2年F組 八幡先生   作:陽陰 隠

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思い付いたので息抜きとして書いた。続くかどうかは気分次第。でも評価と感想は欲しい。


やはり俺の......
これでも、彼は満たされている。


桜が少しずつ花を散らし始め、春の陽気を感じなくなってきた今日この頃。

俺は誰も居ない職員室で、かつて恩師が腰掛けていた席と同じ場所に座り、一人の生徒―渋谷 栞(しぶや しおり)―と向かい合って彼女が書いたという作文に目を通していた。

 

『青春を謳歌せし者は皆、私の敵である。

青春を謳歌している所謂リア充と呼ばれている者たちは、派手なイベントなどを好む傾向にある。別にそれを仲間だけでやる分には問題はないとは思う。だが、比較的に平穏を望む私のような人種を巻き込んだり、周りの目を気にせず騒ぐのは許されざる蛮行だと私は考える。

例を挙げよう。

文化祭の実行委員に"真面目そうだから"という理由だけで推薦される。

修学旅行のグループ分けで、望んでもいないリア充グループに入れられる。

そんな私ですら青春を過ごした仲間と呼び、都合の悪いときには簡単に切り捨てる。

人を騙し、裏切り、除け者にする。そんなものは悪だ。そんな悪を私は許さない。そんなものは敵だ。そして、悪の敵である私は逆説的に正義となる。

では結論を言おう。

リア充爆発しろ。

 

「......はぁ」

 

どこか見覚えがあり、親近感を覚えるような文章だったが、昔の自分を見ているようで思わずため息が出てしまう。こういう思想を持ってるのって俺だけじゃなかったのね。なんか仲間が増えたみたいで嬉しい。

だが今の俺は指導する側だ。気乗りはしないが、注意しなければいけない。

 

「......渋谷、何この舐めた作文。現国教師に喧嘩売ってる?」

「しょんな訳ないじゃないれすか!」

 

こいつ、盛大に噛みやがった。本当に昔の俺と同じじゃん......あぁ、昔のこと思い出してきちゃったじゃん......

そんな感傷に浸っていても仕方がないので言葉を続ける。

 

「まあ言い訳くらいは聞いてやる」

「い、言い訳も何も思ったことを書いただけじゃないですか。それの何が悪いんです?」

「あのなぁ、物事には限度ってもんがあんの。思ったことをそのまま言っても許されるならこの世にぼっちは存在しないんだよ」

「くっ......言い返せない......」

「取り敢えずこれは再提出だ。期限は来週まで。わかったな」

「......了解です」

 

現国教師の威厳を見せ付け、再提出を命じることに成功する。我ながら完璧である。

そんな事を考えていると、俺に背を向けて歩いていた彼女が突然こちらに方向転換して戻ってきた。

 

「どうした。ちょっと先生は仕事があるんだけど」

「前から気になってて、クラスでも話題になってる話なんですけど......」

「なんだ、言ってみろ」

 

仕事の休憩がてらに彼女の話を聞くことにする。机に置いてあるコーヒーに口を付け―――

 

「先生って浮気してるんですか?」

「ぶふぉ!」

 

―――思いっきり吹き出した。

 

「その反応は図星ですか?」

「い、一応根拠を聞いておこうか」

「だって先生奥さん居るって言ってるのに、休日にお団子ヘアーの人とららぽーとで目撃されてたり、黒髪ロングの人と猫カフェに居たって言う情報があったり、スーツ着た女教師っぽい人とラーメン屋に入るのを見たっていう話もあるし、茶髪の女子大生を家に連れ込んでたって話もあるんですよ?そんなの疑うに決まってるじゃないですか!」

 

浮気相手として挙げられた人物の情報には心当たりしかなかったが、むしろ心当たりがあって良かった。身に覚えのない人物だと弁明出来なかったが、()()()()なら弁明できる。

 

「いいか、よく聞け。その情報は全部正しい。だが、全部嫁に許可を貰った上で行っているし、理由もある。なんならその情報の内の一人が俺の嫁だ」

「え!?どの人が奥さん何ですか?」

「それは言わん」

「えぇ~、良いじゃないですかぁ~」

「お前に言ったらそれをダシにして色々しようとするだろ」

「しないですよぉ~。だから、ね?良いでしょ?」

「駄目だ。今日はもう帰れ」

「はいはいしょうがないですね~」

 

色々追及されたが、なんとか弁明は出来たようで、渋々だが帰ってもらうことが出来た。

それにしても『浮気』なんてワードを聞いたときは、するはずがないのに焦ってしまった。あんな良い奥さん貰っといて浮気なんてできねぇよ......

とにかく今日は仕事を早く終わらせて家に帰ろうと決心した。

 

× × ×

 

問題児の指導をした翌日、授業の準備のために俺が担任をやっているクラス―2年F組―の教室に向かう。

職員室からしばらく歩き、教室のドアを開ける。

 

「うす」

「「「先生!この中に奥さんが居るって本当ですか?」」」

 

教室に入って早々、十人くらいの生徒に囲われ、順番に四枚の写真を見せられる。その全ての写真が俺と女性が談笑している写真だった。

 

「おい、盗撮は立派な犯罪だぞ。即刻消しなさい」

「消すので質問に答えて下さい!」

「......嫁は居るが、どれかは言わん。これで良いか?」

「ありがとうございます!」

 

この情報を漏らしたと思われる奴に視線を向けると、満足そうな笑みを浮かべ、サムズアップしていた。

......はぁ、だからあいつに個人情報を喋るのは嫌なんだ。何が嫌で自分の生徒に嫁の情報を喋らなければいけないのか。

 

まったくこれだから仕事というのは嫌なのである。




前書きでも書きましたが、続くかどうかは未定です。でも評価・感想は貰えると全裸で阿波踊りするくらい嬉しいのでお願いします。
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