もしキーストンがウマ娘に転生したら   作:H&K YAMATO

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筆者はナイスネイチャ、マチカネタンホイザ、キングヘイロー、ナリタタイシンなどが大好きです。なのでキーストンのキャラが似通ってしまうかもしれません。ご了承ください。


第5話 出会い3(ウマ娘視点)

4月15日

 

今日は選抜レースの日でした。

山本さんに絶対にスカウトしてもらうために、今日は何がなんでも結果を出さなければいけなかったんです。

あの後は出会って早々プライベートのことまで聞いてしまったことや、自分の名前を教えることを忘れたことに気づいて、すごく恥ずかしかったです。

布団の中でしばらく悶えました。

そして次に私が考えたことは、彼にもう一度会うことでした。

最初はもっと早くに会える機会があると思ってたんです、でもそうではありませんでした。

私たちウマ娘は入学後にいきなりトレーナーが付くのではなくて、教官といういわば集団講師に預けられます。

そこで大体の能力を測定され、選抜レースまでの間に基礎能力を伸ばすことになります。

私はこのトレーニングの間に、彼と再び会えると思っていました。

でも教官に聞いたら、トレーナーは選抜レースまでは新人研修で忙しいそうです。

だからウマ娘を見に来る暇なんてないはずだと言われました。

それを知った時から、選抜レース一発勝負で彼の注目を勝ち取ろうと考えていました。

他の娘が寮に帰っていくのを横目に見ながら教官に止められるまで走り、寮に帰ってからも同室の子が寝るまでダンベルを持って腕を鍛えました。

でも失敗しました。

何を失敗したってもう全部だと思います。

まずはスタートの出遅れです。

あの時の私はレースに集中していませんでした。

勝ったら彼がなんて言って来るかなんてことを考えていました。

まだ勝ってもいないというのにです。

しかも両隣が出遅れて、スタートタイミングが狂ってしまいました。

次にオーバーペースです。

出遅れて焦ってしまったというのもありますが、彼が見ているからって焦りすぎました。

そして最後、ラストスパートが全然伸びなかったことです。

どんどん遠ざかっていくライバル達の背中を見て、負けたくなくてがむしゃらに走りました。

でも差は縮まらなくて、抜かされてって、それが悔しくてしょうがなかったです。

レースが終わった後、力を入れすぎた左足がズキズキしてたけど、走ってその場から離れました。

走って、走って、休んでまた走って気がついたら寮の門の前にいました。

疲れて座ってしまいたかったけど、はしたないので膝に手をついて休みます。

だってあの人が他の娘をスカウトしているのを見たくなかったんです。

あんなレース内容だと、あの人もきっと呆れているはずです。

どうしよう、どうしよう、どうしよう、彼が他の娘を担当するかもしれない。

そう考えただけでまた涙が溢れてきてしまいました。

私が結果を出せなかったからだ・・・

考えがまとまらない、どんどん悪い方向にいってしまいます。

このままじゃダメだと思って、別のことを考えようとしました。

しかし何度気を逸らしても、頭の中はさっきのレースでいっぱいでした。

レースの時ああすればよかったのにということばかりが浮かんできます。

 

「キーストン!」

 

ああ悲しすぎて、走ってくる彼の幻覚が見えます。

 

「キーストン!聞こえてないのか、おーいキーストン!。」

 

幻覚じゃない、彼の匂いもします。

本物でした。

私はレースが終わってから夢中で寮の門まで走ってきてしまったはずです。

ずっと追ってきてくれていたのでしょうか?

それに思っただけで尻尾が揺れるのがわかる。

結果を出せなかったくせに、喜んでしまう自分が嫌になります。

 

「なんでこっちにきたんですか?」

 

弾みそうになる声を平坦になるように押さえつける。

 

「レース場でいいスカウトができなかったんですか?4着だった私のところにくるなんて。」

 

さっきまで泣いていてひどい顔になっているだろうから、下を向いて話します。

 

「しかも私はあんな無様なレースをしたんですよ。」

 

彼に向かって思わず愚痴をこぼすように話してしまいます。

 

「その・・・あんまりにも悔しがっていたから気になっていたんだ。」

 

彼が少し悩んでから答えを言ってくれる。

 

「他の子は選抜レースだけで君みたいに泣くほど悔しがったりしていなかった。でも君は、あのレースに人生がかかってる!って感じで走ってたように見えたよ。」

 

彼が自分の努力を見ていてくれただけでも嬉しくてたまりません。

 

「私にとっては今回のレースで1番以外は意味がないんです。」

 

「それはなぜ?」

 

彼が優しく聞き返してきます。

 

「どうしても勝利を見せたかった人がいるんです。」

 

家族に勝利報告もしたかったけどそれ以上に、やっと会えたあなたに見てもらいたかった。

でも走る前の私はきっとレースというものを、中央トレセン学園での勝利を軽んじていたのです。

才能がある人たちの中で勝利をとるということは、どんなに大変か理解していませんでした。

それが今日のレースの結果となって現れたんだと思います。

 

「キーストン、こっちを向いてくれないか?」

 

彼が突然そんなことを言います。

 

「ごめんなさい、私ちょっと今ひどい顔してますから・・・」

 

「ちょっとだけでいいから。」

 

私の言葉を遮って言われます。

彼には見せたくなかったですけど、仕方がなく顔をあげて彼の顔を見ます。

彼は私の目を見て言ってくれました。

 

「君をスカウトさせてくれないか。」

 

ダメですよそんなことを言ってしまったら。

 

今すぐ頷いてしまいたくなります。

 

「どうして、私なんですか?」

 

素直になればいいのに、同情だけで私をスカウトして欲しくないと思ってしまう。

 

「私はスタートでミスをしましたよ。」

 

「そんなの練習して直せばいい。」

 

「焦ってハイペースで走りました。」

 

「ペース配分を体で覚えればいい。」

 

「自分で言うのも変ですけど、面倒臭い性格してますよ。」

 

「俺も結構しつこいんだ、相性がいいな。」

 

口角が上がってしまうのが抑えられません。

 

「俺はさ、諦めが悪い娘が大好きなんだ。」

 

「だから一緒に頂点目指してみないか?」

 

あなたと会った時、小さい頃からの夢は叶ったと思いました。

でもたった今、やりたいことが増えたんです。

あなたと一緒に挑戦できるならきっと、どんな壁も超えて行けるでしょう。

だって1番難しかったこと(出会い)はすでに終わったのですから。

 

「キースです。」

 

「え?」

 

「これからは私のことをキースって呼んでください。キーストンだと呼びにくいでしょう?」

 

家族や友人はみんな私のことをキースと呼んでいます。

これから最低でも3年間の長い付き合いになるあなたにもそう呼んでほしいのです。

だから私を見つけてくれた彼に、とびっきりの笑顔で誓いましょう。

 

「不束者ですが、よろしくお願いしますね。トレーナーさん!」

 




結構難産でした。

なんんか書いている内にどんどん書こうと思っていることが変わってきますね。
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