「水の呼吸」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!やめて!」
モモタロスが攻撃されそうな瞬間、
「冨岡さん待って下さい」
すごいスピードで、モモタロス攻撃しようとしていた青年の前に立ちはだかった。
「この鬼びびって逃げ回ってるじゃないですか。弱いものいじめは良くないですよ」
「どけ、しのぶ」
「そんな怖い顔しないでください。そんな顔してるから、友達ができないんですよ」
「…」
「あ、もしかして気にしてましたか」
現れた女性は先ほどまでモモタロスを斬ろうとしていた人物に対してちょっかいをかけていた。
「た、助かったのか」
モモタロスも攻撃が止んだと思い、後ろを振り返った。
「もしもし、そこの赤鬼さん」
「はぁ〜!?俺は鬼じゃねぇ!モモタロスって名前があんだ!」
「それは失礼しました。私は胡蝶しのぶといいます。こちらは冨岡さんです。それでモモタロスさんは悪い鬼ですか?」
「だから鬼じゃないって言ってるだろう!人を襲う顔に見えるか?!」
「とてもよく見える」
「うるせぇ水野郎!攻撃するたびに水出しやがって!俺は泳げねぇんだよ!」
「…」
「だんまりかよ!」
「え〜と、話を戻しますが。モモタロスさんは何を食べたりすつんですか。人は襲ってないと言っていましたが」
ここで人を食べていると言えば、すかさず攻撃に移れるよう、冨岡としのぶはかまえた。
「う〜ん。そうだな。やっぱりプリンだな」
「プ、プリンですか」
「…」
ふたりともまさかの答えに少し戸惑った。この大正の時代にもプリンはあるのだが、それを主食として食べる文化はない。
「そうだ。水野郎!いきなり攻撃してきたお詫びにこの時代のプリンを食べさせろ!」
「と、言っていますが」
「俺には関係ない」
「いきなり切りかかってきて関係ないことないだろ!」
そんな話をしていると、3人の上空に鴉がとんできた。
「カァー!カァー!冨岡、しのぶ、両名はその鬼を産屋敷邸に連れて参れ!お館様がお会いされたいようだ」
「何だあの鴉!?しゃべってんぞ!て…俺は鬼じゃねぇ!!」
「そういうことなので、モモタロスさん。すみませんが私たちについてきてくれませんか」
「別にいいぜ。ただし良太郎が迎えに来るまでだからな」
「その良太郎も鬼なのか」
「も、何だよ!俺は鬼じゃねぇ!それに良太郎は人間だ!」
(人間と鬼…炭治郎と同じ)
冨岡は少し考え込んだ。俺には変な縁があるのかと。
「とりあえず、産屋敷邸に行きましょう。少し距離がありますので」
3人は産屋敷邸に向かおうとしたが、
「あ、すみませんがモモタロスさんは気を失ってくれますか」
「はぁ〜?!いきなり何言って」
「ふん!」
冨岡は刀の頭でモモタロスのみぞを強く突き、モモタロスは気を失った。
「躊躇ないですね。冨岡さん。」
〈士サイド〉
一悶着があったものの、士は自分達が人間だということを炭治郎と伊之助に説明できた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「なぁ士。さっきから叫び声が聞こえるけど誰か襲われてるんじゃ!」
さっきから同じ叫び声が聞こえてきておりユウスケは気になって仕方なかった。
「大丈夫ですユウスケさん。あれは僕の仲間の善逸です。ここには鬼の匂いはしませんし、善逸は強いので」
「鬼の匂い?」
「はい。僕は匂いで鬼かどうか見分けることができるんです。だから鬼の姿をした士から鬼の匂いがしなかったので戸惑いました」
(ただ鬼とは違う別の匂いがする。何か悲しいような…)
士から漂う匂いに少し疑問をもつ炭治郎。そんなことを気にすることもなく伊之助が士の前にたった。
「さっきはモン治郎「炭治郎」に止められたがあのままやっていれば俺は勝ってた!得体のしれないやつだか俺のお供にしてやってもいいぞ」
自分が士より上のポジションを得るために、お供に誘った伊之助。当然、士の返事は
「悪いが、遠慮しておく」
「なんだとテメェ!」
「それよりいつまでもここいるんじゃあれだ。家に入らないか。熱いコーヒーなら出すが…こいつが」
「俺?」
士は、自分ではなくユウスケにコーヒーを出させるようだ。
「コーヒーですか?ありがとうごさいます。伊之助もお礼言って」
「ふん!ありがたく頂戴する」
そう言うと4人は光写真館に移動しようとした。
(鬼が敵か…この世界は電王にも関係がある。あのバカがやられてなきゃいいけどな)
士は内心モモタロスのことを考えていた。
「て、ちょっとまて士。今4人しかいないぞ!緋村さんは?!」
「あの傷野郎は叫んでるやつの方へ走って行ったぞ。そういえばあいつも刀持ってたな……」
「伊之助?」
「顔に傷がついてるから俺のほうが強い!」
「それ関係あるか」
士は伊之助に呆れているようだ。どこかのバカを見ているようで。
そんなことを話していると一羽の鴉が炭治郎のもとに飛んできた。
「あれ、鎹鴉だ。次の任務かな」
炭治郎たちはとくに戦闘もしていないので別の任務が来ても不思議ではないと思ったが、
「カァー!カァー!炭治郎、伊之助、善逸の三名はその3人の人間を産屋敷邸に連れて参れ!お館様がお会いされたいようだ」
そういうと鎹鴉は飛び去っていった。
「士、鴉が喋ったぞ…」
「鬼だって喋るんだ。不思議なことでもない」
「と、とりあえず、士さん、ユウスケさん。すみませんが産屋敷まで着いてきてもらえませんか」
「まぁ、いいだろう。この世界のことも詳しくわかりそうだしな。いくぞユウスケ」
「いや、その前に緋村さんを見つけないと」
三人といったからには士、ユウスケ、剣心の三人を指している。まずは善逸の方へ向かった剣心を追いかけなければならない。
「二人がいる方向も産屋敷の道のりなので都合がいいです。では僕たちも行きましょう」
そういうと炭治郎は進み始め、それを士たちはついていった。
〈剣心サイド〉
剣心は士たちと離れ、一人村を走り回っていた。いや、走っているというべきだろう。
(この村、いや町の風景見覚えがある。もしや)
剣心はある場所に向かってひたすら走っていた。大きな建物の前につき、その足取りを止めた。
「これは…」
古びた建物を見て、言葉を発することが出来なかった。それはまさしく剣心にとって思入れのある場所であった。
「お〜い炭治郎。どこだよ」
建物を見ていると先程話題に上がった善逸が剣心の方へ歩いてきた。
「おろ?」
剣心はその話を聞いていなかったので、ただの剣士が歩いてきたのだと思った。
「お主、大丈夫でござるか」
剣心は心配そうに善逸に声をかける。
「え?刀…よかった!助かった!ひとりですごく怖かったんです!!」
善逸は喜びと恐怖のあまり、涙目で剣心の方に寄っていった。
「お主の服装、先ほどあった少年と同じものを着ているな」
「炭治郎のことですか!よかった!これで生きて帰る!!」
大きな声で喚いている善逸をみて、剣心はおろおろしている。とりあえず落ち着かせようとするが、声が大きすぎて聞こえていないようだ。
「おーい善逸!」
そんなことをしていると剣心が来た方向から炭治郎と士たちが剣心を追いかけに来た。
「剣心、何かあったのか」
「いや、急に消えてすまぬ」
士は剣心の行動を気になっていたようだ。流石に何も言わずに士たちから離れた剣心に不信感を抱いたようだ。
「炭治郎!!!どこ行ってたんだよ(泣)!」
「ごめんな善逸。とりあえず産屋敷邸に戻ろう。鎹鴉がこの人たちを連れてこいって言ってたんだ」
「わかった。とりあえず生きて帰れる」
完全に安堵した善逸だった。
「これで全員集まったんだ。さっさと産屋敷邸とやらに行こうぜ」
士も一度落ち着いて話をしたいので3人を急かした。
「わかりました。そこまで遠くないので」
「俺様に着いてこい!」
こうして同じく6人は産屋敷邸に向かうのであった。
(そこならこの時代のこと聞ける)
1人何か思いがあるものもいた。
〈産屋敷邸〉
「着きました。ここです」
移動し始めて6時間ほどかかり、やっと目的地に着いた。
「こんなことならバイクで移動すればよかったな」
「まったくだ」
普段ならバイクで移動している2人は炭治郎たちが歩いているのをバイク出さなかったが、今現在後悔した。
「おい!てめぇら!俺を縛ってどうするつもりだ!」
着いた矢先に門の中から聞き覚えがある声が聞こえた。
「士、今の声って」
「ああ、あの馬鹿だろ」
士とユウスケはこの声の主がすぐにあいつだとわかった。
(この声は!でも、匂いがしない)
炭治郎もこの声に覚えがあるみたいだ。
〈産屋敷邸内〉
「すまない。また皆に集まってもらって」
病弱している人物「産屋敷」が9人の剣士の前で謝罪をした。
鬼殺隊の中でもトップクラスの「柱」たちである。
「いえ、親方様。しかし、先日の竈門少年のこととまた関係があるのですか!それにこの鬼は!」
炎柱である煉獄杏寿郎が問いただした。柱たちの前にはモモタロスが縛られている状態だった。
「てめぇ!誰が鬼だ!俺はモモタロスって名前だ!てか、この縄を解け!」
「炭治郎たちとは無関係だよ。それにこの鬼はどうやら鬼舞辻無惨とも無関係」
モモタロスが喚いてるが無視をされ、そのまま話が進んでいった。
「どうにも先がみえねぇ。ならその鬼は何なんだ」
派手な衣を纏った宇髄天元がモモタロスに近づき刀の束で続き始めた。彼も柱の一人、音柱だ。
「やめろこの派手やろ!突っつくな!」
「お?!なんだてめえわかってんじゃねぇか」
派手というセリフに少しモモタロスのことを気に入ったようだ。
「この鬼は別の世界の住人だ」
会議の中に先程たどりついた士が割って入った。
(何あの人?!みんなとは違うものを感じる!というか、かっこいい!!)
恋柱の甘露寺蜜璃が士を見て内心トキメイている。
「誰だ貴様。この鬼の仲間か」
伊黒小芭内が士に殺気を送りながら質問した。
「いや、このバカとはただ顔見知りだ」
「おい!誰がバカだ!ってああ!お前!」
「その姿で会うのは久しぶりだな」
「何でお前がこの時代にいるんだ!」
モモタロスは士を見て安心したのかいつもの喧嘩口調に戻った。
「おい!良太郎は一緒じゃねぇのか」
モモタロスが士に良太郎の所在を確かめようとしたとき、
「この声!鬼舞辻無惨!」
炭治郎はモモタロスを斬りかかろうと勢いよく走り出し、刀を抜こうとした。モモタロスはそれに早く気づいた。
「おい!またかよ!てっそうだ。また借りるぞ!」
モモタロスは実態をとけ、士の中に入り込んだ。
「消えた!」
炭治郎は勢いを殺そうとしたが、その前に
「やめるんだ竈門少年!」
「落ち着け炭治郎」
煉獄と冨岡に体を捕まれ止まった。
「煉獄さん。冨岡さん」
「竈門少年。相手を確認せず、いきなり斬りかかろうとするな。焦っているとこちらが痛い目をみるぞ」
「す、すみません」
(やっぱり声はそのものだけど気の所為だったのか。匂いをしないし)
以前、鬼舞辻無惨を取り逃がしたため焦って斬りかかろうとした自分を反省した。
「あの〜モモタロスさん消えちゃいましたよ」
しのぶが今のゴタゴタでモモタロスが消えたことに話を戻すようにした。
『俺なら、ここだ!』
士の中に入ったモモタロスがしのぶの問に答えた。
『俺!参上!』
(おい!てめぇ何入ってんだよ!)
『いいじゃねか。少しくらい使わせろ!ずっと縄で縛られてたんだ。あぁーー。動けるっていいな』
「おい、士」
送れてユウスケも士を追ってきた。
『おー!お前も一緒か。懐かしいな』
「士お前また変だぞ」
『変ってなんだよ!変って!』
(お前のこと!だ!!!)
士は何とかモモタロスを自分の中から追い出すことができた。
「あ、いて!」
飛ばされたモモタロスは顔面を地面に強打した。そして出てきたのを確認した霞柱の時透無一郎が刀をモモタロスに向けた。
「得体が知れないし、やっぱり殺した方が」
「待った待った。とりあえず話し合おうよな」
モモタロスが斬られそうなところユウスケが止めに入った。
「何で。そいつ鬼だよ」
「鬼に見えるけど、こいつは立派なライダーの一人なんだ」
「ライダーって何?」
人が多くなり、会議がめちゃくちゃになっている中、
パン!
産屋敷が一回手を叩いた。それにより皆が産屋敷に注目した。
「みんな、少し落ち着こうか。門矢士君で良かったね。ようこそ私の屋敷へ」
「どうして俺の名前を知っている」
「鎹鴉が教えてくれたんだ。最も君が何者かまではわからないけど」
「あの鴉か」
士は炭治郎たちに産屋敷邸まで連れてこいといった鴉のことを想像した。
「それともう一人彼の紹介をしてもらいたいのだが」
「ん?ユウスケのことか?」
「いや、彼さ」
産屋敷が見ている方を見ると、そこには剣心が立っていた。
「おろ?」
「僕の記憶が間違っていなければ、君は明治時代を生きた伝説の人斬り抜刀斎。無惨が恐れた人物の一人。緋村剣心ではないかい?」
「?!」(柱一同)
次回予告
炭治郎「やっと士さんたちを産屋敷邸まで連れてこれましたよ」
士「とりあえずこの世界のこともだいたい分かったし、あとは俺が何をすべきかだな」
炭治郎「そういえば士さん以外にも、ユウスケさんや剣心さんも一緒に連れてきちゃいましたけど、まさかあの明治の世に生きた緋村剣心だったなんて、驚きましたよ」
士「そんなにすごいやつなのか」
炭治郎「はい!あ、そういえばここで、一つ大正コソコソ噂話」
炭治郎「大正の前は明治といのは皆さんもご存知だと思いますが、今回明かされた伝説の人斬り抜刀斎こと、緋村剣心さんですが、明治時代に多くの伝説を残したと言われています。その伝説の一つとして京都での出来事はすごいと言われています」
士「なぁ竈門。これ大正時代の話じゃないぞ」
炭治郎「そういうときもあります。そういえば、士さん、初めて僕のこと呼んでくれましたね」
士「そうか。あんまり気にしてなかったが」
炭治郎「あはは…」
炭治郎「次回 再会。鬼ヶ島!結局モモタロスさんは鬼なんですか」
士「鬼でいいだろ」
モモタロス「俺は鬼じゃねぇ!!」