黒き神滅具   作:海鳴り

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甘味友

「今日はホームルームを行う前にサプライズがある」

 

 朝のホームルームの時、その教室の担任が話し始めた。

 

「このクラスに転校生が来ることになった。というかもう来てる。残念ながら男だ。先生も悲しい」

 

 お前が言っちゃだめでしょ。クラスの全員がそう思った。

 

「おーい。入って来い」

「はい」

 

 担任の呼びかけに少し目つきが鋭い黒髪の男が教室に入ってきた。顔はかなりいい部類に入るだろう。背は高いがひょろっとした感じを抱かせない。かなり鍛えられ、引き締まっている。

 

「今日からこの学校に転校してきました黒陽 朧です。至らないところはあるかと思いますがよろしくお願いします」

「ということで仲良くしてやれ。一時間目の俺の授業は自習にしてやるから親睦を深めるなりなんなりしておけ。以上解散」

 

 適当だなー。クラスの全員がそう思った。

 

『・・・』

「ええっと。質問ある?」

 

 そんな微妙な空気の中で発言できた転入生は意外と大物かもしれない。

 

 

<朧side>

 

「ア―シアさんは何で日本に?」

「えへへ。色々あったんです」

 

 今話してるのはア―シアという女の子と一誠という男だ。どちらもグレモリー眷属だ。アーシアの方は回復系の神器らしい。だから弱そうなのも分かる。でも一誠は神滅具だ。 その中でも接近戦に向いている「赤龍帝の籠手」だ。なのに覇気が感じられない。ドライグが目覚めてまもないようだ。

 

(期待外れだなー)

(これが二天龍の片割とは)

 

 俺の心の声に返すように声が聞こえる。無論知り合いだ。

 

(まあ、まだ目覚めたばかりらしいしね。今後に期待かな)

(放っておくのか?)

(むやみに首を突っ込むのはバカのやることだよ、クロ)

(ふむ。そういうものか)

 

「そろそろ一時間目も終わるね」

「あっ、そうですね。では朧さんまたあとで」

「じゃあな朧」

「うん。またね」

 

 あれじゃあ白いのには勝てないな。

 

 

 学校終了!え?特に何もなかったよ?ただ女の子に囲まれてただけ。ほら俺ってイケメンだし。

 

「さあたい焼きを買って帰るか」

 

 昨日寝る前に調べておいたんだ。おいしいたい焼き屋の場所。早く買って帰ろう。

 

「ん?」

 

 たい焼き屋の最後尾に並んでいる白い髪の小柄な少女。たしか名前は塔城 小猫だったか。グレモリ―眷属だ。

 

「こんにちは」

「?」

「うちの学校の後輩かな?俺は朧っていうんだ。昨日引っ越してきてね。ここのたい焼き屋がおいしいとふんでるんだがどうかな?」

 

 俺に話しかけられ少し警戒していたようだが、俺が同士だと気づいたのだろう。すぐに警戒を消した。無論この同士とは「甘味好き連盟」のことだ。実際にはないが甘味が好きな奴には分かるのだ。そいつが同士であることが。

 

「…ここを選ぶとはあなたもなかなかやる」

「ふっ、それほどでも。まだ私は修業中の身でして」

「…そんなに卑下しなくてもいい。十分。ここのたい焼きは結構おいしい」

 

 謎の会話をしながら列が消化されるのを待つ俺たち。

 

「俺は和菓子が好きなんですが洋菓子も捨てたもんじゃあないですね」

「分かる。洋菓子には洋菓子の良さがある」

「君たちも分かるかによ。同士かにょ?」

 

 小猫の前にいるすごい人が話に参加してくる。筋骨隆々な漢がはちきれんばかりのゴスロリを身に纏った姿。それでも彼も同士だ。

 

「お前もか」

「…分かりますか」

「当たり前だにょ!それと私の名前はミルたんだにょ」

「ふっ、俺の目に狂いはなかったな」

「一発であてたにょ!?だとしたら君はすごい人だにょ」

 

 さらに盛り上がるアホ共の会話。その楽しそうな会話を聞いて列が長くなっていってることに彼らは気づいていなかった。

 

 

「いや~あんなことになるとは」

「…おまけしてもらえましたね」

「かなりの人が押し寄せたから仕方ないにょ」

 

 結局あのたい焼き屋には結構な数の人が並び、お店の人に感謝されておまけしてもらったのだ。

 

「せっかくだし公園でみんなで食べながら情報交換しますか」

「…情報交換ですか?」

「どこの店がうまいかとかかにょ?それならおススメがあるにょ」

「よっ!さすがミルたん!」

 

 そんな感じで彼は放課後を過ごしていた。

 

 

「いや~今日は友達が二人できたし、このケータイに始めてあの三人以外のメールアドレスが入ったぜ。また三人でお菓子食いに行く約束したし。甘味友ができたしいい日だったな!」

 

 彼は家に帰ってごろごろしていた。今日は彼にしてはとてつもなくいい日だった。だから彼は明日もいい日になるように祈りながら寝るのだ。

 

 

 

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