Fleet Admiral   作:Eitoku Inobe

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首都の闇

-コア・ワールド 惑星ハンバリン-

今日もコア・ワールド内のこの惑星は平和だ。

 

軌道上にはハンバリンの防衛艦隊がステーション内に駐留している。

 

知っての通りこの男もここに居た。

 

ハンバリン防衛艦隊とジュディシアル駐留艦隊の艦隊総司令官のゼント・ヴァント提督だ。

 

ミッド・リム出兵が大方終了し彼らも無事ハンバリンに帰還する事が出来た。

 

その道中ゼントだけはある一つの嬉しい報告を聞いたのだがそれはまた別の話だ。

 

彼はいつも通りステーションのオフィスで職務に勤しんでいた。

 

「当分ミッド・リムは安泰でしょう。我々の損害も予想を遥かに下回るものでしたし」

 

「アーガニルとかいう奴のおかげで敵の組織的行動は殆どなかったからな。しかし…」

 

ゼントは俯き考えた。

 

軍事の才能だけではなく全体を見通す才能が他の将校より長けていた彼はある一つの懸念を覚えた。

 

遠い未来起こるであろう可能性を。

 

「ミッド・リムの犯罪組織画一掃された後一つ懸念があるとすれば勢力を拡大しつつある企業グループだ」

 

「なるほど…利益に目が眩んだ“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”という事ですね?」

 

「その通りだ、今までは犯罪組織に自分達も攻撃される恐れがあった為進出は避けていたがそれが無くなれば」

 

「彼らの独壇場、やりたい放題と」

 

「その通りだ」

 

オルホールといいウォルスといいスレイブ家はなんと優秀な事か。

 

ゼントは人生で何度目か分からないほどそれを思い知らされてきた。

 

彼らの一族は開祖クイエム・ヴァントが元帥になる以前から献身的にサポートしてきてくれた。

 

今やそれぞれの分家に一人はスレイブ家の人物がいる状態だ。

 

やがては息子達にも彼らのような副官が着くのだろうか。

 

そうなればもはや敵なしだろう。

 

「だがそんな連中もゼファントがいれば安心だ」

 

彼は席を立ち図分の息子を誇らしげに語った。

 

ウォルス大佐は微笑を浮かべていた。

 

「相変わらずですね」

 

「自分の子すら信じられなくてどうするんだ?それに彼は…っ!」

 

ゼントは突如地面に座り込んだ。

 

胸の中心を押さえ込み苦しそうにしている。

 

「閣下!!」

 

ウォルス大佐は今までにない勢いで彼に駆け寄った。

 

ゼントは作り笑いを浮かべ彼の心配を解そうとした。

 

「大丈夫だ…古傷が痛んだだけだよ」

 

「最近多いですから気をつけてくださいね?」

 

最近のゼントは度々かつての戦傷が痛み倒れ込む事が多くなった。

 

歳のせいなのかは分からないが今の所軍務に支障は出なかった。

 

ゆっくり立ち上がり胸中の痛みを抑え込んだ。

 

長くないかもな…。

 

自重気味に笑い彼は再び席に戻った。

 

「今ゼファントは情報部の捜査に加わったんだっけな」

 

「はい、取り敢えずはまだそのように」

 

無用な心配をされたものだなとゼントは思った。

 

あの子が戦場で死ぬはずがない、むしろ早く功名を立てて欲しいと言った所だ。

 

だが…悔しいな、こんな事を思うなんて。

 

「あの子が元帥になるのを私は見届けられんかもしれんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-コア・ワールド 銀河共和国首都 惑星コルサント-

「少佐、聞いておいでですか?少佐?」

 

「ああ…聞いてる。聞いてますよ…」

 

ゼファントはソファーにも垂れ込み天井を眺めた。

 

フィーナ少尉からある程度の情報を聞いた。

 

しかしあまりに専門的な用語が多すぎて分からない。

 

それにまるで機械のような彼女のペースに終始巻かれっぱなしだ。

 

「つまりセルネアン少将がアーガニルを食い止めている間に元老院のオフィス・ビルで不審な人物が複数目撃されてハッキングされた形跡があった」

 

「なので元凶であるアーガニルを知っている少佐はこの捜査に協力する義務があります」

 

ゼファントはやれやれと言わんばかりに苦笑を浮かべた。

 

アーガニルを知っている…か。

 

実際彼をよく知っているのはセルネアン少将の方だしゼファントは通信越しで会話しかした事がない。

 

そんな自分に出来る事などあろうか。

 

「それで少佐、あなたはどうお考えですか?」

 

「えっ?」

 

ゼファントはキョトンとした。

 

「その犯罪組織です、再度元老院へ攻撃に出るとお思いですか?」

 

「ええ、これは単なる私の予測とそのアーガニルという奴から学んだ考えですが…」

 

ゼファントは目線を落とした。

 

彼はアーガニルという革命家から学んだ悲しくも恐ろしい予測を彼女に話した。

 

「彼らのような大望…志とでも言うのでしょうか…それを持った者達は絶対に諦めませんよ。仮に一度撃滅されてもね」

 

「なぜそう言い切れるのです?」

 

「それで挫ける程彼らの思想は脆くはないんですよ。逆に彼らと戦い彼らを敗北へと追いやれば追いやる程復讐心とその大望に薪をくべる事になります」

 

フィーナ少尉は静かに頷いていた。

 

それを確認するとゼファントは続けた。

 

「しかも厄介な事にそんな志とやらに共感する者は結構いる。それにハッキングは中々重要施設まで及んでいたんですよね?」

 

「ええ、コルサントの一部対空システムが沈黙していました。他にもジュディシアル・フォース一部施設にも」

 

ゼファントはまた考え始めた。

 

この2つすらハッキングできるという事は相当のプロだ。

 

そして発見が遅れたという事はカモフラージュなども完璧なのだろう。

 

もしかすると今回の組織の指導者も…

 

「敵はまた必ず来ます。ですがその時がチャンスとなるでしょう」

 

「それは…どういう意味ですか?」

 

「この広いコルサントを探すよりも彼らの方が出てきてくれた方がはるかに楽という事ですよ。少なくとも炙り出すチャンスはある」

 

この時すでにゼファントの中ではある程度の戦術が組み立てられていた。

 

相手の指導者がもし仮に“()()()()()()()()”ならば…。

 

「その時は連中が二度と立ち直れないように徹底的に殲滅する必要があります。誰かが生き残って何度でも甦るなら全て倒さなければ」

 

しかしこの時ゼファントの思考が一旦ストップした。

 

彼はどこから感じる“殺気”で集中力が途切れたからだ。

 

まるで何かが自分を狙っているようなそんな感覚はかなり長く続いた。

 

「少佐!!」

 

ふと通路の方から声が聞こえた。

 

「モスト中尉」

 

「戦術研究課のガコン少佐と連絡が取れました」

 

モスト中尉のおかげで殺気は消え去りむいそろ嬉しい報告が訪れた。

 

「ありがたい、では行きましょうか少尉」

 

「はい…少佐」

 

フィーナ少尉の目は何処か笑っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コルサントは発展の影響である一つの闇を抱えていた。

 

文字通り上へ上へと建物を重ねた影響で闇が生まれてしまった。

 

当たるはずの恒星の光が当たらず汚い排気ガスの混じった空気が人々の肺を汚すそんな暗い世界。

 

俗に言うアンダーワールドだ。

 

光も何も届かないこの地はギャングや犯罪者の格好の溜まり場となった。

 

その中に彼はいた。

 

ゼファントが予測し仮説を立てている彼が。

 

「“フェルシル”、“伝令”より報告が入っています」

 

サイボーグ“フェルシル”は煌めくブランデーの色を眺めながら顎で入室の許可を出した。

 

ギャングであるのにも関わらず礼儀正しいこの男は入室する時でさえ静かだった。

 

尤も煩いのが嫌いな彼だ、だからこそそばに置いていると言う一面もある。

 

「報告によれば彼…ゼファント・ヴァントは如何やら貴方の存在に感づきつつあるようだ」

 

フェルシルは鼻で笑った。

 

対して手掛かりもないのに私が“()()()()()()()()()()()()()()()()”ことに気付いたとは。

 

若く、恐ろしい奴だ。

 

さすがはアーガニルを打ち倒しただけの事はある。

 

()()()()()”富んでいるようだ。

 

「危険だな…“盟友”を殺した時点で生かす理由などないのだが」

 

表情には表さないが彼は革命を生き残った数少ない盟友であり兄弟の死に怒りと悲しみを覚えていた。

 

そして誓ったのだ、必ず復讐を遂げ革命の契りを成すと。

 

後半は彼に埋め込まれた命令プロトコルの影響だが。

 

「暗殺者なら数名送っても構わないかと」

 

「なら早目に奴とご対面したいのでな、首だけで良い、持って来させろ」

 

「お任せを」

 

彼のサポート役である“フォンフ”は頭を下げ静かに消えた。

 

再び彼一人になった。

 

静かでいい。

 

亡き者達を弔うには静かな方が心地よいのだ。

 

 

 

 

 

 

暗黒街を抜けて

 

ゼファント達はコルサントのレベル1313に来ていた。

 

コルサントはこのように数字で階層を分けておりレベル1313は惑星のコアから1313番目のレベルである。

 

逆に最も遠い最新のレベルは5127だ。

 

ゼファントとフィーナ少尉、モスト中尉と共にこの階層に来ていた。

 

「少佐、こんな所なんの意味があるんですか?」

 

モスト中尉は不機嫌そうに尋ねた。

 

ゼファントはそんな中尉を宥めるように微笑みかけた。

 

「犯罪組織は基本こういう所を根白にしていますから追撃する時地形を覚えておく必要があると思うんですよ」

 

「はぁ…」

 

「それにこういう所の方が犯罪組織の情報はよく手に入る」

 

「それは情報員であるこの小官とリースレイ少尉にお任せ下さい!なんせプロですからね」

 

ゼファントは苦笑を浮かべた。

 

頼もしいがあんまり口には出さないで欲しいなぁと思っている。

 

下手に会話を聞かれて情報部員である事を覚えられたら困る。

 

正直何されるか分からない。

 

しかし不思議なのはモスト中尉ではなくフィーナ少尉だ。

 

この年頃の女性ならこんな汚く薄暗い所は嫌っても良いはずなのだが。

 

住み慣れたかのように表情ひとつ変えない。

 

よほど中々の訓練を受けているのだろう。

 

「しかしなんというか人が少ないですな」

 

モスト中尉が少し疑問を覚えた。

 

言われてみれば確かに若干少ないような気もする。

 

いくらアンダー・ワールドに位置するとはいえ人気が無さすぎる。

 

まさか…な。

 

「…2人ともブラスターに手を付けておけよ」

 

フィーナ少尉はともかくモスト中尉の表情は一瞬のうちにして危機的なものに変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じくコルサント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この地には共和国の全てが揃っている。

 

政治や行政、文化の中心地でありまたある宗教の中心地でもあった。

 

今日もジェダイ・テンプルの5本の塔は彼らの栄光を示すかのように聳え立っていた。

 

そんな聖堂たるこの地に1機のT-6シャトルが着陸した。

 

数名の若いジェダイ・ナイトがT-6に駆け寄った。

 

シャトルのハッチが開き赤ん坊を抱いたジェダイが一人帰還する。

 

サヴァントと“エイク”と名付けられた赤ん坊だ。

 

「起こさないように然るべき所へ頼む」

 

数名が頷きサヴァントの腕の中からエイクを預かった。

 

「評議会へ行ってくる、報告しないと」

 

「いや今わしがここで聞こう」

 

杖を付く音と共に見慣れた偉大なマスターは現れた。

 

背後には弟子であったジェダイ・マスターを連れていた。

 

「マスター“ヨーダ”!」

 

「ご苦労じゃったな」

 

「とんでもない」

 

800年以上生きたこのジェダイ・マスターにサヴァントは目線を合わせる。

 

彼の背後に控えていた“ドゥークー”は再会の言葉はひとまず起き本題に移った。

 

「それであの子はどうなんだ?」

 

「才能はずば抜けて高いです…あの数値滅多にお目にかかれませんよ」

 

「では彼こそが“選ばれし者”なのか?」

 

ドゥークーが懸念するのはそこだった。

 

しかしサヴァントは静かに首を振った。

 

「きっとあの子じゃないでしょう。選ばれし者はもっと別の子です」

 

ヨーダとドゥークーは俯き考え始めた。

 

「それに」

 

その一言で2人はサヴァントに目線を向けた。

 

彼はエイクと名付けたあの赤ん坊を眺めていた。

 

「あの子は特別じゃなくていい、私には分かるんですよ。あの子の生真面目な性格は絶対苦労するってね」

 

ヨーダとドゥークーは顔を見合わせた。

 

「当分あの子の面倒は他のジェダイが見ることになりますが、いいですね?」

 

「うむ、やがてはお主のパダワンにしたいものじゃがな」

 

「それはあの子の感じ方次第ですよ。それでは」

 

サヴァントは静かに一言礼を述べ一礼を交わすと2人を通り過ぎた。

 

どうしてサヴァントがあんなことを言ったか流石のグランド・マスターでもわからなかった。

 

しかしサヴァントとあの赤子の師弟が素晴らしいものになるという未来だけはなんとなく見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああクソッ!!」

 

モスト中尉は柄にもなく暴言を吐き捨てた。

 

流石にゼファントもそれを咎めようとはしなかった。

 

実際この状況下は最悪だ。

 

文句の一つや二つ出てくるだろう。

 

だが一応最高階級の者として同様に文句を吐き捨てる事はできなかった。

 

今彼らは正体不明の敵の襲撃を受けている。

 

確認されただけでもバトル・ドロイドが数体、それを指揮する者が数人いる。

 

皆ブラスター・ライフルを装備しこちらに向けて発砲してきた。

 

一方こちらはフィーナ少尉、ゼファント、モスト中尉と3人だけ。

 

しかも手持ちの武装はブラスター・ピストルだけだ。

 

敵の攻撃をなんとか振り切りアンダーワールド・ポータルの近くまで来たが敵に囲まれてしまった。

 

「少佐、これを!」

 

モスト中尉はこちらに小箱のようなものを投げた。

 

これはグラップリング・フックの入った小箱だ。

 

情報部は優秀だな。

 

どうやらフィーナ少尉も同様にグラップリング・フックを持っているようだ。

 

しかしゼファントは気づいた。

 

フックを取り出す彼女を一体のドロイドが狙っている事を。

 

「少尉!」

 

ゼファントはなりふり構わず飛び出し彼女を庇った。

 

なんとかブラスターの弾丸は彼女には届かなかったがゼファントの左腕を掠めてしまった。

 

「くっ!大丈夫ですか少尉…?」

 

「えっええ…ありがとう…ございます…」

 

彼女の無事を確認するとお返しとしてそのドロイドを撃ち抜いた。

 

「少佐大丈夫ですか!?」

 

モスト中尉の心配に対してゼファントは微笑で答えた。

 

「作戦を変えます、最上階で逃げるんじゃなくてここで連中を仕留める」

 

モスト中尉もフィーナ少尉も驚いていた。

 

この状況下でも尚反撃に出ようというのか。

 

「どうせなら情報が欲しい、中尉はジュディシアル機動隊に、少尉はアンダーワールドの」

 

「すでに」

 

彼女はコムリンクを手に持っていた。

 

モスト中尉の方を振り返ると彼も同様にジュディシアル・フォース地上部門の部隊に連絡を取っていた。

 

ゼファントはフィーナ少尉から貰った医療キットで腕の傷に応急処置を施しながら命令を出す。

 

「敵はまだ完全に包囲できた訳じゃない、後方がガラ空きです、だから後退しつつ時間を稼げば味方が来ます」

 

「でもこの先って…」

 

モスト中尉はブラスター・ピストルで応戦しながら尻込みした。

 

ゼファントは静かに頷く。

 

「ああポータルの穴に落ちる、だから稼げる時間はそれまでです」

 

「やるしかありませんね」

 

「ええ、でもジュディシアル部隊はともかく警官隊はすぐ来るでしょう」

 

モスト中尉は頭を抱えた。

 

「はぁ…やるしかありませんね…」

 

「はい、でも敵を捕らえれば真実に近づける」

 

その一言はモスト中尉に活力を与えた。

 

「ではいきましょうか!!」

 

彼らの反撃が始まった。

 

後退しつつ確実にドロイドの数を減らしていく。

 

数体のドロイドが倒れ暗殺部隊は同じく物陰に隠れた。

 

痛む腕を我慢しながらゼファントは引き金を放つ。

 

やはり命中度は先程より落ちているがそれでも棒立ち状態のドロイドなら一撃で仕留められる。

 

再び後退しまた的に打撃を与えた。

 

こうして少しずつ敵を引き付け戦力を削いでいく。

 

しかし未だドロイドしか叩けていないのがゼファントの不安の一つだった。

 

『少佐、間も無く保安部隊が到着します!それまでは耐えられますか?』

 

彼がポケットに入れていたコムリンクが突然鳴り響いた。

 

ずっとスイッチを入れっぱなしだったのだ。

 

「ああ急いでくれると助かります、それよりジュディシアルの機動部隊は?」

 

実を言うと重装備でより戦闘力の高いジュディシアル・フォース地上部隊の方が来て欲しかった。

 

『そちらの方が早く向かうかと、実は保安部隊は今トラブルに巻き込まれてて…』

 

そのオペレーターは少し戸惑い気味に答えた。

 

アンダー・ワールドの治安はあまり良くない事くらいゼファントも知っている。

 

学生時代ここで何回か悪党どもに絡まれたからだ。

 

「機動部隊はあとどれくらいで?」

 

ブラスターの弾丸を避けながらコムリンクに向かって尋ねる。

 

実際それほど彼らに余裕はない。

 

『2分…いや先行部隊はあと1分後です!』

 

「後の部隊は包囲網を展開するように伝令を、もうすぐ増援が来ます!それまで耐え抜いて!」

 

ゼファントは応戦する2人にそう声を掛けた。

 

フィーナ少尉はともかくモスト中尉はその報告を聞いて勢いずいた。

 

後少しで状況は一変する。

 

「少佐ぁ!!」

 

ゼファントの背後からブラスター・ライフルの発砲音と共に数名の兵士が駆け寄る。

 

対ブラスター用に設計された防弾アーマーを着込んだその兵士達こそがジュディシアル・フォースの地上部隊だった。

 

彼らの強力な火器と精密な射撃は殆どのドロイドを撃ち倒し敵を数名負傷させた。

 

「ご無事ですか!?」

 

「ええ…それよりも防衛線を展開して敵を引き付けて」

 

「それが…」

 

部隊の隊長とみえる“一等保安長”が俯いていた。

 

敵は仲間を抱え素早くアンダーワールドの暗闇に逃げ込んでしまった。

 

あまりに呆気ない撤退にゼファントはポカンとしていた。

 

「一体なぜ…」

 

「どうしますか少佐?」

 

一等保安長は上官であり最高階級の彼に尋ねた。

 

「我々の武装と物量を見て不利を悟って撤退した可能性もあります。後続部隊の到着と共に追撃を」

 

一等保安長と隊員達は静かに頷き戦いで疲れ負傷した3人を乗ってきたスピーダーに案内した。

 

 

 

 

 

「中々…だな」

 

モニターを眺めながら彼はそう口ずさんだ。

 

「ええ、指揮能力、戦術を組み立てる力においてはアーガニル様と同等以上でしょう」

 

フォンフは彼にブランデーを差し出すとそう述べた。

 

フェルシルは静かに受け取ったブランデーを回した。

 

まだ古傷が痛む。

 

頭にぶち込まれたクソッタレの弾丸のせいで彼の改造された脳にはダメージが残ったままだった。

 

頭を抑えゼファントの画像を睨みつける。

 

「革命は成功させなければならん」

 

ならばどうするか。

 

決まっている。

 

力で邪魔者はねじ伏せればいい。

 

あの時からそうしてきた。

 

我らは革命と戦いを成す為に造られたのだ。

 

幸いにも今の彼にはそれに手が届きそうな力が有る。

 

失った数少ない盟友達の為に。

 

理由は十分、あとは使命を果たすのみ。

 

今度は遠い銀河の端からではなく首都の中から革命の孤児たるもう一人のサイボーグがまた立ち上がるのだった。

 

残り少ない仲間を引き連れて。

 

そして一人の“()()()”をあの男につけて…。

 

つづく

 

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