魔法少女リリカルなのはStrikers~風のエースストライカー~ 作:strike
はやてからの出動命令を聞いたフォワード陣は急ぎ屋上に待機してあるヴァイス・グランセニック操るヘリへと乗り込む。そして、翔馬はそれを司令部から見送ると現場の状況整理を行う。
「現在の状況を確認する。…現在、目標を載せた貨物車は速度70kmを維持。依然走行中。まだ、重要貨物室は突破されていない。…シャーリー、広域スキャンの結果は?」
「今、サーチャーを飛ばしました。直ぐ出ます。……出ました、ガジェット反応!?」
「航空型。現地観測隊を捕捉!!」
「ちっ…。やっぱりか。」
翔馬はシャーリーとアルトの報告に舌打ちをすると、グリフィスに向き直る
「航空型。おおよそだが、60は超えてる。…どうする?」
「…なのはさんとフェイトさんに抑えて貰います。新人たちのフォローはリィン曹長。お願いできますか。」
「「「了解(です)!」」」
グリフィスは翔馬の問いに対し直ぐに判断して、各人に伝える。するとフェイトからの連絡が入った。
「グリフィス。今、パーキングに入ったよ。ここからなのは達の所まで直接飛んでいく。だから飛行許可をお願い。」
「了解。市街地個人飛行を承認します。」
グリフィスの承認にフェイトは頷くと、車を降りてバルディッシュを取り出す。一方、なのはも動き始めていた。
「ヴァイス君、私も出るよ。空は私とフェイトちゃんで抑える。」
「うす。なのはさんお願いします。」
ヴァイスはなのはの言葉を聞いて親指を立てると後方のハッチを開放する。なのはは、ハッチの近くまで行くとスバル達に顔を向けた。
「それじゃ、私はちょっと出てくるけど、皆でズバッとやっつけちゃおう。」
「「「「はい!!」」」」
なのはの言葉を聞いたスバル達はいい声で返事をする。しかし、キャロは一人不安な表情を浮かべていた。それに気づいたなのはが近づき両手でキャロの顔を包み込む。
「キャロ、大丈夫だよ。そんなに緊張しなくても。離れていても通信でつながってる。一人じゃないからピンチの時は助け合えるし、キャロの魔法は皆を守ってあげられる、誰より優しくて強い力なんだから。…ね?」
そう言ってなのははキャロから手を離して再度ハッチの近くまで行くと、一度だけ振り向いて笑って見せる。すると、ヘリから飛び降りてレイジングハートを取り出す。そして、次の瞬間2人の隊長のデバイスが光り出す。
「バルディッシュ!」
「レイジングハート!」
「「セッーート・アップ!!」」
それぞれの場所で黄色とピンク色の光に包まれると2人はバリアジャケットを身に纏い空を駆ける。そして、暫く2人が空を飛んでいると前方に目標が見え始めた。
「…ライトニング1、スターズ1共にエンゲージ。」
「…戦闘が始まったな。」
「はい。…問題なく終わればいいのですが。」
ルキノから隊長2人が戦闘を開始したことが報告されると、翔馬は椅子に深く座り直して呟く。それを聞いて返事をしたグリフィスは真剣な表情でモニターを眺めていた。
「さ~て新人共。隊長さん達が空を抑えてくれたおかげで安全無事に降下ポイントへ到着だ。…準備はいいか!!スターズ!!」
「「はい!!」」
ヘリの中で待機していたスバル達にヴァイスから声がかかる。その声に対して勢い良く返事を返すと、まず、スターズ隊の2人がハッチの近くへ行く。
「行くよ。…マッハキャリバー。」
「お願いね。クロスミラージュ。」
スバル達は自分のデバイスに声を掛けて見つめていた。そして決心がついたのか2人は真剣な表情で目標地点を見据える。
「スターズ3。スバル・ナカジマ!」
「スターズ4。ティアナ・ランスター!」
「「行きます!!」」
2人は声を上げると同時に駆け出し、ヘリから飛び立つ。
「「セット・アップ!!」」
その掛け声と共に、2人は青色とオレンジ色の光に包まれバリアジャケットを身に纏い目標地点に着陸した。それを確認するとヴァイスはライトニング隊の2人に声を掛ける。
「次、ライトニング!!チビ共、気ぃ付けてな。」
「「はい!!」」
エリオとキャロは高い空から目標地点を見つめていた。…しかし、キャロの表情が硬いことに気が付いたエリオはキャロに声を掛ける。
「一緒に降りようか?」
「…っ!?」
キャロはビクッと体を震わせるとエリオを見つめる。そんなキャロに対して優しく微笑み手を差し出すエリオ。すると、表情が柔らかくなりキャロは大きく頷いた。
「うん!!」
そして2人は手を繋ぐと、改めて目標地点を見据える。
「ライトニング3。エリオ・モンディアル!」
「ライトニング4。キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ!」
「「行きます!!」」
2人は空に向かって駆け出すと地上に向かって落ちて行く。そして、2人は顔を見合わせ声を上げた。
「ストラーダ!!」
「ケリュケイオン!!」
「「セット・アップ」」
その瞬間、2人は黄色とピンク色に包まれ光が収まるとバリアジャケットを身に纏ってスターズ隊の後方に着地した。そして4人はそれぞれ作戦行動を開始したのであった。
「スターズ1、ライトニング1。制空権獲得!!」
「ガジェットⅡ型散開、開始。」
「ガジェットは1体も逃がすな。こちらから位置情報をリアルタイムで送信して隊長2人をサポートしてやれ。」
シャーリーとルキノの声に翔馬が指示を飛ばす。すると後ろからドアが開く音が聞こえた。その音に反応してグリフィスが振り向く。
「…お待たせ。」
そこにいたのは、少しだけ息を切らせたはやてだった。そのはやての声を聴いたスタッフははやてを笑顔で迎えた。
「八神部隊長!」
「お帰りなさい。」
「意外と速かったな。」
グリフィスとシャーリーそして、翔馬が声をか開けるとはやては笑顔で答える。
「皆、任せっきりでゴメンな。こっからは私が指揮を執るで。…翔馬君もゴメンな。ホントは外に出したかったんやけど…。」
「…仕方ないだろ。人員がたまたまこっちの方が少なかったんだから。…って言っても、指揮はグリフィスが優秀だし、スタッフの皆もいい感じに連携が取れてるから俺のやることが無かったけどな。」
はやての言葉に翔馬は冗談交じりに応え、笑って見せた。すると、グリフィスがはやてに向かって報告を始める。
「ここまでは比較的、順調に進んでいます。」
「そっか。このまま何もなく…」
グリフィスの報告を聞き、はやては安心したように言葉を発しようとするがシャーリーがそれを遮った。
「ライトニングF、8両目突入。…これは!?エンカウント!!…新型です!!」
「って、言ってる傍……」
シャーリーは全員に周知させるため大きな声を出し、状況を伝える。それを聞いたはやては溜息をついて突っ込みを入れようとしたその瞬間、隊舎中にアラートが鳴り響いた。モニターに表示されているのは…赤い[ALERT]の文字。その文字を見た翔馬は思わず立ち上がり驚きの表情になる。
「っ!?……一級警戒態勢だと!?」
「なっ!?…こんなタイミングで。」
「…そんな。」
翔馬に続き、はやてとグリフィスも驚きの表情を隠せずにいた。しかし、早く動いたのは翔馬だった。アラートが鳴ってから直ぐに翔馬はモニター近くのシャーリーに急いで近づくと現場との連絡を一旦遮断した。それを間近で見ていたシャーリーは驚いて翔馬を見る。
「翔馬さん!?…一体何を!!」
「今、スバル達にこのことを知られれば目の前の事に集中できなくなる!!…あいつらは初陣でそれなりにやろうとしてるんだ。これが終わるまでは前だけを見させてやってくれ。…通信回線復旧させるぞ。」
「…はい。」
シャーリーに申し訳なさそうな顔をしながら翔馬は自分の想いをぶつけた。すると、司令部は落ち着きを取り戻し、翔馬に視線が集まる。しかし、通信が復旧したことでなのはとフェイトから連絡が入り話が中断される。
「聞こえますか?こちらスターズ1。ロングアーチ。聞こえたら返事して。」
「こちらライトニング1。ロングアーチ、応答願います。」
「……。ゴメン。なのはちゃん、フェイトちゃん。聞こえとるよ。ちょっとこっちの操作ミスで通信が一時的に切れてたみたいや。」
なのはとフェイトの問いかけに対してはやては翔馬を見つめてから、そう答えた。
「そうだったの?アラートが聞こえたような気がしたからてっきり一級警戒態勢が発令したのかと…」
「うん。私も聞こえた気がしたんだけど…。何もないならいいんだ。それでは、引き続き任務に当たります。」
「うん。2人とも、よろしくな。」
「「了解!!」」
はやての言葉に安心したのか、2人は通信を終わり各自航空型ガジェットの殲滅に向かう。それを確認してからはやては改めて翔馬に向き直った。
「…こんなことしても、このまま手を出さないって訳にはいかん。…翔馬君はどないするつもりなんや?」
「現場の人間、誰一人気付かれずにどうにかしようと思ったら、方法は1つしかないだろ?あいつらが無事に任務を終えるまで俺が1人で奴らを抑える!…もし、可能であれば殲滅する。」
翔馬ははやてに真剣な表情で静かに答えると、はやても真剣な表情で見返す。
「いくら翔馬君でもそれは無理や。どれだけの相手がいると思ってる?それに相手は…」
「わかってる。それでも、スバル達に初陣を辛い思いで帰って来て欲しくないんだよ。俺は、あいつらの面倒とかは見れていないけど…同じ6課のメンバーとしてスバル達を守りたい。だから、行かせてくれ。八神部隊長。」
「………。」
はやてはそれでも行くという翔馬を真剣に見つめる。それでも揺るがない翔馬の瞳を見て、はやては負けたとばかりに苦笑いを浮かべた。
「悪いな。俺のわがままで。」
「…まぁ、もし、私も同じ立場ならそうしてたんやろうなって…そう思うから。…ただし、無茶だけはアカンで。少しでも厳しいと思ったら任務中でもすぐになのはちゃん達に向かってもらうからな。」
最後にはやては厳しい口調で翔馬に言うと翔馬は頷いてその場に背を向けた。
「行ってくる!!…はやて。飛行許可!」
「市街地個人飛行…承認します!」
翔馬は外に出ると駆け出し、ゼフィロスを構える。
「ゼフィロス…セット・アップ!!」
そして、緑色の光の中からバリアジャケットを身に纏った翔馬が現れ、空へと飛び立った。
「場所は山岳地帯…。なのは達の戦闘区域からは距離があるが…それでも少し近いな。向こうに増援が行かないようにだけしておかないとな…。シャーリー…悪いがこっちの状況を説明してくれるか。」
なのは達とは違う通信回線を開いて翔馬はシャーリーに問いかける。
「はい。…ウィング1の向かっている先、約3km地点の建屋内にレリックと思わしき反応あり。そしてその周囲にはガジェットが徘徊しています。その数…100を超えます。まだ、レリックには到達していないようですが…先程確認した新型も潜んでいるようですので、気を付けて下さい。」
「了解した。それじゃ、通信を終える。暫く向こうを見てやっててくれ。こっちは何とかする。」
そう言うと、翔馬は通信を終了しようとするが声が聞こえたため、その手を止める。その声とは、はやてだった。
「翔馬君。…ホントは引き止めたかったけど、こうなったらもうしゃーない。……絶対に無事で帰って来てや!!」
「…任せておけ。」
はやての言葉に嬉しさを感じながら翔馬は笑みを浮かべて応えると今度こそ通信を切った。そして、前方に目標を確認すると翔馬はゼフィロスを抜き放ち戦闘を開始するのであった。一方、ライトニング隊は新型のガジェットに苦戦を強いられていた。
「…うわぁぁ。…ぐっ。」
ガジェットから放たれる魔法弾を回避していたエリオは着地の瞬間、死角から出て来たガジェットのアームに吹き飛ばされ、壁に衝突する。それを見たキャロは声を上げた。
「エリオ君!!」
「大丈夫…だから。」
「でもっ…。」
エリオは苦しげに笑みを浮かべてキャロに答えるが、再度壁に叩きつけられてしまう。そして何もできない自分にキャロが戸惑っているとエリオはガジェットの攻撃を受けて気絶し、いつの間にかアームに掴まっていた。そのアームが車体を壊して外に出ると気絶しているエリオを車両の外へ放り出した。それを見たキャロは目に涙を浮かべる。
「エリオ君…?エリオくーーーん!!!」
そう叫び、エリオが落ちて行く瞬間を見ていた。しかし、キャロは過去に自分を救ってくれた恩人の顔を思い浮かべ、覚悟を決めると車両から飛び降りた。それを見ていた司令部のスタッフたちは驚き慌て始める。はやてはそれを見て気になることはあるが気持ちを切り替えて対応した。
「いや、あれでええんよ。」
「え!?…あ、そうか。」
はやては頷いてキャロたちの様子を見る。するとシャーリーは思い出したかのように笑顔を浮かべ、それを聞いていたなのはが付け加える。
「そう。あれだけ離れればAMFの効力が弱まる。使えるよ。フルパフォーマンスの魔法が!」
そして、そのキャロたちは刻一刻と地面に近づいていた。キャロはその中で気絶しているエリオ見て思いを強くし、小さな手を必死に伸ばす。
(守りたい。…優しい人。私に笑いかけてくれる人たちを。…自分の力で守りたい!!)
そして、キャロはエリオの手を掴むと抱き寄せてケリュケイオンを光らせた。そこにフリードが現れキャロの真正面で止まとキャロは真剣な表情でフリードに話しかける。
「フリード、今まで不自由な思いさせててゴメン。私、ちゃんと制御するから。……行くよ!!…竜魂召喚!!」
キャロの声に呼応し大きな光が周囲に溢れる。そして、エリオは目を覚ますとキャロの様子に驚きながらもその光景をじっと見ていた。
「蒼穹を走る白き閃光、我が翼となり天を駆けよ!来よ。我が竜フリードリヒ!…竜魂召喚!!!!」
キャロが呪文を唱え終わると大きな雄叫びと共に巨大な竜が現れた。その背にキャロはエリオと共に乗ると先ほどの新型ガジェットと相対する。その姿を見た6課の隊員達は喜びと驚きで声を上げる。そしてキャロが魔力をフリードに注ぎ始めた。
「フリード。ブラストレイ!…ファイヤ!!」
すると大きな炎がガジェットを包み込みその荒々しい炎はガジェットを燃やし尽くそうとする。しかし、炎の中から現れたガジェットには傷一つついていなかった。それを見たエリオが接近戦を買って出る。キャロは頷き、新しい呪文を唱え始めた。
「我が乞うは青銀の剣、若き槍騎士の刃に祝福の光を。猛きその身に力を与える祈りの光を。…行くよ!エリオ君!!」
「了解!キャロ!!」
エリオはキャロに返事を返すとガジェットに向かって飛び降りる。その瞬間、キャロはケリュケイオンから2つの光を放つと、エリオに向かってその光を与える。
「ツインブースト・スラッシュ&スイライク!!」
「はぁぁぁぁ!!…っだぁぁ!!」
エリオはキャロからの強化魔法を受け取るとストラーダを振り、エリオに向かって伸びてきていたアームを切り落した。そして、エリオは車両の屋根に着地するとカートリッジロードを行いストラーダから薬莢を2つ吐き出させる。
「一閃必中!!……でぇぇぇぇりゃぁぁぁああ!!!!!!」
掛け声と共に駆け出し、ストラーダでガジェットを突き抜くと担ぎ上げるように槍を持ち上げ、一刀両断にした。その瞬間、ガジェットが爆散し、それを見たキャロはエリオに向かって笑みを向ける。
「車両内部、及び上空のガジェット反応すべて消滅!」
「スターズF、無事にレリックを確保!」
「車両のコントロールも取り戻したですよ。今止めま~す。」
そして現場が落ち着き、はやてはスバル達に指示を出していく。そして、全てが一段落すると司令部はまた慌しくなりはじめる。それに気づいたのか、なのはがはやてに通信回線を開く。
「はやてちゃん?…何かそっちで問題でもあった?」
嫌な胸騒ぎが思い過ごしであったと思いたくて、なのはは無理な笑顔を浮かべる。
「…なのはちゃん、フェイトちゃん。ゴメン。今から言う場所にすぐ向かってくれるか?」
「何かあったの!?はやて!」
フェイトははやての様子から何か問題があったのだと察し、はやてに問いかける。すると、はやては言いずらそうにして、ほんの少しの間をあけてからそのことを口にした。
「嘘!?…だって、さっき…。」
「…それよりも急ごう!翔馬が危ない!!」
事情を聴いた2人は事後処理を司令部とスバル達に任せて翔馬の元へと飛んだのであった。