せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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透明ネタはお好きですか?


【羽と猫耳編】新たな日常

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定期報告

 

現在までの経緯と今後の方針

 

谷の村にて廃棄された兵器を発見。聖女が左手に治療不能な怪我を負うも討伐。

 

その後前線に勇者と聖女を投入。都市を一つ落とす。陥落時既に敵国市民は避難済みで現在都市を調査中。その時捕虜を2名確保。まだ幼いという理由で勇者ミツキが軍の管理下に置く事に反対した。捕虜2名も勇者聖女に信頼を寄せ人に危害を加える事は現状無いと判断し王都から離れた都市に勇者聖女と共に管理する。

 

なお上記の計画は既に承認されている。以上軍のコメントと王様のお言葉。

 

断っても勝手に隠れてするだろうし知らない所で何かされると困るから報告だけして好きにしてくれ by軍

 

お願いします容認するから静かにしてて下さい by王様

 

P.S 家買ったから代金は適当に引き落として。

 

ナツメ クロヒメ

 

お国のバーカ!!!(うっすらと筋が入る)

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふう」

 

ガチャ

 

扉を開くといつもよりラフである服のナツメさんがいた。知的でミステリアスな外観が今日はホコリで汚れている。それ以外は寧ろ普通の女の子みたいだ、男だけど。汚れに関しては今していることを考えればそれも当然だろう。

 

「ナツメさん、何を書かれているんですか?」

 

「あ、これ?これは各所に送る書類の下書き。君たちの為とはいえ流石に勝手に動きすぎたから文句言われそうだったし免罪符を書いてるんだ」

 

「お疲れさまです」

 

埃だらけの書斎。物書き机と古い本が並んだ棚が壁際に並ぶだけの部屋で彼はいた。机には数本のペンと何枚かの紙、それと机を拭いて黒く汚れた雑巾がある。

 

「まだ少し埃っぽいですね。窓を開けませんか?」

 

「そうだね。今開ける」

 

彼は紙に適当な重石を置き窓を開ける。涼しい風が部屋に吹き込みカビ臭く淀んだ空気を流し出す。

 

「涼しくていい風。それにきれいな景色、良い所を買って下さりありがとうございます」

 

私は窓から外を眺める。眼下には草木が生い茂りその先には町が見え、更に遠くには私が前に吹き飛ばした山が見える。

 

 

 

「もしかしてそれは皮肉?」

 

私達は今、ボロボロの教会にいた。

 

ーーー

 

現在時刻 上記より少し前 都市陥落より7日後

 

現在位置 地方都市 自宅

 

「……という訳で今日からしばらくはここが僕らの家だよ」

 

戦地から離れて数日、私達は王都で荷物をまとめて、それと全員分の生活雑貨を揃えてからナツメさんが買ってくれた新しい家に引っ越した。新居の場所は王都から遠く離れた地方の町、その中心部から少し離れた丘の上とのこと。クーとアネッサも連れた新生活、新しい土地で楽しく生活……そう思って馬車に乗りここに来たのだが。

 

「ナッツー、もしかして私達お化け屋敷に住むの?」

 

「(リューナの言う通りだな。映画のガキが見たらお化け屋敷って真っ先に言われそうだ)」

 

「…………お嬢」「流石に更地にはしません」

 

眼の前にあるのはボロボロの教会と2階建ての司祭館だった。普通の建物よりも一回り大きく7人で住んでも十分そうだ。しかしそれ以外は全て悪い。庭の雑草が好き勝手に伸び放題で建物の汚れた壁には蔦が伸びている。建物の外壁もかなりひどく汚れている。事前の説明で「古いけど家具付きで広い物件」とは言われていた。それでもここまでとは……

 

「あ、あの、とりあえず中に入らないですか?」「だねーひとだんらくしたらすべてやきはらおー」

 

アネッサの言う通りだ。取り敢えず内装を確認しよう。まずは私達の住む司祭館の扉を開ける。立て付けの悪いドアを開けるとまずはカビ臭い匂いが中から漏れ出す。勇気を出して中を見るとそこにはホコリの積もった玄関とボロボロの壁、これではもはや廃墟だ。

 

「おい」「どうなってるんですか?」

 

ルナシーとミツキさんが剣を持って扉の前でナツメさんに問い詰める。

 

「や、止めてよ。そんな物騒な物を持って僕をどうするつもりだい?」

 

「四の五の言わず答えろ」ナタシャキーン

 

「ナツメ、別に俺らは怒ってるわけじゃない。剣だってたまたま持ちたくなってきたから持ってるだけだ。だから訳を話してくれ」

 

「価格と間取りだけ見て細かいのは部下に任せて買いました」

 

「…………」「…………」

 

「……てへっ♪」

 

 

 

 

 

「セレネ姉、後ろ……」

 

彼らは無視する。彼は暫く自由に行動しすぎたからこの気にコッテリ絞られた方がいい。一応危ない事はしないでと声掛けだけしてから再び中を探索する。

 

「うへぇ……すっごい蜘蛛の巣だね。お姉さんの研究室でもこんなに酷くならないのに。何年放置されてたのかな」

 

リューナさんが先頭でその後ろに着いていくように進む。リューナさんが壁に張る蜘蛛の巣を払ってくれているお陰で後方の私達は汚れずに済んでいる。だけど彼女が歩く度に埃が舞い後ろは後ろで辛い。

 

ゴッ

 

あ、リューナさんが何かにぶつかって物の上に溜まった埃が落ちてきた。思わず私は咳き込む。

 

「ゲホッゲホッ……ちょ、リューナさん一旦止まりましょう」

 

「はいはーい停止しまーす!セレネちゃんもどうした?」

 

「進むにはちょっと埃っぽくて。先に二人で浄化系の魔法でどうにかした方がよろしいかと」

 

私は適当な浄化魔法を組む。私は物理的で直接的な作用が少ないタイプしか使えないのでリューナさんに水や風の浄化魔法を使ってもらい家の大まかな掃除をする。

 

「ふっ!」「えーい!」

 

ぶわぁっ!

 

二人を中心に床や壁に私達の魔法が伝播していく。風の浄化で埃を掃き、水で汚れを取り、光で細部の汚れを浄化する。

 

最近回復と攻撃にしか魔法を使っていなかったからこういう生活に便利な魔法は久しぶりに使った。修道院では掃除は魔法を使ってなかったしこれからここの掃除をするときには定期的に使うことにしよう。

 

「うわぁ、凄い……お姉ちゃん、これが聖女様の魔法なの?」

 

アネッサは私達の魔法に大層驚いている。魔法自体はそこまで高等な物でもないし、もしかして。

 

「ええ、そうで「そーだよ!魔法は初めてなの?」

 

「はじめてではない。たまにみる」

 

アネッサが言うには敵国にも魔法はあるらしい。しかし用途は王国と同じく専門分野にだけに限られていて一般で使用する人は少ないらしい。これは後でナツメさんに伝えておこう。

 

探索を再開する。とはいえこの家には一般的な家庭にありそうな設備のみしかなく目立ったものは無い。部屋数も若干多いくらいで二人一部屋位なら部屋が持てそうだ。それと全体を通して言えるのは前に住んでいた人が置いていった古びた家具や備品が残っていた事くらいである。

 

「(変わった物も特に無いのかな?)」

 

「へんじがない。ただのいっぱんじゅうたくのようだ」

 

「セレネちゃん、ここは調べ終わったし教会の方行かない?」

 

そうだ、建物はもう一つあるんだった。そっちなら何か面白そうなものがあるかもしれない。私は最後にたまたま調べた1階リビングルームから出ていく。

 

「……?」

 

部屋の本棚の前にアネッサが残っていた。彼女にも教会の方へと行こうと声をかけたほうがいいかな。

 

 

「アネッサ?」

 

「ふぇっ!?あ、ごめんなさい。私も教会に行くね」

 

そう言って彼女は部屋から出る。彼女の前の本棚には聖典といくつかの書籍が並べられていた。もしかして読みたかったのだろうか。小説を一冊出してペラペラと中をめくり流し読みする。どうやらこれは……架空戦記らしい。他はこの小説の続きだ。作者は「滝沢 ドラコ」と書かれていた。だけどそんな事はどうでもいい。私も出ていく。

 

ーーー

 

教会の中も家と変わらずボロボロで浄化をしてから中を探索する。

 

「(中は汚いけど施設自体はかなり上等です)」

 

大きさは外観に見合った丁度いい大きさ。内装はそれよりも凝っており蜘蛛の巣が張った古びた装飾があちらこちらにある。ここに人がいた頃だったら結構な賑わいを見せていた事だろう。

 

「んーかなり雰囲気あるね。なんていうか、誰もいないから好き勝手できる背徳感に廃墟という危なそうな要素が加わってドキドキしてくる。そう思わないセレネちゃん?」

 

リューナさんは椅子に足を組んで座りながら私に聞いてきた。私も教会にはお世話になったけどこんな状態の所は初めてだ。行儀は悪いけど普段できなかった事ができるのは確かにワクワクするものである。

 

「それでもあんまり変わった事をして怪我はしないようにして下さいね」

 

「それは分かってるって。そういえばあの二人は?」

 

彼女らは入って早々に入り口から見える扉から別の部屋に行っている。ここも対して変わったものは無いしその部屋に入る。

 

ガチャ

 

 

「これは……」「階段?」

 

ドアの先には地下へと続く階段があった。いつからあるかも分からない古い魔道具の微かな明かりで足元が薄暗く照らされているだけで先は見えず非常に不気味だ。

 

「どうしますか?」「そりゃ行くしかないでしょ!こんな面白そうなところ!」

 

 

 

コツ……コツ……

 

 

階段は奥が暗いのもあって移動距離が長く感じる。だけど少し下ると奥から明るい光か漏れていた。きっと先に入った彼女らが明かりを起動したのだろう。そしてその先にあったのは蜘蛛の巣と埃だらけの無数の本棚だった。おそらく図書室だろうか。(そして案の定明かりのスイッチの上部所に積もる埃が指の幅だけ落ちていた)

 

「アネッサ、これみて」

 

「『世界3大〇〇100選』って何この変な本?どうやって見つけたの?」

 

「しらない。だしたらたまたまこれだった」

 

やはり彼女らはここにいた。クーは会話の通りよく分からない本をアネッサに見せていてアネッサはアネッサで何冊かの本を床に重ねていた。見た所小説らしい、そして様々な棚から適当に出したらしくジャンルの統一性が無い。その中にさっき部屋で見た本もある。

 

「……?(これ、さっき見た小説の知らない巻だ。続きって事は敵の国にもこの本ってあるのかな?だとしたら知らないだけで有名な本そう)」

 

「セレネちゃん、ここの本凄いよ!」

 

リューナさんに手を引かれ別の棚へ連れて行かれる。棚の本は埃こそ被っているものの低温で気温の変化の少ない地下だからかかなり保存状態はいい。湿度もどうやら魔法で制御されて保存環境も良好だ。そして肝心の書物は……

 

「数学、魔法、錬金術……蔵書が無駄に充実してる」

 

「しかも古いけど有名な魔導書まであるよ!」

 

それは嬉しい。しかし中身を見てみると全てが感覚魔法や呪文魔法ばかりで理論魔法は全くと言っていいほど無かった。まあ、私もリューナさんも扱えそうにない本当に手に余る物以外は頑張って読もう。

 

リューナさんはそれらの内何冊を取りそれを虚無へと放り投げこんだ。曰く後で読みたいから空間に魔法で作った異空間に収納したらしい。正直ちょっと心臓に悪かった。興奮して少し騒がしい私達が気になったアネッサとクーがこっちに来た。

 

「セレネ、リューナ、どうしたの?」

 

「ああ、うるさかったですね。面白い物を見つけただけです。多分クーとアネッサには早いですよ」

 

「そうなんだ。これ、難しいそうな本だけど読めるの?」

 

アネッサが聞いてきた。断言はできないけどこの本に書いてある内容はそこそこ難しい。でも幸い数学とかはそこそこ読めるし物理?や理論魔法以外の魔法なら私も勉強したかった。読みたいなら私達と勉強しながらゆっくり読もうと提案する。

 

「だからゆっくりできるようになったら皆でお勉強だよー!おー!」

 

「おー」「リューナ姉ありがとう。でもお勉強か……」

 

「(いつの間にかリューナさんも姉呼びになってる!?)」

 

私は知る由も無いがいつの間にかこんな事があったらしい。

 

 

 

ーーー

 

現在時刻 地下都市調査中

 

現在位置 捕虜の部屋

 

ガチャ

 

「こーんにーちはー!アネッサちゃんとクーちゃんだって?」

 

「何方ですか?」「ふーあーゆー」

 

「あれれ?セレネちゃんは今は治療中だったか、残念。私はリューナちゃん、よろしくね!」

 

「そ、そうですか(セレネ姉が言ってた楽しそうな人はこの人だ)」「よろしくーくーでーす」

 

その時私は彼女の予想通り不調の兵士の面倒を見に少し場を離れていた。その時偶然調査から帰って来たリューナさんがここの話を思い出し寄って来たらしい。それも手土産を持ってきて。

 

彼女が持ってきたのは焼き菓子だった。どうやら流石に戦地にそこそこの期間いたからストレスが溜まっていたらしく兵隊の食料を少し貸してもらって、足りない分は無理やり魔法で取り寄せて適当に作ったらしい。ナツメさん曰く「勝手にそういうのは止めて、いや僕も人のこと言えないけどさ」。そういう彼にリューナさんは作った一つを口に入れて無理やり正当化したそう。

 

「お近づきの印にどうぞ!」

 

「うわぁ!いいんですか?」

 

「いいよいいよ。それと私はリューナお姉さんって呼んで!」

 

「はい、リューナ姉。美味しくいたくね」「リューナよろ」

 

 

ーーー

 

「(ふふーん、子供の扱いが得意でもお姉さんの元気の方が一枚上手だったね!)」

 

悔しいがこういう手には勝てるはずが無い。素直に負けを認めよう。あ、ちなみにその一つは私も仕事の休憩の時に貰った。甘くて美味しかったです。というかお菓子なんて作れたんだ、意外だ。

 

 

 

 

 

その後一通り教会を調べ終えてこれからの事を考える。

 

まあ、真っ先に思いつくのはもっと徹底した掃除、それと設備の点検だろう。魔法で大まかな汚れは取ったけれど細部の掃除はまだで実際椅子の上や床の角などに目立った汚れがある。

 

設備もなかなかに汚れていたり老朽化していたりと課題が山積みだ。でもここには特に変わったものはないから私とリューナさんの魔法だけでよさそうだ。

 

多分業者を呼ばずとも私達だけでどうにかなる。図書室だけは本のある都合上魔法を使わずに人力で綺麗にしよう。

 

 

 

 

 

「うう……僕も悪かったよ……悪かったけど何もここまでしなくても…………」

 

硬い地面に下半身を埋められたナツメさんと相談して彼を掘り出した後掃除を始めるとした。




作者は日常がいわゆる非リアとされる人種の為日常回には空想が多く含まれます。だからこんな流れがあるか、や突然のシリアスは止めろ、等の指摘は作者も重々承知しております。

本当に申し訳ない。

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  • ルナシー
  • 狼さん
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  • ナツメ
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