いやあ、どうですかね、一話完結にしては短いかもしれない。次回からの課題かな。
基本オリキャラとかの設定作りは好きなので、これからも多数のオリキャラが出てくると思います。後既に投稿主の別作品に登場してるオリキャラとかも出ます。
よかったらそっちも見てね。
「はぁ、はぁっ」
もう嫌だ、何でっ・・・!何でこんなことに・・・っ!
「雫、どこに行ったの、雫」
息を殺して彼女が去るのを待つ、心臓が脈打つ音がいやに耳に響く。早く、早くしないと見つかってしまう。彼女が遠くに行ったことを確認して再び私は動き出す。入口からは出られない、彼女は一階を中心に見回っている、・・・私をここから逃がさないために。
「さとり様・・・」
彼女の名を呟く。
覚り妖怪。人の心が覗ける妖怪の少女、その能力故他者との関りを持つのが嫌いなのに私を助けてくれた親切なさとり様。
出会った時はもっと優しかった。さとり様は変わってしまった。私のせいで変わってしまった。
私が・・・っ、私がさとり様に出会わなければこんなことにはならなかったのかもしれない。
さとり様はいつからか、私を守るためと言って地霊殿の外に出ることを禁止した。それだけなら良かった、彼女の気が済むなら私はずっと地霊殿にいても良かった。
・・・でもそうじゃなかった、さとり様は私と関わったさとり様のペット達にも罰を与え始めた。私にはそれが耐えられなかった。仲良くしてくれたお燐やお空が私のせいで辛い思いをするのが、とても嫌だった、だから私はここから逃げることにした。
何度も失敗した、その度さとり様は泣きながら私に縋りつきそして言う。いかないで、私から離れないでと。その言葉を聞くと私はとても辛くなる。私だって本当は離れたくない!
でもダメなんだ、私がいたらさとり様はおかしくなったままになってしまう。だから今日絶対にここから出なければならない。必ず・・・。
地霊殿を出れば旧都で勇儀さんたちに助けを求められるかもしれない、そうすればきっと大丈夫。情けない話だけど地霊殿から出た後私が頼りに出来るのは旧都にいる人たちだけなのだ。とにかく、まずはここから出ないと。私は音を立てないようゆっくりと2階にある窓を開ける。2階といっても結構な高さで少し体が震える。ここから降りる・・・だいじょうぶ、怖いけど出っ張っているところを辿って降りていけばいいんだ。飛び降りるようなことにならなければ降りられる。大丈夫、落ち着いて息を整える。焦ってはダメだ焦ってもいいことなんて何もない。
私は窓の淵に足を掛け身を乗り出す。このまま降りれば・・・
「雫!何をしいるのですかっ!」
「えっ、きゃっ・・・!」
遠くから掛けられた怒号に驚いた私はそのまま足を滑らせ館の外に落下していく。
「しずくっ!あああああ!!」
これはまずい、足を滑らせたせいで受け身も何もとれない状態で落下していく、風を切る音と共にさとり様の叫び声が聞こえる。目の前の景色が一瞬ゆっくりになる、何を間違えたのだろう、私は。最後に感じたのは鈍い衝撃と私の中からじわじわと広がる気味の悪い感触だった。
私はなんてことをしてしまったのでしょう。あれから三日、横で眠る彼女を見ながら私は自分がしていたことを深く後悔していた。私は雫に固執するあまり周りを見ていなかった、雫はそれを自分のせいだと思い込んで私から離れようとし、こんな怪我を負ってしまった。あぁ私は馬鹿だ。心が読めるはずなのに、わかっていたはずなのに、自分を抑えることが出来なかった。
結果がこれだ、また大切な人を傷つけてしまった。雫をここまで追い詰めてしまった。
「ん。・・・さと、り?」
雫が目を覚ました。心のうちから熱いものが沸いてくる。よかった、本当にほんとうによかった・・・っ!
「あっ、な・・・泣かないで。」
雫が私の頬に手を添える。その手はとても温かくて、心地よくて、何度も止めようとしたはずの涙が止まってくれない。雫は困ったような顔を浮かべながら私を抱きしめ背中をさすってくれる。
不思議と気分が落ち着いてくる。
「ごめんなさい、さとり様」
雫の一言に私はハッと顔を上げる、彼女は今何を考えている?やっぱりここを離れて暮らしたいというのだろうか?いやっ、いやだ、いやだ、いやだっ!それは、それだけは・・・っ!
私の顔からはすっかり血の気が引いていた。急に頭が痛くなる。動悸がして、いやな汗が流れてくる。息がうまく出来ない。
「これからはずっと一緒にいるから、そんな顔しないで?さとり様」
あ、あぁ。雫、しずくぅ・・・!
「ごめんなさい、ごめんなさい、しずく・・・っごめんなさい!」
私はひたすらに謝り続ける。・・・それは最低な私を、雫の今の状態を知っていながら、心からここに残ることを決めた雫に喜んでいる最低な私を許してもらうため。自分の状態を知らない、もう二度と自分の足で歩く事すらできない事を知らない雫が私のもとに居続けてくれると言ってくれたことに私は歓喜に打ち震えていた。
もう離さない、絶対に彼女を誰かに渡すものか。
私は雫の胸の中で謝りながら、泣きながら、笑っていた。