魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~   作:strike

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時間が掛かりましたが結局いつも通りの文章力でした…。(泣)
感想や意見お待ちしております。

第10話スタートです。




第10話 教導

翔馬が倒れてから2日が経った今日。いつものように空間シミュレータの設定をしながらスバル達が行う訓練メニューを確認をしていたなのはは後ろから聞こえた足音に振り向く。

 

「…あ、フェイトちゃん。これからお出かけ?」

「うん。これから本局に行ってレリック解析の進捗確認と、情報集めに。…お昼過ぎには戻るよ。」

 

そこにやってきたのは制服姿のフェイトだった。フェイトはなのはの隣に立つと少しだけ目を伏せて

 

「…翔馬。目、覚ましたみたいだったね。」

「…うん。…無理してなければいいんだけど。」

 

2人は翔馬が運び込まれ検査が終わった後、静かに眠る翔馬の傍でずっと心配していたが、責任ある立場の2人が長時間職場を離れている訳にもいかず、暫くしてから職場に戻り業務をこなしていく。2人は翔馬の気絶する直前の様子が頭から離れず、倒れてからの状態が気になり合間を見つけては翔馬のお見舞いに行っていた。そして、昨日はスバル達の初個人メニューとなり、なのはとフェイト、ヴィータの3人でスバル達の訓練の相手をしていたが、そこにいたメンバーは頭の片隅で翔馬の事を気にしながら、それでもできることを精一杯やっていた。訓練が終わり皆で翔馬の様子を見に行こうという話になり(ヴィータは先に戻ったが)それ以外の全員で病室を訪れた。しかし、そこには翔馬の姿はなかった。シャマルの話では2時間ほど前に目を覚まして今回の事を話してくると言って病室を出たという。そのため仕方なく各自の部屋へと戻ったわけだが…

 

「今日はどうするのかな?…翔馬。」

「どうだろ?…今日もお休みかもね。」

 

2人はここに居ない翔馬の事を気にしながら何もない真っさらな訓練場を見つめていた。すると、駆け足でこちらに向かってくる人影が4つ。スバル達であった。

 

「「「「今日も、よろしくお願いします。」」」」

 

訓練服のスバル達は、なのはとフェイトの前に立つと声を合わせて挨拶をする。それを見て2人は笑顔を作るとフェイトが前に出る。

 

「私は午前中、本局まで行かないといけないから皆のこと見れないけど…午後からは相手が出来るように帰ってくるつもりだから、それまではなのはとヴィータに鍛えてもらってね。」

「はい、フェイトさん。道中気を付けて。」

「お仕事頑張って下さい。」

 

ライトニング隊のエリオとキャロはフェイトに対して返事を返すとフェイトは2人の頭をなでてにっこりと笑う。その時、別の場所から声が聞こえてきた。

 

「いいからお前は休んでろ!…まだ病み上がりなんだろ?あたしとなのはだけでもあいつらの相手は十分だ。」

「だから、大丈夫だって言ってるだろ?…心配してくれるのは有難いけど、全快の状態で心配されてもな…。」

「仕事中にいきなりぶっ倒れた奴が1日で全快になるかよ!?……はぁ、もうめんどくせ。勝手にしろ。」

 

話し声の方向に全員が顔を向けると、そこにはヴィータと言い合いをしている翔馬の姿があった。

 

「ホントに大丈夫なんだけどな。……おはよう、皆。」

「「「「「「翔馬(君)(さん)(隊長)!?」」」」」」

 

ヴィータの諦めの声に苦笑いを浮かべてから、なのはたちに顔を向けて挨拶をすると先日、迷惑かけたことを謝る。

 

「一昨日は心配かけて悪かった。…スバル達にはみっともないところ見せたな。」

「いえ!…そんな。」

「隊長は私達のためにやってくれたんですから。」

「そうですよ。…むしろ私達の力がなかったばっかりに。」

「翔馬さんに無理をさせてしまいました。」

 

翔馬の言葉にスバル達は慌てて返事を返す。翔馬は苦笑いを浮かべるとそうじゃないと首を振り、なのは達もそれに頷いた。

 

「そうだよ。翔馬君のあれはスバル達が責任を感じる必要はないんだよ?」

「あの状態で、スバル達はベストな戦いをしてしっかりと自分たちの役割を果たしたんだから。」

「そうそう。お前たちの初陣は内容がどうであれ目的は達成できたわけだからな。こいつがバカなだけだ。お前らが気にする必要はねぇ。」

「…ヴィータは一段と厳しいな。…でもまぁ、そういうこと。今回は俺の判断ミスってだけだ。…だからスバル達はそんなこと気にするな。」

「「「「…わかりました。」」」」

「おう。それでいい。」

 

翔馬はスバル達の少しだけ申し訳なさそうな返事を聞いて笑みを浮かべる。その様子を見ていたなのはとフェイトは思い出したかのように翔馬を見る

 

「それより、翔馬君。体は大丈夫なの?」

「翔馬の様子がおかしくなった後、いきなり倒れて…それに、倒れ方も不自然だったから…。」

 

なのは達は翔馬の体調を気にして心配げな表情を浮かべる。

 

「まぁ、体の方は大丈夫だ。シャマルにも診てもらったし。…ただ、倒れた原因については俺にも良くわからない。レリック回収後の記憶がさっぱり無くてな…。」

「そう…なんだ。…えっと、訓練には参加するの?」

「ああ、今日は参加するよ。ホントなら2日前から見る予定だったんだけどな。」

「あたしは止めとけって何度も言ったんだけどな。出るって聞かねぇからもうあきらめたよ。」

「……。」

 

なのはは、少し表情が曇る翔馬を見て話をすり替えると翔馬はスバル達に練習を見れなくてゴメンと一言。そして、フェイトは皆と話をする翔馬をじっと見つめていた。その視線に翔馬は直ぐに気付くが、あえて触れることはしなかった。

 

(やっぱり、なんかおかしいと思われてるよな。)

 

翔馬は心の中で苦笑いを浮かべていると、なのはが話しすぎたかなと言って時間を確認するとフェイトを見る。

 

「フェイトちゃん。時間大丈夫?…そろそろ行かないとダメなんじゃない?」

「…え?…あ、ホントだ。それじゃ、私は行くから。みんな訓練頑張ってね。」

「「「「はい。」」」」

 

スバル達は声をそろえてフェイトを見送る。

 

「それじゃ、私達は訓練に行こうか」

「「「「はい。よろしくお願いします!!」」」」

 

フェイトを見送ったスバル達はなのは達の方を向き、気合の入った声で返事をする。

 

「うん。今日も元気だね。」

「それじゃ、あたしから今日の訓練の説明だ。と言っても、昨日とやることは変わらねぇ。個人スキルの訓練だ。昨日も言ったと思うが、これから暫くはこの訓練が続くからしっかりと自分の役目を理解して訓練を行う様に。」

「それと、俺も今日から訓練に参加することになる。担当は説明するまでもないと思うがフェイトの代わりとしてエリオとキャロを重点的に、そして手が足りなければスバルの方も見るかもしれないから、3人はよろしくな。」

「「「はい!よろしくお願いします!!」」」

 

翔馬の担当を伝え終わるとヴィータは今日の練習メニューについて詳しく話し始める。そして、各担当ごとに別れての訓練に入るため、3方向に別れる。

 

「それじゃ、お昼頃になったら集合の笛を鳴らすので、それまでは各隊長にしたがって訓練を進めて下さい。それじゃ、解散。」

「「「「はい!」」」」

 

そして、翔馬達は森の中を歩いていた。そしてしばらく歩くと少し森が開けた場所に入る。

 

「ここらへんだな。…それじゃ、これから訓練を行うわけだが…昨日フェイト隊長からは何を教わった?」

「ガードウィングの僕はどの位置からでも攻撃や仲間のサポートができるように…」

「フルバックの私は素早く動いて仲間の支援ができるように…」

「「回避アクションの基礎を教えてもらいました。」」

 

2人は昨日の出来事を思い出しながらそう言った。それを聞いた翔馬は笑みを浮かべて頷く。

 

「そうだな。頑丈じゃない2人には有効な訓練だ。…それじゃ、今日も回避アクションの基礎を学ぼう。」

「「はい!!」」

「まずは、昨日のおさらいから行くぞ。2人とも早速だけど準備はいいか?」

「「いつでも大丈夫です!」」

「よし、それじゃ、位置につけ。」

「「はい!!」」

 

翔馬はフェイトの意図を汲み取ると2人に指示を出す。そして手元にコンソールを出すと素早く何かを打ち込み始めた。そして準備が終わるとコンソールを消してエリオ達に真剣な顔を向ける。

 

「よし。昨日も同じ訓練だったと思うが…この魔道機械から射出される魔法弾を10分間回避すること。そして、それが終わって体が慣れて来たら徐々にレベルを上げて行く。予測で動かないでしっかりと攻撃の軌道を見るんだぞ。」

「「わかりました!!」」

「それじゃ、訓練を開始する。…レディー・ゴー!!」

 

翔馬の掛け声と共に球体の形をした魔道機械から魔法弾が発射される。エリオとキャロはそれをしっかりと見て確認すると回避行動を取り2手に別れて動き始める。

 

「うん。結構いいスタートだな。」

 

翔馬はエリオ達の動きを見て笑みを浮かべる。それから暫くの間、エリオとキャロは魔法弾を確実に回避する訓練を行うのであった。その頃、本局へ車で向かっていたフェイトは運転をしながら翔馬の事を考えていた。

 

(…多分翔馬、何か隠してるよね。…あの時の行動、表情、倒れ方、…誰がどう見てもおかしかった。確実に何かがあったんだあの場所に…。でも、翔馬があんな状態になる原因なんて……ん?…原因?……仮にその原因が翔馬の精神的要因なら翔馬があんな状態にまでなるくらい衝撃のあった出来事……。)

 

「…っ!?…まさかあの時の!?……いや、でもそんなこと。それにあの事件は…」

 

フェイトは何かに思い当たったのかハッとした表情を浮かべるが、その考えを否定し頭から消そうとする。しかし、浮かんでしまった考えは直ぐには消えなかった。

 

「この事件…少し厄介かもしれない。」

 

そして、前をしっかりと見つめたフェイトの顔には真剣な表情が浮かんでいた。

 

「よし。それじゃ、またレベル上げるぞ。」

「「は…はい!!」」

 

エリオ達の訓練はあれから2時間が経っていた。ひたすらに回避と休憩を繰り返し行い、その訓練のレベルはいつの間にか高い所まで昇っていた。そのせいかエリオ達の額には汗が滲み、最初にはあった余裕が今では見る影もない。そして、また弾速が上がる。

 

「ふっ…。…何とか移動しないと。」

「はっ!…でも、弾速が速すぎて…回避で精一杯だよ。」

 

エリオ達は回避をしながらなんとか撃たれないように足を踏み出そうとするが魔法弾に邪魔をされ、次第にエリオ達はその場での回避に専念し始める。その様子を見ていた翔馬は少し険しい表情になると動き出した。

 

「足が止まると…」

 

コンソールで2機の魔道機械をオートからマニュアルに切り替えて、上空からの射撃しか行わなかった魔道機械を水平方向に移動させて、高速で3発ずつエリオ達に向かって打ち込む。

 

「「あっ!?」」

「相手にとってはただの的だぞ。」

「うわっ…!!」

「きゃっ!!」

 

エリオとキャロはその瞬間、いきなり違う方向から撃たれた魔法弾に驚きつつも地面を転げて多方向から撃たれる魔法弾を回避しながら移動を始めた。それを見た翔馬は笑みを浮かべ

 

「そうだ。2人はティアナみたいな砲撃型じゃないんだから、その場で足を止めたらその瞬間に打ち抜かれると思え。」

「「はい!!」」

「回避の極意は?」

「同じ場所に…居続けない!!」

 

キャロは走りながら細かいステップを組み合わせて、走る方向を巧みに変えながら魔法弾を避けていく。

 

「足を動かして…相手に狙わせない!!」

 

エリオが魔法を使って速度を上げる。すると、さっきまでエリオに向かって魔法弾を放っていた魔道機械はエリオを追うのに精一杯となりが発射される魔法弾は見てわかるくらいに減った。

 

「「そして、予測で動かず相手の攻撃を見切って確実な回避アクションを取る!!」」

「そう。俺達みたいな軽い魔導師は攻撃をまともに受け止めてたんじゃ埒が明かない。…こちらは相手の動きを見切ったうえで確実に回避。そして仲間を守れる速さを身につけるんだ。」

「「はい!!」」

 

その後、様々な訓練を行いエリオやキャロだけでなく個人に合った訓練を各自担当の隊長達に指導を受け、途中からはフェイトも合流して訓練を行い夜を迎えた。

 

「それじゃ、今日の訓練はここまで。」

「「「「はい!!ありがとうございました!!」」」」

「はい。お疲れさま。」

「お疲れ。」

「ちゃんと寝ろよ?」

「「「「はい。お疲れ様でした。」」」」

 

なのはの訓練終了の声にスバル達は声をそろえて返事をすると、フェイト、翔馬、ヴィータから声がかかり挨拶をしてスバル達は寮に向かって歩き始めた。

 

「ふぅ。…みんなお疲れ様。」

「ああ。お疲れ」

「うん。」

 

訓練場に隊長達だけが残るとお互いに今日の訓練について話をし始める。それを見たヴィータはため息をつくと呆れ顔で。

 

「しかし、翔馬やフェイトはともかくお前はホント朝から晩までずっと連中に付っきりだよな。…疲れるだろ。」

「確かにな。今日の練習しか見ていないが、あいつらはまだまだ荒削りの原石程度の実力だ。あれを磨き上げるのは中々に重労働だと思うぞ。」

「だからこそ、ヴィータや私達が手伝いをして早く一人前になれる様に訓練を行ってるんでしょ?まぁ、なのはに負担をかけてるのは変わらないけど…。」

 

ヴィータの言葉に翔馬は少し心配げな表情で、フェイトは少し申し訳なさそうな表情で頷く。それに対してなのははコンソールを叩き終えると、3人に振り向いた。

 

「そんなことないよ。みんなそれぞれに役割があるんだから。私は機動6課の戦技教官だもん。当然だよ。」

 

なのはは笑顔を浮かべると、当然のように言う。そしてその笑顔を見た翔馬は何かを思い出し

 

「それと…まぁ、俺が言うのもなんだけど普通の生活態度とか…厳しくしなくていいのか?俺達が入った時の新人教育なんて挨拶から歩き方まで、何でも厳しく言われてただろ?」

「…戦技教導隊のコーチングって、どこに行ってもこんな感じだよ。細かいことで怒鳴って叱りつけてる暇があったら模擬戦で徹底的にきっちり打ちのめしてあげた方が教えられる側は学ぶことが多いって。教導隊ではよく言われてるしね。」

「「……おっかねぇな。…おい。」」

「…あはは。」

 

翔馬とヴィータはなのはの回答に苦笑いを浮かべ、フェイトは乾いた笑みを浮かべるのであった。

 

「私達がするのは真っ新な新人を教えて育てる教育じゃなくて、強くなりたいっていう意思と熱意を持った魔導士達を導く戦技教導だから。」

「…まぁ、何にせよ大変だよな教官ってのも。」

「でも、ちゃんとヴィータちゃんもできてるよ。教官。…立派。立派。」

「なっ!?…撫でるな!!…何だよ!?」

 

なのははヴィータの頭を撫ではじめ、ヴィータは文句を言いながらその手から逃れようとする。それを見て翔馬とフェイトは笑っていた。

 

「さて、それじゃ俺達も戻るか。今日の訓練データはデータベースに送っておけばいいんだろ?」

「あ、うん。お願い。」

「そしたら、一応なのはがこれまでまとめてきたデータもデータベースに置いておいてくれるかな。一応みんなの成長具合とか知りたいし。」

「うん。わかった。一応個人ごとに分類してるからわかりやすいとは思うけど何かあったら聞いてね。」

 

3人は前を歩きスバル達の訓練データをまとめる作業をどうするか話をしている。

 

(連中は自分たちがどんだけ幸せか気付くまで結構、時間が掛かるんだろうな。自分勝手に戦ってる時も、いつだってなのはに守られて。…私はスターズの副隊長だからな。お前の事はあたしが守ってやる…!)

 

ヴィータはそんな思いを胸に秘めなのはを見つめていた。そして、なのははヴィータの視線に気付いたのか後ろを振り向く。

 

「ん?何?」

「なっ!?…何でもねぇよ!行くぞ。」

「うん。ヴィータちゃん。」

「「??」」

 

ヴィータは照れくさそうに前を歩き出すとそれになのはが笑顔で付いていく。それを見て翔馬とフェイトは首を傾げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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