せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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そして私は魔法を構える

現在3名死亡。戦闘参加人数は7+1名から4+1名へと減少。結果的に。ナツメさんや他の方の予想道理ミツキさんの仲間は皆死んだ。

 

私のせいだ。私の回復が、強化が追いつかなかったから彼女たちは死亡したのだ。

 

たけど後悔しても今は仕方がない。今は今やるべきことをしないとまた死者が出る。私は皆さんに更に強い【自然回復力強化】や諸々の防御強化の処理加える。

 

キシャァァァァア

 

「くっ……ボス特有の第二形態……初ボスなのにずるいぞこの蛇野郎!!」

 

「無能、煩い。別に戦えていいじゃないですか」

 

「それよりも攻撃攻撃!ほら、突っ込んできてる!」

 

そして、蛇との第2ラウンドが始まった。

 

私がやるべき事は1つではない。2つ目は……逃げる。彼らの戦いにマトモに参加していれば命が何個あっても足りない。

 

「すみません、皆さん頼みます!」

 

「セレネちゃん!?お姉さんと戦おうよ!」

 

「ええ、だから逃げながら戦います」【日蝕 クローズドアイズ】

 

私もただ命惜しさに逃げる訳ではない。私は蛇の頭部に【日蝕】を仕込む。蛇は視覚こそ未発達意外と夜目が効く生物だ、ならばいっそ明るくしてしまえばいいと考える。私は蛇の顔にかかる光の一部を電波に変えて視界を奪った。なお可逆的な反応にしている為蛇以外の視界は正常だ。

 

蛇は突然の強い光に動きが一瞬鈍る。

 

「ほう、光で目潰しですか。考えましたね」

 

「私は援助に回るので戦闘は頼みます!」

 

「分かったよセレネちゃん!」

 

【2nd=秒針】

 

【餓狼ノ型】

 

ーーー

 

こうして戦いは再び始まった。弾幕とルナシーさんの斬撃が飛び交う戦場。一触即発の戦いが繰り広げられている。

 

「それっ新しい弾幕だよ!蛇さんは避けられるかな?」

 

【5th=水時計】

 

リューナさんは更に追加の弾幕を張る。水属性の魔法らしく大小様々な黄緑のシャボン玉を発生させる。

 

しかし

 

「おっそ。リューナやる気あります?」ギギギ……

 

弾幕自体の速度が遅い。噛みつかれるのを剣で防いでいるルナシーさんにツッコミを入れられる程に遅い。当然蛇にとっても生ぬるく尻尾で突かれてシャボン玉らしく儚く割れる。

 

「おい!割られたけど平気か!?」

 

「うん、『計算通り』。すぐに分かるよ」

 

確かに結果は出ている。シャボンを割った蛇の尻尾から白い煙が出ている。

 

「(『酸のシャボン』私の魔導書にあったけどもう覚えたんですか!?でもありがたいです。腐っていても肉は肉、十分過ぎるほどの効果がある!)」

 

無数のシャボンで蛇は泡まみれとなり全身から煙が上がる。時間経過で目に見える速度で、肉が溶けて小さくなっていく。

 

「よーし、これでリューナちゃんの……」

 

だが、それまでだった。酸は効果的だったが十秒程勢いよく上がっていた煙が急に止む。

 

「ちょちょ!?」

 

キシャァァァァア!

 

しかも肉か溶解したダメージを無視して突っ込んできた。まだシャボンが落ちきらず泡だらけの巨体はかすっただけで大変な事態になる。更に悪いことに水魔法のせいで滑ってスピードが早い。

 

「あわわっ……!」

 

【No.時間停止】

 

カチッ

 

【解除】

 

ドゴーン! バキバキバキっ

 

 

ずざぁぁぁぁ……

 

「っぶな!ヘビちゃん強すぎ!でもなんとか回避できた!」

 

何本もの木を巻き込んで蛇は虚空に突進する。

 

「聖女様、今彼女ワープしませんでした」「彼女は時間を止められるんです。制限はありますが」

 

だけれど何故彼女の酸の玉が急に効かなくなったのか?単に酸の量の問題か?それとも何か原因があるのか、不自然な事だ。何かしら確かめるべき。

 

「狼さん、セレネにも忠告します。何かやる気のようですが私の邪魔は止めてくださいね」

 

「それならあの泡を剥がして「分かりました」

 

彼女は私の言葉が終わる前に蛇へ向かっていった。双頭で複雑さを増した蛇の猛攻を剣で捌きつつ距離を詰めていく。

 

「(まだやり合うんですか蛇野郎、ならその頭また引き裂いてやりますよ、っとここで新しい攻撃か)」

 

ヒュンッ

 

蛇の全身から何かが飛んできた。ルナシーさんはそれを大剣で弾き飛ばし、私はリューナさんの分も含めてまとめて防御魔法で防ぐ。

 

「セレネちゃんないす!蛇が弾幕なんてよく考えるね!」

 

「私達の真似事でしょうか。あの蛇は私達が想定しているよりも頭が良さそうです。余計に気をつけないと……ってこの弾幕……ルナシーさん!」

 

 

 

蛇の弾幕は効果が薄くルナシーさんの接近を許した。ここがチャンスと彼女は二股の付け根を両断できる立ち位置へスタンバイ。

 

「弾幕の為に機動を落とした事、感謝してますよクソ野郎っ!」

 

高速からの急停止で溜められた足のバネ、それと剣の重量を使い飛び上がる。そして彼女は力を込めて一撃を叩き込む。

 

 

 

バキィッ!!

 

「あ?」

 

そこで、予想し得ない事態が起きた。彼女が振り下ろした剣は蛇に当たった、そして柄だけは彼女の手とともに蛇を切り刻むに適した軌道を通るが刃だけは明後日の方向へ飛んでいき近くの木に刺さる。彼女には普段なら理解し難いそれを戦いで加速した意識によりその意味を理解する。

 

「っ!ここで折れやがったあのなまく……」

 

「ルナシーさん避けて!」

 

彼女が動揺で状況が読み取れなかった僅かな時間で木に刺さった刃が独りでに抜ける。そして意思を持ったかのように彼女へ向けて高速で飛んだ。

 

不幸な事に今の彼女の体は空中。加えて視界外からの攻撃ともあり避ける事は至難の業だ。身をよじらせ回避する時間もなく背中から剣の巨大な刃が貫通する。

 

「ゔっ……クソっ剣が背中に……何故……!?」

 

「ルナシーさん、離脱して下さい!」【回復魔法】

 

「『髪の毛』だ!ルナちゃんを襲ったのは操られた『髪の毛』だっ!!」

 

地面に衝突し鉄屑となったそれには無数の髪が付着していた。私は見切る事ができなかったのだがリューナさん曰く蛇は「刃に付着した髪が動き彼女自身の認識速度ギリギリの速度で刃を投げた」そうだ。嫌な予感はしていたけれど、やっぱりあの蛇は体内にある髪を操ることができる。

 

剣に髪を付着させたのは1回目は弾幕を弾いた時、あの時私達は魔法により「平面」での防御をした。大して彼女は剣、「比較的複雑な立体」での防御であり細かい隙間に髪が付着した。既に散々肉を切ったことでこびりついた汚れと絡まって髪を落としきれていなかった。

 

そして2回目はちょうど今、蛇を切った時。

 

「離脱なんて言われなくても……」

 

体を貫かれてもなお彼女は蛇から離れない。いや離れられないのだ。髪の毛が付着したのは剣の刃だけではない、当然柄にも少量だが付いてしまっている。それが致命的だった。

 

「あなた達が指す『髪』のせいでこっちは苦労してるのに」ギギギ……

 

彼女の腕は柄に付いていた髪に巻き付かれ締め付けられていた。

 

「(この『髪』全力で引っ張ってるのに千切れるどころか伸びすらしません。これ本当に髪の毛……いやなんの繊維ですか?)」

 

まるで深く大地に根付いた大木を引き抜いている感覚である。髪は巻き付くだけでなく肌の下に潜り込もうし、無数の針が手に刺さる痛みもする。その痛みも上へと、頭の方へと向かおうとしている。

 

「しかもこれ爆発するんですよね。そうなると流石の私でもちょっと不味いですね」「お嬢もしかして意外と余裕なんですか」「勿論」

 

 

 

パァン!

 

 

ルナシーさんは無情にも爆発した。彼女らと同様、彼女も……

 

 

「ルナちゃん!」「ああ……ルナシー……さん……」

 

「お二人共、お嬢なら無事です」「そうですよ。何処かの戦闘に参加してないチキンと違って私は丈夫ですから」

 

気が付かないうちにルナシーさんは私達の後にいた。剣を持っていたには蛇の「髪」が刺さっている。ルナシーさんは爆発の前に折れた剣を捨て空いている手を使い鉈でそれを切断したそうだ。剣より切れ味の良い鉈とは。そして片手には……

 

「セレネ、これ」

 

彼女からヌルヌルする薄く黒い塊を手渡された。

 

「これは?」

 

「アレの表皮です。ヌルヌルして気持ち悪いのでしばらく触らないでくださいね」「お嬢、それ泡で手が溶けてます」「……初めて知りました」

 

「どうしてこれを私に……」

 

「目的は未達成ですがこれ以上どうしょうもないのでね。これで頑張ってください」

 

「どうしょうもないって、回復が必要で?って【回復魔法】。ルナシー体は……」

 

「回復なんて唾付けとけば治るから要らないのに。剣が折れたので」

 

「あ、それは……つまり、この場ではもう戦えないんですか?」

 

「いえ、萎えました」「え、お嬢まさか」「という訳で帰ります、お元気で。狼さん」「ちょ、待っ」

 

「ルナちゃん、戦いから逃げる気なの!」

 

私もそうだがリューナさんが止めに入り……

 

「逃げるならミツキも連れてって。戦えないなら今は要らない。戦いは私達で終わらせる!」

 

「リューナさん!?」

 

その言葉を聞いた後彼女は狼さんにミツキさんを無理矢理加えさせて森の外へと走って向かった。戦いはスタート時からかなり不利なっている。それなのにこれ以上の人員を減らすなんて。

 

「セレネちゃん、よく考えて。ルナシーちゃんって自分勝手でしょ?」

 

「でも……」

 

「やりたい事を思いついたらテコでも動かないと思うし帰らせたほうがいいなって」

 

「被害って……今ここで襲われてる事より優先するべきなんですか!?」

 

キシャァァァァア!

 

話し込んでいる私達に蛇がしびれを切らして攻撃をしてきた。話し込んでいる場合手でははない再び支援に戻らないと。

 

「セレネちゃん、最後にこれだけ!ルナちゃんの火力ソースが使えない今私達がその火力を叩き出さないと駄目、だから高出力魔法使用固定の耐久勝負になるよ。リューナちゃん魔法効率悪いから私はすぐに離脱する、だからセレネちゃんも頑張って、じゃないね」

 

【移動速度強化】

 

「リューナちゃん『守る為に戦って』!」

 

 

 

神は己の戦いに力を使う事は許さない。だが抗うべき運命と他者の為の争いならば大いにその力を振るいなさい。

 

私が戦える唯一の例外。その言葉が頭によぎる。

 

 

 

リューナさんによって私にバフが与えられた。守る……そうだ、守らないと。ここからは私も戦闘に参加しなければ、でないと死体の山の人々、これからここへ来る者、それと死んでいったミツキさんの仲間に失礼だ。これはここまで追い詰められて初めて覚悟を決める。

 

「…………リューナさんもどうかご無事で!」

 

【光柱 ピラーオブムーンライト】

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  • 狼さん
  • ミツキ
  • ナツメ
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