せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜 作:囚人番号虚数番
現在時刻 10:00
「さて、皆さん。道具は持ちましたか?」
家のリビングにて全員掃除道具を持ち動きやすい服装で集まる。ナツメさんとミツキさんは最近見なかった普段着で、リューナさんは浄化魔法を付与しているといつもの格好、ルナシーはどうせ汚れるからとほぼ下着みたいな格好で来た。急いで適当な服を持ってきて彼女に着せる。
「はーいできてまーす!」
「俺は出来てる」
「面倒臭いですが住むには汚すぎますし仕方ないです」「お嬢、一緒に頑張りましょう」
「はい、準備万端です」「かんぜんぶそうかんりょう」
「僕も掃除するの?やだなー僕は後ろから指示だけしてゆっくりしてたいのに」
自分の事が原因なのに文句を垂れるナツメさんも当然動員する。家具はここにあるから追加で搬入する物は後回し。だから日が昇っている内にここを掃除して生活出来るようなレベルにまで綺麗になければならない。
取り敢えず力仕事が必要なら男性、加えて人手が足りなければバフを盛った私でして、アネッサとクーには持たせた雑巾、箒とちりとり等で子供にも出来る事をさせる。私達は局所的に魔法が必要な所をまわろう。私は光魔法しか使えないから活躍は少ないかもしれないけど魔道具の回路系の修復なら出来る。それと落ちない汚れを魔法で落す事が仕事かな?
ひとまず私も手に絞った雑巾を持って建物内にある魔道具等の式の数を確認する。
【00ℵχ+A彁】
「んー」
流石大きい施設、神聖な施設ということもあり浄化系の魔法及び装飾の保護のための空調、照明関係の魔法が視界に入らないように配置してあった。例えば天井の壁際とか装飾に紛れてとか、まるで宝探しみたいだ。それを考慮するとこの施設には気が付かなかったけど中々厄介な壊れ方をしている物が多すぎる。
「(空調系は……属性的な機構はリューナさんに任せるとして殆どはただの起動時の魔力不足です。これなら少し初速を与えておけばどうにかなる。それと…)」
照明は言わずもがな浄化系の魔法に関しても光魔法で構成されているからこれは直せそうだ。試しに魔法の式を確認してみると
「うわっ何これ?凄い大作の魔法」
「セレネちゃん?」
リューナさんにも建物の魔法の事を教えて確認してもらう。すると彼女も苦い顔をする。そしてこちらを見て「全部の点検は1週間くらいかかるかも……」とこぼした。
「でも空調は形が同じ物ばかりだからそこまではかからないと思います」
「照明じゃない光魔法に関してはちょっと複雑すぎるね。これはどっちかが集中してやらないと……」
技術者組の小難しい話は無視して彼ら男性とルナシー、そしてアネッサとクーは各々場所を決め掃除をし始めた。
「僕は少し書かなきゃならない書類があるのを思い出してね、掃除は任せたよ」
「ナツメ、まさか俺達だけに掃除させてお前だけサボる気か?」
彼は返事をしない。そしてそのまま部屋を出ようとしたのをミツキが肩を掴んで止める。彼は笑いながらバレたら仕方ない、と早々に観念して掃除用具を持ち直す。
「まずどこから始めるか。俺も掃除とかは得意じゃないからな。ナツメはどう思う?」
「さあ、とりあえずリビングからで良くないかい?ルナちゃんはどこか優先して綺麗にしたい所とかある?」
返事はない。辺りを見回しても物陰に隠れている訳でもない。どこへ行ったんだと彼らが不思議に思っているとオドオドした口調のアネッサが彼らに発言する。
「ルナシーなら……今さっき外へ出ていった……」「てんじょうてんかゆいがどくそんのおんなるなしー」
暫く全員が黙る。静かになった所で外から狼とルナシーの足音と話し声が小さく聞こえてきた。
「アネッサ、よくやった。スッーあの野郎真っ先にサボりやがったな!!」
そう叫んだ後彼は部屋を出て行ってしまった。タイミングよく技術者組も設備の補修に向かっていったのでリビングには3人だけが残る。
「それじゃあ、僕らだけでリビングは頑張ろうか、アネッサちゃん、クーちゃん、よろしくね」
「は、はい、早く終わらせちゃいましょう」「はいさーい」
ーーー
現在時刻 2時間後
「(そういえば魔道具の回路は初めて触りました)」
膨大な追記のされた式を無理やり解析しながら思う。照明と空調系は予想通りコピーアンドペーストで済んで予想以上に早く終了して今は水道関係の点検作業中だ。浄化系は式が煩雑すぎるから点検システムをリューナさんが組んでくれて修復箇所を探している。
「(後はこことここを接続して)よし、これで水道関係は完璧です」
現在は風呂の整備をしていた。浴槽があるのも珍しいのにここには何とシャワーが付いていた。試しに栓を開けて水を出してみる。問題なくシャワーヘッドからちゃんとお湯が出てきた。
「(解析結果42℃、適温です)」
魔法関係は解析待ちだからしばらく空き時間ができた。さっきから通路や部屋でアネッサとクー、それとナツメさんが掃除していたから彼らの手伝いをしようかな。
バァン!
「セレネちゃんセレネちゃん、今外で凄いものがあるけどもう見た?」
突然リューナさんが風呂場にやって来た。あれ、もう解析は終わったのかな?そう疑問を投げかけると既に直してしまったらしい。なんてこったい。
「それで何を見つけ「こっちこっち!」
彼女に急かされながら家の外へと連れて行かれる。玄関を出て建物横の正面の影の位置、そういえば建物の外側は草が生い茂っていて探索はあまりしていなかった。今は大きく抉れた跡がある地面となり草は抜かれて1箇所に山積みされていた。
それで着いた目の前には小さなボロボロの物置小屋がある。多分この中なのかなと中を覗く。中は庭を整理する物が並べて整理されてる……と思ったらあちこちに動かした跡があるから誰か掃除した後だ。そして恐らく伝えたいであろうその現物が床に置いてあった。
木製の箱。鍵のたぐいはなく蓋を外せば簡単に開いた。中身は肉筆で何かが書かれた紙束だった。内容は……小説の下書き?「愚者の螺旋」とタイトルがつけられていた。内容は書き出し時点だと面白そうな内容だ。でもこれの何が凄いのかは分からない。
「リューナちゃんもそう思ったよ。でも……アレっぽいんだよ」
アレとは?
「偽装された魔導書、いや魔導書というより呪文魔法の研究書。まだ1ページしか読んでないけど言い回しとか文の構造、テーマとかが呪文魔法の文法に類似してる」
「へー……!?」
曰く魔法の類の研究を記す為の研究書は普通研究成果の機密性を保持するのに文章を偽装するのが慣習だそう。だから私の書いている研究書は……と一瞬不安になったがリューナさんが「セレネちゃんのは注釈が無きゃ傍から見たら最早何の分野なのかすら分からないから安心して」とどう受け取っていいか分からない助言がされた。
そしてそれを言われてからもう一度読んで見ると……駄目だ分からない。
「そりゃそうでしょ。理論魔法一筋のセレネちゃんにはこれは慣れてないからね」
「リューナさんは分かるんですか?」
「もっちろん!リューナちゃんは天才ですから、とーぜん読めちゃうんだー!!」
流石大学教授、知識量が違う。私も時間を見つけて解読に挑戦したい、そう思う。
「……?リューナさん。まだ箱の底に何かあるようですが」
紙束を全て取り出して手に持って見た所その下に何かがあった。
「どれどれー?」
「ああ、これは小説です。さっきリビングに前の巻がありました」
なんとあの架空戦記だった。こんな所から小説が出てくるとは思わなかった。私はリューナさんにアネッサがこの本を読んでいたことを伝えると仕事の切りもいいし彼女に渡しに行くことにした。
ーーー
現在位置 キッチン
「キュッキュキュキュキュキュキュキュキューキュキュキュキュー」
「クー、何してるの?」「かまぼこつくってる」
……彼女らは一体何をしているのだ?とりあえず清潔な布で皿を擦っていたクーを止めた。
掃除の進捗についてはルナシーが外壁や庭の草木の処理をしてくれたらしい。
それでアネッサ、クーはナツメさんの指示の下部屋中の掃除をしていた。肝心のナツメさんは?と彼女らに尋ねると「書類を書いてる、勿論箒や雑巾がけとかもしてた」らしい。言わされている訳でも無さそうだし不満そうだった彼が真面目に働くなんて意外だ。
既に住んだ部屋を教えてもらい状態を確認する。概ね綺麗になってた。その代わり服に彼女らも相応に汚れがついている。まあその服は元からキレイとは言い難い……王都で服を買ったとはいえ世間的には捕虜という体なので彼女らには元から着ていたのと似たような貧相な服しか与えられなかった。
「うわぁーお仕事頑張ったんだね!偉い偉い!」
リューナさんはクーの頭を撫でる。クーはうわー、と抜けた声を出してそれを受け入れている。アネッサはクーのそれをじっと見ている。
「あ、あの……セレネ姉」
そしてアネッサが恐る恐る何かを聞いてきた。
「私にも……お願いできますか?」
……ああ、クーがされてるのが羨ましくなったのか。断る義理も無いので彼女の頭を優しく撫でる。
「えへへ、ありがとお姉」
「いえいえ。頑張ってて偉いですよ」
かわいい。同じ年くらいのルナシーとは違いかなり子供らしく健気でいい子だとしみじみ思う。こんな可愛らしい子は幸せにしなければと使命感を抱く。
「(あ、そうだ。体格は似ているから服はルナシーのを借りられるか聞いてみましょう。というか何故思いつかなかったのか……不覚でした)」
「セレネ姉、気持ちいいです……」
それと彼女には撫でながら小説の事を聞いてみた。
「リビングの本を見ていましたよね。それに図書室でも持ってましたがあの本は向こうの国でも読まれた本ですか?」
「うぅ……うん。あの本は……あそこにもあった。小さい頃、タイトルだけ見たような気がしたから気になってて……」
そういう事だったのか。関係の悪い国とでも昔の文化とかは知らない所では意外と残っているものなのかと感心する。私も後で読んでみようかな?
「(それと、この事はナツメさんに伝えておきましょう)この機会に読めるといいですね。それとナツメさんは何処でしょうか?」
「ナツメならあのへやにいるよー」
そうか、じゃあ行こう、私は小説を彼女に渡してから去る。撫でるのを止められたアネッサは名残惜しそうだった。
「あ、そうだ!セレネ姉、夜になったら一緒に本を読んでくれる?」
「はい、いいですね」
ーーー
「………ふう」
ガチャ
「ナツメさん、何を書かれているんですか?」
「あ、これ?これは各所に送る書類の下書き。君たちの為とはいえ流石に勝手に動きすぎたから文句言われそうだったし免罪符を書いてるんだ」
「……敵の国でも読まれている本、興味深い。ありがとね。僕も後で読もうかな?セレネ君もどう?」
窓から外を見て彼はそう言った。高く登ったお日様が彼と私を照らす。
……高く登った日を見て思う。
「そろそろお昼ですね」
「そっか。午前中に結構仕事したし午後はゆっくり出来そうだね。買い替えが必要な家具も少ないし僕は……町で適当に買ってこよっかな?」
「よろしくおねがいします。寸法を図るのは手伝いますよ」
プロットもクソもねえなこの小説
それと実は作者にはネーミングセンスがありません
どのキャラが好きですか?
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セレネ
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リューナ
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ルナシー
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狼さん
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ミツキ
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ナツメ