魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~   作:strike

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全員の感情が現れるこのシーン。
とても文章で伝えるのが難しいです…。

ご指摘やご感想ご気軽にお願いします。

…それでは15話スタートです。


第15話 大切なこと(前編)

ティアナが翔馬に向かって刃を向けた瞬間、翔馬はゼフィロスに指示を出す。

 

「ゼフィロス…。リミッター解除。…モード、ツインスティング。」

「all right.」

 

機械的な声が聞こえたと同時に左手を右腰の鞘に添えてティアナが間合いに入るのを待つ。そして…

 

「はぁぁぁ!!」

 

翔馬は気合の声と同時に右の剣でスバルを、左の剣でティアナを吹き飛ばす。衝突の瞬間、魔力と魔力のぶつかり合いによって爆発が起こるが翔馬は意に介した様子もなく同じ方向へ吹き飛ばされるスバル達を見つめ剣を前方に掲げた。すると、そこに魔法陣が展開され、緑色のチェーンが放たれると2人に巻き付き拘束する。そして、これを行った張本人である翔馬の姿を見たスバル達と見学組は息を飲む。なぜなら8年間抜くことが無かった右腰の剣を翔馬は何の躊躇いもなく抜き放ったのだから。

 

「あいつ、2本使えたのか!?」

「いや、魔力が安定しないから、使えないって…。」

「うん。嘘じゃないはずだよ……。」

 

隊長達は翔馬の様子に驚き、翔馬が2本の剣を使いこなせないことを確認し合う。その話をしてる内になのはは何かに気付く。

 

「まさか!?……翔馬君?」

「どうしたの?なのは。」

「もしかしたら、翔馬君は一番危ない方法で伝えようとしてるんだ。」

「一番危ない方法?」

「翔馬君を止めないと。…皆が怪我しちゃう!!」

 

ヴィータ達は驚きの表情を浮かべるがなのはが翔馬の様子を見て何をしようとしているのか感付くと、全員がその場から飛び立った。その頃、翔馬は拘束した2人に言葉をかけていた。

 

「なぁ、何で言われた通りに出来ないんだ?…スバル。…誰が敵の攻撃を掻い潜って危険な軌道を描いてでも攻撃を当てろなんて言ったんだ?…ティアナに至ってはお話にならないな。クロスシフトの始動からしてもう、教え通りじゃなかった。…そんな行動取るなら俺達、教官は何のためにいるんだよ。なぁ。…そんなに俺達の教えは信用できないか?」

「「…っ!?」」

 

翔馬の声はいつもと変わらず、表情も穏やかだ。なのに、スバルとティアナは怯えていた。その尋常じゃない殺気に。でも、それでもティアナ達は諦める訳に行かなかった。スバル達がしてきたこれまでの努力が正しいことを証明するため、そして認めてもらうために。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

「やぁぁぁぁぁ!!」

 

2人は魔法陣を展開させてバインドを引きちぎるとスバルのウィングロードに降り立つ。そして自分たちの武器を構えて翔馬に向かって魔法弾を放った。

 

「クロスファイヤーシュート!!」

「リボルバーシュート!!」

 

翔馬はそれを左手の剣で薙ぎ払うと、少し失望したような目でスバル達を見る。

 

「まだ、そんな反抗する元気があるのか…。最後の警告のつもりだったんだけどな……。」

「っ!!…私はっ!!もう誰も傷付けたくないから!!…っ。無くしたくないから!!」

「ティア…。」

 

ティアナは翔馬の言葉に対して涙を流しながらも2丁の銃《クロスミラージュ》を構え、真剣に…真摯に自分の想いを伝える。

 

「だからっ!!! 強くなりたいんです!!!!」

 

ティアナは泣きながら叫ぶとそのまま翔馬に向かって魔法陣を展開させ、魔法弾を生成する。その姿を見た相馬は剣を降ろして無防備な姿を晒す。

 

「…お前の気持ち、わからなくはない。けどな、順序とか限度ってものもあるんだ。お前が必死で得ようとしてるもの、それがどれだけ無意味な力か…」

「うわぁぁぁ!!!…ファントム・ブレイザー!!!!」

 

ティアナは翔馬の言葉に耳を貸すこともせずに自分の全力を翔馬に向かって叩き込む。それを完全に冷めた目で見つめる翔馬は…

 

「……その身でしっかり覚えておけ。」

 

そう呟いて、ティアナの砲撃が着弾する直前にはその場から消えていた。スバルとティアナは周囲を見渡すと真正面から翔馬の声が聞こえる。

 

「…どこを見てるんだ?ゼフィロス…ツインカートリッジロード。」

 

ーーーダダンッ、ダダンッ!!

 

両手に持つゼフィロスからカートリッジが2つずつ吐き出されると、翔馬はティアナに向かって突貫する。それに対してスバルは急いで防御の態勢に入る。

 

「うそっ!?…間に合えぇぇぇぇ!!」

 

スバルは全力でプロテクションを張ると翔馬のカートリッジで強化された攻撃を受け止める。

 

「スバル!?」

「ぐぅぅぅっっ!!…はぁぁぁ!!」

 

スバルは思いっきり足を踏ん張り腰を入れて少し押し返したのを見た瞬間、横に受け流す。そして自分の右拳を突き出した。すると、スバルは不思議な体験をすることになる。時間がゆっくり流れているかのように翔馬の動きが正確に見えたのだ。スバルは自分に何が起こっているのかもわからず無我夢中に全力で右ストレートを打ち込む。そして、その一発は翔馬の胸元に吸い込まれていく。

 

「え?」

 

予想外の出来事にスバルは驚きながらもその右手を伸ばす。そして…その攻撃は難なく翔馬にクリーンヒットした。

 

「がっ……っ!!」

 

翔馬はその攻撃を受けよろけるが空中に留まるとその体を回転させカートリッジで強化された2本の剣を振り、超近距離で魔法を放つ。

 

「はぁぁぁ!!…エアリアルサーキュラー!!!」

「そんな!?」

 

スバルは今まで当たらなかった攻撃が当たったこと、そして翔馬の無茶な行動に驚きながらも咄嗟にまた防御の態勢を取るがそれより速くクロスされた特大のエアリアルサイスがスバルへ襲い掛かる。スバルは咄嗟に腕をクロスさせるが翔馬の攻撃は予想以上に重く一瞬で吹き飛ばされた。

 

「きゃぁぁぁ!!」

「スバル!!…っく。ヴァリアブル…シュート!!」

 

ティアナはスバルが吹き飛ばされたのを確認すると涙を振り払い、すぐに翔馬へ銃口を向けて魔法弾を放つ。しかし、翔馬は一旦ティアナから距離を取り、さらにカートリッジを1発ずつ吐き出すと周囲に魔法弾を生成し、ティアナに向かって放つ。

 

「エアリアルシューター…マルチシフト。…シュート!!」

 

翔馬の周囲から20発以上の魔法弾が放たれティアナは直ぐに迎撃態勢を取る。

 

「くっ。はぁぁ!!」

 

ティアナは制空権を得るために自分のポジションに移動するとその場で翔馬の魔法弾を正確に撃ち落していく。そして、視界に翔馬の姿が映ったその瞬間。

 

「そこっ!!…クロスファイヤーシューート!!!!」

「……がっ。」

 

ティアナの鋭い弾丸が翔馬を打ち抜く。が、またしても翔馬は直撃を受け、体勢を崩したにも拘らずティアナに向かってものすごい速さで接近する。

 

「な、なんで!?…直撃したはず…なのに。」

 

ティアナは翔馬に向かって魔法弾を乱射する。しかし、翔馬は魔法弾が体を掠めようとも速度を落とすことはしなかった。そして、ティアナに接近すると両手の剣をティアナに向かって振り下ろした。

 

「きゃぁぁぁ!!」

「ティア!?…くっ!!」

 

スバルは瓦礫の中から立ち上がるとティアナに向かって全力で走り出し、ティアナを受け止めると地面を転げる。

 

「……少しは分かったか?…お前達が得ようとしている力ってのがどんなもんか。」

「うっ…。」

「くっ!!」

「……まだ、分らないみたいだな。」

 

翔馬の声に対して2人は翔馬の攻撃で苦しげな表情を浮かべながらも翔馬を睨み付けていた。それを見た翔馬は諦めの表情を浮かべるとゼフィロスに模擬戦最後の指示を出す。

 

「…だったら、もう終わりにしよう。……こんなこといくら続けても無駄だ。…ゼフィロス。カートリッジフルロード。」

「嘘…。どうして…。私は、私達は…。」

「なんで…、どうしてそんなことしてまで!!」

 

スバル達はどうして自分たちがこんな仕打ちを受け無ければならないのかと叫び翔馬を非難する。しかし、翔馬は一切表情を変えること無く右手に持つ剣を逆手に持ち換えると腰を深く落として2本の剣を右後ろへ可能な限り引くと魔法陣を展開させる。

 

「うっ…。」

「くぅぅぅ!!…このぉぉぉぉぉ!!!!」

「…失せろ。…ゲイル・ディザスター!!」

 

ティアナは翔馬の構えを見て絶望した表情を浮かべ涙を流すと、スバルも涙を流しながら憤りリボルバーナックルを構える。しかし、スバルの攻撃準備が整う前に無慈悲にも翔馬は2本の剣を同じ軌道で振り抜く。そして、通常のゲイルスティングよりも遥かに大きい魔法刃がスバル達へと放たれた。

 

ーーードガァァァァァァン!!!

 

轟音の地響きと共に先ほどのティアナが起こした爆煙とは比べものにならない程の爆煙が翔馬を包み込む。そして、暫くするとその爆煙が徐々に晴れてくる。翔馬はそこに見えた人影にやっと表情を動かす。

 

「お前らが出て来るとはな…。」

「バカか!!お前、何考えてるんだよ!?…こんなの……教導じゃねぇ!!」

「やりすぎだよ。…翔馬。こんなことしてティアナ達が怪我したらどうするの!?」

「それに、翔馬君だって!!」

 

スバル達の前には先頭にヴィータ、スバルの前になのは、ティアナの前にフェイトが立ち最大のプロテクションを張って防いでいた。それを見た翔馬は2本の剣を鞘に納めてスバル達に目を向ける。

 

「…くっ!!」

「……。」

「…少しお前たちは頭を冷やせ。」

『悪いが、なのは、フェイト、ヴィータ。そいつらのケア……頼む。』

 

相変わらず翔馬に対して睨みを利かせるスバルと、いまだ涙が止まらないティアナに背を向けるとなのは達にだけ念話で声を掛けるとその場を去っていく。

 

『翔馬君!!…体は?』

『大丈夫。…2刀流は流石に効いたが、カートリッジは見た目だけの只の弾丸だったしな。…まぁ、俺は大丈夫だ。』

『なるほど、だから見た目は派手だったけど、私達カートリッジなしで防げた訳か。』

『お前な…。無茶しすぎなんだよ。もう少しマシな方法無かったのか?』

『…俺もバカだからな。あんな方法でしか伝えられなかった。…それでも伝わったかどうかわからないけどな…。取り敢えず後を頼む、一応シャマルのところに行ってくるから。暫くしたらあいつらも連れて行ってやってくれ。』

『『『…了解。』』』

 

翔馬はそれだけを伝えると、訓練場を出て行こうとする。

 

「「翔馬さん!!」」

「ん?…エリオとキャロか。…どうした?」

 

翔馬は先程の事だろうと感付きながらもエリオ達に先を促す。すると、少し戸惑いながらも真っ直ぐな目で2人は翔馬を見上げる。

 

「どうしてあんなことしたんですか?…スバルさん達、すごく頑張っていたんです!!」

「訓練が始まる前も終わった後も…ずっと訓練続けてて、一生懸命に強くなろうって!!」

 

2人は目に涙を浮かべながら翔馬を見つめていた。それを見て翔馬は苦笑いを浮かべる。

 

「そう…だろうな。…あいつらのクロスシフトはちゃんとコンビネーションとして出来上がっていた。…だが、お前達も覚えておけ、あんな頑張りは無意味にしかならないってこと。…お前達はまだ伸びしろが十分なくらいあるんだ。今焦って、原石を磨くのやめて、綺麗な宝石ごと砕くなんてことは馬鹿馬鹿しいだろ?…ゆっくりでいいんだよ。お前たちが強くなるのは。」

「「翔馬さん…。」」

「それじゃ、今度はお前たちの番だ。くれぐれも隊長達に面倒掛けるようなことはするなよ?」

「「は、はい。」」

 

翔馬は少し喋りすぎたかと思いながらもエリオ達に背を向けて歩き出す。

 

「はぁ…。にしてもスバルとティアナの実力、少し見くびってたな…。」

 

翔馬は自分の訓練服を捲り上げると胸元に2つの痣が出来上がっていた。

 

「ちゃんと教え通りにやれば、しっかりと打ち込めるじゃねぇか。……今は我慢の時だぞ。スバル。ティアナ。」

 

そう呟いた翔馬は胸を押さえながらシャマルの元へと向かう。一方、撃墜されたスバルとティアナは納得がいかないとなのは達に抗議をしていたが、その途中でティアナは溜まっていた疲れがここで現れたのか唐突に倒れ、スバルはティアナを介抱して病室へと運び込んだ。そして、模擬戦の件に関しては隊長達とスバル達に大きな溝を作るのであった。

全ての訓練が終わり、時刻は午後10時前。翔馬はオフィスで今日の訓練データを整理していた。するとそこに、ティアナとスバルが現れる。

 

「「失礼します。」」

「あ、スバルにティアナ。…もう動いて平気なの?」

 

来客に気付いたフェイトはティアナの顔を覗き込み心配そうな表情を見せる。それに対し、ティアナは苦笑いを浮かべた。

 

「翔馬隊長から貰った攻撃は全て訓練用の魔法でしたから…。体は全く問題ありません。……えっと、先程の件は申し訳ありませんでした。…以降、気を付けます。」

「…すみませんでした。」

「…うん。……だって、翔馬。」

「「あ…」」

 

2人は渋々ながらフェイトに謝るとフェイトは苦笑いを浮かべながら頷くと、奥で作業をしていた翔馬に声を掛ける。そして奥から出てきた翔馬に2人は少しバツの悪い表情を見せる。

 

「あの、先程は…。」

「…俺にそういうのはいらないからさ。…次からちゃんとやってくれよ。頼むから。」

 

翔馬はティアナとスバルの肩を叩くとそのまま脇をすり抜けてオフィスを出ようとする。だが、翔馬は出口付近で振り向いて2人を見ると最後に一言だけ付け加えようとした。

 

「ただ、俺がなんで…」

 

そして翔馬が2人に話しかけた瞬間、隊舎内が赤いモニターで埋め尽くされる。

 

「一級警戒態勢…。ちっ。こんな時に…。フェイト、直ぐに司令室。」

「うん。わかってる。…スバル達も準備して。」

「「は、はい。」」

 

翔馬はフェイトに声を掛けると、フェイトはスバル達に指示を出して司令部へと急ぐのであった。

 

 

 

 

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