せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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肉の月、血の星、弾の暗雲

現在時刻 某日 夜

 

現在位置 荒野 目的敵の敵都市部までの距離 遠

 

「(遂に来ました)」

 

私は耳元に張られた魔法を起動する。

 

「あーあー、聞こえますかー」

 

『バッチリ聞こえるよー!セレネちゃん久しぶりー!!』

 

『リューナさんボリューム、うるさいです』

 

通信魔法、服のついでにナツメさんが用意してくれたものだ。全員で敵を叩くなら必要だろうと魔法の写しをくれた。幸い意外とかんたんに使えたしそこそこのカスタムもできた。他の方にも同じ魔法を送ったらしい。魔法が使えないルナシーは専用の魔道具を使用して会話に参加する。

 

「皆さん遅くなりました。今日から私も戦闘に参加します」

 

『おー!待ってました!』

 

『盛り上がってる所に横槍入れるけど今日の戦略の確認をするよ』

 

ナツメさんも会話に参加してきた。いつまで経っても参加してこないミツキさんに疑問を持つが話を聞く。

 

ナツメさんの計画は私達が一斉に全方位から敵陣に向かい今晩中に敵都市に攻め込むというなんともロマン溢れる物だ。流石に無茶じゃないかと私とリューナさんがツッコミを入れる。だが彼が言うには「多分君たちならいけるでしょ」と楽観的だった。ただ一人ルナシーだけは面白そうだと肯定的である。

 

「貴方の事なので何かしらの考えはあるとは承知してます。ですが流石に今晩中というのは無理があるのでは?数日程度かけてしっかり攻め込むとかじゃないんですか?」

 

『君たちが攻めてくのと一緒に別働隊の兵士も突っ込ませる。君たちの派手な攻撃に混じって火事場泥棒的に奇襲を仕掛ける感じかな?まー細かいことは心配しないで君たちは君たちの役割を果たしてくれればいい。それに最終的にやるんでしょ?』

 

…………何故だろう、確かに彼の言う通りだけどなんかいざ言われると複雑だ。

 

『それじゃあ皆作戦通り頑張ってねー』ブチッ

 

彼はそう最後に告げた後通信を切った。さて、私達も会話を切って戦闘をしよう。

 

『セレネ、近接戦闘はしないとはいえその手で戦闘できるんですか?』

 

会話を切る前にルナシーが私に聞いてきた。彼女が人の事を心配するとは意外……いや、まさか。

 

「まあ、なんとか。自分の持ち場位なら保たせられると……」

 

『チッ』ブチッ

 

やっぱり私の代わりに戦うつもりだったのか。そしてやっぱり最後にリューナさんとも話しておこうかな。

 

「リューナさん、魔法の調子はどうですか?」

 

『バッチリだよ!セレネちゃんも戦闘の勉強はした?』

 

「それが仕事が忙しくてあんまり」

 

『それなら初めてのソロ戦闘をするセレネちゃんにリューナお姉さんからアドバイスをしてあげよう!ソロの魔法使いが戦闘で戦うにはどうするでしょーか?』

 

それは……そういえば前回の戦闘だとひたすら弾幕を張って回避してだけだった。体の動かし方が分かっても魔法を使った戦闘の立ち回りについてはあんまり学んでいない。

 

『正解は回避 解析 破壊。意味はセレネちゃんならきっとわかるはずだよ!』

 

え、なにそのいかにも大事そうなのは。それは前回の戦いの前にも知りたかった。……あ、そもそも前回はあんまり戦わない予定だったからってのもあったから知らないのも当然か。

 

「回避と破壊は分かりますが解析とは何でしょうか?」

 

『それは魔法で敵の魔法をハッキングして……ってうわわ!』

 

通信魔法から爆発音がした。それと同時に通信が切れた。多分戦闘が始まったのだろう。

 

 

 

「……さて、通信も終わりました」

 

目の前にはどこまでも広がる荒野、そして今日も空から私を照らす星々と月。何も無いこの荒野の遥か遠くの先に都市がある。

 

本当に?

 

私はその事について薄々疑問があった。あのきれいな地図の円を見てナツメさんにどんな地形なのかを相談していた。そしたら彼も同じことを考えていた。あの同心円状の等高線の配置から考えられる地形は半円のドーム型か穴という結論にたどり着いた。

 

そもそもあの地図の情報は敵の物を写しているだけで誰も現地でその地形を見た訳ではない。偽物ではないとは割れているものの不自然すぎてなんだか不安になる地形だ。

 

 

 

「…………本当に、こんな平野のど真ん中に都市が?」

 

 

ただここで立ち止まっていてはそれも分からない。1つ言えることはその都市のある方角の上空から無数の羽音が近づいてくるだけだ。

 

「敵ですね。やりますか」

 

自身にありったけのバフを盛り完全な戦闘態勢に入る。手始めに視界内の全ての敵兵器を倒してしまおう。空に右手を向けありったけの魔力を込める。

 

【光柱 ピラーオブムーンライト】

 

1本の光が空を裂く。月を追うように空に切る。光が通ったその後は都市の空の星の様に敵が消え失せ流星の如く地面に落ちていく。

 

これで進む先が開けた。足元にはあの爆弾が転がってるかもしれない、気をつけて戦地を走りだした。

 

ーーー

 

 

 

キュゥゥゥ……

 

ーーー!!

 

「っレーザーですか!」

 

沢山の白いトンボの腹先から短いレーザーが連射される。機動性を上げた私はジグザグに走りそれらを避ける。

 

流石ナツメさんが用意してくれた服だ。以前より体全体が大きく動かせるようになり遥かに速く機敏に動くことができる。いざという時の防御面の強化魔法の乗りも比べ物にならない程いい。

 

カチッ

 

足元で貝が発火する予告音がした。足元に視線を落とすと赤い二枚貝が仄かに光っていた。私はそれを広い上げそのまま空から私を狙い撃つトンボ達の群れに投げ込んだ。

 

ドゴオオオオオオオン!

 

キシャアアア!?

 

後方からいくつもの巨体が地面に墜落する音がした。これで弾幕の回避は楽になる。

 

「よしっ!やりました……うわわっ!?」

 

と、微かな喜びも感じる暇はなく今度は地面から貝が高速回転しながら跳んできた。刃物のように薄い殻の大きな二枚貝で金属の光沢もある。回避は難しそうだったので上からはたき落とす。

 

そうしているうちにも既に上では黒トンボと赤トンボが次の弾を私に発射する。

 

【流星 ラピッドスターダスト】

 

避けることも可能だけど今後の為に物量のある弾幕に追尾性能を付けて一つ一つを当たる前に相殺するようにする。

 

「さっきからかなり倒してるのに全然敵が減りません」

 

今の私は敵の数も多いし位置も把握しきれていない。感知系の魔法を展開するなら今がいいかもしれない。

 

【00ℵχ+A彁】

 

私を中心に球状に見えない判定が広がり頭に敵の魔力の情報が入り込んでくる。予想通り敵の数は途方も無い数いる。開幕のレーザーで数は減ったと思ったがそうでも無かった。

 

それと感知してわかったが上空以上に対地兵器(あの貝)の数が予想以上に多い。その上視界内にかなりの数が設置されているにも関わらず風景に溶け込んで見つけづらい。これならもっと早くすべきだった。

 

ズドドドドッ!

 

「あわわわ!敵の数を数えるよりそんな事より回避しないと!」

 

弾幕の回避に専念しつつ敵位置の解析を進める。先程は危なかった。気がついたら黒トンボの高速弾まであと十数センチ程度だった。感知魔法を起動してなかったらおそらく気が付かず大怪我していたであろう。

 

「(……というかあの攻撃も魔法でしたか。随分とふわふわした式、感覚魔法ですね)」

 

あまりこの手の式はそこまで経験したことはないから初めてこの手の式を体験できた。こんな時じゃかったら研究したい。

 

 

 

……いや、この場で「解析」してしまおうか?

 

感知魔法の一部機構の制限を外す。そして簡素な解析用の式と弾幕の設定用の式を接続した。感知する範囲は更に大きくなり情報量も増える。少し頭は疲れるけど今からやる曲芸にはとにかく大量の情報が必要だ。

 

脳の処理をする為に無意識に速度を落とした。空に飛ぶトンボは見逃すはず無く多数の種類の弾が一斉に襲いかかる。

 

だが、それは彼ら自身へ降りかかる厄災となると誰も予想しなかった。

 

 

 

 

「……………ここだ!」

 

 

 

【解析終了 動作確認完了 改変】

 

 

 

瞬間、私に向かう弾の軌道が反れる。そしてそのありったけの弾幕はそれらの弾を放った彼ら自身へと襲いかかる。彼らもそれらを回避したり撃ち落とそうとはするものの総攻撃に走った故の高物量が災いしあえなく被弾、不快な音を立てながら地面に亡骸を積み上げていく。

 

「よし!ハッキング成功です!」

 

何をしたかというと彼らの魔法弾を書き換えた。感覚魔法を理論魔法に変換して追尾性能を追加、追尾対象を弾幕を発射した者にした。正直こんな短時間で別系統の魔法を書き換えたからやってる時に心臓がバクバクしている。

 

「リューナさんの言っていた『解析』はこういう事でいいんですよね」

 

回避、解析、破壊。私の解釈はこうだ。

 

回避はそのまま敵の攻撃をなんとしても避け続ける事だ。被弾して魔法で回復もできるけどそれをするならはじめから当たらずに攻撃をしていたほうがずっといい。

 

解析は敵の行動を見切る、それと私達の場合には「魔法の解析」だ。敵の魔法がどんな回路の上で成り立ちどんな作用で攻撃を加えてくるのか。それを理解して立ち回る。

 

最後の破壊は……まだ解析が完全でないからできないけれど回路の破壊を意味する。魔法の改変で意図的に不具合を引き起こしシステムを崩壊させて有利に立ち回る。

 

ま、詳細は後でいくらでも聞ける。今は新しく考えたしたことを新しい道具として戦い抜くだけだ。

 

足元の地面に散らばる兵器も分かるようになり移動がしやすくなった。そして分かったのだがこの貝は低速で移動し常に均等に分布し続けるようになってる。これは魔法ではなくこの生物自体の特性で魔法で改変のしようがない。爆発や仕掛けの起動もそうで弾幕同様解析とハッキングでの無力化はできない。

 

「(うーん、これは困ります)」

 

カチッ  ブワッ!

 

紫色の柔らかいのから煙が出てきた。色合いが毒々しく当然ステップで回避する。さらに上空からの弾幕は数が減ったものの相変わらず激しいままだ。

 

「(上空の弾幕の式改変がたまに判定を抜けてそのまま飛んでくるから気をつけないといけないし……)」

 

カチッ ヒュンッ

 

今度は別箇所の巻き貝が私の着地を狙い表面に生えた棘を射出してきた。

 

【円環 ジュピターの理】

 

ガガガガッ!

 

ぎりぎりで魔法で防壁の作成が間に合い10cm位の所で棘が弾かれる。物理的な高速弾だったせいで防壁にヒビが入り使い物にならなくなって解除した。

 

「危なかった……」

 

「(無駄にバリエーション豊富だから対処に困ります)」

 

この他にも何種類も攻撃を受けた。どれも人一人殺すのに十分な高火力、それがそこらに転がっている。足元も岩と砂で遮蔽物もない。総合的に見れば敵の物量もあり私に不利な状況だ。

 

荒野だから仕方ない、と場所について思案したとき私の頭に電流が走る。この荒野に1箇所だけ地形が安定した、対地の貝も少ないなにより遮蔽物があるであろう所が存在する事を思い出した。

 

敵の都市、多彩な戦法で戦闘するにはこれ以上いい戦場は無いだろう。

 

勿論、敵の種類も物量も増えるだろう。だが、戦いに邪魔な物が多ければ私も全力も出せない。そして多種の敵がいればあのトンボの弾幕のような敵を使った戦術も取れる。

 

「(それに最終的に指揮の中枢がある所を落とせればどうにかなるでしょう)」

 

方針は決まった。【円環】を解除してから敵都市へ向かうことを優先しそこへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

『ドドドドドド!ドゴォォォオン!』

 

「………」

 

空からは弾幕の雨、地上には無数の危険物が散る中狼ともにと縦横無尽にこの危険地帯を駆け回る。武器はその体と刃物二本だけ。それだけで途方も無い数の虫の群れを相手していた。

 

彼女は赤い頭巾の下につけたインカム型の魔道具……彼女からしてみればよく分からないうるさい紐に過ぎないが彼女はセレネの戦闘の盗聴をしていた。

 

「空の奴で音が聞こえません。狼さん、上少し減らしてください」「承知しました」

 

 

 

タッタッタッ

 

 

 

 

ピッ

 

「リューナさん、少しよろしいですか?」

 

『なーにー?ルナちゃんが私とお話なんて珍しいよね!』

 

「いえ、少し気になることがありまして」

 

『気になること?ははーん、さては敵が倒せなくて困ってるの?いいよ!お姉さんが相談に……』

 

「勝手に話を進めないでくれません?そうではなくセレネさんの事です」

 

『?』

 

「戦闘ついでにセレネの戦闘会話を盗聴していました。それで確信したんです」

 

「彼女、間違いなく『戦い慣れてますよね』」




この小説胸糞とかコメントで言われてたけどそこまでか?と読み返してみました。はい、認めます。現段階だとただの胸糞です、本当にありがとうございます。

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