せいくりっどがーる!!!〜戦場に駆り出された聖女は回復よりも光魔法でがんばります〜 作:囚人番号虚数番
ーーーそれでは次は私!私も昔参加したことあるけど今回の大会は……多分大変な事になると読んでる。だから、皆も雰囲気に飲まれないように頑張れ!抜け道はきっとあるからね!!以上!!
ーーーはーい、ありがとうございました
「………(さて、彼女には悪いことをしました。けど出場が出来ない点では嘘は言っていません……よね?)」
何方にせよ私もやりたい事はある。新しい魔法の機構を試したり、どれだけ力が通じるか確かめたり。でも誰かに肩入れしてはいけない。その為の1つの手段には運営は最適だった。一人一人よりより全体にアプローチ出来るし、かつ私のポリシーにも合う。
削除予定ただまあ、もう一つの手では好奇心の赴くままに動いてしまってますけどね。
「(一応簡単な結界程度は解けるように指導してきましたし、流石にアネッサも解けますよね)」
ーーーそれでは開会式を閉会します。ここからは今回の大会ルールの説明を開始します。配布された端末を見てください。ルールブックももう読んでいいです
実は運営側にも似たようなものが配られているのだ。まだ私は着けていないので早急につけて起動する。「腕時計」という物を模している、と本部で説明されたが私の記憶ではそもそも時計とはここまで小さく無かった気がする。これを提供した工房とは一体……
装着し画面に「ハニカム鉄鋼工房」と表示された後いつくかの数値が表示される。私のには上位選手の情報しか表示されてない。だが選手用には緑、白、青、黄、赤の数字がそうだ。
ーーー今回の大会のルールと端末の見方から解説します。白字の数字はSCORE、今回大会の勝利条件であり最も重要な値となります。競技終了時に
ーーーこの数字を増やすためには各所に配置された点数に触れる、結界を解除する、その他方法で増やすことができます。只今点数の画像を端末に表示するのでしばらくお待ち下さい。
直後、選手の端末の画面が数字から光る地面の画像、同じく光る魔法陣の画像になった。
「成程、俺らは点の取り合いをするってわけか」
ーーーしかし!勝負には負ける事もある。なにせこの大会は戦闘可能ですから!緑の数字がありますよね。これはHP、体に一定以上の衝撃や魔法が当たると減っていき0になったら終了です。終了となった選手らはその時点で競技に参加できなくなります。
ーーーですが時間経過で少量増加して回復魔法が使える方はそれでも増加します。他選手に倒された場合は所持していたスコア分その人に加算されます!
「(HP……何かの卓上遊戯みたいですね。私は未経験ですが)」
「(ちなみにちなみにここのシステムはその手のシミュレーション経験済みのリューナちゃんが担当しましたーパチパチ)」
戦闘が許可された途端会場が一気に湧き上がる。特にこういう時のための武器防具を持ってきた、そしてそのもの目当ての観客は大いに盛り上がった。これでこそ大会、魔法の華。
だが一方でアネッサは困惑していた。自ら不戦を決意した途端にこれだ。だけどこれも彼女が選んだ道だ。この不況に彼女は抗うほかない。
ーーー因みに……試合中はこれを装着していると保護魔法が働く為実際の怪我はありません!
「(ここのシステムは私担当でしたね)」
ーーーさて、重要な数字は終わりました。あとは基本情報です。青字は残り時間、試合時間は2時間で終了と同時に会場周辺に転送されます。HPが無くなっても同じく転送されます。
「2時間か……」「珍しい、お嬢が死合を長い「2時間しかない、です」
ーーー黄色数字は貴方の登録番号、隣が貴方のチームの残り人数です。チーム登録された方にはここの数字が1以上となっているはずです。それが貴方のチームの仲間の人数です。
「たしか私達はお兄とチーム登録したよね」
「だな」
ーーー更にチームの代表者の方はここの数字が円で囲まれています。そして……この方のHPが0になるとチーム全体が終了となります。
会場中がざわつく。
「てあっ!代表ってもしかして!?」
「……私が代表者、だよね」
「(やべっ、代表登録したのって……たしか、アネッサ……)やらかした。完璧にやらかした……」
彼は聞き逃していたのか重要な選択を誤った。だが時既に遅しだ。だから彼女は覚悟した。
「お兄」
「アネッサ?」
「私が守るから、二人で最後まで頑張ろ?」
「……ああ」
彼女は笑っていた。その裏に強い覚悟を隠して。
ーーー皆さんは代表者が倒されないようにしつつスコアを集め赤い数字、あなたの現在の順位を上げていってください。
ーーー競技会場は少し離れた森内です。詳しい範囲は好きルールブックの地図に記載されていますが範囲外に出ようとすると端末の音が鳴って教えてくれます。そしてそのまま範囲外に出たり、音が鳴るからと試合中に端末を外すと失格となります。
ーーー簡単な説明は以上!あとは競技開始までの時間でルールブックを読んだり競技場周辺で魔法の確認等をして競技開始まで待機していてください。時間になったら全体に放送させて頂きます。それではご健闘を!
ーーー
「セレネ姉とリューナ姉が出れないのってこういう事だったの!?何でステージにいたの!?出れないなら先に教えてよ!」
「そうだぞ。全く、俺が出なかったらどうするつもりだったんだ?」
開会式が終わって競技開始前に彼らに会いに行ったら案の定アネッサは怒っていてポカポカ叩かれながら説明を要求された。ミツキさんも呆れている。
「いえ、実は元は作問と魔法のシステムだけ協力して競技には参戦できる筈でした。勿論作問者が参戦しても不公平にならないように工夫をした上でですよ」
「でもお姉さんたちにも計算外だったのはまさか参加人数がここまで膨れるとはね。勇者ブランド恐ろし。で、そういう人たちはきっと本気で戦い合いたいって考えだろうし私達が出るのは怒る人が出そうだって運営が判断したの」
つまり、競技の公平性のために運営は私達を出場停止にしたのだ。しかもそれが伝えられたのは大会前日の事だった。
「そ、そんな、滅茶苦茶だよ、そんなの。今からもう一回お願いすればできるかもしれないじゃん」
「全体で会議はしました。その上で決定した事です。それに……」
と、ここで運営の方が私達の収集を伝えに来た。これから私達がする実況解説の打ち合わせだそう。どうやら時間らしい、ミツキさんに最後のお礼をして私とリューナさんは本部へ行く。
「行っちゃった。まだ全然聞けてないのに」
「いや、あれで良い。アネッサ、俺らも体温めるぞ。それとルールブックも読む、やる事は多いんだ」
彼はアネッサの手を引き競技会場周辺へと向かう。
「お姉!」
アネッサが私達に向かって叫び、私達は振り返る。
「戦闘があるかも知れないけど私は私の道を進む、だから競技席で見てて。お姉に勝つから」
彼女は笑っていた。どうやら私の心中は見透かされているらしい。私には彼女の心の内は分からない。だけれども、私は何故か許されたような気がした。
「あーまじでセレネ出られないのか。まあ頑張るか」
「多分姉たちは参加すると思うよ」
「え?」
「だってお姉だよ。きっと出る」
「ははは、だといいな」
ーーー
現在位置 競技場周辺
大会会場の楽しげな雰囲気から一変、選手のみの競技場は殺伐としていた。
素振りで風を切る音や詠唱の発声練習をする声が響く。だが殆どはルールブックを一心不乱に読み込んでいた。ある者は仲間同士で一冊を囲み話し合いながら、ある者は木陰に座り淡々と。
「(なんつーか異様だな。ギルドじゃ絶対にありえない)」
「兄、あそこの隅っこが空いてるからそこで待とうよ」
「ああ、そうするか」
適当に居場所を見つけミツキは体を準備運動を始め彼女はルールブックを読む。
書いてあることは概ね先の解説の通り。それの細かい規定や配点等が記載されている。要はこれで戦略を練れ、という趣旨はアネッサには理解できた。しかし如何せん書いてあることが細かい。字も細かい、規定も細かいで彼女の読む気を的確に削いていった。すぐに読むのを止め彼女も彼と同じく魔法の練習をし始めた。
「お嬢、まだ勇者様らはこちらに気づいておられないようです」
「そう」
ルナシーが陣取るのは競技場の高台の地形。狼は体が周りから見えないように低く伏し彼女は地図とそこから見える風景を見て地形の把握をしていた。
「実家と比べて起伏が多めですね。戦ってて邪魔そうです」
「しかし家周辺の地理ですと岩石類は決してご実家程固くはありません。戦いづらいと言って掘り返していると戦場みたいに怒られますよ」
「いえ、この規模なら木を切り倒す位で済みます。最悪視界が通れば勝てます」
狼はそれに疑問を持つもすぐに思い出す。そして一人納得しそれから何も言わなかった。
「で、貴方は……もしかしてアレ?今捕捉しました。下に誰かいますね」
彼女の視線の先は競技場の人気の少ない木と岸壁に囲まれた所だ。そこで関係の無い二人の選手が出会っていた。会話も口の動きからできるだけ推察する。
「やあやあそこの君、もしかして一人かい?」
「……何用で?」
一人は見たところ仮面をした女性の魔法使いだ。とはいえ杖らしきものは持っておらず代わりに銀の横笛を携えている。色鮮やかな配色の華麗な装備は踊り子や娼婦を思わせる。
もう一人は奇妙な奴だ。顔を鳥の嘴を模したマスクで隠し古く汚れた黒いマントを羽織る、ある種死神にも思える。武器も見受けられない。隠しているのだろうか。
「僕は……ただの舞姫かな」
「踊り子は曲を奏でない、踊らされるだけ」
「あっそっか、鋭い指摘ありがとう。でも僕の見立て道理。でもそれ以上に癖が強そうだね」
「癖は貴公も言えたもんじゃないだろうが」
「ふーんそんなこと言っちゃうんだ。さては君、周りに馴染めずにここへ来たんだろう?」
彼は彼女を置いて何処かへ向かおうとする。
「ああっちょっと待って!仲間、僕ボッチで寂しいの!」
「あいにく仲間づくりには興味が無くて。私はもうここを去る。協力なら他を当たってくれると助かる」
だが彼女は彼の手を掴み引き止める。
「いやさ、恥ずかしながら向こうでやったら断られちゃって。話だけでも聞いてみないら」
「断る」
しばらく観察を続けると女が騒ぎ立て男はそれを面倒くさそうにあしらいながら森の木に紛れ見失った。
「何故これを教えた?……ああ、単に面白そうだからか。期待して損した」
期待はずれの情報に彼女はすぐに興味を無くした。それから遠くて聞こえる競技場への移動が聞こえた。槌を持ち、鉈を抜く。それから狼に乗りどこか別の場所へ陣取りにその場から去る。
ーーー
現在時刻 ミツキ アネッサが競技場周辺に到着した頃
現在位置 会場 本部
「あの、ごめんなさい。打ち合わせなんですがもう抜けて宜しいでしょうか」
「はい。担当は決まりましたので構いません」
「ではお先に失礼します」
実況の打ち合わせを中断し本部から出る。会場の人混みからも離れ森の中へと向かう。競技場ではないから当然そこには選手はおろか人は誰もいない。
「さて……始めますか」
周りを確認した後彼女は耳元の魔法を作動させた。
『これが通信魔法か。世の中は便利になったなセレネ』
少し低く籠もった声。大会だからか緊張で口調が硬い。それとも単に特殊な状況下だからか。だがその声を聞きひとまず安心した。
「アネッサはどうですか?」
『ミツキと体操してる。アレは傍から見たら親子連だと思われているな』
「あなたの方も不調はありませんね」
通信の向こうから布の擦れる音がした。
『今確かめた。特に傷はない。しかし私がセレネの魔法の内容を見かけで分かるわけ無い』
「ふふっ言われてみればですね。でもその調子であれば問題なく起動している様子は察っせます。後は貴方の技術次第ですね」
『それは期待しておけ、私を誰だと思ってる。しかし貴方も罪だ。二人して裏切っておいて裏ではコソコソと仕込をする、バレたらどうするつもりか教えて欲しい。私は言い訳なんて汚い行為はしたくない』
「え、二人して?」
しれっと気になる情報を口走った。そんな事初めて聞いた、さらなる情報を求めて問い詰める。
『出席名簿を盗み見した。それで興味深い名を見つけ『やあやあそこの君、もしかして一人かい?』『っ!?あとは頼んだ』
どうやら向こうでなにかトラブルがあったらしく通信が途切れる。実況になったら通信も出来ないしこれが最後の会話になるだろう。後は特等席から何も出来ずただ祈る。
……私も最後に基本ルールの確認をしておこう。一枚の自筆のメモを見る。
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肉筆のメモ
「大まかな基礎ルール
選手用端末情報
HP(緑字) 選手は一人に与えられる被ダメージの上限。一定の攻撃が加わると対応した値が1000から減算され0になると脱落する。回復魔法を使うと加算される。(端末着用時常に保護魔法が働く為実際に肉体が怪我をすることはない)
SCORE(白字) 点数。これで勝敗を決める。ランダムに配置されるスコアを獲得する、ランダムに配置される結界を解除しスコアを獲得する、他選手のHPを0にして固定スコア+死亡前に持っていたスコア分全てを加算する(相手がチーム代表者の場合はチーム全体のスコアを獲得する)、以上の行為で加算される。
TIME(青字) 残り時間。制限時間は2時間。終了時会場周辺に転送される。脱落時にも転送される。
MEMBERS(黄色字) 自身の登録番号とチーム人数。1〜3人までのチーム戦、チーム代表者のHPが0になるとそのチームは脱落。ここが円で囲まれている人はチーム代表者。
RANKL(赤字) 現在の順位
範囲は会場周辺の森丘内。範囲外に出そうになったら腕の端末が教える。
勝利条件 2時間経過時点の点数で順位を決める。
敗北条件 HPが0になる、チーム代表者のHPが0になる、その他重篤な(大会が進行不能になる程度の)不正行為
その他注意事項はルールブックに記載されている。(大会の目玉らしい)
懸念点
ルール設計に不参加であり知った時には手遅れだった。そのせいかルールをすべて読み込んだ限り戦闘はかなり大胆に許可されている。このままではアネッサが問題だ」
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ーーーぴーんぽーんぱーんぽーん。えー選手の皆様選手の皆様、開始十分前になりましたので競技場内の各所に散ってくださーい
試合開始前の放送が入った。彼らの戦いがそろそろ始まる。
どのキャラが好きですか?
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セレネ
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リューナ
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ルナシー
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狼さん
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ミツキ
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ナツメ