せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜 作:囚人番号虚数番
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「という訳で話は終わり。情報が少ない分しっかり準備して協力して倒そうね」
話も終わり続々とみんなが出ていく。
「さて、僕も雑務に戻るかな」
最後に部屋を出たのがガサツなルナシーだったからドアが開けっ放しだ。椅子を立ち閉めに行く。
「あ、すみません。閉められると私が出られませんからまた開けてもらえませんか」
「あ、ルナちゃんの狼。ごめんね」
会話中に全く入って来なかったから存在を忘れていた。
「ごめんね、今開けるから」
「やっぱりいいです。この際に個人的に聞きたいことを聞きます」
狼が個人的に聞きたいこととは何だろう。せっかく立ったのにまた椅子に座り直す。
「それで、聞きたいことって?」
「お嬢について少し。私は今こそ王都まで来て嬢のパートナーとなってますが元はそこらの狼です。なので恥ずかしながら世間知らずもいいところだからお聞きしたいです。うちの嬢ってそんな、国家レベルで強い者なのですか。てっきりギルドの冒険者はもっと強いのかと救いを求めてました」
「あんなのが何人もいたら嫌でしょ?」
「はい。そして何故ギルドにはその様な方々が少ないのですか?勇者様という最上級の方よりも更に強いとされる者がいるのに不思議です。軍は嬢や他の人を採用しているのに」
「うーん、ギルドの事情に関しては僕もあまり詳しくはないから知ってる事だけでいい?」
「はい」
「結論を言うとギルドのバランスが崩壊しちゃうから」
「バランス、すみません。私にはよく分からないのでもう少し詳しく教えて頂けませんか」
「ギルドの冒険者のランク付けがどうなってるか知ってる?」
「貴方方の会話を聞いている限り技量別に分けられて上限がS、下限はDかEといったところですか?」
「正解。だから皆がみんな強い訳じゃなくて、例えば一番下のEランクは素材の回収をしたり逆にC位からは何かを討伐する事が目的の依頼をこなしたりするんだ」
「それで、何故それがバランスの崩壊に繋がるのですか?」
「Sランク、もしくは一部のAランク用のミッションに禁忌指定の生物の依頼があってね。それが絡む」
「禁忌指定……嬢の母様ですね。私も面識がありますが実に恐ろしい方でした。あの嬢が手も足も出なかったのは驚きというより畏敬すらしましたね」
「よく生きてたねそれ……で、実はギルドのランクとは別に裏レートみたいなのがあってね。ちょっと待って、表があるから……よし、これだ」
パラッ
「E〜Sとは別にα〜ηが追加されてますね」
「これは禁忌用のレート、通称OVER JOYっていうS=αを基準にした禁忌指定生物用の難度表」
「……こころなしか禁忌指定生物、多くないですか?」
「そうだよ。一般には知られてないだけでこの世界には神話級の生物はそのへんにいるの。一般にはその危険性故に徹底的な規制やカバーストーリーが敷かれてるけど僕達みたいな国の上層とか学者には逆に必須の知識、こいつら一匹で戦況がほんとに変動するから」
「因みに各レートの強さの基準はどの様に?」
「αβはギルドならSランク集団、もしくは個人に相当する。普通の竜とか強めの人外もこの辺りだからギルドにたまに依頼が入るって印象。
γδだと神話とか民話とかその辺りに出てきたりする有名な生物になるよ。正直αには手が出せないね。
εζにもなると普通に生きてる生物は全くいない、大体δ、弱くてβが修行の末到達する領域。
……ηは君もよく知ってる人物だね。これだけは事情によりギルドに常設の依頼が入ってる」
「ηって一番強い……ってこれお嬢のお母様ですね。そこまでして戦いたいのですかあの人」
「因みにその下のζにはルナシー本人と友達の『狩人』、二類禁忌指定入りした黒き森がαにある。ほんと……あの家系、土地柄のおかげもあって戦闘狂しかいないからこうなるんだよ」
「そういう事でしたか」
「他には禁忌の希少性を維持する為ってのもあるけどね」
「他の勇者の方々もこのレートに載るくらいには強いですか?」
「ミツキ君含め転生者がαの底辺。
リューナちゃんとセレネちゃんはγとδの境界位、多分α組と比べたら全く相手にならないかも。
逆にルナちゃんと二人の差はバフの乗り方と状態によってマチマチ。ほらこことここにある」
「(転生者?)ありがとうございます。賢者様とお嬢は闘技場で互角でしたものね」
「防御魔法に加えてあれだけのバフデバフ、弾幕量を考えるとあれで丁度いいのかな。両者攻撃特化ならルナちゃんの独壇場だったし盛り上がって良かった」
「……もしかして戦争に呼ばれた人達ってこの表から選別しました?」
「多少はね。癖の少ないメンツのつもりだったけどそうじゃ無かったみたい。君もあんな飼い主に関わってよく生きてられるよね」
「お嬢は飼い主ではないです」
「?」
「拉致られました。元から知り合いではありましたがここへ来るときに誰よりも会話がマトモにできるって理由で嬢に」
「ええ……彼女らしい」
ガチャ
「まだここに居たんですか、狼さん」
「あ、お嬢。私も同行するんです?」
「当たり前じゃないですか。貴方は私のペットですからね」
「勝手に拉致られたって僕は聞いたけど……」
「……狼さん。……ま、それも間違えじゃないので追求はしません」
「本当なんだ……」
「で、ここで何してるんですか?」
「うーん、有り体に言えば質問コーナー?」
「あ、そうですか。……この際に私もいいですか?」
「いいよ、僕も君が何知りたいか気になるし」
「お嬢にしては珍しい」
「黙って下さい。この国の軍は強いですか?ギルドみたいな腰抜けばかりだったら戦争ついでに壊滅させます」
「あははっ。面白いこというね。でも残念、上層にも君にとっては不十分な弱いのしかいないよ。でもその分平均が高い」
「兵の方はわかりました。他は?」
「家の国家の十八番の魔法をベースに軍事を進めてる。ついでに産業で魔法も使ってるから金持ちがこぞって研究して更にインフレする。それに釣られて他分野も研究が進んで軍事転用してる魔法の研究は家がトップさ」
「でも前に軍の大隊壊滅させた時ほぼほぼ歩兵……あっ」
「聞かなかったことにする。で、君の事だ。お相手のことは?」
「勿論」
「敵国は兵自体は弱いよ。だけどあっちにはこっちとは違って工業力がある。だから兵士というよりかは兵器が強い」
「それはOVER JOYで表すとどれ位に?」「狼さん、おーばーなんとかって何です?」「あなた用の強さランキングですかね」
「彼らが戦う事になるのだけに絞るならαかβからδ……かな」
「そういえばその兵器って……アレですか?以前見たことありましたけど……彼女に言わなくていいんですか?」
「面白そうだし放置で」
「分かりました。狼さん。行きますよ」
「はい」
バタン パリーン!!
「……窓でも割ったかな」
次回「谷の村編」
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