「甘味連盟」結成?から二日たった昼休み。適当に飯を食べて一年の教室に向かった。無論狙いは子猫である。
「ごめん失礼するよ」
そう言ってクラスに入る。クラス中の視線が俺に突き刺さる。三年生が来たこと。それが結構イケメンなこと。そして目立つ容姿なのに見たことがないことから特に目立つのだろう。まあどうだっていいが。
「すまないけど小猫を呼んでもらえるかな?」
「は、はいっ!」
近くにいた子に声をかけて、小猫の名前を呼び捨てで呼ぶと、黄色い声が上がる。
「…先輩。何か用ですか?」
「ふふん。あれを入手してね。どうだい?お茶でも」
「!?あ、あれを入手したんですか!?」
声を荒げる小猫。俺が手に入れたものはそれだけレアなものなのだ。
『伝説』と呼ばれるお菓子がある。一週間に七個しか売らないチョコレートケーキや、あまり作られない和菓子などである。その中で今回俺が手に入れてきたものはかなり希少。コネをフル動員して手に入れた幻の羊羹。同士たちの間で知らないものはいないその羊羹を彼らはこう呼ぶ。
『幻の苺羊羹』
「…さすがです。先輩」
「ふ、もっと褒め称えてもいいんだぜ?というわけでこれでお茶しようぜ」
「はい」
そんなわけで食堂に移動します。
俺らの通ってるこの学園は食堂が無駄に広い。なので結構ゆったりした空間となっている。そこの机を一つ占拠し、苺羊羹の箱を開ける。
「…これが『幻の苺羊羹』」
「ああ、もう切ってあるから一人二つな。残り六つは明日ミルたんさんさそって三人で食べよう」
「はい」
二つを丁寧に皿に乗せる小猫。かわいいねえ。ちなみに食器とお茶は準備してある。俺はぬかりはない男。
「じゃあ食うか」
「…はい」
一口口に含み、言葉が出なくなるほどの感動を覚える俺たち。甘すぎず、なめらかな口当たりが……うまい!!!
「やばいなこれ」
「えぐいですね」
もちろんおいしさがえぐいのだ。
「くっ、こうやってなくなっていくと諸行無常をかみしめるぜ」
「…ほんとですよ」
それでもやっぱり最後にはなくなる。
「「はぁ~」」
感嘆のため息を付く俺たち。お茶をすすり、今のお菓子について語ろうとしたところで、小猫が席を立った。
「……すいません。急用ができました」
「そう?気をつけてね」
「はい」
食堂を駆け足で出て行こうとする小猫。
「あ、そうだ!小猫!」
「なんですか?」
「これあげる。お守り」
そう言って俺は小猫に俺が作った神器、「身がわっちゃう君」を渡す。
「がんばってね」
「…はい」
そして今度こそ食堂を出て行く小猫。
この感覚は侵入者かな。多分白龍皇、ヴァーリ。
「死ねよ。マジで」
俺と子猫のお菓子タイムを邪魔しやがって。
それから数日後。さらなる甘味を求めてさまよっているとケータイが鳴った。
「もしもーし」
『久しぶりですね。朧』
「ああ、グレイフィアさんっすか。御無沙汰してます」
『ええ、そちらでの生活には慣れましたか?』
「甘味友ができてかなり楽しくやってます」
電話をかけてきたのは俺がお世話になった人の一人、グレイフィアだった。ちなみに俺はこの人以外には敬語を使わない。
『それは冗長。しかし実はけっこう大変なことになってまして』
「サーゼクスがついに魔王戦隊でも始めました?あはは」
『それは結構前から。あれあなたのアイデアらしいですね?どういうことです?』
「え?……まじ?」
それはやばい。あれはただのネタだったから結構やばい内容にしてたはずだ。かなり恥ずかしい感じに。
『まあそれはいいです。実行に移したのはサーゼクスのようですし。それよりも明日、あの学校で三大勢力が同盟を結びます』
「へ~。それはおめっとさんです」
『その時にあなたには学校に来ないでほしいのです』
「なんで?」
『アザゼルがいるので』
「げっ、あの神器オタクか」
あいつはやばいなあ。
『把握できたと思いますが。あの人にとってあなたはこの世で最も興味があるものと言っても過言ではない。なのでなるべく来ない方向で』
「へ~い」
『それでは』
「はい」
電話が切れる。明日のことには興味もなかった。俺の頭の中にあるのは明後日提出予定の宿題だ。
「帰るかあ」
俺は帰路に就いた。
「やべえ!!ない!!」
ないのだ。宿題に使うノートと教科書が。
「どうしよう。行くか?でも学校にはアザゼルが」
そう、忘れてきたのである。学校に。
「しかたない行こう。アザゼルに会ったら即帰ろう」
家を飛び出し、マックススピードで走る!と思ったら学校にいた。
「は?」
もしかしてこれって俺が小猫に渡した緊急のお守り?
じゃあ小猫に何かあったのか!?
次回赤白黒龍