魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~ 作:strike
これから回を重ねるごとに翔馬の過去が少しずつ明らかになる予定です。
意見や感想はいつでも受け付けていますので気軽にお願いします。
それでは第12話スタートです
翔馬は現在の状況を確かめるためにスバル達のいる防衛ラインまで向かい、スバル達と合流を果たす。
「皆、大丈夫か?」
「「「翔馬隊長!!」」」
「はい。全員問題ありません。現在、ヴィータ副隊長、シグナム副隊長、ザフィーラの3人がガジェットの破壊に向かっています。いま、シャマル先生のクラールヴィントとリンクさせてモニターを出して状況の確認中です。」
翔馬の問いかけに対し、ティアナは全員の無事を伝えて現在の状況を合わせて報告する。
「そうか。…確かに問題はなさそうだな。それじゃ、指揮は引き続きティアナが取ってくれ。」
「え!?…翔馬隊長じゃないんですか?」
「やったね。ティア。隊長に指揮任されちゃったよ。」
「凄いです…。」
「ティアさん。よろしくお願いします。」
スバル達はティアナが指揮を任されたことを喜び、ティアナは少し戸惑いを見せたがやる気の目で敵を見据えていた。
「基本的に俺は居ないものと考えて行動するように。…なるべく4人で協力しながら対応すること。もし俺の力が必要になった場合は直ぐに呼んでくれれば駆けつける。だけど、逆に言えば呼ばない限りお前たちの助けには出ないつもりだからそのつもりでいてくれ。まぁ、流石に危険だと俺が判断した場合は別だけどな。」
そう言って翔馬は笑みをスバル達に向ける。すると、4人は翔馬に敬礼して
「「「「了解しました!!」」」」
「ああ。無理せずに頑張れよ。」
翔馬もそれに合わせて敬礼をするとそのままその場を離れようとする。しかし、その時キャロのケリュケイオンが光り出す。
「この反応は…この近くで誰かが召喚魔法を使ってる!?」
「こちらもクラールヴィントが反応をキャッチしたわ。でもこの魔力反応は…。」
「大きすぎる…。」
キャロに続いてシャマルとシャーリーがその反応を見て声を漏らす。その頃、魔力の発生源では…
「本当にいいのか?ルーテシア。」
「うん。ゼストやアギトはドクターの事嫌うけど、私はそんなにドクターのこと嫌いじゃないから。」
そう言って、ゼストと呼ばれた大きな体格をした男は小さな女の子ルーテシアに問いかけるが、ルーテシアは戦闘をサポートするための準備を始める。ゼストはその様子を後ろから見守るのであった。そして、ルーテシアはインゼクトと呼ばれる小さな機械虫を大量に召喚するとガジェット達にに向かって飛ばす。その頃、ガジェットと戦闘を行っていたヴィータとシグナムは次々とガジェットを破壊していた。しかし、紫色の光がガジェットに向かって飛んできたかと思うとガジェットの動きが早まり、今まで当たっていた攻撃が当たらなくなっていた。
「急に動きが良くなった?」
「これは…。オートからマニュアルに切り替わっただと?…ヴィータ。一旦ラインまで下がれ。もし向こうに召喚士がいるのなら新人たちの元まで敵が回り込むかもしれない。」
「…わ、わかった。」
ヴィータはシグナムに言われた通りにラインまで下がり始める。それと同時にシャマルはザフィーラへ連絡を取りシグナムを1人にさせないように指示を出す。
「ザフィーラ。シグナムと合流してサポートをお願い。」
「心得た。」
そう言って、ヴィータとザフィーラはそれぞれ移動を開始した。そして、ホテルアグスタ前。
「っ!?…遠隔召喚来ます!!」
「…11機。…ティアナ。行けるか?」
「はい!!行けます!!…スバル、エリオ、キャロ。戦闘準備!!」
「「「了解!!」」」
ティアナは翔馬に2つ返事で返すと戦闘準備を始める。そして魔法陣が完全に展開された時、翔馬は近距離から大きな魔力反応を感じた。
「ん?…ちっ。」
既に放たれた魔法を目視して翔馬は舌打ちをすると直ぐにティアナを突き飛ばしてスバルに抱きかかえさせると、エリオとキャロを抱きかかえてその場から飛び立つ。
「きゃっ!!」
「おっと。」
「うわっ!!」
「きゃぁぁ!!」
全員が突然の事に声を上げるが、その直後に背後で木が倒れる音が聞こえると全員は攻撃されたことに気付く。翔馬は地面に降り立つと直ぐにエリオとキャロを降ろして魔法が放たれた方向を見据える。
「…ティアナ。悪いがこっからは手助けができないかもしれない。お前達だけであの11機抑えてくれるか?…今、ヴィータ副隊長がこっちに向かってる。その間だけ何とか持ちこたえてくれ。…いいな?」
翔馬はティアナに向かって声だけで指示を出す。しかしティアナからの返事はNOだった。
「…いえ。私達だけであの11機を落として見せます!!」
「…ティアナ?いや、そこまでしなくても。…っ!?」
翔馬は断られるとは思っていなかったため驚きで思わずティアナの方を向こうとしてしまうがその瞬間、陰から魔法が放たれ回避行動をとる。その瞬間に、ティアナ達はガジェットの元へと走って行ってしまった。
「人の話を邪魔するなんて趣味が悪いんじゃないか?…あんたが召喚士…って訳じゃなさそうだよな。あんたは誰だ?…何が目的だ。」
翔馬は見えない敵に対して話しかけると、影が揺れてその中から人影が映る。そしてその姿が日の元に現れると翔馬は言葉を失った。
「確かに今のは性格が悪かったですね。でも、私はあなたと2人っきりでお話をしたかったので…すみませんがこれはご愛嬌ということにしておいて下さい。……お久しぶりです。藤田翔馬さん。」
「………シエル……アウローラ。」
翔馬はその姿を見て彼女の名前を呟く。
「わっ。覚えて下さっていたんですね。嬉しいです。私てっきり…」
「忘れられる訳が無いだろ…?」
「え?」
翔馬は俯き、その声は小さかったが強い思いを投げかける。その様子に少し戸惑いを見せるシエル。
「…俺が……愛した女。そしてこの手で殺した女の事を……忘れられる訳ないだろうが!!」
「っ……。」
翔馬は俯いていた顔を上げてシエルに顔を向ける。その顔を見たシエルは何も言葉を発することができなかった。…なぜなら翔馬の顔には今にも泣きそうな…目を背けたくなるような辛そうな表情を浮かべていたからだ。
「…翔馬さん。…あなたは…」
「…お前は、ホントにシエルなのか?シエルはあのときの事件で俺が殺したはずだ。……ここに居るお前は誰だ?」
翔馬の顔を見てシエルは言葉を掛けようとしたが、翔馬の質問に言葉が掻き消される。すると、一瞬だけ寂しげな表情を浮かべた後、何かを決意したように殺気の籠った眼を翔馬に向ける。
「結論から言えば私は本物ですよ。…あの事件の後、私は死にかけました。いえ、一度死んだと言ってもいいでしょう。しかし、そんな私に1人の男の方が手を差し伸べて下さったのです。」
「……。ジェイル・スカリエッティか。」
「…ご想像にお任せいたします。……私を救える可能性はとても確率が低いものだったそうですが、その方のおかげで私は今こうして九死に一生を得てここに立つことができているのです。……今度は私が貴方を殺すために。…そうですね。信じられないならこれをお見せすれば信じて頂けるかと。」
「なっ!?」
シエルはあの事件の後の事を軽く説明し、まだ信じていないような翔馬の様子を見て自分の服に手を掛ける。そして、上半身を曝け出すと下着で隠しきれない左胸の大きな傷、横腹には刃物で切り裂かれた跡、右腕は何かで貫かれたような傷。様々な個所に傷跡が残っていた。それを見た翔馬は息を飲む。そして、自分がやったことがどれだけの事だったのか想像をするだけで胃の中ものが込み上がってきそうになった。それを見てシエルは服を直して翔馬に向き直る。
「お分かり頂けましたか?…本物でなければこんな傷、正確にできるはず無いですし何より翔馬さんなら私の傷の在処をご存じでしょう?確実な証明方法だと思ったのですが?」
「……お前は…本当にシエルなんだな?」
「先程からそう申し上げていますよ。」
翔馬はそれだけを言うと喉まで込み上がってきたものを飲み下し、シエルを見据える。そのシエルからは絶えず殺気が放たれ、翔馬は足を後ろに下げそうになる…が
「…はぁぁぁ。…殺らなきゃいけないのか?」
翔馬は深く息を吐き出すと逆に足を前に出してシエルを見つめる。
「私はそのために生きて来たのですから。…さぁ、始めましょう。2人だけのパーティー《殺し合い》を。」
2人はお互いに見つめ合うとデバイスを掲げる。
「ウィル。」
「ゼフィロス…。」
「「セットアップ!!」」
片方は緑色の魔力。もう片方は鮮やかな水色の魔力に包まれるとバリアジャケットを身に纏い姿を現す。翔馬は緑と黒を基調としてアウトコートの下に2本の鞘が隠れるような格好。それに対して、シエルは水色と白を基調としており肩を出した膝上までのワンピースに前開きのアウトスカートが付いた格好だった。腕にはふわふわとしたアームレットが二の腕から手首まで着けられており、背中にはシエルの身長程もあるのではないかと思われる大太刀が背負われていた。
「8年前と変わらないな…。」
「翔馬さんこそ。」
そう言ってお互いに腰を落とすとシエルは軽く左足を引いて左手で鞘を支え右手で柄を掴む。翔馬は完全に左半身を開いて、右手でゼフィロスを引き抜こうとする……が、直前で手が止まってしまった。
「甘いですよ。……はっ。」
「くっそ!!…っ。」
シエルは翔馬が躊躇った一瞬で距離を詰めると、大太刀を抜き放ち翔馬に向かって振り下ろす。それに気付いた翔馬は回避するために思いっきりシエルの脇に向かって前に飛んだ。そして地面を転がるとゼフィロスを抜けなかった手を見つめる。
「こんな時にビビってどうするんだよ…。」
翔馬の両手は大きく震えていた。それを見て好機と思ったのかシエルはさらに追い打ちをかける。翔馬を間合いに入れると横に薙ぎ払い、それを飛んで躱した翔馬に向かって横に薙いだ勢いのままその場で一回転する。
「水円刃!!」
その時、シエルの足元には魔法陣が浮き上がり大太刀には水色の魔力が付加されそのまま翔馬に叩き込む。しかし、翔馬はそのまま宙に浮き横に飛んで回避をすると地面に降り立ち、翔馬はそれと同時に震える手を懸命に抑えて掌をシエルに向ける。
「エアリアルシューター!!」
翔馬の掌から放たれた3つの魔法弾はシエルに向かって一直線に向かって行く。
「……。」
しかし、シエルはそれを気にした様子もなく無言でただ大太刀を真横に振った。すると、翔馬の攻撃はあっさりとその場から消え去ってしまう。
「……残念です。翔馬さんがここまでなんて。昔の様に戦えるかと思って少し期待していたのですが…。もう終わらせましょう。」
すると、シエルは右手に持った大太刀を体を右半身を開きながら引くと左手で大太刀の腹を支える。すると、シエルの足元と正面に魔法陣が描かれる。その構えを見た翔馬は焦り、その場から動こうとするがシエルは目標を変えようとしない。不思議に思った翔馬はシエルの視線の先を見て戦慄した。…その先はホテルアグスタのオークション会場だった。
「マズイ!!…くっそぉぉぉ!!!!」
「魔力解放…。…水鏡…衝閃穿!!」
そして、翔馬が雄叫びを上げるとシエルは大太刀を正面の魔法陣に向かって勢いよく突き出し、高魔力である水色の閃光がホテルアグスタに向かって一直線に伸び…爆発を起こした。
「………。」
シエルはそれを無言で見つめ、その爆煙が収まるまでその場を動かなかった。すると何かに裂かれた様に爆煙が吹き飛ばされる。
「…はやて。そっちは無事か?」
「こっちは問題なしや。…めっちゃ焦ったけどな。…翔馬君。今戦ってる子は…。」
「悪いが、その話は後でちゃんとする。少し待ってくれるか?」
そこにいたのは左腰のゼフィロスを抜き、バリアジャケットに焦げ跡がついた翔馬であった。翔馬はシエルを見据えながらはやて達の無事を確認すると詳しいことを聞かれる前に翔馬は話を打ち切った。
「翔馬。加勢は…」
「俺1人でやる。…大丈夫、無理はしない。」
すると続いてフェイトはこうなる可能性を翔馬に伝えていたため、あえて加勢はしていなかったが先ほどの状況から思わず声をかけてしまった。しかし、翔馬は笑って問題ないと跳ね除けるとシエルの元へ向かおうとする。その時、呟き声が翔馬の耳に入った。
「翔馬君…。一体…。」
「なのは…。」
翔馬は、振り向きそうになるがそのまま加速して今の敵へと向かった。そしてシエルの目の前に降り立つ。
「やっぱり間に合っちゃいましたか…。でも、これで楽しくなりそうです。」
「……俺にゼフィロスを抜かせるためにあんなことをしたのかよ?」
翔馬はシエルを睨み付けながら真意を問う。
「そうですよって言ったらどうしますか?」
「だったら、お前は消えろ!!」
翔馬は剣を振り抜きエアリアルサイスを放つと、高速でシエルの後ろに回り込み剣を振りかぶる。
「速い!?…きゃっ!!」
シエルは翔馬の速さに驚き、思わず横っ飛びをして2つの攻撃を躱す。しかし、翔馬は真正面から迫るエアリアルサイスを自分の剣で受け止めると、シエルの方向に受け流す。
「…っ!?…剣を抜いた途端に人が変わりましたね。」
「違う…。…俺の大事な人達を傷付けようとしたからだ!!覚悟しておけよ。こっから先は手加減しねぇ。」
シエルは翔馬の攻撃を更に回避すると顔を上げて笑みを浮かべる。そして、翔馬は相変わらずシエルを睨み付け、シエルはその視線を柔らかい瞳で受け止めるが、お互いからは尋常でない殺気が溢れていた。ここにスバル達がいたのなら恐怖で震え上ることとなっていただろう。
「それは楽しみですね…。でも、揚げ足を取るようですが貴方はまだ本気じゃないでしょう?」
「今の俺が出せる最高のパフォーマンスだ。…しっかりその体に刻み込んでやるよ。」
「…くすっ。……それじゃ、お願いしますね?…私の体に貴方をいっぱい刻み込んで下さい。」
シエルは翔馬の言い回しが面白かったのか少しだけ笑うと艶やかな表情を浮かべて翔馬を挑発するのであった。
「エアリアルサイス!!」
「水刃波!」
2人は離れた位置からお互いに魔法刃をぶつけ合うと土煙が巻き起こる。翔馬はそれが収まるのを待たずに煙をゼフィロスで切り裂くとシエルに向かって打ち込む。
「はっ!!」
「…くっ。…やぁぁぁ!!」
シエルは翔馬の剣を受け止めると大太刀を振り上げて翔馬を自分から引き離す。そして、翔馬が着地する地点まで走り込むと再度大太刀を叩き込む。翔馬は空中でそれを受けると地面に叩きつけられ、地面を転がるが腕を使って飛び起きると同時にゼフィロスを思いっきり振り上げる。
「ぐっ…これでも貰ってろ!!…ゲイル・スティング!!」
「はっ!!」
シエルは片手を翔馬の方に向けてパワードプロテクションを展開させ、翔馬の攻撃を受け止める。
「重い!?…けど!!」
シエルはそのまま受け止めきるとその場から離脱して翔馬の新たな攻撃を回避する。
「見え見えですよ?…翔馬さん?」
「うるせぇよ!!…はぁぁぁ!!」
「はっ!!」
シエルは翔馬のエアリアルサイスを躱すと突っ込んできた翔馬を大太刀で受け止める。その瞬間、シエルはしまったと思い、慌てて翔馬を引き剥がすと緊急回避を行う。…しかし、翔馬の方がほんの少しだけ早く、先程放ったエアリアルサイスをシエルに向かって軌道修正していた。
「…くっ。」
シエルはそれに対して半身が宙に浮いた状態で大太刀を振って受け止めた。しかし流石に勢いが殺せなかったのかその場を転げてしまう。…が直ぐに体勢を立て直して魔法陣を描き翔馬に大太刀の切っ先を向けた。それを見た翔馬はこちらも砲撃の準備をするが驚きで苦笑いが浮かぶ。
「あの体勢から受け止めるって…どんな身体能力してんだよ。」
翔馬は一旦、剣を鞘に納めると魔力を一箇所に集中させ始める。
「水鏡…衝閃穿!!」
「エアリアル・スマッシャー!!」
お互いの砲撃がぶつかり合いその場に大きな土煙が巻き起こる。そして、翔馬は周囲を警戒しながら土煙が収まるのを待ってゼフィロスを構えるが土煙が晴れるとその場からシエルが消えていた。
「なっ!?…どこ行った!?」
「盛り上がってきた所で済みませんが、お時間が来てしまったようですのでこれにて失礼いたします。」
「そっちか。…逃がすかよ!!」
翔馬は森の中へと消えて行くシエルに向かって魔法弾を撃ち込み森の中へと入るがシエルの姿を見失ってしまう。
「それでは、また会える機会を楽しみにしてますね、翔馬さん。」
「待て!!シエル!!まだ話は終わってないだろうが!!!」
翔馬はシエルへと叫び声をあげるが、その声に答えるものは誰1人としていなかった…。そして、翔馬は1人俯くと様々な思いを込めて近くにあった木に拳を叩きこみ、その場を後にする。…その木には翔馬の拳を叩き込んだ箇所がわかりやすく抉られた跡が残っていた。