Fleet Admiral   作:Eitoku Inobe

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結ばれる絆

「チッ!大丈夫か!!」

 

ブラスター・ライフルを撃ちながら隣で弾丸を弾く“ジェダイ”に声を掛ける。

 

男は不敵に笑みを浮かべ応えた。

 

「ああ!ちょっと痛むがこのまま一気に行こう!!」

 

「ジェダイがみんな君みたいだったら父さんも少しは変わってたろうにな!」

 

ふと皮肉まじりに彼に投げかけた。

 

こんな戦闘状況だからこそ笑いは重要なのだ。

 

男もフォースの力を使い敵を蹴散らすと皮肉で返した。

 

「全員がこうじゃないさ!でも私は君と出会えてよかった」

 

「だな、一気に行こうか“サヴァント”!!」

 

「ああ!“ゼファント”!!」

 

ゼファント・ヴァントとサヴァント・メンター。

 

異色のコンビであり親友の2人は互いに武器を構え始めての共同任務に勤しんでいた。

 

 

 

 

 

ことの発端は数時間くらい前だった。

 

以前唯一捕らえた襲撃犯を尋問しようとした矢先呼び出しが掛かったのだ。

 

普通なら情報部のドレイヴン大佐や戦術研究課のエヴァックス中将と思うだろう。

 

だが今日ばかりは違った。

 

なんと“()()()()()()()()()”からだった。

 

ゼファントはまさかの事態にかなり戸惑った。

 

彼自身ジェダイはあまり好きではない。

 

父であるゼントが口を開けばジェダイの悪口や不満を言っていた為ゼファントにもそんな思いがこびり付いていた。

 

幼い頃からのある種の刷り込みは強烈で今でもこのザマだ。

 

会った事がなくとも良い印象は抱いておらず、それが偏見であると分かっていても直す事は難しかった。

 

ただ上層部からの命令でもある為内心何を思っていようと行かざる負えなかった。

 

そこで尋問はその手の道のプロでもあるモスト中尉に任せてフィーナ少尉とゼファント2人で向かった。

 

今2人は呼び出し場所のジュディシアル統合本部のエレベーター内にいた。

 

ゼファントが積極的に話題を持ち出す為以前より2人の会話は活発になっていた。

 

途切れ途切れになりそうな会話を彼が頑張って繋いでいるのだ。

 

そのせいか最近はフィーナ少尉もよく応えて笑ってくれるようになっていた。

 

「なるほどな…そういえば少尉、少し良いかな?」

 

「なんでしょうか」

 

ゼファントは若干の緊張を覚えながらも彼女に言った。

 

「君ともっと話がしたい。今度どこか食事にでもいかないか?」

 

予測した通りフィーナ少尉は突然の誘いに戸惑っていた。

 

世間一般的に見たら告白に近いのだろうか。

 

箱入り息子ゼファントにはそう言った感覚は全くなかったが。

 

しかし微妙な空気感を悟ったゼファントはすぐに言葉を付け加えて変更する。

 

柔軟さが彼をただの朴念仁でなくしているのだろう。

 

「あぁ…普通に情報部の事をもっと知りたい……どうかな?」

 

「そうですか…いいですよ。それで、いつにします?」

 

しっかり事情を話すとフィーナ少尉は案外すんなりと受け入れてくれた。

 

やっぱり“()()()()()()”なのだろう。

 

覚悟の上で行かねばならないとゼファントは表情に出さない苦笑と共に思った。

 

「そうだな…君の都合に合わせてくれて構わないよ」

 

「分かりました。ドレイヴン大佐に伺いを立ててきますよ」

 

「君を借りるにはドレイヴン大佐の了承がいるのか?」

 

「フフ、まあそんな所です」

 

するとエレベーターのドアが開いた。

 

そろそろジェダイとやらに初対面だ。

 

「さてと…行くか…」

 

ゼファントは襟元を触り緊張を隠した。

 

しかし隣の副官には見透かされてたようだ。

 

「少佐、まさか緊張されているんですか?」

 

なんで分かったんだと思いつつもゼファントは答えた。

 

彼が彼女を見透かしているように彼も彼女に見透かされているのだろうか。

 

「うん……ジェダイなんて今までずっと悪い噂しか聞いてこなかったからね。多少身構えても…」

 

「君が噂のゼファント・ヴァント少佐か!!」

 

ゼファントが話しているとベージュ色の衣服を纏った男が駆け寄ってくる。

 

多分この人がジェダイであろう。

 

格好がジュディシアルの将校とはまるで違うしかと言って他の一般人や政府関係者とも違っていた。

 

しかしこのジェダイは勢いが強い。

 

ゼファントも勢いに押されジェダイの男と握手してしまった。

 

流石に距離が近い。

 

ジェダイとはみんなこんな感じなのだろうか。

 

「えぇ…はい、そうですが何か…?」

 

「おっと失敬、自己紹介を忘れていたね。私はサヴァント・メンター、ジェダイ・ナイトだ」

 

人の良さそうなジェダイ、サヴァントはもう一度正式に握手を求めた。

 

流石に断る訳にもいかないのでゼファントはもう一度握手をした。

 

手を握る力も振る力も案外強い。

 

「あぁどうも、どうも」

 

「会えて嬉しいよ。そちらの方は?」

 

ゼファントに握手をしながらサヴァントは彼の背後に控えているフィーナ少尉を見つめた。

 

「フィーナ・リースレイ少尉です」

 

「君…えっと少佐、彼女はどこの所属?」

 

「情報部ですよ。今はもう一人の情報員と共に私に割り当てられていますが」

 

意外な質問をしてくるサヴァントにゼファントは戸惑った。

 

「情報部…ね、少尉、君の生まれは?」

 

「このコルサントですが。何か?」

 

彼女の雰囲気や話す言葉から何かを“()()()()()”サヴァントはフィーナ少尉に問い詰めた。

 

少尉も何も“()()()”答える。

 

流石に気まずいのかゼファントが2人の間に割って入った。

 

「まあ世間話は後にして、早速本題に移りましょうか」

 

「あっああそうだな、あちらの席で話そう」

 

 

 

 

 

 

 

ゼファントは近くを彷徨いていた下士官に“カフ”を全員分用意するように頼んだ。

 

本当は茶が飲みたいところだが一人優雅にティータイムを楽しんでいる場合ではないだろう。

 

カフが届くまで3人はちょっとした談笑をしていた。

 

「確かに君のお父さんのゼント提督はジェダイ嫌いで有名だよ、ハハハ」

 

「そこまで有名だったとは知りませんでしたよ。家でも外でもあんまり変わってないと言うことなんでしょうが」

 

「当然軍人としても有名だよ。だからこそジェダイ嫌いも一緒に広まってくのさ」

 

「有名になるってのは考えものですね」

 

苦笑と共にゼファントはソファーに寄り掛かった。

 

有名になるのは考えものか。

 

今の自分がよく言えたものだ。

 

「君だってもう十分有名人じゃないか」

 

「そうでしたな。全く革命革命大変ですよ…休む暇もありゃしない」

 

「確かに」

 

サヴァントはそんな有名人の皮肉に思わず笑声を立てた。

 

そうこうしていると先程の下士官が3人分のカフを持ってきてくれた。

 

ゼファントはカフを一口含むとサヴァントに尋ねた。

 

「でマスター・サヴァント、私には何の用ですか?」

 

サヴァントも同じくカフを口にすると話を始めた。

 

「実はここ(コルサント)の5124階層に少し妙な所があってね…調べてみたんだ」

 

「妙な所…?」

 

ゼファントはすぐに食い付いた。

 

このコルサントで異変が起こるといえば大抵例の革命組織が裏で糸を引いている。

 

不良の喧嘩も別の犯罪組織の小さな小競り合いも全てだ。

 

些細な異変でも今のゼファントには重要に感じられた。

 

しかしアンダーワールドより上の階層はほとんど異常やおかしな出来事は見られなかったはずだ。

 

なぜ気づけたのかそこは少し疑問だった。

 

「ジュディシアルから少し特殊部隊を借りて調査してたんだ。すると結果は」

 

「結果はどうだったんですか?」

 

ジェダイの一声で特殊部隊が動かせる事に些かの不満を覚えつつもゼファントはすぐ尋ねた。

 

共和国では当然の事、だがどこか不満を覚える。

 

サヴァントはコップをコースターに置くと少し合間を作り話し始めた。

 

「敵の前哨基地があった。小さいが脅威は十分だ」

 

「なるほど、アンダーワールドより上の見張りとして、いざ革命を起こす時すぐに部隊を展開する為ですね?」

 

「恐らくな、ジュディシアル統合本部もジェダイ評議会も早急に鎮圧する事を望んでいる」

 

「で、その陣頭指揮を私が取れと?」

 

「ああ、恐らく君は私たち以上に敵を知っているからな。きっとそのうち命令が届く」

 

「なら仕方ありませんね。使用できる部隊は?」

 

無駄な己の感情は捨てすぐに戦術を構築する。

 

まずは兵力が知りたい。

 

敵はともかく自軍の兵力くらいは知っていてもいいだろう。

 

「突入はさっき言った特殊部隊のユニットが1つ、ジュディシアル1個小隊、包囲部隊として1個中隊程だ」

 

「思ったより多いですね。特殊部隊を除いた人数で言えば180人程度か」

 

基本的何事に対しても消極的な行動しかしない共和国の対応としてはかなり大盤振る舞いだ。

 

最悪放置すらあり得るのに。

 

でも使える兵力が多いのはありがたい事だ。

 

それに今回はジェダイもいる。

 

父ゼントも知っての通りジェダイは嫌いだが彼らの戦闘能力だけは素直に認めていた。

 

前線の分隊長や特殊歩兵としてのジェダイは一級品だ。

 

それが本来の彼らの職務とはかけ離れていると知っていてもそう評価せざる終えない。

 

「アジトの内部構造はすでに掴んでいる。多分タレットやブラスター砲で守られているだろう」

 

サヴァントはポケットからホロプロジェクターを取り出して起動した。

 

流石に連中も一から基地を作ることは叶わないようで借家を改造して小さな前哨基地にしたようだ。

 

その為側から見れば完全に偽造されただのアパートにしか見えない。

 

前哨基地と言うよりは秘密基地や隠れ家、アジトと言った方が近いだろうか。

 

奇襲をかけると言えどコルサント内で爆弾や重火器を使いまくる訳にはいかない為中々厳しいものになるだろう。

 

それでも最良の選択をゼファントは探していた。

 

「二方向からの同時攻撃…まず突入小隊を正面に配置し特殊部隊を逆方向から向かわせる。これなら敵は否が応でも兵力を削がざる追えなくなります」

 

「なるほど、では戦力の集中投入が予想される正面には私が出向こう」

 

「本来ならそうするべきでしょう。ですがあえて裏門の突入部隊に回って頂きたい」

 

ジェダイであるサヴァントも流石にこの時は首を傾げた。

 

ゼファントは微笑を浮かべ説明する。

 

「確かにジェダイの耐久力は凄まじいですが…戦闘力もだ、むしろ特殊部隊とジェダイという最強の剣を用いてなるべく早く制圧したい」

 

出来ればホロテーブルを使い丁寧に説明したい所だがそんな事は今出来ないのでゼファントは身振り手振りを交えて説明を重ねた。

 

「逆に小隊の耐久力は“囮”として考えればいくらでも何とかなります。彼らの為にも貴方は特殊部隊を率いて早めに制圧して欲しいんですよ」

 

「確かに。制圧が早くなるほど小隊の負担は減るからな…わかった、そっちに回ろう」

 

サヴァントはカフを飲み終えソファーから立ち上がった。

 

ソファーに掛けていた彼のローブを手に取り上から羽織る。

 

「もう行かれるんですか?」

 

ゼファントはコップを片付けようとするサヴァントに声を掛けた。

 

「ああ、ジェダイも中々多忙でね、別のミーティングの時に会おう、“()()()()()()()”」

 

「ええ、“()()”」

 

どうやらこちらの意図は伝わったようだ。

 

彼がジェダイであって珍しく良かったと思う。

 

思考をどうやって読み取るかは知らないが知らずとも目標を達成できればそれで良い。

 

さて、今回はどう立ち回ろうか。

 

普段と変わらぬ目つきではあるのもののゼファントは既に今後の対局を見据えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「そうかそうか、あいつらは気づいたか」

 

ホログラムに文章が打ち込まれる。

 

「ジェダイ…また厄介なピースがくっ付いたな、早めに始末しよう」

 

再びオーラベッシュで文章が打ち込まれた。

 

…彼女にはもっと大役を引き受けてもらわねばな。

 

「暗殺命令はそのまま、奴があそこで死ぬならそれでも構わん。お前にはもう一つの命令を送る」

 

感が鋭い。

 

長年このゴミ溜めで生き抜いて来た者の直感は恐ろしいものだ。

 

「追って指示は出す、ひとまずはこれで」

 

ホログラムが消えフェルシルは専用の部屋から出た。

 

通路で小さくも響く足音を響かせ自室に戻る。

 

結局彼が心を休める事の出来る場所は自分が独りだけの場所だった。

 

静かに鋼鉄製のドアが開き彼が室内に入ると閉まる。

 

ふと以前のサイボーグの盟友達と撮った写真が目に留まった。

 

フェルシルは飾ってある写真を手に取った。

 

写真というには随分と無機質な、証明証のようなものだが。

 

もう遠い昔の事なのに何故かはわからないがつい昨日のような感触だった。

 

「ようやくだ…ようやくみんなの願いが想いが届く…」

 

彼は写真に向かって話しかけた。

 

応えるはずもないのだが不思議とフェルシルにはかつての盟友達が聞いてくれるような気がした。

 

「その為には敵を排除しなければな…」

 

憎き仇であるジュディシアルや共和国、そしてジェダイ。

 

それらの出鼻を挫きあの時なし得なかった革命をフェルシルは遺志を引き継ぎ遂げるのだ。

 

もう彼の両隣には誰もいないが…。

 

それでも為さねば、遂げねば意味がないのだ。

 

散っていった盟友達の命の意味が創られた意味がなくなってしまう。

 

その為に彼はどんな者も犠牲に捧げるつもりだった。

 

「銀河は…革命は…私が変える!!」

 

その確固たる意志は誰にも曲げる事は出来なかった。

 

そしてフェルシルの頬に涙の線はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦が決行されたのはあれから12日後の夜だった。

 

やはりこの手の作戦は夜襲に限るだろう。

 

それに今までさんざん夜間に奇襲を受けたのだからそのお返しだ。

 

全部隊が集結し突入の準備を開始したのはかれこれ1時間半後だった。

 

「少佐、突撃小隊の配置完了いたしました!」

 

中隊長の“ドラック”大尉が彼に敬礼し報告した。

 

ゼファントは仮の司令テントに備えられた椅子から立ち上がり命令を出した。

 

今の彼はジュディシアル歩兵と同じアーマーやヘルメットを被っている。

 

「30分後突撃用意、“ハウンド”は?」

 

「すでに準備完了です、今マスター・サヴァント待機しておられます」

 

「わかった…頼んだぞ大尉」

 

「はい少佐!」

 

ドラック大尉は丁寧に敬礼をし早速部隊に命令を出した。

 

ゼファントはスタスタと歩きテントの外でタブレットを操作するフィーナ少尉に言った。

 

「少尉、少し便所と各部隊に各部隊の状況を見てくる、いざと言う時は大尉の命令に従え」

 

「分かりました少佐、お気をつけて」

 

「なぁにすぐ戻ってくる、ただの便所がてらの散歩だ、コムリンクも持ってるしな」

 

ゼファントは軽く敬礼で返すと司令テントから離れていった。

 

その後彼はあえて“()()”し部隊が封鎖線張っている場所とはま反対の方向に向かった。

 

人の目がないのを確認するとゼファントは走り出した。

 

数分もたたないうちにゼファントは目的の場所へと着いた。

 

「ふぅ、来たぞ夜の猟犬ナイト・ハウンドども」

 

すると何かが動く音がした。

 

恐ろしいほどのカモフラージュ技術だなとゼファントは感心した。

 

「遅いっすよ、少佐」

 

すると一人が近くのゴミ袋の塊から出てきた。

 

彼らはジュディシアル・フォースの特殊部隊の一つ“ナイト・ハウンド”隊だ。

 

司法の軍事部隊であろうと特殊部隊はいくつか持っている。

 

現にこのナイト・ハウンド隊やジュディシアル・コマンドーのようなユニットがそうだ。

 

彼らは銀河中のどの軍隊よりも優秀であり最精鋭だ。

 

実戦も多く経験しているし何度も戦果を挙げている。

 

アウター・リムやミッド・リムの新設された惑星防衛軍の軍事教導などにもよく出向いていたりする。

 

「マスター・サヴァントはどうした?」

 

「お呼びですよ、マスター・サヴァント」

 

サヴァントも同じくもの置き場から姿を表した。

 

あまり潜入に慣れていないサヴァントはかなり大変そうだ。

 

「やっと来てくれたか、後少しで吐いていたところだ」

 

来るなり早々サヴァントは冗談で周りの緊張を解した。

 

「私もちょっと長引きましてね、隊長私のブラスターを」

 

「ちゃんと持ってますよ、ほいと」

 

「ありがとう」

 

サヴァントはナイト・ハウンド隊の“ペリアス”大尉からブラスター・ライフルを受け取った。

 

彼らが扱う“DC-12Xブラスター・ライフル”は共和国の中でも最新型のブラスター・ライフルだ。

 

このブラスター・ライフルは初めて使う。

 

「さてぼちぼち始めましょうか」

 

「だとさ」

 

ペリアス大尉はハンドサインを出しながら隠れている部下達に命令を出した。

 

すると瞬く間に全員があちこちから飛び出し集結した。

 

「もう一度任務の内容を説明する、我々の目標は敵施設の制圧のみである」

 

「その為には敵は容赦なく射殺してもらって構わない、危険を冒してまで敵を捕らえようなどとは考えなくていい」

 

ゼファントは1つ付け加えた。

 

ペリアス大尉は隊員達を鼓舞する。

 

「至極簡単な任務だな!全員抜かるなよ!」

 

静かに隊員達は敬礼し隊長であるペリアス大尉の期待に応える準備をした。

 

ゼファントはそんな戦士達を静かに見守ると早速任務を開始した。

 

「ではマスター・サヴァント頼んだぞ」

 

「ああ、少し離れてろよ」

 

サヴァントは周りの隊員達を遠ざけ集中力を高めた。

 

フォースに呼びかけ己の力を発揮する。

 

すると彼の目の前にあるマンホールが浮き上がり“道”が作られた。

 

「やっぱりジェダイってのはすごいな」

 

だから恐ろしくもあるのだが。

 

サヴァントは静かにマンホールを置くと力を解いた。

 

「よし、行こう」

 

ナイト・ハウンドの隊員達が一人ずつマンホールの下に入っていく。

 

いよいよコルサントを舞台にした最後の革命の前哨戦が今始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

敵前哨基地の表口には数十名以上のジュディシアル・フォースの兵士、別名“ジュディシアル・トルーパー”が構えていた。

 

トルーパーなどと大層な名前を貰ってはいるもののその装備はコア・ワールドやリム内の惑星防衛軍歩兵の装備が少し強化された程度だ。

 

アーマーにヘルメット、ゴーグル。

 

隊長クラスは肩アーマーなどがあったが他の歩兵は基本こんな感じだ。

 

それでも貧弱なブラスター・ライフルなら防げるし強力なブラスター・ライフルの攻撃を喰らったとしても衛生兵がいればほぼ93%助かる。

 

武装は惑星防衛軍が使うA-280ブラスター・ライフルやジュディシアル専門のDC-11、DC-12などだ。

 

トルーパー達は息を潜め時計を見つめる。

 

突入まであと数分、数秒時間があった。

 

短いはずなのだが緊張も相待ってか1秒1秒がとても長く感じられた。

 

彼らが額に垂れる汗を拭い武器のちょっとした点検をしていると時間は瞬く間に過ぎた。

 

ついぞ突入の時間だ。

 

ジュディシアル・トルーパーの隊長がブラスター・ライフルを構え合図を出す。

 

部下の1人が専用の器具を使いドアをこじ開けた。

 

「突入!!」

 

隊長の大きな声を出した命令はこの戦いの始まりを意味していた。

 

まず最初に侵入したのは重装備のトルーパーと盾を持ったトルーパーだった。

 

ゴーグルにヘルメット、アーマーという一見簡素な装備を身に付けたジュディシアル・トルーパー達はブラスターを向け周囲を経過した。

 

ここは敵地だ。

 

油断などすればあっという間に命を落としてしまう。

 

「前進!」

 

隊長の命令によりゆっくりゆっくりとトルーパー達が内部に進んでいく。

 

すると予想された通り上階に進む階段とそのまま直進する通路に分かれた。

 

「どうします隊長?」

 

「予定通り二手に分かれよう、二等保安長!下は頼んだぞ」

 

「はい隊長!お気をつけて!」

 

「そっちもな二等保安長!!」

 

互いに励まし合いつつ2人は隊を率いてそれぞれの方向に向かった。

 

盾を持ったジュディシアル・トルーパー達が先行し階段を駆け上がると早速敵のお出迎えが来た。

 

ブラスター・タレットやドロイド、通常の歩兵が一斉に弾丸の嵐を浴びせかけて来た。

 

瞬時に盾で防ぎ味方の損害を無くす。

 

「防壁分隊はそのまま押さえ続けろ、我々で支援する!」

 

盾部隊の背後から隙間を通して隊長達が敵にブラスターの弾丸をお見舞いする。

 

盾を持ったトルーパーが防御に専念しつつ後方の彼らが支援し敵の数を減らしていく。

 

こうする事によってより確実な勝利が手に入るのだ。

 

それに彼らの小隊はあくまで囮だ。

 

敵の注意を引き付け特殊部隊とジェダイの突入を待つ。

 

「三班!イオングレネードを!!」

 

バックから筒状の物体を取り出し敵の近くまで転がす。

 

数秒経つとその物体は眩いスパークを放ちドロイドやブラスター・タレットの行動を停止させた。

 

敵の戦力が一気に削がれた。

 

盾部隊が凸隊形を取り残りの敵兵を全て倒した。

 

これで最初の敵部隊は粗方片付いた。

 

「前進!敵の罠や隠し扉に気を付けろよ!!」

 

隊員達に注意を促しつつ隊長自身も己に言い聞かせた。

 

まだこの戦い始まったばかりなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

地下の使用されなくなった下水道を特殊部隊の一行は通っていた。

 

本来は裏口から突入する予定であったが“()()()()()()()()()”。

 

今裏口にはもう一つの囮部隊が突入しており今頃敵も予測のうちの二方向からの同時攻撃となっているはずだ。

 

しかし連中の誤算はここにある。

 

精鋭の部隊が下からも攻撃されるのだ。

 

それも迅速に、打撃的にだ。

 

「後どのくらい進めばいい?」

 

「100mあるかないかくらいです、すぐ着きますよ」

 

隊員達はそのまま駆け足を崩さずに進んだ。

 

そしてペリアス大尉の言った通り敵基地のすぐ真下に上がれるポイントまで辿り着いた。

 

だがそこには彼らが予期していない物があった。

 

「連中もここを裏口として使っているとは…」

 

「だろうとは思ったがかなり造るのが早いな」

 

ゼファントは目の前に聳え立つ螺旋階段を眺めた。

 

連中もここを進撃する時用の隠し通路として使用するつもりだったらしい。

 

元々この大型の下水管は地下鉄を建造しようとして放棄されたものの名残だ。

 

それをさらに下水処理に流用しようとして失敗し今に至る。

 

さらには解体も難しいらしい。

 

おかげで悪党どもの格好の裏口となってしまった。

 

しっかりと管理しておけばいいものの杜撰なこの区画の行政担当者達はこの下水管を放って置きその結果今のザマだ。

 

行政職員はみんなクビにしたいくらいだがそうも出来ない。

 

コルサントはこう言う面が多々ある為首都惑星であっても悪党や犯罪者の溜まり場になり易いのだ。

 

「どうする?この階段登ってくか?」

 

「まだ完全に完成したわけではありませんし行きましょう」

 

ゼファントが恐れる事なく階段を登り始める。

 

サヴァントやペリアス大尉も後に続いた。

 

階段を数十段登ると目の前には特に何の改造もされていないドアが備え付けられていた。

 

全員が階段付近に集まると一旦立ち止まった。

 

「どうする?吹っ飛ばすかこじ開けるか。幸いブラスト・ドアじゃないからブラスターでも十分吹っ飛ばせる」

 

ゼファントはDC-12Xをドアに近づけた。

 

しかしペリアス大尉は首を振りその可能性を打ち消した。

 

「もっと静かに行こう、全員突入の準備を」

 

サヴァントがフッと前に立ち先程のように腕を前に翳した。

 

フォースの力を使いドアをゆっくりと静かに開ける。

 

10秒も経たずにドアは開きナイト・ハウンド隊はすんなりと内部に入れた。

 

「クリア、敵は見られません」

 

「警戒怠るな、このまま司令区画へ突入する」

 

敵地に入った特殊部隊の面々は表情が変わった。

 

しかしゼファントはあえて飄々とした態度を貫いた。

 

「ジェダイってのは色々と便利なもんですね。1人欲しいくらいだ」

 

「フッ、どうせなら今後も君について行こうか?」

 

「遠慮しておきますよ。父さんから何言われるか分からないから」

 

2人は苦笑いでその場を和ませた。

 

ゼファントはだんだんジェダイについて見直し始めてきた。

 

無論全員が全員サヴァントのような人が良いわけではない事くらい分かっている。

 

しかし彼の辺縁のレンズは彼によって取り払われ始めた。

 

「少佐、前方約10m付近に敵警備兵」

 

先んじて進んでいた隊員がゼファントに報告する。

 

「状態は?1人か?2人か?」

 

「1人です、周囲にドロイドなし、不意打ちで行けます」

 

「命令、確実に仕留めろ」

 

「イエッサー」

 

1人の隊員が足音一つ立てずゆっくりと警備兵に近づく。

 

どうやら全然気づいていないようだ。

 

凄まじい隠密術だ。

 

その隊員と警備兵の距離はもう数十センチもなかった。

 

刹那、警備兵の首の骨は一瞬にして折られ声一つあげず絶命した。

 

隊員は警備兵の死体を近くに置くと仲間たちにOKサインを出した。

 

残りの隊員達も静かにそして素早く移動する。

 

ゼファントは若干足音がしていたがそれでも十分静かだった。

 

「周辺クリア、偵察のドロイドを出しますか?」

 

「やめておく、まだ残しておきたい」

 

技術兵の隊員が頷きコントローラーをバッグにしまった。

 

「よし進もう」

 

ペリアス大尉の命令で全員が再び進み出す。

 

しかしサヴァントだけは何故か歩みがゆっくりだった。

 

それに気づいたゼファントは彼に声をかける。

 

「マスター・サヴァント、体調でも悪いのですか?」

 

「いや…ちょっと嫌な予感がしてな…気をつけて進もう」

 

「はあ…わかりました」

 

ゼファントはもしもに備えてヘルメットのゴーグルを目に被せた。

 

一行はゆっくり着実に進んで行く。

 

しかし異変は起きた。

 

「爆弾に気を付けろよ…少しでもダメージは…なんだ!?」

 

ペリアス大尉が味方に警告する前に事態は一変した。

 

突如警報が鳴り響く。

 

「状況報告!!いや一旦退避!!」

 

ペリアス大尉は素早く判断し部下達と共に後退した。

 

「まさか…ここの一角を丸ごと吹っ飛ばす気じゃ…」

 

ゼファントの読みを聞いたサヴァントは瞬間的に味方を全員押し出した。

 

体が勝手に吹っ飛ばされ少し痛みを感じる。

 

しかし重要なのはそこではない。

 

「マスター・サヴァント!!」

 

サヴァントは味方を助ける為わざと吹っ飛ばしたのだ。

 

それが分からないゼファントではない。

 

そして彼の読みではもう間も無くサヴァントのいる区画は吹っ飛ばされる。

 

実際すでに隔壁が閉まりそうだった。

 

ゼファントはブラスターを持ち必死に走る。

 

そんなゼファントの気づいたジェダイは即座に大声を出す。

 

「少佐!!来るな!!」

 

そんな頼み事は聞けるはずもない。

 

彼は少しでも目の前の誰かを助けなければいけないと思った。

 

放っておけば彼は爆風に巻き込まれて死ぬだろう。

 

だが今ならまだ一緒に戻れるかもしれない。

 

彼はジェダイだとはいえ死んでほしくはない。

 

まだ一緒にいるのは僅かな間だが彼はいい人だ。

 

無謀にも近い勇気と使命感と必死さがゼファントを走らせる。

 

隔壁の合間を抜けサヴァントの下に辿り着いた。

 

しかし隔壁の封鎖と同時に周囲の爆弾が作動し2人は爆発に巻き込まれてしまった。

 

「少佐!!サヴァント殿!!」

 

ペリアス大尉の叫び声も隔壁の向こうまでは届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヴァントは物心ついた頃からジェダイ聖堂にいた。

 

マスターに連れられ様々な修行をこなし日々を過ごしていた。

 

マスターは少しジェダイの中では異端的な人でそんなマスターに育てられたサヴァントもまた、同世代の他のジェダイ・イニシエイト達と仲良く出来なかった。

 

だからこそ彼の居場所はジェダイ聖堂のアーカイブでありそこに保管されている多くの記録や本であった。

 

別に1人は寂しくない。

 

周りのイニシエイト達だって悪くは思っていなかったはずだ。

 

ただ馴染めず居場所がアーカイブだっただけの事だ。

 

そんなある日サヴァントは聖堂のアーカイブである1冊の本と出会った。

 

中身はかつて大戦で活躍した先輩のジェダイ達の伝記だった。

 

特に好きだったのはシスとの最後の戦いである新シス戦争期のものだ。

 

たくましいジェダイの戦士“ホス”卿や彼が率いる勇敢な戦士達。

 

カリスマのある“キール・チャーニー”。

 

ハイカラなハーフで、おとぎ話から飛びだしたような木製の戦艦に乗った“ファーファラ”卿。

 

皆々英雄であり過去の栄光を象徴するものだった。

 

その後共和国を立て直し戦死したジェダイ達の慰霊碑を建てたターサス・ヴァローラム最高議長も嫌いではなかったが当時はまだ政治が良く分からなかったから評価はイマイチだった。

 

しかしそんな勇敢な英雄達よりもサヴァントが心惹かれたのは別の人間だった。

 

その男は己がフォース使いである事を隠し直向きに共和国の為に大勢を率いて戦った。

 

気づけば彼の艦隊と彼の軍集団は共和国最強となりシスの軍勢を次々と打ち破った。

 

しかも彼にはたくましさやカリスマ、ハイカラでユーモアに満ちた所全てを兼ね備えていたが彼はあえて英雄になろうとしなかった。

 

英雄ではあったが“()()()()()()()”にはではなかった。

 

サヴァントは不思議に思いずっと答えを探っていたがどの本にも答えはなかった。

 

彼がやがて成長しナイトへ昇格する頃には視野も広がりその男のもう一つの姿が現れ始めた。

 

()()”であり共和国軍の英雄。

 

やはりあの男はジェダイの英雄ではなく民衆の、“()()()()()()”だった。

 

何故なのか。

 

何故己の持つ力を否定したのだろうか。

 

何故ジェダイではなかったのか。

 

その子は何か“()()”があったのではないのか。

 

サヴァントはずっと気になっていた。

 

そしてもう一つ真実を知った。

 

彼の子孫はまだ“()()()()()”事を。

 

そして今もここに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………サヴァント!!サヴァント!!」

 

ゆっくりと閉じられていた瞼をサヴァントは開けた。

 

頭や身体のあちこちが痛み少ししんどいがまだ立てる。

 

目線の先には心配そうに見つめるゼファントがいた。

 

彼の怪我をしてはいるが既に手当てを施されていた。

 

「よかった…一応バクタを塗って包帯を巻いておきましたが、動きすぎないでくださいね?」

 

「…えっと少佐……今の状況は……」

 

頭を打ったせいか殆ど覚えていない。

 

ゼファントはポケットに仕舞うと説明した。

 

「あそこの区画が一気に吹っ飛んで我々は巻き込まれたんですが貴方が爆風をフォースで吹っ飛ばしてくれたおかげで最悪の事態は防げましたよ」

 

「それで床が崩れ落ちてこのザマか…ハハ…」

 

「連中の使用する爆薬が少量でよかった。後少し量が多かったら2人とも下敷きだった」

 

「それはどうも…なんで少佐は態々助けに来たんだ?」

 

瓦礫の下からブラスター・ライフルを引っ張り出すとゼファントは振り返った。

 

「癖というか…目の前で誰かが死ぬ、誰かが殺されるのは衝動的に動いてしまうんですよ……人を殺す職業に就いてる癖にね」

 

ゼファントは「非情になれないって軍人としてはかなりの欠点だと思うんですがね」と自重気味に笑いブラスターを点検した。

 

ふとサヴァントは眠っていた時の事を思い出す。

 

そういば“()”も伝記にはそう書かれていたっけな。

 

やはりゼファントはあの者の子孫であるのだ。

 

サヴァントが憧れたあの英雄の。

 

「そうかい…さてこれからどうする?少佐殿」

 

「司令区画を落としましょう。特殊部隊の面々は無事でしょうからそのまま行かせます」

 

「我々は?」

 

「この高さならケーブルを使って登れます。二手に分かれて奇襲しましょう」

 

こんな状況下でも諦めずまだ勝利を得る事をゼファントは考えていた。

 

サヴァントも思わず高揚し震える。

 

痛む身体を抑えサヴァントは立ち上がった。

 

戦い、共に勝利を得る為に。

 

しかしよろけてまた座り込んでしまった。

 

やはりまだダメージを完全に回復しておらずそれ以上に大きい。

 

「もう少し座っていてください、治したとはいえまだ痛むでしょうし」

 

「いや大丈夫だ…あとこの際だから言わせてもらうがマスターとか敬語はやめてくれ。もっと気楽にいきたい」

 

冗談まじりにサヴァントは彼に忠告した。

 

ゼファントは少しポカンとしていたがすぐに察し苦笑を零した。

 

そういえば同じような事彼女にも言われたなとほんの少しばかり思いながら。

 

「それは失敬、ではサヴァント反撃開始と行こうか」

 

ゼファントは自分の右腕を差し出した。

 

サヴァントはじっと見つめ彼の右腕を掴んだ。

 

「ああ!行こうか!!」

 

サヴァントは立ち上がり再び戦意を固めた。

 

『……さ……少佐…少佐!!』

 

突如コムリンクが鳴り響いた。

 

ゼファントはスイッチをオンにし通信を始めた。

 

「隊長か?こっちは…無事だ」

 

『今すぐ救援に向かいます!!後少し耐えててくださいね!!』

 

ペリアス大尉は励ますように言ったがゼファントは首を振った。

 

「いや隊長、君は部隊を率いて今すぐ司令区画を攻撃しろ、私達もすぐに行く」

 

『ですが…』

 

「行くんだ!!」

 

ゼファントは多少強めの口調でペリアス大尉に言った。

 

「ナイト・ハウンド隊はこのまま進み、我々は別方向から進む。二方向から司令区画を叩く」

 

『…わかりました…!ご武運を!!』

 

祈りを込めてコムリンクは切れた。

 

ゼファントもポケットに混むリンクを仕舞うとブラスターをもう一度持ち直した。

 

「さて、恐らくこの上がさっきいた場所でしょうからケーブルで登ろう、私に掴まって」

 

「いやあの上からいかん」

 

「えっ?まさか高いの怖いとかそういう…」

 

ゼファントは半分冗談半分本気で口を抑え軽口を叩いた。

 

サヴァントも苦笑と共に否定する。

 

「いや違う違う、別の方向から進むんだろ?ならこっちに何かある気がするんだ」

 

サヴァントはライトセーバーで方向を指した。

 

瓦礫の山の向こうにはまだ道が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今頃応戦中の同志達はどうなったと思う?」

 

この基地を守る兵士の1人が隣にいる仲間に尋ねた。

 

「さあな、ただ時間は稼げてるからそろそろ撤退のはずだ」

 

「お前達!こっちへ来い」

 

この周辺の警備主任の伍長が二人を手招きした。

 

二人は多少不思議に思いつつも命令通り集まった。

 

伍長はタブレットの資料を読み始めた。

 

「上からの通達でここをブラスト・ドアで封鎖しろとの事だ」

 

「もうですか?」

 

「そうだ、出来る限り急げ」

 

2人は小さく頷き先ほど話を振った方の兵士がとぼとぼとドアの前に戻った。

 

このブラスト・ドアも最近設置したものだ。

 

それを丸ごと捨てて夜逃げみたく出ていくなんて少し勿体無いなと彼は思っていた。

 

ドア近くの端末に専用のコードを入力する。

 

そしてレバーを引き完全にドアを閉めた。

 

このブラスト・ドアは旧式の為態々コードやレバーなどをいじる必要があるのだ。

 

「施錠、完了しました」

 

兵士が振り返り2人の下に歩き始めると伍長と仲間の表情は突然引き攣り始めた。

 

不思議に思い2人に尋ねた。

 

「どうかしましたか?伍長?」

 

しかし伍長は後ろを指差し諤々震えるだけであった。

 

「うっ後ろを見ろ…早くこっちへ来い…」

 

なぜ震えているのかがイマイチ解らない。

 

首を傾げ言われた通りに後ろを振り返ってみた。

 

するとその兵士もブラスター・ライフルを構え震えと共に後退りした。

 

ドアに“()()()”が突き出ていたのだ。

 

それも縁を描くように移動し分厚い破れるはずの無いブラスト・ドアを溶解していく。

 

「うっ…撃てッ!!」

 

伍長の命令よりも先に彼ら3人は倒れた。

 

溶かされたブラスト・ドアの破片が恐ろしいスピードで彼らに衝突したのだ。

 

死にはしなくとも大ダメージだろう。

 

何かがぶつかる音と倒れる音に気付いた2人の兵士が通路の影から顔を出す。

 

しかし2人も青い光弾の犠牲となってしまった。

 

ブラスト・ドアの周りから噴き出る白い煙の中から2人は出てきた。

 

ゼファント・ヴァントとサヴァント・メンターは武器を構え進んできたのだ。

 

「まさかあの通路の向こうにも同じような扉があったとは」

 

「ええ、驚きだ。でもお陰で態々ケーブルを使わなくて済んだ」

 

2人はちょっとした会話を挟むとすぐ走り出した。

 

敵兵士はもう5名近くも倒れている。

 

すぐ他の敵が仲間を呼び近くを封鎖するだろう。

 

そうなる前に突破しなければ。

 

早速彼らにはドロイドやタレット、敵兵が立ちはだかった。

 

「邪魔だ!」

 

フォースの力でドロイドとタレットを粉砕する。

 

しかし命を持つ敵兵は少し倒れるだけで完全には再起不能になっていなかった。

 

まだ力が足りていない。

 

そこでゼファントは立ち上がり応戦してくる相手を優先的に銃撃した。

 

これほどまでに近距離ならば外す心配すらない。

 

「その曲がり角を右に!この区画の構造も本来のルートと同じはずだ!」

 

サヴァントは頷きゼファントよりも早く走った。

 

彼が前に出て敵を打ち破りゼファントがその支援をする。

 

これがゼファントの考えたセオリーだ。

 

ジェダイの力を信じそして尚且つ己の力量で相手を助ける。

 

()()()()()()()()()()()()”ではあるが恐らくこの時代においては珍しかった。

 

互いを信頼し互いの力量を持って敵を制す。

 

望ましい関係性だ。

 

「はぁあ!!」

 

サヴァントが軽く飛び上がり数秒だけ宙に浮く。

 

全身のエネルギーを剣に込めて彼の眼の前に立つドロイドの胴を斬り落とした。

 

火花を散らし倒れ込むドロイドを横目に柄を両手で握りしめ次の目標に刃を振るう。

 

また1体のドロイドが斃れブラスターで応戦する敵兵もセーバーに弾かれた弾丸を頭に受け即死した。

 

サヴァントは一旦防御に徹した。

 

呼吸を整え再び攻勢に出るためだ。

 

光剣を振るい次々と弾丸を打ち返す。

 

ゼファントはそんな彼の状態を察し今度はDC-12Xの引き金を引き確実に敵の戦力を削いでいく。

 

たった2人相手に革命気取りのテロリスト達は多くの損害を出していた。

 

「また一気に行くぞ!」

 

「了解!!」

 

ゼファントは腰に付いている“N-14バラディウム=コア・ライト・デトネーター”を敵に投げつけた。

 

床に転がってから数秒後爆発を引き起こし敵が何人か巻き込まれた。

 

また爆発が原因となり引き起こされた煙幕の効果は大きくドロイドはともかく有機生命体達の視覚をほぼ完璧に奪った。

 

ここに大きな隙が生まれる。

 

煙の中を突っ切るかのように緑色のライトセーバーが敵を貫く。

 

ドロイドが一気に2体破壊されそれに気づいた敵兵数名があっという間に斬殺された。

 

それに気づいた残りの敵兵がブラスター・ライフルを構えるがすぐさまブラスターの的となった。

 

ゼファントの射撃が敵兵を撃ち倒したのだ。

 

2人は駆け足で前へと進むががまたしても敵の群れが襲いかかって来た。

 

しかも今度はブラスター・タレットまで用意されている。

 

「チッ!大丈夫か!!」

 

ブラスター・ライフルを撃ちながら隣で弾丸を弾くサヴァントに声を掛ける。

 

サヴァントは不敵に笑みを浮かべ応えた。

 

「ああ!ちょっと痛むがこのまま一気に行こう!!」

 

「ジェダイがみんな君みたいだったら父さんも少しは変わってたろうにな!」

 

ふと皮肉まじりに彼に投げかけた。

 

こんな戦闘状況だからこそ笑いは重要なのだ。

 

男もフォースの力を使い敵を蹴散らすと皮肉で返した。

 

「全員がこうじゃないさ!でも私は君と出会えてよかった」

 

「だな、一気に行こうかサヴァント!!」

 

「ああ!ゼファント!!」

 

2人の進撃はもう誰にも止められなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方戦闘に参加中のジュディシアル部隊全員が目指す司令室では既に小規模だが混乱が起き始めていた。

 

突如来襲した敵の部隊を押さえ込む事が出来ないのだ。

 

しかも突然の奇襲の為対応が後手に回ってしまった。

 

「一体何処から…まさかあの地下通路を使われたのか…?」

 

「いやそしたら必ずあの区画の爆発に巻き込まれてダメージを負うはず…いや死ぬはずだ!それに衛兵も大量に配置していた!何故ここまで辿り着けたのだ…」

 

様々な異常が重なり彼らは冷静さを欠いていた。

 

本来なら悠々と脱出できるはずがジュディシアル・フォースなどにここまで追い詰められていた。

 

「敵部隊、九番通路を突破」

 

ドロイドの冷たい機械的な声が指揮官達の肝をさらに冷やした。

 

あっという間にもうすぐ近くまで迫って来ているではないか!

 

このままでは皆捕らえられ革命の計画自体が危うくなる。

 

彼らはもう自決する考えすら浮かんでいた。

 

しかし次に彼らの脳裏に浮かんだのは絶望という言葉だった。

 

ドアが打ち破られモニター越しに見えたジュディシアル・フォースの部隊が司令室内になだれ込んでくる。

 

次々とドロイドや警備兵を撃ち殺し戦力を潰す。

 

「これでチェックメイトだ」

 

部隊の隊長ペリアス大尉は冷酷に彼らに銃口を向ける。

 

しかしペリアス大尉に気を取られてほとんどの幹部達がナイト・ハウンド隊に捕らえられてしまった。

 

だがこれはチャンスだ。

 

落ち延び態勢を立て直せばまだチャンスはある。

 

そう見込んだこの施設の指揮官は急いで別のドアの方向へ走った。

 

しかし指揮官がドアの前に立つよりも早く何故かドアは開いた。

 

瞬間指揮官の足が止まる。

 

眼の前には負傷しつつも五体満足で立ちはだかるジェダイの男とジュディシアル・フォースの兵士が立っていた。

 

指揮官の表情が引き攣る。

 

それと同時に彼はジェダイのフォース・プッシュに圧され反対側の壁に強く打ち付けられてしまった。

 

「口の中に毒を含んでいるかもしれない、注意してくれ」

 

ゼファントは隊員達に忠告した。

 

「全ドロイドや防衛システムを停止して降伏勧告を出します」

 

「頼む一等保安士、隊長!」

 

「少佐!マスター・サヴァント!ご無事で何よりです」

 

ペリアス大尉とゼファント、サヴァントは再会の握手を交わし生き延びた事を喜んだ。

 

すでに高い技術力を持つナイト・ハウンド隊の隊員達がこの施設のコントロールを始めている。

 

もう勝利は確定したようなものだ。

 

「残りの隊員を率いて両出口の防衛を」

 

「お任せください。ハウル、リーター、付いてこい」

 

ペリアス大尉が司令室の出口の守りを固める。

 

ゼファントも段々肩の力が抜け始めていた。

 

少し椅子に座りたい気分だ。

 

「これも君の予測通りなのか?」

 

ふと隣に佇むサヴァントは尋ねた。

 

ゼファントはどうせジェダイに書く仕事しても無駄と知っている為素直に答えた。

 

「ああ、多少のアクシデントはあったけど」

 

「ではあの少尉は最初から騙すつもりだったのか?」

 

「騙す……確かに騙してはいるが彼女なら最初からそうすると信じていたからね」

 

「物は言いようだな」

 

苦笑まじりにサヴァントは皮肉った。

 

ゼファントも同様に己の非動さに呆れ返る。

 

副官を信じそんななの女を利用したのだ。

 

「早く帰らないと彼女も不思議がるんじゃないか?」

 

「いや、どうせここにいる事も彼女にはお見通しですよ」

 

またもや苦笑が浮かび上がる。

 

「でも…いつか彼女も…」

 

ゼファントの決心は固くサヴァントも内心気付いていた。

 

そうでなければこんな質問を送らない。

 

「救い出しますよ、私の大切な“()()”ですからね」

 

この“()()”という言葉はいずれ別の一文字に変わるのだがそれはまだ少し遠い先の話。

 

この革命戦もすでに終わりへと近づいていた。

 

既に勝利者が定められたまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし君はやはり1人なんだね」

 

青年は私にそう語りかけた。

 

私は寂しく微笑みを浮かべる。

 

青年は心境を察してしまったのかすこし気まずい表情を浮かべていた。

 

「別に悪口じゃない。でもやっぱり何処か“()()()()”でさ」

 

ああ、本当にこの少年に見透かされているな。

 

確かに寂しい。

 

ここは私しかいない。

 

孤独だ。

 

孤独でない時など限られている。

 

人が来る事など辿()()()()()時か()()()()()だけだ。

 

ここへ来る者などいない。

 

耐えられないわけではないが寂しい。

 

愛した者も親友も戦いを常に共にした者も誰も来ない。

 

だがそれが私の本来の運命なのだ。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「いつかは自由になるんだろう?」

 

どうだろうな。

 

無理かもしれない。

 

「まあ気長に行こうじゃないか。我々の寿命は人より遥かに長くそれ故に孤独、そうだろう?」

 

その通りだ。

 

我々は死んでも死にきれない。

 

悲しいのか望ましいのか。

 

ほら、次の場面が見えるぞ。

 

「らしいね」

 

砂浜に佇む2人の青年は青暗い夜空に掛かる景色を見上げた。

 

 

 

 

 

つづく

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