提督の成り上がり奮闘記   作:わんこ神

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いや〜中々話を考えるのが難しい。やっぱり先人達は偉大だったんやなって。


第一話

「…これは酷い。」

 

鎮守府の中は、そうとしか形容出来ないような惨状であった。

中は、瓦礫がたくさん落ちていて、なんとかギリギリ通れるが、それでも足場は瓦礫だから不安定で通りずらい。壁も崩れかけていて、改めて襲撃の後だという事を再確認させられる。

 

「いや〜…流石にこれは私たちだけじゃ厳しいっしょ。こんな所に飛ばされるなんて、提督がなんかしたんですか?」

 

「いや、なんかしたと言うよりかは、向こうが勝手にしてきているだけなんだがな。…まあつまり、私は上に嫌われている、と言う事だ。」

 

「うへ〜、ご主人様も大変なんですね。」

 

「胃薬が必要なくらいにはな。」

 

そんな他愛もない様な会話を漣としていると、違和感に気づく。部屋の隅の方の瓦礫から、黒い布のようなものが飛び出していたのだ。

おそらく、これは…いや、考えている暇はない。

 

「漣、急いでやらねばいけない事ができた!すぐにこの瓦礫をどかすぞ!」

 

「え、えーと、どうしt…あっ!すぐにどかします!」

 

2人がかりで瓦礫の山をどかす。すると中から、黒い髪をした少女が出てきた。恐らく朝潮だろう。だが、とても損傷していて、最早服は布切れと化していた。艦装もボロボロで、単装砲の砲身が折れている。少しでも可能性を信じ、急いで脈を確認する。すると、まだ息があった!

 

「漣、まだ息がある!」

 

「え!?ご主人様本当ですか!?」

 

「この状況で嘘をつくメリットが無いだろう、今すぐに入渠施設へとつれていってくれ。私はこの調子で他にも居ないか探しているから、連れて行ったらすぐに戻ってこい。あ、後それと、これを持っていけ。」

 

そう言いながら、私は漣に高速修復剤を渡す。

渡された漣はとても駆け足で入渠施設へと向かって走っていった。

…さて、ここからが大変だ。この瓦礫の山を全部調べるのか、骨が折れるぞ。

 

 

 

「ふぅ〜…」

 

 あぁ、腰の調子がすこぶる悪い。あの後はしばらく一人で探していたから、兎に角重くて大変だった。まだ二十代なのにもうギックリ腰になると言うのは避けたい事だ。私は軍人とは言え、体は強い方ではない。これでも一応鍛えてはいるのだが…こんな事なら、漣に探させた方が良かったかもしれない。まあ、後悔先に立たずと言う。それに、私が行ったら行ったで、目の遣り所にとても困っただろうし、朝潮がふとした時に起きてしまったら朝潮にも悪い。私の選択はやはり間違って居なかったのだと自分の中で決めつける。

 まぁ、どちらにしても、成果はあった。朝潮の他に、夕立と叢雲も見つけた。両者とも、やはり損傷は激しく、艦装も傷付いていたが息はあった。しかし、それ以上は誰も見つけられなかった。

 

「いや〜、しかしまさかまだ生きてる艦娘が居たなんて思いませんでしたよ、ご主人様。やっぱり、ご主人様の観察力はすごいですなぁ〜。」

 

「やっぱり、と言えるほど長くは一緒に無いだろう…それに今回はたまたま見つけた訳だからな。」

 

「だとしてもご主人様は観察力のある方だと思いますよ。ね、妖精さん。」

 

そう言うと、いつの間にか漣の近くにいる妖精さんは大きく頷いた。漣の艦装についている妖精さんだ。それだけしたらすぐに漣の艦装の中に帰って行った。

 

「…そんな事の為だけに妖精さんは出てきたのか…それにしても、ここには妖精さんはいるのか?ここまで見てないが。」

 

「そう言えばそうですよね。やはり、施設が全部壊されちゃってるから妖精さんも居ないんでしょうかねぇ?」

 

「…うーん、まあ取り敢えずこんな所にいてもあれだ。取り敢えず執務室へと向かおう。もしかしたらそこに妖精さんもいるかもしれん。

それにあそこはまだ見ていない所だしな。」

 

私は他の鎮守府に行った事は無いのだが、流石に何処にも妖精さんがいないと言う事は無いだろう。だとしたら、やはり執務室に向かった方が良いだろうな。

 

 

 

「…す、すごく開放的ですな。」

「…そうだな。」

 

執務室に入って、私は目を疑った。いや、外の惨状を見て来たから、ある程度予想していたが、これ程とは…

全く、大本営はなんて不良物件を私に渡してきてるんだ!

こちとら新人だぞ!まだ実戦も艦隊運営も鎮守府の経営すらした事のないんだぞ!?全く、本当に先が思いやられる。これから先も、この様な姑息な嫌がらせを受けると考えると頭が痛い。

 本当にこの国の軍は腐っていやがる、こんな所には来いと呼ばれても、断っておけばよかったとつくづく感じる!

…はぁ、まあそんな事は不可能だしとりあえず現状を整理しよう。私達は今、執務室にいて、その肝心の執務室はなんらかの砲撃(おそらく深海棲艦だが)に吹き飛ばされていると。それでいて、ここでも部屋は散らかっていて、普通に使うのは困難だと言う事。

 

「…取り敢えず片付けよう。」

「…はい。」

 

 

 

「ふぅー、だいぶ綺麗になりましたな。」

「ああ、苦労した甲斐があった。」

 

こうして見ると、本当に見違えるほど綺麗になった。散らばっていた書類は棚に整えられ、倒れていたものなどは、綺麗に建てられている。

瓦礫なども、すべて直されている。

…開放的な大穴については残ったままだが。

 

そんな風に、我ながら良い仕事をしたと思いながら部屋を見回していると、机の上に妖精さんがいるのに気がついた。

 

「てーとく、おつかれさまなんです。」

 

「おお、妖精さんか。気遣い感謝する。」

 

そう言うと、他にも何体か妖精さんがどこからか集まってきた。

どうやら執務室にいると言う予想は当たっていたようだ。やはり、掃除をして良かった。まぁ、結局掃除はしていた訳だが。

 

「いきなりだが妖精さん達に頼みたいことがある。この鎮守府の施設の修復をお願いしたい。どうやら、入渠施設と食堂は運良く使えたが、寮や工廠についてはほぼ壊滅状態でな。…それと、後ろの壁も頼めるか?」

 

「わっかりました、てーとく。そのかわり、さぎょうのあとにほーしゅーをわすれるな、です」

 

そう言うと、妖精さん達は私に可愛らしい敬礼をして来た。こちらも返礼すると、妖精さん達は直ぐに作業に取り掛かった。

…にしても報酬か、確か妖精さん達は甘味に目が無いと聞いた。私のただでさえ少ない甘味が減ってしまうのは辛い事だが、妖精さんが居ないと鎮守府が成り立たないのも事実である。ここは我慢するしか無い。

クソ、いつか絶対偉くなったら好きなだけ甘味を買ってやる!

 

「あ、ご主人様、そろそろ朝潮達が出てくる頃だと思いますよ。」

 

「おお、そうだったな。そろそろ迎えに行くか。」

 

色々忙しくて、時間の立ちが早い。外を見てみると、もう日が沈みかけている。着いた時はまだ朝だったのにな…

 

「にしても、朝潮たちは大丈夫でしょうかね?随分と損傷を受けていたんですが…」

 

「肉体的な損傷よりも、心の部分の方が私は心配だ。何せ、鎮守府が文字通り崩壊したのだから。仲間が沈んでいく所を見るのは辛かっただろう。それにまた深海棲艦が来ないか不安でもある筈だ。しっかりとケアしてあげねばな。」

 

「…そ、そうですね。」

 

漣も不安にさせてしまったか。私は昔から気遣いが下手と言われていたから、これからは少し口には気をつけねば。

 

「安心しろ。私が提督になったのだから、深海棲艦などに簡単にやられるつもりはない。」

 

「ひゃっ!?」

 

そう言いながら、漣の頭を撫でた。やはり深海棲艦を倒せるような力を持つとはいえ、心はまだまだ子供なのだ。撫でると言う行為は相手に対して安心感を与えられると何処かで聞いた。

 

しかし、失敗したか?私が不安にさせてしまったのだから、少しでも安心させてやろうとしたのだが…

漣は少し下を向いて黙ってしまった。少し赤くなっているようにも感じる。

触られるのは少々嫌だったのか?やはり人付き合いと言うのは難しい。明確に悪意を向けてくる人にはすこぶる楽に対処出来るのだが。

 

 

 

ご主人様、急にそんなのは聞いて無いですよ!きゅ、急に頭を撫でるなんて!ほんとは他の艦と提督がイチャイチャするのを見て私がキタコレするんじゃ無いと駄目ですっ!

急にそんな事やられたって私、対処出来ないじゃ無いですよ!撫でられた時思わず乙女みたいな声を上げちゃったじゃ無いですか!いやまぁ乙女ですけど。

 …でも、提督はなんだか少し痩せてて静かな人ですが、手はとても温かかったなぁ…

て、何考えちゃってるんだ私!

 

「漣、大丈夫か?急にあんな事をしてしまってすまなかったな。」

 

「い、いえいえいえご主人様!ぜぜ全然漣は大丈夫ですぞ!そんな気にしなくてだいじょぶですから!」

 

「そ、そうか、なら良いんだが。」

 

あぁぁ何テンパっちゃってるんだよ私、ご主人様に心配されてるじゃ無いですか!今は私しか居ないんだからしっかりしないといけないのに!

 

「漣、そろそろ入渠施設に着きそうだな。吹雪達を迎える準備をしないと。」

 

「は、はいそうですね!」

 

そ、そうだ、今から朝潮達が来る。そんな時に私が動揺しててどうするんだ。うん、平常心平常心。心を落ち着かないと。

 

 

 

…入渠施設に着いたが、ここもやはり所々に損傷が見られる。しかし、他の施設よりかは綺麗なのが救いだろう。そんな事を考えていると、朝潮達が沈んだ顔をして出てきた。やはり心の傷は深いようだ。しかし、叢雲だけは少し覚悟を持った顔つきで出てきた。

…取り敢えず、場所を変えないと。

 

「…やあ。私が新しい提督、影中だ。取り敢えず、ここでは話しづらい。執務室に移動しよう。」

 

「ええ、そうね。」

 

そう言うと叢雲は、他の2艦を連れて私の後をついてきた。

緊張感が漂う。私は提督なのだから、彼女等を安心させてやらねば…




急に暗い展開になってしまいましたが、提督はなんとかする事ができるのでしょうか。乞うご期待。
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