次の世界にやってきた士。
そこで最初に確認したのがカードだ。
前の世界では3つのカードを手に入れたのだが、超サイヤ人のちからを上乗せできる赤いカードがなくなっている。
一応何回も確認したのだが、どこにもない。
「一度きりのカードなんて今までなかったんだが。まぁ〜いい。超サイヤ人が近くにいないと使用しても意味がないしな」
そういいながら士は新たな世界を確認するために外に出た。
外を出てみると街全体が古い建築で出きており、さながら江戸をモチーフとしている。
だが、少し遠くを見ると現代建築でできている立派なタワーが建てられており、よく見ると船が空を飛んでいる。
「なんだここは?江戸みたいな雰囲気だが、未来的建築物もある。時代設定めちゃくちゃだな」
そういいながら士は自分のカメラのシャッターを切り、風景を撮影する。
そして、光写真館の隣にある建物に妙な名前の看板が出ていた。
「万事屋銀ちゃん。なんだこの店」
「これはね。いわゆるなんでも屋だよ」
声をかけてきたのは黒っぽい浴衣を着たおばさんだった。
「あんたは?」
おばさんは、何でも屋の下の店を指した。
そこにはスナックお登勢と書いてある。
「私はこのスナックの店主お登勢さ。見ない顔だけどどこから来たんだい」
「俺は門矢士だ。遠いところからだ」
自分が別の世界から来たなんて言っても誰も信じないと思った士ははぐらかした。
「へぇ〜。まぁ、気をつけなよ。ここはかぶき町っていってこの世界の中ではいろいろ物騒か場所だから。変な奴に絡まれないようしなよ」
お登勢は店の中に入っていった。
「あぁ。ありが…」
(ん?あのおばさんいまこの世界って言わなかったか?)
普通の人なら「この世界」とは言わないのだが。
「気のせいか」
士はこのかぶ町を探検することにした。
「なんで今さらこのアバン?!もう全部終わったよね!」
どこからか大声が響いたが、士の耳には入らなかった。
《かぶき町通り》
見るもの全てが江戸の風景であるこの世界に士はシャッターをきりまくっていた。
昔の個性ある服装を着た人。
店を切り盛りしている団子屋のおじさん。
黒い制服をきて女性を後ろから追跡する人。
(マ)っかな服を着、(ダ)んぼーるの中で座っているサングラスをかけた(オ)っさん。
何から何までシャッターをきっていた。
「おい、そこのお前!」
写真を撮るのに夢中になっていた士に声をかけた人物がいた。
「ん?なんだ?」
「今妙ちゃんのことを撮っただろう」
声をかけてきたのは左目に眼帯をし、白い服を着たショートヘアの女性だ。
隣には桃色の着物を来た女性がいた。
「あぁ。悪い。ここら一帯を撮っていたらはいったかもな」
「貴様!」
「待って九ちゃん」
今にも斬りかかりそうな女性を着物の女性が止めた。
「大丈夫よ。私は何も思ってないから」
「そうか。妙ちゃんがそういうなら」
眼帯の女性は殺気を消し、平常心になった。
「この場合お礼を言えばいいのか?」
「いいのよお礼なんて。あなたこの町がお好きなんですか?」
「いや、まだわからない。今来たばかりだからな。俺は門矢士だ」
「旅の方ですか。私は志村妙」
「僕は九兵衛。柳生家の跡取りだ」
「へぇ。やっぱり昔みたいな家風もあるんだな」
士は改めてここが江戸時代に近い世界だと実感した。
「そうだ。これもなにかの縁だ。記念に二人の写真を取らせてもらうぞ」
「ふ、ふたり?!」
九兵衛はいきなりの発言に顔が赤くなった。
(あれこいつも女だろ?何で赤くなるんだ?)
士は九兵衛が女性であることを最初から見抜いていたのだ。
「あら、いいわね。ほら九ちゃん。笑って」
「へぇ?!」
お妙は自然の笑顔だが、九兵衛の顔は何ぜかぎこちない。
カシャ!
「ん?撮れたぞ」
シャッターを切る瞬間、後ろの電柱に黒い服を来た男性がこちらを睨んでいるように見えたが、
(たぶん気のせいだろう)
「ありがとうございます。あのその写真もらうことってできますか」
「あぁいいぞ。スナックお登勢っていう店の隣が俺の家だからそこにこれば渡してやる」
「本当ですか。ありがとうございます。では後でとりにいきますね。行こ九ちゃん」
「うん。お、おい。その僕の分も…」
今だに緊張が抜けていない九兵衛。
「わかった。2枚現像しといてやる」
「あ、ありがとう」
さっきの赤面が嘘のように引き、輝きはじめた。
「九ちゃん行くわよ」
「わかった。今行くよ。じゃあ頼むぞ」
お妙と九兵衛はそのまま立ち去っていった。
「さて。他の景色も撮るか」
町の中心に行こうとしたそのとき。
「邪魔じゃ!ゴリラ!」
ビシ!バシ!ドン!!
「どわ!!!」
後ろからお妙の怒鳴り声が聞こえたが…
「あの女の声だが、こんな道通りであんな声だすか?また気のせいか?」
と考えていたら
ドン!
士の目の前にいきなりなにか飛んできて、土煙が舞った。
「クソ。なんだ!」
警戒し、ディケイドライバーを右手に持つ。
「イテテテ」
飛んできた何かが立ち上がった。
よく見ると男性のようだ。
「たく。お妙さんてばあんなに照れなくてもいいのにな。でもこの近藤勲。絶対にあなたのことを諦めませんよ!」
「何なんだこいつ」
さすがの士も空から降ってきて地面に激突した男に対して戸惑いの色が隠せてない。
「んー。さてとまた追いかけるか。て、あ!」
近藤は振り返り、士を見た瞬間大きな声をだした。
「な、なんだ?」
「貴様さっき町を許可なく撮影していたな。しかもその際女性二人を盗撮したな。これは立派な犯罪だ。よってそのカメラは押収する」
カメラを押収しようとする近藤だが、取られる寸前士が後ろに下がった。
「は?何馬鹿なこと言ってるんだ。あいつらはちゃんと許可を得たぞ」
確かに最初のは盗撮だったかもしれないが、2度目は個人の許可を得て撮影している。
しかもその後写真を取りに行くとも言っていた。
「嘘を付くな!俺はしっかり見ていたぞ!さぁ。早くそのカメラを渡しなさい」
近藤は士のカメラを掴み、持っていこうとするが、
「何でだよ!ふざけるな」
当然士もそうはさせないと踏ん張る。
「早く!お妙さんと並んだ俺の写真を渡すんだ!」
「お前!そういうことかなら」
士は近藤を振り払い、おもいっきり溝に蹴りを入れた。
「う!」
溝にクリティカルヒットし、近藤はその場に倒れた。
「く、クソ!貴様!こ、公務執行妨害だぞ」
「そういうことはストーカーみたいなことをやめてからいうもんだ」
カシャ!
士は倒れている近藤の写真を撮り、その場をあとにした。
《かぶき町にある橋の上》
橋の上で写真を撮っていると何やら白い奇妙なコスチュームを着たやつと笹帽子を被ったお侍がこちらに歩いてきた。
「そこの男。少しいいか」
「俺のことか?」
奇妙だが、声をかけられたのでとりあえず応答する。
「あぁ。そうだ。お前からはあの男と近いものを感じる。何者だ?」
「人に名を尋ねるときは先ずは自分から名乗るのが礼儀じゃないのか」
「それもそうだな。俺は桂小太郎。こっちはペットのエリザベスだ」
ペット?まぁ〜いいか。世界はいろいろあるからな。
そういえばさっきこいつがいったあの男とはなんの事かわからないが一応答えておく。
「門矢士。通りすがりの仮面ライダーだ」
ここにライダーの存在があるかどうか確認のため、自分がライダーと名乗る士。
「何?!貴様ライダーだと」
「なんだこの世界にもライダーがいるのか?」
こいつの反応からして、この世界にライダーを知るものがいることがわかった。
「いや。見たことはないお前がはじめてだ」
「そうか。ならもう要はない。またな」
「ま、まて!」
「なんだ?」
「いや、はじめて、ライダーと名乗る人を見たんでその…へ、変身とかできないか?」
「変身?何でここで?敵もいないし」
「案ずるな。すぐにくる」
「はぁ?」
ドン!
会話をしていたら後ろから爆発音が聞こえた。
そして、
「御用改である!真選組だ!桂!今度こそ逃すか!」
黒い服の奴らが大勢こっちに向かってくる。
「さぁ!あれが敵だ!かっこよく変身して奴らをやっつけろ!」
「ふざけるな!新選組て、あいつら治安維持してた奴らだろ。てことはお前がなんかしたってことだろ」
「ふん。漢字が違ってる気がするが、それならば」
桂とエリザベスは橋から飛び降り、川を泳いでいった。
「バイビー!」
「逃がすか!」
ドン!
クリーム色(?)の髪の毛をした黒服がミサイルを取り出し発射させた。
「マジでか」
町中でミサイルを放つなんて怪人以外いないと思っていたが、こいつは普通に撃ちやがった。
しかし、桂とエリザベスは何事もなかったように川を泳いで逃げていった。
「ち、逃したか。追うぞ!総悟お前も行くぞ」
「それには及びませんぜ土方さん。ほら重要参考人を捕まえました」
「ん?て、は?!」
いつの間にか手錠で手首を繋がれている士が驚いた。
「てめぇ桂と一緒にいたよな。生き残りの攘夷浪士ですかい」
「そういえばそうだな。総悟。こいつを屯所まで連れて行け。俺が事情聴取する」
「いや、待て!俺は関係ない」
「暴れないほうがいいでっせい。余計罪が重たくなりますからね」
「まだ暴れてなんかないだろ!」
「とにかく俺たちと一緒に来てもらおう」
士は土方、総悟と名乗る真選組に連れて行かれた。
《真選組屯所》
「もう一度聞くが桂となんの縁もゆかりもないんだな」
「さっきからそういってるだろ。早くかえせよ」
「だが現にお前は桂と話をしていた。本当は仲間じゃないのか!」
「声をかけられたら話すのが普通だろ」
今、士に事情聴取をしているのが土方十四郎。
この真選組の鬼の副長と恐れられている男だ。
聞くところによると先程の桂という男はなんでも指名手配されている悪人だったようだ。
「なら身元は」
「こことは違う別の世界だ」
士も長いこと事情聴取をされやけになっており、自分が別の世界の人間だということを普通に話している。
「へ、つくならもっとマシな嘘をつけ」
「嘘じゃねぇ!」
土方と士が話し合っているところにもう一人ドアから入ってきた。
「土方さんどう…て、まだわってないんですかい?これじゃあ土方さん職ができないってことでクビでいいんじゃないですか」
「いや、いいわけないだろ!入って来ていきなりなんなんだ総悟」
沖田総悟。
真選組の一番隊隊長であり、副長の座をねらっている。
「で、こいつ何を喋りましたか」
「たく。こいつの名前は門矢士。桂とは関係ないってことと別の世界からきたことだけだな」
「へぇ〜。てことは世界の破壊者さんですかい」
「破壊者ってあのライダーってやつのことか」
「ええ。こいつの見た目といい態度といい。そっくりでさ。名前だって」
「なんだここもか」
士は行く先々で世界の破壊者といわれ、世界から追い出されそうになっていた。
「そうだちょうどいい。あんたこの土方ってやろうを破壊してくだせぇ」
「はぁ?!」
「てめぇ何言ってやがる!」
「こいつがいなくなれば副長の座は俺の」
「あいにく俺のちからそんな簡単なもんじゃないだ。世界そのものを破壊してしまうらしい」
「らしいだと?」
「すまないが俺も自分のことをわかってない。実際破壊したかどうかも自覚はない」
「そうですかい。なら釈放でいいじゃないですか」
総悟が士に飽きたかのように釈放を提案する。
「そうだな。ろくな話も聞けなかったしな。すまね。俺の勘違いだった」
「そうか。なら最後にお前達の写真も撮っていいか?」
士は自分のカメラを土方たちに向けた。
「別に構いませんぜ」
「まぁ〜総悟がいうなら」
「じゃあ撮るぞ」
カシャ! パシ!
士はシャッターを切り写真を撮ったが、その瞬間に
「やっぱりか総悟!お前シャッター切る瞬間狙って!」
土方が総悟の抜いた刀を両手で挟んでいた。
「ち、いい作戦だとおもったんですが」
そのまま総悟は刀を鞘に収めた。
「たく!写真撮ったならもういいだろ。総悟。こいつを外まで送れ」
「わかりやした。こっちですぜ」
冤罪のため不満も残るが、何も言わずに士は総悟に連れられ外に出ていった。
《かぶき町》
釈放された士は総悟に連れられ真選組屯所をでた。
「あんたが破壊者なのは別にいいことですが、この町で目立たないほうがいいですぜ」
「何かあるのか」
「最近物騒な話が多いですからね。あんたも巻き込まれないでくださいよ」
「あ〜だいたいわかった」
士は総悟の忠告を流したように聞きその場をあとにした。
再び町の風景を取ろうとしたが、
「そういえば写真を現像してあいつらに約束してたな」
お妙たちとの約束に気づき少し急ぎめに光写真館へ戻ろうとした。
「たしかこの曲がり角を右に」
「フルキック!」
「うぁぁ!!」
曲がり角を曲がった瞬間、強烈な蹴りをくらいそのまま吹っ飛ばされ、
「う……」
あまりの威力に士はそのまま気を失った。
次回 人間一人一人が何でもできるわけではない!!