せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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竹藪の蛇は燎原に燃ゆ

爆発と炎で騒がしい森。木々はなぎ倒されて絶えず赤々とている。その代わりに忌々しい炭色の竹が森をを埋め尽くす。これらが全て爆発物だと思うと気が重い。

 

「(思うと、というより既に爆発しているのほうがあってますけれどね)」

 

私達が奥地へ向かうのを竹は阻止するのに触手のように全方位から茎を伸ばしてくる。進行方向とは関係なしにほぼ均等に攻撃くるからルナシーの進む方に本当に本体がいるのか怪しく感じる。けど魔力も段々と強くなってるからいる事は確信できる。

 

「セレネ、前方は私が対処します、後方と遠方は任せました」

 

「お嬢が後方支援をご所望です」「はい!弾幕張ります!」

 

狼の上で後ろに向き攻撃を確認する。上方からは爆発する繊維の弾が、地面からは先の尖った竹の槍が私達を追う。スピードはぎりぎり逃げられているようなものでハラハラする。

 

「狼さん、反撃が来たら攻撃の方向を指示するので回避をお願いします」「お安い御用です。聖女様のお命は守り通します」

 

【光柱 ピラーオブムーンライト】【流星 ラピッドスターダスト】

 

下方からの攻撃はレーザーで大胆に確実に焼き払い処理し上からの弾幕は高密度の弾幕で打ち消す。どちらの弾幕も三日間の解析で得た魔力のデータを参考にした魔力感知型の誘導を施している。若干の曲線軌道を描きながら全弾はそれらの攻撃に当たり相殺した。

 

ドオォカァァァン!!

 

「よし手応えありました!……って反撃来た!」

 

地面の方の竹槍の動きが変わって竹槍が地面から出てこなくなった。しかし魔力での感知に未だ掛かっているから追いかけて来るのには変わりない。高速で地面を掘り進めながら潜伏している。私達を下から突き上げて串刺しにするつもりだ。

 

「狼さん、下から来ます。タイミングは伝えるので」

 

「はい、聖女様もしっかり捕まっていてください」

 

速度と進行方向をよく観察して回避するタイミングを見極める。地面の質によって竹は加速度と進行方向が微妙に変わり攻撃なのかただの移動か判別しづらい。竹の先がに右下に向き地面のさらに深くへ潜る。そして微妙に上向きに変わり竹は急加速し始めた。

 

「狼さん、今です!みg……左から来ます!」

 

「分かりました」

 

直後、狼さんから見て左後ろから高速で生えてきた。刃物にも引けを取らない鋭さの竹の槍が彼に一直線に伸びていく。それを狼さんは俊敏なステップで全て回避した。私も少なくなった指の手で必死に狼さんの背中にしがみついて激しい動きに耐えた。

 

「聖女様、見事なご指示です」

 

「狼さんも中々の身のこなしです!でもまだまだ攻撃は来ます、次は右、左、左!」

 

ーーー

 

「……ちっ次から次へと小枝が来やがります」

 

彼女は前方より迫りくる竹の束をひたすら切り捨てていた。普通であれば鉈一つではリーチの長い竹槍相手には圧倒的不利な状況である。しかし彼女のスピードとパワーはそれを物ともせず近づく竹を一つ残らず木片に変えていく。当然、竹内部のガスも竹の破壊と同時に漏れ出し鉈の火花で引火して爆発する。

 

だが彼女はあえてそうした。爆発する前に走り抜け、逆に爆発の威力を推進力にしながら前へ前へと進み続ける。

 

ヒュンッ

 

後方の視覚から繊維弾が飛ばされる。それも彼女の異常な強さを学習し人一人を殺すには過剰の量の弾を散弾のようにばら撒き確実に殺す気でだ。

 

「遅い」

 

それでも彼女は難なく対処する。視覚外からの弾を一つだけ鉈の側面で弾き飛ばし別の弾に当てて軌道を変え被弾前に全弾を連鎖的に爆発させる。

 

「薪材風情が私に構うな、そんな事より本体までまだあるんですか……」

 

森に入り捜索を始めてから充分な時間は経った。普通であれば既に本体の位置に到達していてもおかしくない筈なのに本体との距離は一向に縮まらない。

 

「(……もしや、これ本体が逃げてる節がありますかね。どこまでも卑怯なやつです、私にまた頭を使わせやがって。森林破壊はあまり良くないって分かってるんですが……その喧嘩、私は敢えて買いましょう、南無三!)」

 

【貪狼ノ型】

 

彼女も本気を出し「本来の戦闘スタイル」へと立ち回りを変更した。鉈を握り直し姿勢を低くして構える。本能剥き出しの獣に近い異様な雰囲気の彼女はそのまま竹の作り出す地獄へと駆けていった。

 

「(こうゆう時って魔法みたくくっさい技とかあれば華がありますよね。あいにく定型なんかに頼れる戦闘はもう暫くしてないです)」

 

正面には針山の如き棘と炎渦巻く嵐、それと汚く爆破を撒き散らす弾幕の雨。彼女がその禍に鉈を一振りする。

 

ヒュッ……

 

ドォォォォオン!!

 

 

 

「(大きな爆風と爆発音!?)狼さん、前方から攻撃ですか!?」「いえ、お嬢が仕掛けたようです」

 

 

 

風音、切断、爆破、そして追撃

 

洗練された動きと鉈自体の切れ味はそれらを抵抗無しに一様に切り刻み塵へと還す。そのまま1本の糸をなぞるように次々と滑かな連続攻撃に転じた。

 

その彼女の走り抜けた後ろには爆風により燃えた木片が飛び散る。先程までもそうだったのだがより激しい攻撃から投げ出されたそれらは一つ一つが魔法の弾幕に相当する威力を発揮している。

 

「お嬢流れ弾キツイです」「百人斬り楽しいです」「あ、だめだこれ聞こえてない奴だ」

 

しかし、それを持ってしても距離は一向に遠いまま。ルナシーはそれについて確信している、セレネもこの事に違和感として気が付き始めた。もっとも彼女の場合は魔力を利用した正確な感知で一つの発見をした。

 

「(XY平面の速度は等速だけどZ軸は加速してる……より深い位置に潜ってる)」

 

地面の深くに埋まれば埋まるほど攻撃は届きにくくなる。早く対処しないと各種感知が出来なくなりどうしょうもなくなる。

 

と、その時彼女らの進行を妨げんとばかりに地下から何かがせり上がってきた。

 

「……聖女様、前方を!」

 

ーーー

 

後ろの防衛をしている最中狼さんが私に前を向くように言われた。後方からの猛攻を捌くのですらかなり厳しいのにルナシーの流れ弾の対処もするのか、そう思い向きを変える。

 

「なっ……これは……」

 

前を向くといつの間にか竹で編まれた高い壁が高くそびえ立っていた。壁はどの木よりも高いのに土をボロボロ落としながらどんどん高くなっていく。

 

「これは……?」「先程突然生えてきました。迂回します」

 

「っちい!そんな板材だけで防げると思ってんのかこの野郎、考え甘い!」

 

ルナシーさんはそのまま壁に突っ込んで網目の隙間に鉈を刺し、そこから持ち前の力で大穴を無理やり作って奥へと突き進む。

 

「ああ……待ってくださいルナシー!!」

 

開けられた穴は少女の小柄な身が通れるだけの小さな穴、すぐに伸びた竹に塞がれて元通りの黒い木の壁へと戻る。私も彼女を追おうと壁に魔法を撃ち込む。かなり強めに撃ったにも関わらず少しの穴が空いただけで瞬間的に再生される。

 

「(魔法のリミッターを外せば瞬間火力は足りるかも知れない……だけど貫通はそれはそれで周りの被害が……)」「聖女様?」

 

焦る私に狼さんが心配する。そうだ一旦冷静になれ……取り敢えず敵位置は分かる。それなら彼女を無理をしてまで追う必要はない。いやいや、竹本体が壁の向こうにあるから討伐には必然的に彼女を追うことも付随する。たから早く彼女を追いかけないと。

 

だがどうそれをする?迂回をするのが確実な手段だが時間がかかる。地面を掘って下からというのは地面には茎が張り巡らされている以上危険極まりない。

 

 

残された手は……よし、ある。……あ、しかも壁どころかこれ……このまま勝てるかもしれない!

 

 

「狼さん、迂回をするのは止めてもう本体を叩くのでも宜しいでしょうか」「承りました。ですが迂回せずにどうこの壁を突破するのですか?」

 

私達の後ろには竹槍と弾幕がすぐそこまで迫っている。壁と攻撃の雨嵐との板挟みで避けられる場所もない。

 

「狼さん、かなり厳しい事を要求してもいいですか」「ええ、無茶はお嬢で慣れてますから」「なら……後から来る竹槍がありますよね。その上を飛び移って壁の上位まで行けますか」

 

彼は沈黙して考え、壁と竹槍をチラ見してから答えた。

 

「……やってみます。それではしっかり捕まって」「はい!ってうわわ!」

 

狼さんは急停止して攻撃を迎え撃つ。敢えて竹の槍を誘導して出来るだけ多くの「足場」を待つ。

 

竹が弾幕を張り竹槍を地面から伸ばす。狼さんはその場で飛び上がり丈の壁にそれらをぶつける。竹は自身の威力を殺しきれず竹の壁にそれらの攻撃が貫通して刺さる。貫通した攻撃はその壁の過剰な崩壊を避けるのに爆破ができず穴をあける訳にもいかないのでそのまま。

 

そこを足場にして私達は上へ上へと上がり続ける。私達が上へと上がれば追撃も自然と上へと向き、それを足場にして更に上に飛び上がる。槍はともかく弾幕は足場にもできず私達を直接狙うのでそれは私の弾幕で撃ち落としなんとか攻撃を受けていない。

 

「(私と狼さんって意外と相性がいいかもしれません。ルナシーさんとは散々ですが彼とはいい友達になれますね)狼さん!そろそろです!」

 

気がつけば地面からかなり遠いところにいた。壁は既に眼下、これ以上の上昇もいらない。狼さんはそこからこの壁を越えようとした。

 

「狼さん、ありがとうございます。ここからは私一人で何とかします」

 

私は狼さんとは壁の中には行かず狼さんの大きな背中から飛び降りた。狼さんはその行動に驚いた拍子に足を滑らせ落ちていく。私にとっては視界外の話になるから安全は確認してないが多分彼は安全だろう、危なそうな声や被弾の音はしてない。それに私の方が危ない、もしくは倒せる奴から倒すという方針らしくさっきまで狼さんに集約されていた攻撃が全て私に来ている。

 

だがそれが今は好都合。私は自身に【火耐性】【対物耐性強化】を付与した。そして……

 

「(ああ……神のご加護がありますように)」

 

その小さな身一身に攻撃を受ける。光と轟音と爆発が私を包む。苦痛で飛びかける意識。耐性を付与したので焦げはしないけれど文字通り体が焼けるように熱い。爆発の威力も凄まじく四肢が裂けるみたいだ。

 

 

ーーー

 

パァァァァァァァンッ!!

 

「!?セレネ……あこれは死にましたね」ザクザク

 

一方、戦闘中のルナシーはその音を聞いて彼女の死を誤認していた。

 

ーーー

 

「(だけと……計算通り!)」

 

爆発の威力は凄まじく予想通り私を空中へと高速で吹き飛ばした。よし、ダメージ量は低いとは言い難いがこれで高度は稼げた。現在の私の高度は詳しくは分からないけれど人生でも経験したことの無い街の家々や修道院よりも遥かに高高度、見渡せる範囲は壁の高さの目じゃない。私はそこからルナシーさんと竹の本体を探し出す。

 

「(竹はかなり深い位置、だけと水平距離自体は鋭角で撃ち込める。ルナシーは……いた!)」

 

遠距離から【感知感度強化】をルナシーに掛ける。死人だと認識していた私からのバフに彼女は一瞬驚いたらしく大きく動く。そして上空の星に紛れた私を見つけてこちらと目があった。そして私は叫ぶ。

 

「ルナシーさん、攻撃準備お願いしまあぁぁす!あと少し離れてくださぁぁぁぁい!!」

 

「……何か知らないけどトドメは譲れ!」

 

爆音にノイズみたいな小さな返事が聞こえた。意思疎通ができてるかは別の話だけど私は最後の攻撃を開始する。

 

「(……リミッター解除、出力上限120%まで拡張)」

 

爆破が与えた初速はまだ重力加速度に負けていない。溜められる時間は……5秒位?戦闘内にしては多すぎるくらいの時間。私は片手に魔力を目一杯流し込む。私達の為に森に来た兵士な皆さん、死んでしまった冒険者の彼女ら、急襲で亡くなってしまった村の方々そしてそれと……今から殺す竹の事を思う。これが怒りなのか悲しみなのか分からない、しかし思えば思うほど体から自然と力が湧く。いつの間にか展開した魔法の式は巨大で、魔力に満ちて、幾何学的で神聖な美しさとなっていた。

 

「……ごめんなさい。そしてどうか天国への導きがありますように」

 

【光柱 ピラーオブムーンライト】EXTENDED

 

手に力を入れて魔法を作動させる。自分でも作動させるのが初めての魔力の出力、前のミツキさんとの実験よりも遥かに高出力の魔法が今、私の手の内にある。そう思うと恐怖も感じるがそれ以上に興奮が上回る。

 

ーーーー!!

 

光の柱が無音で地面を貫く。竹は光を防ごうと攻撃に回していた竹を防御に回して強固な防壁を作り出した。しかしそれは私の魔法の前には無意味であり牛乳の膜を破るみたいにあっけなく破れる。そしてそのまま半径50m程の超広範囲の竹や木々を消滅させ光へと変換しながらとなり消し去っていく。

 

上昇が落下に転じた頃魔法が撃ち終わり光が消えて地の底が見える。暗い穴の下には肉とも植物の根の塊とも捉えられる醜悪な蠢く塊があった。あれが本体だと確信する。私の強めの攻撃を耐えるなんてどれだけの耐久があるのだろう、もしかしたら魔法防御が高いのさも。けれどそれも関係無い。地上にてルナシーさんが動き始めた。

 

 

 

 

 

「なんつー魔法使いやがりますか。倒したと思ってビクビクしましたよ」

 

 

彼女は穴の中へと飛び込んだ。本体から直接生える無数の竹が彼女を刺し殺そうとするが彼女の攻撃速度の前では大した問題ではない。本体であってもこんなちゃちな強さだと彼女は落胆した。

 

「だけどこれで終わりです。ありがとうございました。死ね」

 

落下の威力を載せて鉈を振り下ろす。

 

私の予想は正解だった。彼女の放った斬撃は本体に簡単に通る。自身の体の中核の防御は脆くあの小さな刃でも巨体が大きな音を立てて暴れまわる程に致命的なダメージを与えた。暫くすると竹が急に静かになり、周りの竹が一斉に枯れていく。

 

「弾幕だけのつまらない奴でしたね。本番はこっからなのに死ぬだなんて生きる価値ありません」

 

 

ーーー

 

「…………」

 

………今度こそ、勝った?

 

地面に着地してから周りの状態を確かめる。上記の通り周りの竹は枯れて、伸びに伸びたせいで自重で折れてその上燃えて炭になっている。周りに自生する植物も戦いに巻き込まれたり竹に栄養を全て持っていかれ枯れたりで倒れている。もはやここは森とは言えないかもしれない、そんな状態だ。

 

「そうだ、ルナシーさんは……っ!?」

 

 

 

 

 

 

ヒュンッ ブスッ

 

「づっ!?」

 

まだ地面に潜伏していた竹が生きていたのか。見ていない方向の地面から繊維弾で撃たれた。倒したと安心しきっていた私は飛んできたそれに冷静になれず回避ではなく本能的に素手での防御を選択してしまった。当然左腕前腕部に刺さる。

 

「っあ!早く、早く抜かないと……」

 

しかし竹も死に活で必死に私の体内に入り込もうと不規則な動きで暴れてなかなか掴めない。しかも繊維自体の長さも短く掴める箇所もない。

 

「っ魔法でどうにか……あ"っづ!」

 

まずい……侵食が進んでる。このままだと私も死

 

 

 

 

 

 

パァンッ!




誤爆すみません

どのキャラが好きですか?

  • セレネ
  • リューナ
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  • 狼さん
  • ミツキ
  • ナツメ
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