せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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お久しぶりです


危うい彼女達

現在時刻 更に数日後

 

あの小説の下書きと架空戦記についてだがあれから解読は更に進むようになった。カギとなるパーツがやっと揃ったというかここからが本当の解読作業の始まりにも感じる。

 

とはいえやはり私には呪文魔法の解読は出来ないと感じた。実際そうで私の考察が一行進んでいる間にもリューナさんは数倍進む。

 

そして驚くべき事になんと呪文魔法においてはアネッサにすら私は劣るらしい。以下はその発端を示したリューナさんとアネッサとの会話の回想だ。

 

「……?リューナ姉、ここなんだけどさ」

 

「んーどしたの?」

 

「ここってさ……ここをこうやって考えるとここと繋がらない?」

 

「あー……繋がるね」

 

 

 

この先も数回に渡り同じことが繰り返され解読をするのは彼女らの担当となりこれには流石に悔しさを感じた。しかし適材適所という残酷な真実には誰しも勝てないのだ。私は大人しく自身の研究書を追記していよう。そういえばあれも地下の図書館に仮置してから最近はあまり手を付けられていないな……

 

それと架空戦記についての内容も簡潔に書いておこう。竜が人の王の意思を継いで世界を統一するという話だ。どちらかと言えばただのファンタジーなのでは?とこの文面だけで判断するなら思うだろうが実際に書いてあるのは浪漫溢れる兵器と様々な思惑の交差する中で活動する緊張感はまさに「戦記」でファンタジーと呼ぶには余りにも現実味があり、そして熱い内容だった。

 

それと同時にタイムリーな作品でもあった。この作品の舞台は……

 

 

 

「セレネ、紙からペンがはみ出てるぞ」

 

現在位置 地方都市 自宅 リビング

 

ミツキさんが私の意識を現実に戻す。机を見ると紙から続けて書いた字が行を変えることなくそのまま机に続いている。やってしまったことは仕方ない、慌てて字を消しことなき事を得た。

 

「魔法に熱中するのはいいけどあまり無茶すんじゃねえぞ」

 

「ごめんなさい」

 

「魔法でアネッサに越されたのはやべえなとは思う。だが焦っちゃ駄目だ」

 

「そうですね」

 

 

 

という訳で魔法の解読から外れた私は一人別件に使う魔法を組んでいた。今なら回路設計から帝王切開まで何でもできそうな程に資料と時間は十分ある。

 

「なあ、お前のその式って何なんだ?」

 

「これですか?リューナさんの虚次元の概念をお借りして魔法の式を部分的に異次元に送って実次元同士を別次元経由で接続できるようにした上で大容量化の為のn次拡張用に機構を整備して3次元を傷つけずに接続出来るようにしてました。理解できる最高速処理と比べて爆発する関数への対応は遠く及びませんが今はこれで処理が間に合うので精度と操作性で勝る分利点は多いです」

 

「長い」

 

「大量の式の追加に対応させたついでに見た目を整理しました」

 

「……本当に意味分からん魔法平気な顔でするよなお前ら。あとそうじゃなくてそんなガチガチの魔法何に使うんだって事だよ」

 

そちらだったか。これは魔法大会に必要な魔法でそれを作っていたのだ。彼は大会を知らなかったそうなので教えてあげた。するとさらなる情報を要求したのでリューナさんが持っていた大会のパンフレットを渡した。

 

「ふぅん、技術か。魔法は使えるけどこういうのはやったこと無いな」

 

「この際一緒に出場してみませんか?」

 

「いいや、俺流の魔法は脳筋でバーってやるのが本筋だから技量を競うには不利だ。だから……」

 

「競えますよ?私も競技にはそこまで詳しくないので調べたのですがこの手の大会というのは『課題をこなせればあとは何でもいい』とい形式がセオリーらしいので……」

 

「つまり最悪魔法も使わなくていいのか?んなわけ無いよな。すまんすまん」

 

笑って茶化している所悪いのだが実はそれもありらしい。私も調べていて驚いた。しかし理由は全うで「様々な形式による多方面からの攻略を認める為」である。勿論それは表向きで単に観客が派手で、技術者も新たな解法を見たいがためにこのようなルールになっているとの意見もある。

 

そういえば今彼はなぜここにいるのだろうか。私が気分転換にリビングで研究を始めてから彼が来た。武器を持っているし恐らく修練前後らしいのだが……

 

 

 

 

「クーの練習待ち「はなしはきかせてもらった」

 

「(クーが来ましたね。しかし声はしますが姿が……?)」

 

「うえからくるぞーきをつけろ!」

 

上?天井を見上げると一瞬白い何かが落ちような。それは置いておいていつの間にか天井に大きな穴が空いていた。四角形に切り抜かれた穴は下側からは見えないように精巧に隠され大きさは細身であれば通り抜けられそうな位だ。

 

「クー、ナイフを仕舞え!木刀で切れないのは承知だしいつでも闇討ちしていいとは言ったし、それでも首!刃を首から離せ!」

 

「あんしんしろみつき。なんてかさきまでかんがえてるからしんぞうでもけいついでもどっちでもはせいできる」

 

「ちょ……それは洒落にならない!あ"ー剣術なんて教えなきゃよかった!」

 

顔に赤い足跡を付けたミツキさんをクーは馬乗りになってナイフを突き刺そうとする。しかし彼はそれを片手で抑え必死に抗う。彼は必死だが対象的に彼女は死んだ目ながらとても楽しそうだ。中々酷い絵面で、それでいて微笑ましい。お互い怪我はないようなので心配するのは別にいいかな?

 

「セレネっ!そこで傍観してないで助けてくれ!」

 

「そんな事しなくても多分アネッサが駆けつけてくれますよ。それよりクー、今天井から入ってきましたけど……」

 

「あー?なんかアネッサがわたしにおしえてくれた。ひみつっていわれたけどどうせいってもばれないよね?ばらさないよね?」

 

微笑ましい殺意を出しながら彼女は答えた。どうやら二階のある一室からここへと通じていたらしい。成程、あそこなら丁度ここの上辺りだし隠れていたとも思う。

 

偶然だけれどこれはいいことを聞いた。やはりこの家には何かがあるのだろう。その内の一つの手がかりが思いがけず入れた……うん、一度はスルーしたけれど心配は心配だ、クーを彼から引き剥がした。

 

「うわー」

 

「そういえば私達に用があるようでしたがどうしました?」

 

「あーそんなこともいったなー。まほうのたいかいがどうとかでアネッサをだしたらおもしろそうだからたのみにきた」

 

ああ、そういう訳か。しかしそれはもう私も試したのだ。まあ本人からはもう断られてしまって本人の気が変わるのを待っている所だ。しかし彼女はいつもの調子で頼めば何とかしてくれるだろうと楽観的だ。

 

そうこうしているとミツキさんは起き上がる。

 

「くっそ……酷い目にあった。クー、流石に不意打ちはもう止めてくれ。心臓が持たねえよ」

 

「それはやられるほうがわるい。せんじょうはときにばしょをえらばない。もんくならるなあたりににききなさい」ズルズル……

 

流石にいきなりナイフを突きつけてきたら誰しも起こるのは無理ない気もする。

 

と、ふと彼女は何かを思い出したかのように木製のナイフをしまって私の元へ来た。そしてあのナイフを、あの鋭く黒い刃のダガーを私に突き付けた。

 

「やろうよ」

 

「…………断わりま「あねっさじゃやくぶそくなんだ」ズルズル……

 

視線をミツキさんの方へ向けると彼は頭を抱えていた。かすかに何かを嘆く声もする。しばらくして彼は彼女の手を掴んでから彼女の補足説明を入れてくれた。

 

どうやら彼が剣の練習中に対魔法の立ち回りを理論だけ教えてみたらしく興味を持っていると聞かされたらしい。しかしまさかこんなに早く、私にそれを伝えるとは思わなかったとのこと。

 

「しっかしお前も良く考えておけよ。セレネは勿論分かってくれるだろうがクー、お前だ。相手はガチ勢でお前は初心者も良い所、せめて俺の屍を乗り越えてから喧嘩は申し込んだほうがいいぞ」

 

私も彼女の突きつけるナイフを手で下げて戦う意志が無いことを伝える。ズルズル……

 

 

 

 

 

 

バァンッ!

 

しかしそれは叶わない。何て悪いタイミングだろうか、たった今この場を訪れた全身を血で赤く染めたルナシーがそのナイフを下げるのを許さなかった。片手に鉈、片手に槌の刺さった形の崩れた獣の肉、口に血の滴る獣の足を咥えて家にやってきた。そして彼女は咥えているそれを吐き捨てる。

 

「ペッ……もしかして今から殺し合いですか?」

 

「いぇす、あなたもどーぞ」

 

 

 

今日は不運だ。ついでにミツキさんの呟きと家の外から狼さんの叫び声が響いた。

 

「……家の中にそんな汚物持ち込むなよ」

 

「お嬢ーーー!!獲物の調理は屋外でして下さいーーー!!あっまずい薪から草に燃え移ってる」ワォーン

 

 

 

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