せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜   作:囚人番号虚数番

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魔法大会

現在時刻 魔法大会

 

現在位置 地方都市 町から離れた森(自宅とは真逆の方角) 大会会場

 

アネッサが出場を決意し暫くして念願の当日となり私達は町から離れた会場に訪れていた。既に会場はかなり賑わいを見せている。

 

概ね魔法関係で観戦目当てと見受けられる姿が多いが出店が出ていたからそれ目当ての一般人も多い。その中に時折選手と思わしき杖や魔道具を持った者を見かける。皆流石魔法をしているだけある、私とは段違いの魔力量だ。

 

ちなみに私達は大会中大衆に顔を見せると不味いので私がちゃんと認識阻害をかけている。まだまだ式はお粗末だから他の人から見えてないといいな、2つの意味で。あとナツメさんは自宅で仕事、クーとルナシーは会場で別れた後からは行方不明、アネッサとミツキさんは私といる。

 

 

 

「えーっと、まずは受付でこの紙を見せてくればいいんだね」

 

エントリーの書類を持ったアネッサ、彼女には今日の為に色々と仕込んできた。魔法の事は勿論今着ている装備や魔道具も買ってきた。

 

服は魔法メインの冒険者用装備、それを私達がカスタムした。時間が無く仕方なくこの街で買った物で質は良いとは言えない。しかしそれを技術でお値段以上にカバーしている。ついでに露出も抑えておいて服自体に日焼け防止の魔法をかけている。

 

魔道具は杖……らしい、説明曰く。というのも。金属質の繊維が織り込まれて整形された杖、というか棍とか丸棒だ。六角形の模様が綺麗だけど一般的な魔道具のデザインとはかけ離れている無機質な武器だ。それでも確かに魔法も通るし説明もされたけれど内部に明らかに物々しい機構がある、しかもそのせいで売れ残りだった。彼女はそれが逆にいいらしい。彼女の武器選びのセンスは一般とは少しズレている。それに貴方はサポート専門のはずでしょう。

 

 

 

「はい、そうです。早く済ませて他の選手と合流したいですね」

 

「セレネ姉も一緒に出そう」

 

「……ごめんなさい、それは出来ません。ミツキさん、頼めますか?」

 

「あれ?セレネお前も出るんじゃないのか?」

 

出店で買った串肉を食べるのを中断し彼は聞き返す。

 

「いえ、私とリューナさんは既に別に申し込んでいて大会本部への顔出しを指示されているんです」

 

「つまりエントリーは済んでるのは分かった。でもそれなら提出位は一緒にいてやればいいじゃないか」

 

「いえ、そうではなく……選手としては出来ません。実は大会本部から私とリューナさんは選手として出場するなとお達しがされていて、つまり出禁になりました。そのための確認にです」

 

「……はぁ!?」「セレネ姉、それ本当?」

 

大会運営曰く私とリューナさんに選手になられるとパワーバランスが崩れるからだそう。一応参加資格だとプロでもいいとは書いてあるが、それでも私らは対象外らしい。他にも理由はあるけれども、まあそこは納得する他ない。

 

「じゃ、じゃあセレネ姉達、出られないの?」

 

「急なことで事前に伝えられなくて本当にごめんなさい」

 

「そ、そんな……」

 

私が出場できない事を知ったアネッサはこの世の終わりが来たみたいな絶望した表情となる。しかしそこでミツキさんが彼女と目線を合わせた。

 

「なら俺と出ないか?理論とか呪文とか細かいのは苦手だ。でも実は俺も魔法が使えるんだ。アネッサ、たまには魔法使いじゃなくて勇者の俺も頼ってくれ」

 

「ミツキ兄、いいの?」

 

「セレネもちゃんと先に言っておけ。あと責任持って受付まではちゃんと着いてこいよ(じゃあさっさと肉食うか)」

 

「……ありがと」「(ありがとうございます)」

 

 

 

そして3人で受け付けに行き二人分のエントリーの手続きをする。その時も終始アネッサは複雑そうな顔だった。

 

「えーと、家族3人で参戦ですか?珍しいですね。代表者はお父さんですか?」

 

「いや……うーん、違う、いや、そうだ。俺とこの子が出ます。代表もこの子で(同僚と上司の子{捕虜}が実情なんだよな)」

 

「(詳しいことを説明するとややこしくなるので肯定しておいてください)」

 

「じゃあお二人がチームで登録と。代表者は娘さんの方でですね。はーい、それでは最後にここに名前を……はい、ありがとうございます。ではこれをどうぞ」

 

受け付けの方に親子と間違われた。

 

 

 

それから手渡されたのはルールブックと題されたそこそこ厚い冊子と六角形の板のついた黒い腕輪が人数分だった。

 

腕輪は開会前から着けるらしく早速二人が装着する。すると黒い板に二人の登録番号と「試合開始までお待ち下さい」の文面が表示された。見たことの無い物でどういう仕組みで動いているのか気になりこっそりハッキングを試みた。……結構固めに暗号化されてた、残念。

 

ルールブックは受付から離れてからアネッサが開くと中で2つの冊子に分かれる。一つは開始前に読むもの、こちらは大会についての事やその他注意が当たり障りも無く書いてある。もう一冊は指示後に開くように表紙にある。冊子の厚みの殆どはこちらで占めていた。頑張って透かしてみると紙は薄いのに指の影しか映らなかった。

 

「さて、それでは私はここで失礼します。お二人共、頑張って下さいね」

 

「ああ、絶対に負けない」

 

「お姉、絶対に見ててね」

 

「ですがその前に。アネッサ、一つだけ先に教えます。耳を貸して下さい」

 

「?うん」

 

 

 

「同じチームになれなくてごめんなさい。でも大会ではきっとお世話になりますよ」

 

それから私はある物を手渡した。魔法の式の仕込まれた護符だ。

 

「これ、どういう魔法?」

 

「一定以上強い魔法に晒された際に短時間姿を消す魔法です。一度きりで発動すると自壊してしまいますがきっと役立つでしょう」

 

さて、伝える事は伝えた。私もリューナさんを待たせる訳にはいかないしそろそろ役割を果たしに本部に向おう。

 

「では、健闘を祈ります」

 

ーーー

 

一方彼女等とは別に 大会会場端

 

<あの狼ここに居て平気なやつなのか!?

 

<さあ?ただ人の言葉を話すし敵意もないから誰かの使い魔だろうな

 

 

 

「狼さん人気ですね」

 

「いや、あれは怪奇の目かと。それとお嬢は何故ここに来る気になったのですか?観戦であれば場所取りを早めにしておきましょうか?」

 

「いいえ、私も出ます」

 

「お嬢!?」

 

「この前の帰省で狩人と相談した所私でも優勝が可能らしいですよ。手順も聞きましたし書類も出してもらいました」

 

「ああ、前にご友人に台所を借りた時に話されていた事はそういう訳ですか。ですがお嬢でも勝てるとなると「趣旨がどうたらですか?想定してない方が悪い」

 

「それに彼女とは一度やってみたいんです。どうせここに来たんです。みんな人でなしなのは知ってるでしょうし」

 

「お嬢が出るなら私もと、仰せのままに」

 

 

 

ーーー

 

 

 

それから更に暫くして

 

 

ーーーアーアーマイクテスマイクテス……さあああああああみいいいいいいなさああああん!!

 

 

 

「お、そろそろか」

 

「始まるね、兄」

 

会場の一番目立つステージに立つ司会が競技者に呼びかける。

 

 

 

ーーーさあ、皆さんお待ちかね魔法大会はそろそろ始まるぞおおおー!!

 

ウオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

「うおおおおおお!!……ってアネッサも叫ぼうぜ」

 

「詠唱で喉が使えなくなったら駄目だと思うの」

 

 

 

ーーーウオット、スゴイイキオイ、はーいという訳で魔法を愛す猛者の皆さんありがとうございます。いやー1回目でも結構人が集まっているから司会の私と本部一同中々驚いております。この一帯、ステージ前の魔力がとーんでもない。よく見ると初めて見る装備の方もいますね。

 

 

 

「(初めて見るのは無理ない、だって俺ですら見た事ねえ武器防具いるし。笛とか銃とかあと……何?あれは何なんだ?烏?)」

 

「(兄の見てる人の武器、私のと同じメーカーだ)」

 

 

 

ーーーではではまず開会の宣言。それでは町長の□□様。よろしくお願いします。

 

ーーーえーあーあー、はじめまして皆様、町長です。第1回魔法技術大会の開会をここに宣言する。因みにこれ以上私は大会中喋ることはない。

 

\ウオオオオオ/パチパチパチパチ

 

 

 

「(最後いるのか?)」

 

 

 

ーーーありがとうございました。それでは次は……

 

しばらくありきたりでつまらない話が続く。選手とて関係ない話には耳は向かず各々別の事に気が向くものだ。勿論アネッサとミツキもそうである。だが幸い彼らはそれでむしろ良かった。ミツキが家でのことを思い出し小声でアネッサに話す。

 

「ミツキ兄、どうしたの?」

 

「ルナシーがアネッサに渡せって言ってた物があったな」

 

彼女に六角形の模様の黒い袋を手渡した。

 

「家の机だそうだ。忘れ物には気をつけろよ」

 

「!?……ああ、そうだった。緊張してうっかりしてた、ありがとね」

 

「で、それ中身は何なんだ?触った感じ短い棒だったけど」

 

「魔道具関連のパーツだよ。武器を使うのに使うの」

 

「めっちゃ重要じゃねえか。というかその武器本当に魔法のなのか?どう見ても槍か棒だろ」

 

「『EM:ROD OR ROOT』って名前の杖だって。かっこいいでしょ」

 

「くっさいネーミング……いやもっとこう他にあっただろ魔法らしいの。捻れた木製のとか派手なのとか」

 

「これもかっこいいでしょ?」

 

「……ああ、そうか(まるで解らない。これが女心、か?)」

 

これで暫く彼らは何も言わない。周りと同じく適当に話を受け流す。

 

 

 

だが、彼と周りでは心の内は大きく違っていた。彼らが考えていた事は多方面から感じる圧倒的な力についてだった。

 

 

 

「(運営の連中、なんて事考えてやがる……)」

 

「(ステージの袖、いわば不視界領域に爆弾ッ)」

 

「(どこが『初めて』にしてはだ、何もかもレベルが違いすぎる!噂目当ての奴らとその渦中……ここにいる全員がアホかっ……)」

 

司会の話すステージ裏、目の逸らしようのない強大過ぎる魔力と確かに存在する感覚のある儚い魔力。魔法使用者の間で流れていた噂に信憑性が増す。

 

その噂とは「この町の魔法大会にヤバイ奴らが関わっている」。内容はまちまちだがSランクを超えた冒険者だの王国の兵器開発班だのかの黒き森の関係者だの憶測が出回り過ぎて定説と言えるものが少ない。

 

だが猛者というのはより強き者を求める。それが広がればおのずと出来上がる光景は一つ、猛者が猛者を呼び強者が集まる。故にこの大会の選手数は膨れ上がり町一つの大会とは言えない程に規模が膨れていた。ただ言えるのは1回目にして歴史上かつて無いほど荒れる、それだけだ。

 

そして、もう一つは後方の狼、それと少女らだ。魔力ではない、意識の根底から寒気がする圧倒的な存在感。強者揃いのこの場でもあまりに異質だ。

 

ただ、当の本人はどこ吹く風。負けることなど考えていないでいるのはある意味幸せなのかも知れない。

 

 

ーーーそして優勝賞品はトロフィー、メダル他4名様への旅行券です!これら賞品は「ハニカム鉄鋼工房」「狩人」「ナディア観光協会」の提供でお送りします。

 

「…………嘘でしょ。もう何処もかしこも化け物だらけだって事なの?」

 

「お嬢「考えさせろ。ああヤベえ頭いてえ」

 

 

 

と、つまらない話にもそろそろ終わりが見えてきた。

 

 

 

ーーー……さて、ここで最後にこの大会の特別ゲストを紹介させて頂きます。今回大会の作問者と作問協力者の紹介です。

 

「(作問者ねぇ。問題に癖があるとかなら分かるけど今の俺らには知らなくてもいいな)」

 

 

 

ーーーそれでは壇上にぞうぞ……ってマイクが無「はーーーいみんなーーーー魔法が好きかー!!蒼の探求リューナ クロートザックでーす!!今大会解説を担当しまーす!」

 

 

 

「はぁ!?」「え……?リューナ……姉?」

 

 

 

会場の選手らはその時絶句した。青髪の魔法使いが噂の正体と繋がった。そして、もう一人も。

 

 

 

ーーーチョットリューナサンタイミングスコシハヤイデス……今回の作問とシステムの構築を担当しました、セレネ ブラインドです。リューナさんと同様私も解説を担当します

 

 

 

「セレネ姉……!?」

 

 

 

結論から言おう、出禁は半分嘘だ。

 

あの時彼女が誘われたのは「運営側」、個人の為でなく誰かの為、ならばこうするのが一つの解であろう。

 

 

 

ーーーそれでは一言づつ今回の意気込みを語ってください

 

ーーーリューナサンサキヤリマス? セレネチャンカラデイイヨ

 

ーーーそれでは先に私から。競技用の作問と専用のシステム構築は私には初めての試みです。ですが多くの人の協力により最高の物に仕上げることができました。

 

ーーーだからといいますか、皆さんは私達の意地にかけて存分に競い合って下さい。そしてあなたが方が私の想定していない解法を見つけられる事を願います。

 

 

 

そして彼女は人混みの中から二人を探し視線を向ける。それが直接戦えない彼らに向けた彼女なりの宣戦布告である。

 

 

 

ーーーそれでは次は私!私も昔参加したことあるけど今回の大会は……多分大変な事になると読んでる。だから、皆も雰囲気に飲まれないように頑張れ!抜け道はきっとあるからね!!以上!!

 

ーーーはーい、ありがとうございました。ちなみに実況は司会の私が担当します。

 




武器名の読みは「エクスマキナロッドオアロート」と想定しています。

どのキャラが好きですか?

  • セレネ
  • リューナ
  • ルナシー
  • 狼さん
  • ミツキ
  • ナツメ
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