魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~   作:strike

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最近は暑くなってきましたね。
夏に入るんだなと肌で感じる今日この頃…。

そんなことはどうでもいいのですが、小説の方が少し原作ルートから
脇道に逸れてそろそろ自分の書きたかった事が書き始められているかなというところです。

相変わらずご意見ご感想等お待ちしておりますのでよろしくお願いします。

それでは第22話スタートです。





第22話 父親捜し(前編)

ヴィヴィオが機動6課の生活に慣れ始めたある日。

翔馬達は仕事で隊舎を空け、今日はなのはとスバルの2人でオフィス勤務となった。

そんな時、ヴィヴィオと昼食を取っていた2人はヴィヴィオになのはが保護責任者になったことを伝える。

 

「あのね?ヴィヴィオ。…実はなのはさんがヴィヴィオの保護責任者になってくれることになったんだよ。」

「…ほごてき?」

 

ヴィヴィオは舌の回らない滑舌で必死にスバルの言葉を追おうとするがまだ難しかったらしく表情を歪める。

 

「ほ・ご・せ・き・に・ん・しゃだよ?」

「うぅ~わかんない。」

 

スバルはもう一度ヴィヴィオに伝えてみるがヴィヴィオは頬を膨らませるだけだった。それを見たスバルとなのはは苦笑いを浮かべ、スバルは何と説明したものかと頭を悩ませた。

 

「え~となんていうのかな……。あ!!」

「わっ!?…急にどうしたの?スバル。」

 

スバルが1人でぶつぶつ喋り始めたと思ったらいきなり大声を出すのでなのはも思わず声を上げて驚きスバルを睨み付ける。ヴィヴィオに至っては涙目でスバルを見つめていた。

 

「ゴメン。ゴメンね。わかりやすい伝え方があったから思わず…」

「っ~。ひっく。」

 

スバルはヴィヴィオの泣きそうな顔を見て直ぐに謝るがヴィヴィオの目には涙がたまっていくばかりで今にも溢れだしそうだった。それを見かねたなのははヴィヴィオを抱きかかえてあやす様に声を掛ける。

 

「あ~ヴィヴィオ。泣かない泣かない。」

「ごめんねヴィヴィオ。驚かせるつもりはなかったんだ。」

「う、うん。」

 

頭を下げて謝るスバルをみたヴィヴィオは目をこすって涙を拭うと首を縦にコクッと頷いて見せた。

 

「ありがとう。ヴィヴィオ。…それでね、保護責任者っていうのはなのはさんがヴィヴィオの本当のママが見つかるまで代わりにママになるってことなんだよ。」

「……ママ?」

「えっ?」

 

スバルの言葉にヴィヴィオはさっきまで泣いていたのが嘘のようになのはを見つめ、なのはもスバルの言っていた母親の立場になるという事までは考えていなかったようで思わずヴィヴィオのことを見つめてしまう。しかし、なのはは一瞬で我に返ると隣でスバルがあたふたしていることも気にせず抱きかかえたヴィヴィオの瞳を見つめて微笑んだ。

 

「いいよ。ヴィヴィオの本当のママが見つかるまでなのはさんがヴィヴィオのママになるよ。…ヴィヴィオはそれでいい?」

 

なのはがママになると言ったとたんヴィヴィオはなのはに思いっきり抱き付いて泣き出してしまい、なのはは困ったように苦笑いを浮かべてヴィヴィオ抱きしめ返した。

 

「もう、なんで泣くのかな?」

「うっ…ママ、ママァ~。」

「はぁい。ママはここに居るよ。」

 

そうしてここに偽りの…それでも温かい親子が出来たのだった。

そして、事態は一件落着かと思われたがヴィヴィオが泣き疲れてベッドに潜り、再度目を覚ました後に問題が起きてしまった。

それは…。

 

「ママ。…パパは?」

「え~と…。ママ1人じゃダメ?」

 

ヴィヴィオに寝起きの第一声で父親の居場所を聞かれたためなのははダメ元でヴィヴィオに聞き返す。するとヴィヴィオは目に涙を溜め始めて泣きそうな声で逆になのはに尋ね返した。

 

「……パパは?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「という訳で、父親役引受けてくれないかな?」

「何がという訳なのかさっぱりなんだが、…まぁ、回答は変わらないだろうな。前回の件で俺はもう限界だ。他を当たってくれ。」

 

隊舎が夕闇に包まれた頃、隊長達や他のメンバーも帰って来て久しぶりに全員で食事をすることになり、なのははこれ幸いとそこにいた翔馬に近づいて頼み込むのだが、翔馬は当然の様に一蹴すると食事に集中し始めてしまった。

するとそれを見ていた他のメンバーが気になったのかなのはに事情を尋ねる。

 

「何かあったの?なのは。」

「もしかして…。なのはちゃん翔馬君のこと…」

「え!?そうだったの?」

「そ、そんなんじゃないよ!?」

 

急にフェイトとはやてに話を振られてなのはは顔を赤く染めながら否定すると事情を詳しく話し始めた。すると、自然とフォワード陣や副隊長たちも集まり、結局翔馬は1人で夕飯を食べることになったのだが…それは置いておき、

 

「「「「「「う~ん。」」」」」」

「難しいよね…。」

 

なのはの話を聞き終わった隊長達とフォワード陣は唸りながらいい方法を考える。

 

「父親役の条件はやっぱり男の人ですよね。」

「と、なるとうちでは翔馬、グリフィス、ヴァイス。」

「ザフィーラとエリオ君も入るわね。」

 

ティアナの問いにヴィータとシャマルが男性を上げるが、自分の名前を出されたエリオは大慌てで否定をする。

 

「僕がパパなんて無理ですよ!!…まだ、ヴィヴィオちゃんと年もほんの少ししか変わらないのに。」

「そうだよ!エリオが…パパなんて…。」

「フェイトさん!?大丈夫ですよ。もしそうなってもエリオ君とっても頼りになりますから。」

 

エリオの言葉に便乗しながらフェイトは激しく反論するが想像を膨らませたのかだんだんと勢いが無くなりついには俯いてしまい、キャロに慰められていた。

 

「あはは。…エリオはちょっと厳しいかな私がママで、エリオがパパって…色々と、ね?」

「そうだな…。だったら、ザフィーラはどうだ?良くヴィヴィオの世話しているだろう?」

「俺はこの姿だからだ。人型になったら懐かれるものか。…そもそも世話自体俺には向かん。」

「そうやな。…少し厳しいやろな。」

 

全員で人型になったザフィーラがヴィヴィオをあやしている姿を思い浮かべ苦笑いする。

 

「それじゃ、グリフィスさんはどうですか?」

 

スバルの言葉に全員は悩んだ末、結局本人に尋ねてみることにした。

司令室に移動したのはなのは、フェイト、はやて、スバル達4人だった。

 

「どうかな?グリフィス君なら面倒もちゃんと見てくれるだろうし、殆どこっちにいるでしょ?」

「グリフィスさんって真面目そうですし。とてもいいと思います。」

「えっと…。」

 

発端のなのはがグリフィスに説明とお願いをして、ティアナも後押しするように声を掛けるが本人は思うところがあるらしく首を縦に振るのを躊躇っていた。

 

「ダメかな?」

「…私は確かに殆どこちらに居ますが、やはり八神部隊長の補佐としてやらなくてはいけない事がありますので…」

「せやけど、常時忙しいって訳でもあらへんやろ?…ヴィヴィオの面倒位してあげてもいいんちゃうかな?」

 

なのはの問いにグリフィスは申し訳なさそうに断りを入れようとするが、はやての指摘にグリフィスは戸惑いながらも再度口を開く。

 

「確かにそこまで忙しくない時もありますが…八神部隊長はほとんど席を空けていることが多く、最近では藤田一等空尉も外に出られることが多くなりました。私まで席を外すことはできませんよ。」

「確かに、司令塔がいないと有事の際は大変だもんね。」

「ヴィヴィオちゃんをこんな場所に連れてくることなんてできないし…」

 

なのはたちはどうにか解決策がないものかと考えるが、グリフィスの事もあるのでここは大人しく諦めることにして、突然押しかけた事を謝る。

 

「勤務中にごめんな?」

「いえ。こちらこそお役に立てず。」

「ううん。元々こっちのわがままだし、気にしないで。」

 

はやてとなのはが声を掛けるとグリフィスは一度だけ頭を下げ、なのは達はその場を後にする。

 

「次はどうしよう?」

「ヴァイスさんはどうでしょう?ヘリのパイロットですし、時間を取れるかもしれません。」

 

司令室を出てからキャロが言葉を発すると、エリオは思い出したようにヴァイスの名前を上げて全員を見渡す。するとスバルがそれだとエリオにサムズアップして前に出る。

 

「それじゃ、次はヴァイス陸曹のところに…」

「うん?俺がどうかしたか?」

「「「「あ、ヴァイス陸曹!!」」」」

「は?」

 

スバルが全員に声を掛けてヴァイスの所へ向かおうとしたところで丁度本人が向こうの廊下から現れたため、思わずスバル達は声を上げた。ヴァイスはいきなりの事に戸惑い、どういうことか説明を求めるとスバル達が勝手に今の状況を話し始め、なのは達3人は微妙な表情でスバル達とヴァイスを見つめていた。

 

「なるほど。…それは大変だな。よし!そのことなら俺に任せておけ。しっかりヴィヴィオのパパを務めてやるぜ。なのはさん。パパの役は俺にどんと任せておいてください!」

「えっと?…ヴァイス君?」

「良かったですね。なのはさん。これでパパの問題は解決ですよ。」

 

ヴァイスは神妙な表情でスバル達の話を聞いて頷くとやる気の満ちた瞳でなのはを見つめ手を取り、その後ろでは教え子たちが嬉しそうな表情でその様子を見つめていた。

しかし、それから数分後。

 

「…すんません、なのはさん。やっぱ俺には無理…です。」

「…あはは。しょうがないよ。あんまり気を落とさないでね?」

 

そこには部屋から出て壁に体を預けるヴァイスとそれを慰めるなのはの姿があった。

 

「にしても、まさかパパの紹介から僅か30秒で泣かれるとは…ヴァイス陸曹も中々罪作りな男やね。」

「はやて。それは少し違うような…。ヴァイス陸曹も気にしなくて大丈夫だからね?」

「ええ。わかってますよどうせ俺は子供には懐かれないんです…。そういう男なんですよ。」

 

はやての言葉にヴァイスは一層肩を落とすとフェイトの言葉に自虐的な返事を返して、千鳥足でその場を去って行った。

 

「う~ん。もう男の人はここに居ないし。」

「諦めるしかないんでしょうか?」

「でも、ヴィヴィオちゃんすごく悲しそうだったよ。」

 

スバルの言葉にエリオが少し悲しそうに問いかけるとキャロはヴィヴィオの表情を思い出して俯きながらも抗議する。

しかし、全員が暗い顔をし始めたことに気付いたなのはは少しだけ明るい声を出して皆に呼びかける。

 

「仕方ないね、パパ探しはこれにて終了。私からヴィヴィオには説明するよ。みんなこんな時間までありがとうね。」

「「「なのはさん。…でも!!」」」

「なのは。それでいいの?」

「仕方ないよ。こればっかりは…。」

 

なのはの言葉にスバル達やフェイト達も心配の表情を浮かべるが、なのはは少しだけ笑みを浮かべて皆に答えた。

その時今まで黙っていたティアナが思い切った表情でなのはに最後の提案をする。

 

「なのはさん。翔馬さんにもう一度頼んでみませんか?」

「ティアナ?…どうしたのいきなり?」

 

ティアナの提案になのはは戸惑いながらも聞き返す。するとティアナは真剣の表情で話し始める。

 

「ヴィヴィオが求めているのは、仮の父親じゃなくて本当に自分を愛してくれる人なんじゃないでしょうか?さっき、ヴィヴィオはヴァイス陸曹の演技を肌で感じ取ってしまったからあんなことになったのではと思うんです。」

「それはそうかもしれないけど…。それがどうして翔馬君に繋がるの?」

 

なのははティアナの話の先が掴めづに思わず問いかけた。すると、ティアナは先日のヴィヴィオの様子を思い浮かべながら話を続ける。

 

「つい数日前。ヴィヴィオがなのはさんと離れて寂しそうにしていた時、ヴィヴィオが縋り付いていたのは翔馬さんでした。そして、翔馬さんに抱きかかえられていたヴィヴィオもとても楽しそうに笑って…。愛情に敏感なヴィヴィオが笑顔になったという事は翔馬さんが父親になる条件が備わっているという事ではないですか?」

「確かに一理あるかもな。」

「うん。確かに翔馬なら時間の方も融通がきくし。」

 

ティアナの説得に頷くはやてとフェイトだったが、一番積極的に動いていたはずのなのはが首を縦に振ろうとしなかった。

 

「なのはさん?どうかしたんですか?ティアの言ってた事、結構あってると思うんですけど。」

「…えっと。翔馬君にも色々とあるだろうし、それにこの前ので懲りちゃったとも言ってたでしょ?あんまり無理強いさせるのは良くないと思うんだ。」

「なのは…。」

 

スバルの問いになのはは少しバツが悪そうに答えると背中を向けてしまう。その様子を不思議がるフォワード陣と心配そうに見つめる2人の姿がそこに残った。

そんな気まずい雰囲気の中、男の声が廊下に響き渡る。

 

「なのは。まだ父親捜ししてるのか?」

「え?翔馬君…にユーノ君!?どうして?」

 

突然の翔馬とユーノの登場になのは達は戸惑い、状況が理解できないでいた。そんななのは達を見たユーノは苦笑いを浮かべながらなのはに話掛ける。

 

「突然ゴメン。なのは。実は翔馬から連絡を受けてね。ヴィヴィオって子の父親代わりを探してるんだって?」

「え?う、うん。」

「もしかして…。ユーノ。」

「…そうやろな。」

 

なのはは戸惑いながら頷くと後ろで見ていた2人は状況がわかって来たらしくこれからの展開を予想する。一方フォワード陣は訳も分からず只なのは達を見守るだけだった。

 

「そうだったんだ。もし僕で良ければその役…引受けようか?」

「え?…ユーノ君が?」

「うん。僕じゃ頼りないかな?」

 

なのははユーノの提案に驚き固まっていると、ユーノが不安そうになのはの瞳を覗き込む。

すると、なのはは我に返ったのか近くにあるユーノの顔を見つめると顔を赤らめて俯いてしまう。

 

「そ、そんなことないよ?」

「って、なんで疑問形?」

「…あはは。」

 

なのはは顔を俯かせたまま答えるとユーノは思わず吹き出し、なのはもそれに合わせて苦笑いを浮かべた。

そして、状況の整理が終りなのはが改めて全員にお礼を言うと早速ヴィヴィオに逢ってもらうため、なのはとユーノは肩を並べて歩いて行った。それを全員で見送った後でティアナが翔馬に声を掛ける。

 

「翔馬さん。本当にこれで良かったんですか?」

「ん?何がだ?」

 

その場に残された6人は翔馬を見つめ、翔馬はそんな6人を見渡して不思議そうな表情を向ける。

 

「ヴィヴィオのことです。翔馬さんは文句言いながらもヴィヴィオのこと楽しませようとしてくれてたじゃないですか。」

「そりゃ、泣き止ませることが目的だったからな。」

「そうじゃなくて。…翔馬さんは心からヴィヴィオのこと気にかけてくれてたじゃないですか。それなのに何であんなことを…?」

 

ティアナは悲しそうな目で翔馬を見つめるが翔馬はつまらなそうにしてティアナを見ると背中を向けて歩き出す。

 

「言っただろ。俺が前にヴィヴィオの面倒を見たのは見るやつがいなかったからだ。今回の事で自分から名乗りを上げるつもりもなければ、お前らの提案を受け入れるつもりもない。」

「翔馬さん!!」

 

ティアナは翔馬の背中に呼びかけるが、それで翔馬が止まるはずもなく自分の部屋へと戻って行った。

そして、その光景を見ていたフェイトは静かに心配する人の名を呟いてその人の去って行った方向を見つめる。

 

「…翔馬。」

「心配なんか?」

 

フェイトの呟きが聞こえたのかはやてがフェイトに近づき耳元で囁くと、フェイトは少し間を空けてから頷いた。

 

「…うん。少しだけ。」

 

はやてはそれだけ聞くとフォワード陣を部屋へと帰らせて、自分もフェイトを一瞥してからその場を後にした。

そして、フェイトは少しだけ悩んだ後なのはの去って行った方向と翔馬の去って行った方向を見比べてから、翔馬の去って行った方向へと足を進める。

 

 

 

 

 

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