魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~   作:strike

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今回はあの子を救うシーン。
これからの活躍に期待です。
と言っても展開はほぼ原作通りなので大体想像できるとは思いますが…。

ご意見、ご感想はいつでもお待ちしてます。

それでは第20話スタートです。


第20話 戦いの意味

地下でスバル達が必死になって脱出を試みている中、一足先に地上へと逃げた3人はスバル達の居るであろう方向を見つめていた。

 

「ルーテシアさん。レリックNo.の確認は終わってますか?」

「うん。…私の探している番号じゃなかった。」

「…そうですか。それでしたら博士の元へ届ける役割は私が引き受けましょう。わざわざ報告に行くよりも、探索範囲の見直し等、したいのではないですか?」

 

シエルは残念そうなルーテシアの瞳を覗き込み笑顔でそう言うとルーテシアは申し訳なさそうにシエルに顔を向けた。

 

「だけど、それだとシエルが大変。私も…」

「いいんですよ。それでも心苦しいと言うなら…そうですね。地下から這い上がってくる管理局職員の足止めをお願いします。ある程度時間が稼げればいいので、適当な所で撤退して下さい。」

 

シエルは笑顔を絶やさずにルーテシアの持つレリック2つに繋がれた鎖を自分の左肩に括り付けてぶら下げると女の子を抱きかかえ直して背を向ける。

 

「ん。わかった。…シエルも気を付けて。」

「はい。ありがとうございます。…それではまた。」

 

2人はそれだけ言うと、お互いに距離を離すように歩き始めシエルは研究所へ向かう者達の集合場所へと飛び立った。その様子を眺めていたアギトは心配そうにルーテシアに声を掛ける。

 

「いいのか?シィ姉ぇ行かせちゃって…。ルールーの近くにいてもらった方が…。」

「いいの。私達もやろう。…来て地雷王。」

 

ルーテシアは口数少なげにそう言うと召喚を行いスバル達の足止めを始めた。しかし、地下にいたスバル達は地雷王が召喚され、地面が押しつぶされる直前に何とか地下から脱出することに成功していた。

 

「危な~。少し遅かったら完全にぺちゃんこだったね。」

「縁起でもないこと言わないで下さいよぉ。」

「ったく。このバカスバル!!のんきなこと言ってる場合じゃないでしょ?」

「そうです。早くレリックと女の子を追わないと…。」

 

地面が地雷王に押し潰された瞬間を見たスバルは苦笑いをしながらそう言うと、全員に突っ込みを入れられ頭を掻いた。そのやり取りを見ていた3人はタイミングを見計らって声を掛ける。

 

「お喋りはそこまで。」

「ああ、そろそろあたし達も動くぞ。」

「先頭は私とヴィータ、スバルとギンガの4人だ。ティアナとキャロは私達の援護を。…最後はエリオお前が決めろ。」

「「「「はい!!」」」」

 

スバル達はギンガに窘められた後、シグナムによって作戦指示が出された。フォワード陣は作戦通りレリック奪還のための準備を行っていたが、準備が整い作戦を始めようとしたときには目標のレリックがシエルによって運ばれてしまった後だった。

 

「レリックと女の子が!!」

「静かに!!…こっちの作戦がばれるでしょ!?」

「でもどうしたら…」

 

慌てた様子でシエルが去って行ったであろう方向を見つめるスバルに、ティアナが口を塞ぐと隣のギンガは不安げに副隊長達を伺う。すると、その2人は顔に笑みを浮かべて戦闘準備に入っていた。

 

「心配することはない。私達はあの場所にいる者達を捕えることに専念すればいいだけだ。」

「そういうこった。…むしろあたし達の手間が省けて良かった。…空はあいつらに任せておけばいいんだしな。」

「「「あ!!」」」

 

その言葉を聞いて全員が思い出したかのように3人の姿を思い浮かべた。…そして不安が取り除かれたフォワード陣は作戦行動に移り、ルーテシア達の確保に専念する。

一方、シエルは集合場所へと向かっている最中に嫌な魔力反応を察知し、情報を正確に仕入れるため足を止めると反応のあった方向を見据える。

 

「これは…?……面倒ですね。クワットロさんが足止めをしてくれている筈なのですが…。取り敢えず急いで集合場所へこれを運ばないと。間に合うでしょうか…。」

 

シエルはこれからこちらに接触してくるであろう人達を思い浮かべると憂鬱な気分になりながら今まで以上に速度を上げて集合場所へと急ぐ。

そこから少し離れた場所でシエルの姿を確認した3人がいた。そう。その3人とは先程海上の戦闘をはやてに任せたなのは、フェイト、翔馬だった。

 

「あれが目標のレリックと女の子だね…。」

「うん。そしてあれを運んでいるのは…。」

「シエル…。2人とも頼むぞ。…エアリアルブリッツ!!!!」

 

翔馬は、なのはとフェイトに一声掛けると表情を変えて急加速し、その様子を見た2人は静かに頷いて自分達の距離に移動しながら戦闘準備に入った。そして翔馬はシエルに向かって一直線に向かって行きゼフィロスを抜き放つ。

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

雄叫びを上げながら全力でシエルに剣を叩き込もうと加速の勢いを殺さずに急接近するが、シエルは接近する翔馬を見ても移動速度を変える様な事はしなかった。むしろそれを待っていたかのように微笑を向ける。

 

「目標の確保に尽力されるのもいいですが、状況確認も大切だと思いますよ?」

 

翔馬はシエルの言葉を聞いた瞬間、遠くで急に膨れ上がった魔力を感じシエルの言葉の意味を理解する。

 

「なっ!?」

 

翔馬は驚きの声を上げ、慌てて急ブレーキを掛けながら周囲を見渡すと遠くのビルで何かが光るのを見つけた。遠距離砲撃の光だという事を一瞬で理解し、その砲撃を回避しようとするが、エアリアルブリッツで強化された速度は生半端なブレーキでは止まることができず、否応なしに着弾地点へと進んでしまう。そして、砲撃の軌道修正が必要ないことを確認したディエチは何の躊躇いも無くイノーメスカノンの引き金を引く。

 

「…IS発動。へヴィーバレル……発射。」

 

既に放たれた砲撃をどうにかする術を今の翔馬は持ち合わせておらず、結果は言うまでもなかった。

 

ーーーードガァァァァァァン!!!!!!

 

近くにいたシエルはプロテクションで爆発の衝撃を緩和させるがその威力は強く、シエルもこらえるので必死だった。その際、視覚の隅で見えたのは人が吹き飛ばされビルに突っ込む姿。シエルは衝撃が収まるとプロテクションを解き爆煙の晴れた場所を見ると当然ではあるがそこに翔馬の姿は無かった。

 

「こんなものですか。最後の最後まで足掻いてくれると思っていたのですが、期待外れだったようです。」

「まぁ、こんなものですよ。…いくら強いとはいっても私のSランク級の砲撃を生身で受け止めて無事であるはずがありませんから」

 

シエルはその場から背を向けて落胆の声を発するとそれに対して、集合場所の近くからシエルを見守っていたディエチが、当然と言わんばかりに撤退の準備を進めようとした。しかし、急に遠くで膨れ上がる魔力を感知したディエチはその場から飛び立つ。その瞬間、桃色の砲撃がディエチがいた場所を抉り取った。

 

「お仲間がやられても知らんぷりですか…。っ!!」

 

ディエチは翔馬さえ落とせば逃げるだけの隙はできるだろうと踏んでいただけになのはの行動に驚きを隠せないでいた。しかし、この状況でいつまでも逃げている訳にはいかず地面に着地すると自分の得物をなのはに向かって再度構える。一方シエルの方もフェイトとの戦闘を始めており違和感を感じ始めていた。

 

「翔馬さんが落とされて一切動揺も見せないとは…。随分ドライなんですね?」

「あなたがシエル・アウローラ…ですか?」

 

フェイトは大太刀を抜いたシエルと鍔迫り合いに持ち込み、シエルの言葉を無視して話を始める。その様子を見たシエルは呆れながらも、それに付き合うことにした。

 

「…全く私の答えになっていないのですが…。まぁ、いいでしょう。そうですよ。私がシエルです。…でしたらなんだというのですか?見逃してくれるとでも?」

「…そうですか。見逃すつもりはありませんが、あまり手荒なことはしたくない。レリックとその子をこちらに渡して下さい。あなたの事も幾らか弁護します。だから…」

 

そこまでフェイトが言った時、シエルは肩を震わせてフェイトを睨んだ。

 

「…自分が救ってあげるみたいな言い方、やめてもらえますか?結局は何もできないただの人間なのに…最近の管理局の人間はどの方もそうなんでしょうかっ!!」

 

シエルは思いっきり力を込めて後ろに飛ぶと大太刀を再度構えようとして肩の『重り』が足りないことに気付く。

 

「レリックが…無い?……まさか!?」

 

シエルは先程から感じていた違和感の正体に気付くとフェイトをもう一度睨み付けてから上空に視線を向ける。

 

「はやて、なのは、フェイト…ナイス連携だ。…レリックの回収に成功。引き続き女の子の救出を行う。」

「翔馬…さん。…あれを回避できたとは思えなかったのですが?」

 

シエルは忌々しそうに翔馬を見据えると翔馬は笑みを浮かべて、レリックを肩に担ぎ直した。

 

「簡単な話だ。避けられなければ受け止めればいい。…まぁ、リミッターが効いた俺じゃ防げなかったが…リミッターさえ外れればあの位の砲撃は軽いもんだ。」

「出ました!!翔馬さんの限定解除。モード・チャリオット!!」

 

予め作戦を聞いていた管理局組は歓声を上げ、司令部のシャーリーは翔馬の限定解除を興奮した様子でモニター越しに眺める。

そして、現場では隊長達が翔馬の姿を見て思い出したかのように会話を始める。

 

「そう言えば私達、作戦内容は聞いてたけど翔馬君の限定解除って見たことなかったよね。」

「そう言われてみれば…特徴とかは資料で目を通していたけど。」

「私も、実は何も知らなかったんよ…。この作戦もホントに翔馬君防げるんかなって心配やったし。」

「「はやて(ちゃん)!?」」

 

いきなり始まった隊長達の会話に翔馬は額を押さえるが、シエルはその間に翔馬の事を観察していた。

変わったところと言えば服装。これに関してはいつものアウトコートを纏った細身で軽装甲なイメージのあった外見とは大きくかけ離れ、重装甲のイメージだろうか。打撃から身を守るため、腕や胸元、太ももまでプロテクターが入っているのかとても体格の良い姿となっていた。そして、武器であるゼフィロス。こちらも細身で速度を重視していた剣とは違い、一撃の重さを重視した以前より少し幅の広い長剣となっていた。そして、一番不自然さを感じたのは傷一つ付いていない翔馬の体。あれだけの高出力砲撃をまともに当って傷が付かない訳が無かった。

そんな観察をしていた際に話は終了に向かっていたらしく、最後にはやては

 

「まぁ、でも、データから見た能力もこの作戦では有効やと思った。根拠はちゃんとあるんよ?それに何より翔馬君が任せてくれと言ったんや。友達の言葉は信じたいやろ?」

 

そう言って、ニッコリ笑うとなのはとフェイトは溜息をついてやはり笑い合う。その様子を見たシエルはもういいですかと一言断って翔馬に疑問を投げる。

 

「リミッターが解除されたとしてもSランクの砲撃を軽いとは…。…でも、まともに当たったらどんな攻撃でも、傷位は付く筈です。なのにあなたは無傷でいる。…どういう事でしょう?」

 

翔馬はシエルの問いに対して不思議そうな顔をして言葉を選びながら答える。

 

「こっちの情報をそっちに流すわけないだろ?…それともそれに答えたら俺の問いにも答えてくれるのか?」

「…そうですね。失礼しました。…この話はなかったことにして下さい。今は…。」

 

シエルはそう言うと大太刀を構えて翔馬に切っ先を向ける。それを見た翔馬も剣を構えると、はやてから指示が飛んでくる。

 

「さっきの作戦通りフェイトちゃんはあの狙撃手を、翔馬君はシエルちゃんとシエルちゃんの抱えている女の子の確保。なのはちゃんは翔馬君の援護に。私は逃げ道を塞ぐ。」

「「「了解。」」」

 

翔馬達は返事と共に動き出した。

 

「はぁぁぁ!!」

 

翔馬はシエルに向かって剣を振り降ろすとシエルは大太刀を振り上げ迎撃する。しかし、シエルは片手で相手をしなければいけないのに対し、翔馬は両手を使って全力で剣を振り降ろしている。当然力の差に負けるシエルは一旦その剣をいなして下がるがなのはのアクセルシューターが逃がさない。

 

「翔馬君下がって!!…シュート!!」

 

なのはは翔馬に声を掛けると魔法弾を放ち、シエルの抱えている女の子に当てないよう、背中や足等を狙って魔法弾が飛び回る。

 

「くっ…。これでは。」

 

シエルはディエチを横目で見るがフェイトの相手で援護は考えられなさそうであることを確認し、状況が不利なことを再度認識すると、頭を働かせて脱出の方法を考える。しかし、他の事を考えている余裕等、今のシエルにはなかった。翔馬はシエルの動きが鈍った瞬間を捉えるといつものモード・シルフィードへと換え最速でシエルの懐へと潜り込んだ。

 

「ふっ!!」

「なっ!?……ぐぅ!!」

 

翔馬は一息で鳩尾に肘鉄を食らわせるとシエルは息が詰まりくの字に体を曲げ女の子を抱きかかえる手が一瞬緩む。

その隙をついて翔馬はシエルに背を向ける形で女の子との間に腕を割り込ませ抱きかかえると、回し蹴りの要領で女の子を抱いている手を振り払うためにシエルを蹴り飛ばす。

 

「くっ!!」

「何っ!?」

 

しかし、シエルも女の子を渡すわけにはいかないと言わんばかりに翔馬の方に手を伸ばして翔馬のコートを掴むと吹き飛ばされるはずの体は翔馬の元に近づき、そのまま大太刀を翔馬の首に向かって振り下ろした。

翔馬は思わず声を上げ、咄嗟にしゃがみ込んで回避する。その瞬間シエルは女の子の腕を引っ張って自分の元へ手繰り寄せるが翔馬も剣を振り上げシエルの手を切り落とそうとする。しかし、その剣の先にあったのは女の子の手であったため翔馬は女の子の腕を落とさないように動きを止め、シエルは自分の腕を守るため、女の子から手を離してしまう。そうなれば必然的に女の子の支えは無くなり、地面へと落下を始める。

 

「「しまった!!」」

 

シエルと翔馬は声を合わせてそう言うと女の子を追って急降下するが、シエルは翔馬の邪魔をし、翔馬もまたシエルの邪魔をする。その結果女の子に近づくどころか段々と距離が離れて行く。

 

「不味い!!…エアリアル…」

「させません!!…水刃波!!」

「ちっ!!」

 

翔馬はエアリアルブリッツを発動させようとするがシエルが邪魔をして魔法の展開が追い付かない。そして、地面が間近に感じられる程、高度が下がっていた。それでも尚、シエルは翔馬の邪魔をしていたが、翔馬は反撃することなくどうにか速度を上げようと焦っていた。…そして、ほんの数十秒の戦闘の間に女の子は雲の上からビルの間をすり抜け、地面に向かって行く。

 

「俺じゃ間に合わない…!!……頼むぞ!」

 

翔馬がそう口にした瞬間、ビルの間を縫って女の子に近づく影が翔馬を横切り地面に叩きつけられる所だった女の子を間一髪で助けることに成功した。

 

「ギリギリセーフ…。女の子は無事です。」

「なのは!!…悪いが、その子とレリックを頼む!!」

「うん。任せて。」

 

なのはが救出に成功したことを確認すると翔馬は直ぐに肩に担いでいたレリックをなのはへと渡してシエルへと向き直って攻撃をしようとするが…。

 

「…消えた?」

「私もこの子をキャッチする前までは見えてたけど…。」

「また、逃げられたか…。」

 

翔馬は、悔しげに呟いてなのはに向き直る。

 

「そっちは大丈夫だったか?」

「うん。大丈夫だよ。私のこと信じてくれてたんだ?」

 

なのはは翔馬に笑顔でそう言うと、翔馬は当然のように

 

「…当たり前だ。なのはとはまだ数か月しか空を飛んでないが……あれくらいの事はやってくれると思ったよ。」

「ん…。そっか。」

 

なのははそれだけ言って翔馬に背中を向けると少しだけ笑みを浮かべながら迎えのヘリが来るヘリポートまで飛んでいき、なのはの後姿を見た翔馬は首を傾げながらレリックを持って後に続くのであった。

他の場所でも、敵には全員逃げられ逮捕者は今回0名。手元に残ったのは今回の作戦目標であるレリックと女の子。作戦としては上出来と言えなくもないが、今回、機動6課の敵として現れた彼女達に対し、どのような対応を取るのか、これから戦っていくべき本当の相手は誰なのか、何を守るために戦うのか、様々な事を考えなくてはならない事件であることがわかり、今まで以上に隊長達は頭を悩ませることになるのであった。

 

 

 

 

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