2年F組 八幡先生   作:陽陰 隠

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雪ノ下を書くのが難しすぎる。


比企谷 雪乃
満を持して、季節外れの雪が降る。


夏休み。

それは、学生における天国のような期間。煩わしい学業からある程度解放され、思う存分羽を伸ばすことができる一種のボーナスタイム。

 

だが、教師はどうだろうか。

教師も生徒と同じくらい休める!......とはならないのが現実だ。実際、教師の休暇は5日間程度で、それ以外は有給などを使うことになる。

 

そして今日は、そんな数少ない休みが2日目の昼に突入したところである。休みがあと2.5日しかないとかふざけてんだろ。マジで。

 

でもそんな俺のイライラはすぐに霧散することとなる。

 

「八幡、ご飯できたわよ」

「ん、おう。サンキュ」

 

そう、(雪乃)である。高校時代に比べかなり大人びていて、大和撫子という言葉が雪乃のためにあるんじゃないかと思うほど、綺麗で自慢の妻である。

そんな我が妻は、料理を食卓に並べながら、自慢気に今日の献立の解説を始めたのだが―――

 

「今日はサバの味噌煮よ。本当は塩焼きにしようと―――」

 

ピンポーン

 

雪乃の言葉を遮るように、家のインターホンが鳴った。

 

「あら、誰かしら?」

「俺が出てくるわ」

 

そう言って席を立ち、玄関へと向かう。宗教勧誘とかセールスとかだったら罵詈雑言を浴びせようと誓い、ドアを開け―――

 

「先生!遊びに来ましたよ!」

 

―――おもいっきり閉めた。

 

いやいやいや、遊びに来ました!じゃねぇんだよふざけんな。てか男性教師の家に遊びに来るなよ。俺が死刑にされるだろ。雪乃に。

 

俺が自分の命に一抹の不安を抱いていると、ドアの音で心配したのか死刑執行人、もとい雪乃が走って玄関に来た。

 

「ど、どうかしたのかしら!?」

「い、いやそれがな」

 

さてどう説明したものかと迷っていると、再びドアが開いた。ただし、今度は外側から。

 

「先生~、何でいきなり閉めるんですか~って、あー!この人が先生の奥さんですか!?」

 

おい、俺の雪乃に軽々しく指を指すな。その細い指へし折るぞこの野郎。と、俺が一人凄んでいると、横から雪乃が小声で耳打ちしてきた。

 

「何であなたの生徒がここに来てるのよ」

「いや、俺に言うなよ。それより、こいつを追い返すぞ」

「あ、いま追い返すって聞こえましたけど無駄ですよ~。今日は絶対に帰りません!」

 

結構小声だったと思うんだけど、シンプルに地獄耳じゃん。ネ○ロ会長なの?音を置き去りにしてんの?とか言っても伝わらないと思うので、心に留めておくことにする。

 

ふと、雪乃が黙っていることに気付き雪乃の方に顔を向けると、一つため息をして、予想外の一言を放った。

 

「はぁ......まあ八幡の生徒なら仕方ないわね」

 

その一言により、記念すべき(?)第1回・突発逆家庭訪問が始まったのだった。

 

× × ×

 

「―――という感じです!」

「あら、案外しっかり仕事はこなせているようね」

 

渋谷が家に来てから早一時間。一緒に昼食を食べ、今は学校での俺の仕事振り報告会が開催中だ。てか案外ってなんだよ。旦那への信頼薄くない?

 

自分への印象が分かって、勝手に絶望していると、渋谷が話題を俺のことから俺と雪乃のことに転換した。

 

「先生と雪乃さんの馴れ初めとか聞きたいなー」

「そ、それは流石にその、は、恥ずかしいというか......」

 

これには流石の雪乃でも、躊躇する。実際、俺も思い出しただけでもう......若いって凄いね。

だが、それで諦める訳がないのが渋谷である。渋谷は少し考えるような素振りを見せたあと、何か思い付いたような表情をして口を開いた。

 

「あー、そんなに馴れ初めに自信が無いんですねー。ちょっと期待はずれだったかなー」

「くっ......!そんなに言うなら馴れ初めの一つや二つくらい聞かせてあげるわ!」

 

こいつ、目上の人間を煽りやがった!そしてそれに釣られるゆきのんさぁ......

 

こうして始まった俺たちの馴れ初め話。横で聞いているだけで、かつての俺をぶん殴りたいくらい恥ずかしい話ばかりで、渋谷の視線も相まってすっかり顔を隠すはめになったのだが、ふと手の隙間から見えた雪乃の表情はどこか楽しそうで、それでいて自慢気であった。それが嬉しく感じて、俺にしては珍しく渋谷という一人の生徒に、感謝していた。

 

× × ×

 

「今日はありがとうございましたー!」

「こちらこそ、楽しませてもらったわ」

 

結局、渋谷が帰った頃には、時刻は16時を過ぎていた。長居しすぎだろあいつ。

 

暫くして、渋谷が見えなくなったのを確認し、気になっていたことを口に出す。

 

「お前が初対面の人間にあんな顔すんの、初めてじゃないか?」

 

俺と初めて会った時も、罵詈雑言と蔑んだ目を向けられた記憶しかない。嫁との出会いがこれってどういうこと?

 

そんな雪乃が初対面の、しかもいきなり押し掛けてきた渋谷に何も言わないのが単純に気になったのだ。

 

すると雪乃は少し考える仕草をしてから、渋谷が歩いていった方を見て呟いた。

 

「あの子があなたを大層気に入っているようだったから、年甲斐もなくアピールしちゃったのよ」

「......何をだよ」

 

俺の疑問を聞くと、昔から変わらない良く手入れの行き届いた長い髪を手で払いながら、蠱惑的な笑みを浮かべて答えた。

 

「八幡は私の所有物(私だけの物)だってこと、よ」

 

その笑みに、心臓が大きく跳ねた。同時に、顔が赤く染まっていくのを感じる。

 

―――ああ、これだからこいつには勝てないのだ。今も、昔も。そして、これからも。




ということで、ゆきのん編でした。
こんな感じで、次回は違うヒロインが八幡の妻だったら?っていう話を書く予定です。ガハマさんとか、いろはすとか、川なんとかさんとか。他にもなんかあったら感想でお願いします。なんも無くても感想で待ってます。返信できるかわかんないけど。あと評価もお願いします!何でもしますから!
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