小町は今、俺の事を真剣に考えて言っている。

この目は、そういう目だ。

 

「…………例のチケットの件だよ。雪ノ下達に誘いをかけられているが、雪ノ下さんが言うには俺に好意を持っているらしい。いや……違う…本当は、お、俺は……」

 

心が、痛い。

言葉が出ない。

改めて言葉にしてしまうと、何もかもが崩れてしまう気がして。

 

「お兄ちゃん、ゆっくりでもいいから。小町は待つよ」

 

小町が優しく背中をさすってくれる。

あぁ……妹に介抱されるなんて兄失格だな。

俺も、覚悟を決めないと。

 

深呼吸をして小町と向き合う。

 

「もう大丈夫、さんきゅな」

 

「うん」

 

「話の続きだが……俺はなんとなく気づいていたんだ。ただ、誰かを選んだら何もかもが壊れてしまう気がしてしまう。それなら誰も選ばないのが今できうる限りの最善じゃないのかって思ってしまってな」

 

「……」

 

暫く無言状態が続くと、小町にデコピンされた。

 

「っ」

 

「お兄ちゃんはね、優しすぎるんだよ。だから今回はさ、深く考えずにお兄ちゃんが一番好きな人とデートに行けばいいじゃん。別にお兄ちゃんが誰か選んだからって何も壊れたりはしないし、そんなに脆い物じゃないよ……絶対」

 

「小町……」

 

「でも、もし本当にそうなったとしたら私だけはお兄ちゃんの拠り所であり続けるからね。……今の小町的にポイント高い?」

 

「……あぁ、ポイント高いぞ」ナデナデ

 

「うん……応援してるからね」

 

「おう……アドバイスありがとうな」

 

「お兄ちゃんは小町がいないとダメダメなんだから、いつでも頼ってね。じゃあ時間も時間だし、そろそろ寝るね」

 

時計を見ると既に22時を回っていた。

受験シーズンの時なのにこんな相談に乗ってもらって……本当に小町には頭が上がらない。

 

「おやすみ」

 

マッ缶を冷蔵庫から取り出し、1人になった空間で飲む。

 

「俺が、一番好きな人か……」

 

余計な思考を止める。

リスクリターンなんて今は考えない。

純粋に今会いたい奴を思い浮かべる。

 

「……やっぱ、あいつだよな」

 

そして、俺は携帯を開いた────




アンケート取ってから書きます。
票が無かったら勝手に書きます。

各終編ルートの順番

  • ゆきのん
  • ガハマちゃん
  • 平塚せんせー
  • はるのん
  • 川なんとかさん
  • いろはす
  • シークレット1
  • シークレット2
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