もしキーストンがウマ娘に転生したら   作:H&K YAMATO

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キーストンはとにかく一生懸命に走る馬で、まるで抜かれることを恐れるように走ると言われていました。また同時にレースで負けると食欲がなくなってしまうことがあったと言われています。魅力的な馬だと思います。


第4話 出会い2(トレーナー視点) 

俺の名前は山本一喜(いつき)、新人トレーナーだ。

トレーナーになったのは、親父がトレーナーだったから、自然に目指してた。

今日は4月1日、俺が初めて中央トレセン学園に出勤する日で、結構緊張してた。

職場の人とはうまくやれるかな、担当するのはどんな娘なんだろうとか考えながら歩いてたんだ。

そしたら、反対側から歩いてきた女の子とぶつかって、泣かせてしまった。

茶褐色の髪に赤い帽子、綺麗な三角系の耳にトレセンの制服、目鼻立ちがくっきりとしているが、垂れ目で優しそうな顔をしている、小柄な女の子だ。

そんな可愛い娘がボロボロと泣いている姿はものすごく目立つ。

すぐに涙を拭いて泣き止んでくれたからよかったが、あのまま彼女が泣いていたら通報されていたかもしれない。

彼女がトレセンの生徒なのは制服を見てわかった。

どのみち行く方向は同じなので一緒に行くことにした、というかされた。

彼女は首のバッジを見て俺がトレーナーであることを察したらしく、「一人で行くのは不安なんです。一緒に行ってくれませんか?」と何かすごく必死な形相で言われた。

迷惑をかけた相手と一緒に登校するのは、気まずい空気になりそうで嫌だったのだが、

 

「だめ、ですか?」

 

少女の上目づかい+涙目のコンボに勝てるはずもなく、一緒に行くことになったのだ。

東京駅から府中駅まで約1時間ほど、電車のなかで一緒にいる間にいろいろなことを聞かれた。

年齢、出身地、家族構成などの基本的なことから始まり、趣味などのプライベートなことまで。

まだ少ししか話していないが、トレーナーに対して非常に興味があるということがわかる。

自分の将来を左右するのだから当然かもしれないが、熱意があるいい娘だと思う。

彼女とは校門で別れた。

その時に「選抜模擬レース、必ず見にきてください!」と言われた。

 

選抜模擬レースとは学園が一か月ごとに開催している、いわば「お見合いレース」だ。

ここでトレーナーとウマ娘はお互いを選ぶ。

わざわざ見て欲しいっていうことは、きっと走りに自信があるんだろう。

そういえば名前聞いてなかったな。

まあいいか、選抜レースでわかるのだから。

次の選抜レースは確か1週間後だったはず。

 

 

 

 

そして選抜レースの日になった。

 

 

 

 

天気は快晴、コースは良バ場、絶好のレース日和である。

俺はこれからのパートナーをしっかり選ばなければいけない。

そう考えると、ゲート前で柔軟運動をしている彼女たちを見る視線につい力が入ってしまう。

ウマ娘を見渡していると、この前ぶつかったあの子もレース場にいた。

不安そうな顔をして周りを見渡し、誰かを探しているようだった。

彼女がこっちを見ると、表情が笑顔に変わった。

そしてブンブンと音がするほど大きく手を振ってくれた。

というか尻尾がブンブン揺れている、犬かな?

恥ずかしかっので少しだけ手を振り返し、観客席に座る。

彼女を含め全てのウマ娘がゲートに入る。

ザザッという音がした後、観客席近くの鉄柱に備え付けられている拡声スピーカーから実況の声が聞こえだす。

 

実況「晴れ渡る青空の中、このトレセンレース場、第1模擬レース芝2000m、バ場の発表は良となっています。10人のウマ娘がこのレースに挑みます。」

 

レースの概要が述べられた後で、メンバーの紹介が始まる。

 

今回のメンバーは

 

1番 ハツライオー

 

2番 チトセオー

 

3番 ダイコーター

 

4番 カブトシロー

 

5番 イチヒカル

 

6番 リユウゲキ 

 

7番 セエチヨウ

 

8番 キーストン

 

9番 ヒガシソネラオー

 

10番 チトセドラゴン

 

あの子は8番でキーストンというらしい。

1番人気はダイコーター、2番人気チトセオー そして3番人気リユウゲキとなっていた。

あの子の名前は上がっていないが、まあ新人の段階で人気など意味はない。

 

実況「各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました・・・・・スタートです!」

 

ゲートが開いて走りだすが何人か出遅れた。

 

実況「おっと7番、8番、9番が出遅れた!」

 

解説「まだ新入生ですからね、ゲート練習の時間が取れていないのでしょう。これから上手くなっていけばいいですよ。」

 

実況「先行争いは1番ハツライオー、5番イチヒカル おっとここで8番キーストン、上がっていきます。」

 

解説「出遅れを取り戻そうと必死なようです。少し脚を使いすぎかもしれません、終盤垂れないといいですね。」

 

キーストンが馬群の外側をまわって前に出ていく。しかしペースが早すぎると新人の俺にもわかる。

 

実況「ハナを奪って行ったのはキーストンです。逃げる、逃げる!後方との差が開いていきます、現在5馬身。距離はいま残り1600mを通過したところです。」

 

解説「掛かってしまっているかもしれませんね、一息つけるといいのですが。」

 

実況「ここで現在の順番をお知らせします。先頭は8番キーストン、大きく引き離されて1番ハツライオー、3馬身開いて5番イチヒカル、4番カブトシロー 1馬身離れて3番ダイコーター、続いて2番チトセオー ここまでで先頭集団を形成しています。2馬身開いて6番リユウゲキ、続いて7番セエチヨウ、続いて10番チトセドラゴン、殿は9番ヒガシソラネオーです。レースは今先頭が残り1000mを通過したところです。」

 

解説「レースはまだ半分です、キーストンがハナを主張していますが、逆転は十分あり得ますよ!」

 

実況「さあ残り600mです。8番キーストン、ペースが落ちているぞ。4番カブトシローと3番ダイコーターが外から追い上げてきた。キーストン粘れるか!」

 

オーバーペースのせいでスタミナが切れてしまっている。

スパートをかける脚が残ってないんだ。

 

実況「カブトシローかわした、続いてダイコーターも抜け出した、チトセオーも前を狙っているぞ。さあ先頭争いはこの二人、ゴールまではあと400m。最初に栄光を掴むのは誰だ!」

 

あの娘が苦しそうに走っている、今にも泣きそうな顔をして、差し返そうと足をまわしている。

 

実況「カブトシロー今、1着でゴールイン!2着ダイコーター、3着チトセオー、4着キーストン、5着リユウゲキです。」

 

あの娘は4着だった。

他の子が手を膝についたり、芝生に寝転んだりして休んでいる中、その娘だけは掲示板を見て泣いていた。

遠目で見ても悔しがっているのがよくわかる。

耳や尻尾が垂れてしまっているからだ。

彼女は目を擦った後どこかに行ってしまった。

今回のレースで上位だったカブトシローやダイコーターの周りには、すでに彼女たちをスカウトすべくトレーナーが集まっている。

トレーナーとしては1着のカブトシローや2着のダイコーターをスカウトすべきだと思う。

だけどどうしても泣いていた彼女が頭から離れない。

 

俺は彼女を追うことにした。

 




カブトシローの人気が低いぞ?

おや、カブトシローの様子が・・・

テレテッテッテ〜

おめでとう、カブトシローは絶好調になった!


追記

なんかヒロイン泣いてばっかですけど、これから笑うようになるから許してください。
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