せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜 作:囚人番号虚数番
「……んん?あれ、ここは……?あれ?ミツキさん?」
「王立の病院だ」
知らないベッドの上で目が覚めた。病院だろうか、白を基調とした清潔な部屋にベッド、それと花瓶の置かれた木製のサイドテーブルとシンプルな部屋。
「私、どれくらい寝てましたか?」
「約三日だ。その間ずっと寝っぱなし」
あの後私の身は救護班の手に渡りここへ担ぎ込まれて治療を受けたらしい。怪我のほどは上位の回復術師数人がかりで約2日、要求される技術精度と傷の具合にしては早いほうだそう。
「ありがとうございます。態々私の為に何人も動いてくれて」
「それよりも、だ。セレネ、何故あの場で自分に回復魔法を使わなかった?お前じゃ治せない物とかだったのか?」
「いいえ、私なら……命が保証されるまでに治すには多分10秒もかからないかと……」
「じゃあ何で余計に使わなかったんだよ!!こっちは心配したんだぞ!!」
ミツキさんは大声で私を怒鳴りつける。これについては何も言い返せない。
「……聖典には」
「聖典?ああ、お前前は修道女だったんだよな。それが?」
「強きものは弱きものを守れ、強き力を持つものはその力に溺れる事なく奉仕に尽くせ、とあるので……それに従ったまでです」
消えかかった声でそう呟く。暫くの間、私達は互いに何も言えずにいた。
「……セレネは優しいんだな」
「そんな、私には勿体ないですよ。その言葉は自分にかけてあげてください」
コンコンコン
「回診に来ました」
医者が来た。女性の声だから看護の方かも。
「誰かいらしましたね。入って、どうぞ」
「あの声どこかで聞いたことがあるような?」
ガラガラガラ
「おー?その様子だと目は覚めたみたいだね。おはよう」
入ってきたのは病院の方?だった。どこかで見たような顔だし服装もお医者様にしては少し変わっている。
「ちょっ!おま!?」
「ふふふ、まさかここでナース服を拝めるなんて思ってなかっただろう?ミツキくん」
「それもそうだが……お前は闘技場の案内人!?」
「イェスアイアム。僕だよ」
ああ!!確かに指摘されてみればあの黒髪のきれいな彼女である。
「闘技場の……案内の方が何故ここへ?」
「闘技場でのゴタゴタは私の管轄下でね。上から責任撮ってこーいって言われて下請けという名の部下に仕事全投げしてお見舞いに来ちゃった」
「お仕事はちゃんとしなきゃ駄目ですよ」
「それよりも体の方は?結構ひどい怪我だったけど実は知らない所で治ってなかったりしてない?」
「多分平気です」
「ところで、来てるのはお前だけか?」
ミツキさんが彼女に尋ねた。多分今病室の外から少人数の足音が聞こえるから彼らの事を聞いているのかも知れない。静かな室内だと遠くの音が響いてよく聞こえる。
「ああ、それならそろそろ……」
ガラガラガラ
「始めまして聖女ちゃん。リューナちゃんがやって来ましたよー!!」
「煩いですよ。ここは病院内なので静かにして下さいこの『自主規制』」
今度はノックもせずに人が入ってきた。
一人は三日前に手合わせしたルナシーさん、もう一人は初めて見る顔だ。
「リューナさんですか、始めまして。セレネ ブラインドと申します」
「知ってるよ、だって貴方有名人だもの。私は賢者という名前の天才魔女っ子リューナ クロートザックちゃん!よろしくね!」
彼女は青い長髪で碧眼の綺麗な女性だ。綺麗といっても案内人とは違って大人の美しさが大部分を占める。高身長、豊満で出るところはしっかり出ていて、かつそれでいて絞れる所は絞られている正に美人を体現した人。なんだけど……その……
「リューナさん19歳らしいですよね。その年でその自己紹介は無いです」
「19!?おいおいおいルナシー本当か!?そりゃ少し……大分やべえな……」
「うん、胸囲の驚異はミツキ君には少々刺激が強すぎたかな?」
ルナシーさんとミツキさんはリューナさんのセンスにドン引きしている。一人は胸に驚いたらしい。うん、そうだ。私もそう思う。彼女は外見と年齢に対して感性の部分が致命的におかしい。
賢者ではなく魔法使い自称する様に身の丈ほどの物々しい杖を背中に担いでいる。さらに服やその杖からに膨大な魔力が内包されているらしく特に何もしてなくても魔力的な存在感が絶えず発生してる。頭にかぶる大きな帽子も本でよく見るそれらしい。
だけど、何というか……ポップな水色のカラーリングでそれでいて出るところが出た構成された際どいデザインなのだ。色合いだけならルナシーさんくらいの子供に似合うのに踊り子のように扇情的な……その……ああっ!!羞恥心が働いてまともに明言できない!なんで!?
「えっとその、可愛らしい服ですね」
フリーズしかかった頭から遂に出た言葉がこれだ。我ながら恥ずかしい事この上ない。
「セレネさん、多分これ無理しなくていい奴です。私はさんざん言ってきたので容赦なく言ってやってください」
「これ。前どこかで見たことあるぞ。これが魔法少女ってやつなのか?いや違う、絶対違う」
「彼女これで職場に行けるんだから世界は広いよね。僕の職場もこういうの欲しいな」
唯一案内人さんだけは楽しそうである。見かけによらず彼女もそちら側の人間なのだろうか。
「さて、全員揃ったことだし今度は私のターンかな」
案内人さんが病室から居なくなっていた。行き先も伝えず何処かに行ってしまっから多分仕事に戻ったのだろう。
「いや、僕はまだ仕事に行かないよ?君達には話があるし」
あ、何だ扉の前にいたのか。
「あの、私達と話すのも良いのですがそろそろお仕事に戻られたほうが……」
「いいや、これからが私の仕事さ」
彼女が扉を開くとそこには闘技場のあの黒い姿の彼女が。まさかあの一瞬で早着替えを?
「それじゃここに勇者『5人』が揃ったことだしこの場で自己紹介でもしようよ」
次回ポロリもあるよ