魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~   作:strike

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更新が遅くなりました。
前回からそうですが更新が不定期になります。
すみません。

今回はあの名シーンが…。

それでは第14話スタートです。


第14話 それぞれの想い

会議が終わるとフェイトはなのはの部屋へと向かう。そこで待っているであろう親友の元へ…。

 

「…ただいま。なのは。」

「あ、お帰り。…フェイトちゃん」

 

なのははドアの開く音が聞こえるとそちらを振り返りこの部屋のもう1人の住人であるフェイトを迎える。…しかし、その表情はいつもの満面の笑みではなく、少し後悔が混じったような笑みだった。

 

「…皆に迷惑かけちゃったね。」

「そんなことない…。むしろ私の方こそ…、ゴメンね。なのは。」

 

なのはは苦笑いでフェイトに笑いかけると、フェイトは首を横に振って謝った。

 

「ううん。…あの事件の事、ちゃんと調べればわかったことを疎遠にしてた私がいけないんだし。…皆もホントの事は知らなかったんでしょ?」

「…えっと、私は…。」

 

フェイトは先の言葉を言いよどむとなのはは察したように口を開く。

 

「ああ、そっか。…フェイトちゃんはあの時、翔馬君から聞いてたんだね。」

「…うん。」

 

なのはは、中庭で見た2人を思い出してフェイトに尋ねるとフェイトは気まずそうに頷く。

 

「でも、フェイトちゃんが聞き出してなかったら、もしかしたら翔馬君はホントのこと話さなかったかもしれないし…。」

 

なのははフェイトを庇うようにそう言うと、窓の外を見上げる。

 

「…私もね?…わかってはいるんだ。みんなの思いとかそういうの。凄く心配されて、助けられて。私が空を飛んだときは安心とか喜びとか…皆が私を支えてくれてた。…だから翔馬君も同じだと思ってた。…でも、翔馬君はふとした時とても不思議な表情をするの。皆とは違う……。」

「なのは…。」

 

作り笑いで話すなのはを見てフェイトは少し寂しげな表情で呟く。

 

「ん。大丈夫…。…だから、その意味って何だろうって、思ってたんだ。久しぶりに会うまではそんなことも忘れてたけどね。」

「答えは…わかったの?」

 

フェイトは躊躇い気になのはに尋ねるとなのはは寂しそうな表情で答える。

 

「想像だけどね。……多分、私をシエルちゃんに重ねてるんだと思う。…普段はそんなことないけど、たまに私じゃない誰かを見てるような…、そんな時は大抵凄く柔らかい、いつもとは違う笑顔を浮かべるの。」

「…なのは。……それは…。」

「わかってるよ。…それにこれは、私のただの想像。間違ってるかもしれないし、合ってるかもしれない。確かめたいけど……勇気がでないんだ。もし、ホントだったら…今までの関係が崩れそうな気がして。…友達だと思ってたのに相手はそんなこと思ってなかったなんて。…悲し…すぎるよ。」

 

なのはは悲しげな表情を浮かべて少し顔を俯かせた。それを見たフェイトはなのはを心配するような顔で見つめる。

 

「なのは。少し遅いけど…散歩でもしない?」

「え?…フェイトちゃん?」

「…気分転換。少し歩いたら気分が晴れるかも。…ね?」

 

フェイトは微笑んでなのはを誘う。するとなのはは先程よりはマシな笑顔で頷く。

 

「…そうだね。…そしたら今日はフェイトちゃんに甘えちゃおうかな?」

「私で良ければいくらでも甘えていいよ?」

 

なのははフェイトの言葉を聞いて唸る。

 

「…う~ん。…やっぱり止めた。」

「え!?…どうして?」

 

なのははそっぽを向いてそう言うとフェイトは慌ててなのはに詰め寄る。

 

「だって、フェイトちゃんに甘えたら私、きっといつまでも甘えっぱなしになっちゃうよ。…フェイトちゃん優しすぎるから。」

「えっと、…それってどう反応したらいいのかなぁ?」

 

なのはの言葉にフェイトは思わず苦笑いを浮かべると2人は顔を見合わせて笑い合い、外へと出かける。2人はゆったりと話をしながら時々笑い声をあげ、隊舎の外を歩いて回っているとなのはの視界に人が動いてるのが映った。

 

「ん?こんな時間に誰かいるのかな?」

「え?なのは?」

 

なのはは誰かを見つけたのか木の陰になっている場所へと足を向ける。フェイトはなのはが急に歩く方向を変えたので疑問を感じながらもなのはに付いて行くと、そこにいたのは2本の木刀を振って日課をこなしている翔馬だった。

 

「…ふっ。…。……はっ。」

「翔馬君…。」

 

なのはは翔馬を見て思わず声を出してしまう。するとその声に気付いた翔馬はその動きを止める。

 

「ん?……なのは…?」

 

思わず2人はお互いに動きを止めて見つめ合っていた。そこへフェイトが遅れてくると2人を見て気まずげな表情を浮かべる。

 

「あ…。え…っと、翔馬。…こんな時間に訓練?」

「あ、ああ。一応日課はやっておかないとと思ってな。…普段からここでやってるんだ。」

 

フェイトはなのはを散歩に誘ったことを少し後悔しながら翔馬に話しかけると翔馬はいきなり現れた2人に驚き、うまく返事が出来ずその場にまた嫌な沈黙が流れる。

 

「それじゃ、訓練の邪魔しちゃ悪いから私達は…」

「…ねぇ。翔馬君。」

 

フェイトはこのままでは埒が明かないと思いその場から離れようとすると逆になのはが翔馬に話しかけた。

 

「なのは…。」

「……どうした?」

「………。」

 

なのは少し俯いて不安げな表情…いや、怯えたような表情をしていた。それを見たフェイトはなのはに近づいてその手を握る。

 

「…なのは?」

「うん。……大丈夫だよ。1人でも…大丈夫だから。」

「でも…。」

 

なのははフェイトに向かって無理矢理笑みを作ってみせるとフェイトは心配そうにその手に力を込める。しかし、そんな表情でもなのはの眼には決意が浮かんでいた。それを見たフェイトはなのはの意思を尊重させることを決めた。

 

「…わかったよ。…だけど、逃げたかったら逃げてもいいんだからね?……部屋で待ってるから。」

「ありがと。…フェイトちゃん。」

 

そう言うとフェイトは握っていた手を離し後ろ髪を引かれながらもその場を去って行った。その様子を黙って見ていた翔馬は、なのはから声が掛かるのをじっと待つ。

 

「訓練中だったのにごめんね。…邪魔しちゃって。」

「いや…。そろそろ終わろうかと思っていたところだったから。気にするな。」

「そっか…。」

 

そしてまた、暫くの間沈黙が訪れる。しかし、その沈黙を破ったのは意外にも翔馬の方だった。

 

「多分、さっきの話の続きだよな?」

「え?……うん、そうなんだ…。」

「……俺はさ、病院に運び込まれた時、なのはとは別の部屋だったからわからなかったかもしれないが…結構酷かったらしい。まぁ、らしいってのも…ショックで記憶がところどころ消えてるんだそうだ。だから俺も曖昧にしか覚えてないんだけどな。」

 

なのはは翔馬の話を真剣に聞き一言も逃さないように耳を傾ける。

 

「まぁ、それでもずっと考えていたことは覚えてるんだ。……俺が生きてる意味って何なんだろうってな。入院中はずっとそんなことを考えていた。あいつを守れなかった俺が、どうしてこんなとこにいるのか不思議で仕方がなかったんだ。…でも、暫く入院生活を送っていたらその考えが変わるような出会いがあった。」

「…フェイトちゃんやはやてちゃん達?」

 

なのはは心当たりのある人物を上げてみる。すると翔馬は頷くがそれだけでは足りないと言う。

 

「……なのは。お前だ。」

「私!?…だって私は…」

 

翔馬の言葉に驚き思わず大きな声を上げてしまう。それを見た翔馬は苦笑いを浮かべた。

 

「ああ。フェイトやはやて達の声は俺を動かせなかった…。それ程までに俺はダメな奴だった。…だけどな、俺を見かねたフェイトとはやては俺をあるところに連れて行った。」

「もしかして…。」

「…多分、想像通りだよ。」

 

翔馬は、柔らかい笑みを浮かべる。

 

「お前の頑張る姿が…最初は理解できなかった。……だけど、フェイトやはやて、ヴィータ達と話してる時のお前をみてきっと大切な人達の為なんだろうと、なんとなくわかった気がした。自分の思いを伝えるため、誰かを守るためには必要なことだから…。」

「…あの時は必死だったからね。…よく覚えてないや。」

 

なのはは苦笑いを浮かべて、翔馬はなのはを見つめる。

 

「それでも…俺の目にはそう映ったんだ。…それがわかってからは何ていうか…お前を妬むようになった。」

「え!?…そこは感動して頑張るとこじゃないの!?」

 

今の翔馬の話し方からしてそっちに転ぶと思っていなかったなのはは思わず突っ込みを入れてしまった。すると、翔馬は少し笑った。

 

「少しは調子戻って来たか?」

「…翔馬君。…わざとだったの?」

「いや、ホントの事だよ。…俺は、仲間と笑い合って頑張り続けられるなのはが羨ましかった。…その頑張りがどんなに辛いものかはわかってたつもりだけどな。…それでも羨ましいと思っちまった。仲間がいるってことが。」

 

なのはは少し悲しそうな目を翔馬に向ける。

 

「でもな、そんな姿をずっと見ていたら俺の中でも何かが変わった。……少しだけ歪んだ方向にな。それが良かったのか、それとも悪かったのかは今でもわからない…。でもそのきっかけがあったから、俺は今の俺で居られるんだと思う…。」

「っ…!?」

 

なのはは翔馬の言葉を聞いた途端に息を飲む。そして翔馬は少しの間を置いてから続けようとするが、なのはの方を良く見るとその肩が震えていることに気が付く。そして、同時にこれから言う事を感付いているのだという事も分かった。

 

「…なのは……。」

「ゴメンね。私は…大丈夫だから……。続けて。」

 

翔馬はなのはの震えを止めたくて、足を一歩踏み出そうとするが…その足が踏み出されることはなかった。翔馬は拳を握りしめて話を続ける。

 

「……。俺は、その時…守れるのはここに居る人間だけじゃないと、そう思ってしまった。…なのはがここにいる《生きる》人達を守るために戦うのなら、俺はここににはいない《死んだ》人達を守るために戦おうと。」

「………?えっと…、それって…。」

 

翔馬は少し俯き気味でなのはに伝えるが、当事者のなのはは少し理解が追い付かないのか少しパニックになっていた。

翔馬はそんな事とは知らずにさらに続ける。

 

「ああ、俺は今までシエルや命を懸けて戦った魔導士達が報われるように。…そのために俺は…正直、法律違反ギリギリの捜索や検挙も行ってきた。……それが、俺の全てだ。悪い。……あの時お前が言った約束を俺は…。」

「………。」

 

翔馬はなのはに向かって頭を下げると、なのはは固まったように動かなかった。翔馬はいつまでも返事が返ってこないことに不安を抱えて少しだけなのはを見る。

 

「…なのは?」

 

その瞬間、なのはの顔は真っ赤に染まる。そしていきなり大声を上げた。

 

「え~~!?そ、それじゃ、私もしかして…。うそぉ…。」

「うぉ!?…ど、どうしたんだ?…なのは?」

 

なのはは一人悶えるように頭を抱えるとバッと翔馬を見る。

 

「…翔馬君。あ、あの…私のこと、どう思ってる?」

「は?…どういう事だ?」

 

翔馬はなのはの言葉に思わず聞き返してしまう。

 

「いいから、私のことどう見てるのか教えて。」

「…頼れる、スターズの隊長。かな。」

「そうじゃなくて…個人的な…関係として。」

 

なのはは顔を真っ赤にして翔馬に詰め寄る。その様子に流石の翔馬も赤面してしまう。

 

「えっと、……俺の大切な仲間だ。そしてあの時、俺を救ってくれた恩人。そう…思ってるよ。」

「その…なんか、たまに私見て不思議な顔してたりするよね?それって…。」

 

なのはが慌てて尋ねる様子をみて翔馬は逆に落ち着いて対応ができた。

 

「ああ、それも悪かったな。出さないように気を付けてたつもりだったんだが…どうしてもゼフィロスとなのはを見ると俺が変わったあの日を思い出してな。」

「う~わ~。私、何考えてたの?…思いっきり勘違いだよ~。」

 

翔馬の回答を聞いた途端に翔馬から離れて俯くと何かを呟いていた。翔馬の位置からはなのはの声が届かず、不思議そうに首を傾げるのであった。そして、暫くの時間を要し…

 

「…大丈夫か?」

「はい…。色々とすみませんでした。」

 

なのはは未だにあまりの恥ずかしさで翔馬を直視出来なかったが、翔馬達の間に今までのような壁はなかった。

 

「まぁ、誤解が解けて良かった。…これからもよろしくな。なのは。」

「うん。こちらこそよろしくね翔馬君。」

 

2人は握手をしてお互いにしっかりと手を握るのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日。翔馬はスバル達の訓練のため早朝に訓練場へと向かう。そしてそこにはなのはとヴィータがいた。

 

「2人ともおはよう。なのは、昨日は遅くまで付き合わせちまったな。…大丈夫か?」

「これでも、武装隊の1人だよ?…あんまり見くびらないで欲しいかな?」

 

なのはは翔馬の気遣いに少し膨れて見せると、横からヴィータが口を挟む。

 

「そうそう。こいつにそんな心配いらねぇよ。翔馬。心配するだけ無駄だぞ?」

「ヴィータちゃん!?…それどういう意味?」

「さぁな。」

 

ヴィータに対しなのはは納得がいかないと詰め寄る。それを見ていた翔馬は苦笑いを浮かべるのであった。そして、それから程なくして、スバル達がやってきた。

 

「「「「おはようございます。」」」」

「おう。」

「おはよう。みんなよく眠れた?」

「昨日は色々とあったからな。…あんまり夜更かししてると体に影響があるから、するにしても程ほどにしておけよ?」

「「「「はい。」」」」

 

全員が頷いたのを確認すると、なのは今日の訓練の説明に入る。

 

「今日も引き続き個人スキルね。訓練自体は基礎の繰り返しになるけどここは頑張って行こう!」

「「はい!!」」

「「はい!!!」」

 

なのはの言葉に対してスバル達が頷くが、その中でもスバルとティアナはいつもより声が大きく気合が入っていた。

それを見た翔馬は少し微笑む

 

「…なんかスバルとティアナは気合入ってるな。…何かあったのか?」

「い、いえ…。」

「え、えっと…あはは。…何でもありません。」

「それじゃあ、訓練始めるぞ。スバルとエリオはこっちだ。」

 

話が終わるとそれぞれに別れて、訓練を進めていく。ティアナはなのはの教え通りに何度も目標を打ち抜き、スバルとエリオはヴィータの攻撃を回避、そして攻撃と繰り返す。キャロはフリードに乗って翔馬の後を追って操縦を確実なものにしようとしていた。そして3日が過ぎた午前の訓練時間、ここに居る全員が驚くような事件が起こる。

 

「それじゃ、午前中の最後のまとめ。2on1で模擬戦やるよ。まずはスターズから。バリアジャケット用意して。」

「「はい!!」」

「エリオとキャロはあたしと見学だ。」

「「はい。」」

 

そして各自が配置に付こうとしたとき、翔馬がなのはに声を掛ける。

 

「なのは。…この模擬戦、俺にやらせてくれないか?」

「翔馬君?…でも、この模擬戦は……。う~ん。わかった。お願いしてもいいかな。…ただ、やってほしいこととやってほしくない事はあるから。」

「ああ。大体はわかってるつもりだ。…あいつらの今の実力、真剣に見たことなかったからな。しっかり、この手で感じておきたいんだ。」

「…うん、わかった。…それじゃ、よろしくね。」

「了解!」

 

なのはは最初渋っていたが、何かを思いついたのか翔馬に任せることにした。ただし少しだけ打ち合わせを行って翔馬にこの模擬戦で取りたいデータを伝える。

 

「それじゃ、スターズは準備いいかな?」

「「はい!!」」

「今日の相手は俺が勤める。…お前達との模擬戦は初めてだからな。結構楽しみにしてるぞ。」

「え!?…翔馬さんが相手なんですか?」

「…嘘!?…そんな。」

 

翔馬が名乗りを上げるとスバルとティアナは驚いた表情で翔馬を見る。その様子を翔馬は苦笑いで見るのであった。

 

「…俺が相手じゃ、不服か?」

「「いえ!!…そんなことは。」」

 

スバルとティアナは慌てて否定するとお互いに念話で作戦を話し合う。

 

『スバル。…もしかしたらあの作戦少し厳しいかもしれない。翔馬さんのスピードに付いて行ける?』

『何とかやってみる。ううん。絶対に追いついて見せる…あの作戦必ず成功させよう。ティア。』

『スバル…。ええ。もちろんよ!!』

「やるわよ!スバル!!」

「おう!!」

 

2人はバリアジャケットを着てデバイスを構えると勢いのある声でお互いに声を掛けあう。それを見てから翔馬もバリアジャケットを着ると地面に足を付けたまま半身を開いて立つ。

 

「それじゃ、始めるよ。…レディー・ゴー!!」

 

なのはの声と同時にスバルが飛び出す。

 

「やあぁぁぁぁぁ!!!」

 

翔馬はその場から動かずに左腰の鞘に手をかけるとスバルとの接触の瞬間に抜き放つ。

 

「…はっ!!」

「ぐぅぅぅぅぅ…はぁ!!」

 

翔馬との鍔迫り合いになったが、スバルが気合いの声と共に翔馬を吹っ飛ばす。翔馬少し笑みを零すと宙でバック転をして地面に足を付けようとする。

 

「ヴァリアブル…シュート!!」

「っ!!」

 

ティアナは翔馬の着地を狙って魔法弾を撃ち込み、それを見た翔馬は地面への着地を諦め空へと逃げる。すると自分の向かう先にウィングロードが張られ、そこから現れたのはカートリッジを1発吐き出して一撃の威力が高まったリボルバーナックルで突進してくるスバルだった。

 

「でぇぇりゃぁぁぁ!!」

「くっ…。」

 

翔馬は即座に小さなプロテクションを左手に張るとその速度のままスバルと衝突する寸前、翔馬はさらに速度を上げてスバルのリボルバーナックルにゼフィロスで一撃を入れるとスバルは大きく体制を崩した。さらにそこへ一撃入れようと剣を振り下ろそうとするが、先ほど追って来ていたティアナの魔力弾が翔馬の攻撃を邪魔する。

 

「エアリアルサイス!!」

 

翔馬はその場でティアナの攻撃を相殺すると、そこから大きく後ろに飛んで2人から距離を取る。

 

「うん。まぁ、今のところは問題なしかな。」

 

翔馬は小手調べといった感じで、スバルとティアナを見つめていた。そして、訓練エリアから離れたビルの上にはなのはとヴィータ、エリオとキャロがいた。そこに慌てて走ってくる足音が聞こえた。

 

「…もしかして、模擬戦始まっちゃってる?」

「「あ、フェイトさん」」

「私も手伝おうと思ってたんだけど。」

 

フェイトは4人の近くまで行くと少し申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「大丈夫だよ。今は翔馬君が相手してくれてるから。」

「まぁ、なのはは最近訓練密度濃いからな…これくらい任せても誰も文句言わねぇよ。」

「あはは…。」

 

ヴィータの言葉になのはは苦笑いを浮かべると、エリオとキャロがなのはに顔を向ける。

 

「なのはさんは、いつも僕たちのこと見ててくれますから。」

「はい。ずっと…見ててくれてすごく安心するんです。」

「それが、戦技教導官だからね。」

 

なのはは少しだけ照れくさそうにそう言うと、模擬戦中の3人に目を向ける。

 

「あ、クロスシフトだね。」

「うん。…仕掛けてきた。」

「翔馬はどうすっかな?」

 

5人はその行方を見守る。ティアナは複数の魔法弾を周囲に展開させると、翔馬に向かって一斉に放つ。

 

「クロスファイヤー…シューート!!」

「来たか…。」

 

翔馬はティアナから放たれる魔法弾を回避しながら様子を見る。すると、翔馬に向かって一直線にウィングロードが掛かる。翔馬は緑色の魔法弾を3つ生成しながら前方からくるであろう敵に向かって迎撃準備を行う。

 

「…フェイクじゃないのか!?」

 

いつのもクロスシフトならここで出てくるのはスバルのシルエット。それが今回は本物だったため翔馬は即座に魔法弾を放ち、再度魔法弾を生成する。今度は6発。

 

「エアリアルシューター!!」

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

翔馬はこれだけ放てば確実に回避するだろうと思いそのままスバルを追おうとするが、その目に映ったのは衝撃の結果だった。スバルはプロテクションを全開にさせて翔馬に突っ込んで来たのだ。

 

「やぁぁぁぁ!!」

「…何考えてんだ。スバル!!」

 

翔馬はリボルバーナックルを構えて翔馬に打ち込もうとする姿を見て思わずスバルに声を掛ける。そしてゼフィロスで受け止めると、力を流すようにして躱す。

 

「そんな無茶な突っ込み方したら危ないだろ?」

「すみません。次はちゃんと防ぎます!!」

「…ティアナは?」

 

翔馬はスバルが今の行動の危険さを理解していないことに少しがっかりしながらティアナを探す。すると、自分の額がポインタに狙われていることに気付く。

 

「ティアナが砲撃!?」

「2人とも…。」

 

フェイトとなのはは少し険しい表情で模擬戦を見つめていた。そしてティアナからスバルに声が掛かる。

 

『特訓成果、クロスシフトC。…行くわよスバル!!』

「おおぉ!!」

 

スバルはカートリッジを吐き出させると高速で翔馬に向かって走る。それを見た翔馬は少しだけ目を伏せてスバルを睨む

 

「エアリアルサイス!!」

 

無造作に振った剣からはいくつもの魔法刃が生成されスバルに迫る。しかし、スバルはその全てを躱して全力で翔馬を殴りつける。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

「……。」

 

翔馬はそれを右手のゼフィロスで受け止めるとティアナの気配を探り、そして深いため息を吐く。

 

「くぅぅぅ…ティア…。」

 

先程まで押していたはずのスバルが何故か今度は押されていた。そして、ティアナは砲撃を放つのかと思いきやいきなりその場から消える。

 

「流石にこれ以上は…!!」

「なのは。この状態で行ったら逆に怪我しちゃうよ。」

「落ち着け!なのは。…相手は翔馬だ。うまくやるって!!」

 

スバルのウィングロードを伝って翔馬の頭上に移動しているティアナを見てなのはは思わずその体を乗り出すがフェイトとヴィータが必死にそれを抑える。そんなことになっていることを知らない3人はその決着の時に向かって動き出していた。

 

(バリアを切り裂いてフィールドを突き抜ける…一撃必殺!!)

「はぁぁぁぁ!!」

 

ティアナはスバルと翔馬が鍔競り合いしている上空に到達するとその体を投げ出し一直線に翔馬へと突っ込んだ。その瞬間、翔馬が2人に尋ねる。

 

「なぁ、スバル。ティアナ。お前たちのその力は…誰のための、何のための力だ?」

「…え?」

「少し……考えてみろ。」

 

スバルとティアナが驚きの表情を浮かべた瞬間

 

ーーードォォォォォォォン!!!

 

そこに爆発が起こった。見学をしていた5人は息を飲んでその様子を見つめる。と、その瞬間2つの影が爆煙の中からすごいスピードで出てくるのが見えた。

 

「きゃぁぁぁ!!」

「わぁぁぁぁ!!」

 

それは翔馬への攻撃に失敗したのか吹き飛ばされたティアナとスバルだった。そして空中に投げ出された2人を追うように爆煙からチェーンが伸び2人に巻き付く。

 

「ぐっ。」

「うぁ。」

 

2人はきついバインドにうめき声を上げる。そして、爆煙が晴れたそこに立っていたのは…

 

2本の剣を抜いて2人に対し尋常じゃない殺気を放っている翔馬だった。

 

 

 

 

 

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