せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜 作:囚人番号虚数番
現在位置 王都 ギルド 修練場
修練場、ここはギルドが作った冒険者の為の訓練の場所。しかし空き地のない王都で運動を促す為武器の訓練がしたい者に一般開放しているからか酒場とは違う意味で賑やかである。
「……で、お前はどうやったら聖女って認めるんだ?」
「そんな事はどうでもいい!いきなり何するんだ!」
「あの……ミツキさん」
「お?セレネから提案か?」
「あ、いえ、何でもありません」
私達の騒ぎを聞きつけたギルドの冒険者が集まりだした。彼らは私達がここで何かのパフォーマンスでもするような騒ぎようだ。
「えーと……どうしますか?」
「そうだな、こいつにあのレーザーでも撃ってみるか?コイツみたいな屑にはよく効くぞ」
えぇっ!?確かにここは修練場で魔法を練習した痕跡もあるからやっては良さそうだけれど彼が要求する威力はそんなものではない。危ない事人前でするものではないしそうゆう力は見世物ではなく誰かを守るのに使うのが正しいのである。
「だから、その、止めにしません?」
「んー……そうか?俺はこういう屑こそしっかり裁いて反省させるべきだと思うぞ」
そーだそーだー!勇者に歯向かうなー!
守られた恩を忘れたかー!
貧乳ー!
「ほら、周りの奴らだってそう言ってるじゃねーかって一人趣旨違ったぞ」
……どうしよう。このままの流れだと私が見世物みたいな扱いになりそう、というよりもうなっていそうだ。一応私が聖女であることを分からせる手はあるけどあまりやりたくは無い。けれど背に腹は代えられない。
「うーん、でもまずはもっと簡単なことからでやります」
私は大衆の目が届かないように壁際に彼を連れていく。そして……彼の手を左手に触れさせる。
「ヒッ……!」
「私達について調べたのなら戦地での事は知っている筈ですよね。もう分かりましたか?私もあんまりこう言うことはしたくないんですがこれが一番平和ですから」
彼はまるで幽霊を見たような目で私を見る。なんとも表現し難い恐怖に怯えて情けない顔だった。私がしたこととはいえ可哀想。すぐに彼を開放すると走って逃げ、すぐにミツキさんに捕まった。
「は、離してくれ!あいつが聖女だってことはよく分かった、だから頼む!」
「駄目だな。セレネ、もっとちゃんと分からせてやらないと、な?」
「…………」
「セレネ?」
「帰りましょう」
私は修練場の出口へと行こうとする。突然の事に周りがざわつく。ミツキさんも少し驚いて急いで私の左手を引き……袖にひらりとかわされてから気づいて右手を掴む。
「…………」
「どこへ行くんだ?俺と周りはまだ納得していない。お前だってまだ知りたい事とか言いたいことはあるはずだろ?」
当たり前だ。あんな事をされて本来は許されるわけがないだろう。でも、なぜだろう。今、この雰囲気でそれを認めてしまったら「どうなるのか分からない」、だけど「まず間違いなく悲劇的な事にしかならない」。
「そうですね、一理あります。彼とはしっかり話をつけた方がいいのかも知れません」
私は修練場の壁際で情けなく腰を抜かしている彼に再び近づく。
「一つだけ質問させてください」
「ひっ、ひいい……な、何なんだ!?」
「何故誤報を流したのか理由を教えていたただけますか」
真剣な眼差しで彼の目をじっと見つめる。彼は涙目になりながらこう喚いた。
「よ、嫁が病気なんだ。だから……つい治療費と名誉が欲しくて、な?」
「……………」
彼はすぐに自分が誰にそれを言ってしまったことを理解し再び慌てて言葉を撤回しようと試みる。私は彼を落ち着かせ今度こそ本当の事を話してもらう。
「金だ!それとこの記事を書いて名声を上げてもっと地位になって……お前らさえ来なければそうなっていたかもなあ!!あーあ、このクソッタレが!」
「チッ救いようがないなコイツ。セレネ」
ミツキさんは剣を取り出した。それに同調するように他の冒険者達も彼に冷たい視線を送る。
「はあ、そうですか」
私は自分の服のポケットを探る。そして財布を取り出し小銭を出して彼に渡した。
「手持ちが少なくてごめんなさい。今これくらいしかなくてこれしか出せないんです」
「……は?」
「セレネ!?」
一同が私の行動に驚く。
「これはあなたに差し上げます。だからその代わりに誤報をわざと流した事と謝罪文、それと正しい記事を書いて下さい」
「は?」
「書いて下さいね?」
「は、はひぃ……」
ミツキさんと周囲の冒険者らは困惑する者と少しの暴言を吐く者の2種になる。しかしどちらも私が修練場とギルドから出る道はしっかり開けてくれた。
「…………セレネはもっと強く出ればいいのに、勿体無い奴だ」
ーーー
「へー、そんな事があったとは。たいへんだったね」
現在位置 兵舎 ナツメ自室
私はナツメさんに事の顛末を伝えておいた。彼に頼んでギルドや他施設について今後このような事が起きないようにして欲しいと彼に要望を伝えた。彼は書類を何枚か取り出し「面倒くさいなこれ」と呟き部下に頼もうと書類を書こうとする手を止めた。
「二度とこんな事が無いようによろしくおねがいします」
「はいはーい。セレネちゃんも最難だね。左手がなくなったと思ったらこれだもん」
「全くです。でもこれで無気力さは紛れました。久々に魔法の研究をしましょうかね。今丁度リューナさんに誘われているんです」
「ついでに感知系の魔法を覚えてくるのもどうだい?サポートには良いんじゃないかな?知らないけど」
感知魔法か。ああ、そうゆうのを覚えるのも良いかもしれない。感知系があれば前回みたいな不意打ちも防げるし戦闘においても視覚外の敵にも対応できる。
「あ、それともう一つ」
「What?」
「ミツキさんについて質問があります」
「ミツキ君?彼がどうかしたのかい?」
「あまり大したことではないですけど本人に聞くのは失礼だと思いましてナツメさんに訪ねます
彼は『何者ですか?』」
「…………冒険者の筈だよ。君もよく知ってるでしょ?」
取り出した書類を仕舞いながら答える。構わず話を続けた。
「何もかも今日は何もかも不自然でした。何というか修正力とか話の流れとかそんな空気の流れに違和感を感じたんです」
「詳しく、ちょっと気になる」
「初めは彼と共にギルドへと事情を聞きに来たときです。彼はあの場についた途端大声で責任者を呼び出しました。普通誰かを呼び出す場合にはそれなりの事をする筈なので当然失礼です。しかも情報が十分に分かっていないのに勝手にギルドのせいと決めつけました」
「それはギルドも困っただろうね。勇者なんてVIP中のVIPがだとアポ無しでも断りづらそうだし。いっそ断れば良かったのに」
「広報の人もそうです。彼は何故私に気がつけなかったのか理解に苦しみます。私達について調べているなら顔やある程度の容姿、それと人柄位までなら予想が付きそうなものです。彼が嘘をついたとはいえ、いやあの嘘もかなり稚拙でつまらない様な詭弁です、なのにそれすらも見抜けない。情報を扱うものがそうだなんて普通考えられません」
「……誤報すら確認せず公布するギルドならそんなもんじゃない?」
「それもそうです。でも、それでも彼が怪しいんです。その後ミツキさんは彼を問い詰めようとしました。ですがその手法は少々よろしく無い方法でして、仕方なくあまり話もせずに恥ずかしながら帰ってきてしまいました」
「ちゃんと叱るときは叱らないと。優しいだけではこれからは難しいよ?」
「彼は暴力で訴えるつもりでした」
「……………それは、うん。それは彼が悪いね」
「何より怖いのが……『それらが全部正しいこととしてまかり通っていたんです』。周りは彼を止めずにただ一人を責めて……お願いです。彼は何者「セレネ君、部屋に戻って。君はまだ疲れているんだ、もう一度ゆっくり休むのを勧めるよ」
ーーー
ガチャ
私は彼に退出を求められ部屋を出る。
「(ミツキさん、ごめんなさい。私は貴方が正しい事をしているとはあの時思えませんでした)」
「お!セレネちゃんだ。なーにしてるのっ!」
私を見つけたリューナさんが私に抱きついてきた。久々に私を見てつい嬉しくなってやったとのこと。そしてそのまま彼女と魔法の研究をしに連れられていった。
やっぱり私の考えすぎだったのかな。
一方で部屋の中
「やっぱり。いつかやらかすとは思っていたんだよね」
彼は書くのをやめた書類を丸めて屑籠へと投げ捨てた。
「流石は無能といった所かな。やる事成すこと全てが悪い方向へと進んでいく、見てて飽きないよ」
「……その無能もここまで来ると面白いだけじゃなくて実用性が出てくるから更に面白い」
ふと彼は何かを思い出したかのように紙の山から一枚の資料をとった。
ーーー
不必要な資料の裏側より一部抜粋
「検閲済み」
ーーー
これは……なかなか
楽しみだよ
愛されて大変だね
セレネ他メンバー+ナツメの給料は平均より遥かにいい金額を貰っています。それでも彼女は仕送りと貯金と少額の研究費に使ってしまいお財布には最低限のお金しかありません。
多分これと前話はこの小説書いてからの屈指の糞回だと思う。
どのキャラが好きですか?
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セレネ
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リューナ
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ルナシー
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狼さん
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ミツキ
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ナツメ