申し訳無い
………ぐ…頭が痛い。……ここは?何処だ…洞窟の中か?周りが暗すぎて何も見えん。クソが!これも奴の罠か何かなのか!だとしたら早くここから離れなければ…
『…人間…』
!?頭の中に声が響いてくる。煩わしい音だ!
「何者だ!何処にいる!姿を現せ!」 抜け
『…!!人間、我はここだ…!!』
すると暗闇の中に、更に黒い何かが蠢いているのが見えた。……いや感じた、と言うのが正しいのだろうか。近づいて見ると…そこには剣……の様な物が台座に刺さっているのも分かった。先程から頭に響くこの声の通りなら、この剣を抜けと言う事なのか?
「これを抜けということか!答えろ!!」
『…!!そうだ 早く抜け…!!』
「……抜いてやるぜ!丁度俺の武器が無くなったところだったんでな!!」
抜け
俺は暗闇の中に奇しく煌く剣を引き抜いた。その瞬間、今まで暗かったのが嘘の様に辺り一面明るくなった。やはりここは洞窟らしい。だがこの剣……
「……軽いな。ちゃんと武器として使えるんだろうな…」
『!!…使える 断言しよう…!!』
とりあえず近くの岩に斬りつけてみた。こんな胡散臭い剣、壊れるだろうと思っていたが、岩の方があっさり切れ…というよりは爆裂した。
「おい…これ俺に変な事あるやつだろ!簡単に強くなれる物程信用ならねえからな!…おい剣!黙ってねえで答えろ!」
『…!!あるにはある それは…!!』
「勿体ぶらずにはよ言え!」
『……!!死んだら怪物となって蘇るという呪いがある!!……』
「なんだ、死んだ後か…なら問題は無え。俺が死んだ後の世界なんぞ微塵も興味がないしな!」
『……!!怪物になるのが怖くないのか!!……』
「それと気になってるんだが、俺をここに飛ばしたのはキサマか?剣。」
『……!!違う 気づいたら近くに居た あと私の名前はカルナだ 今後とも宜しく頼む!!……』
「……カルナ?……まあ良い。で、出口は何処だ。」
『……!!待て 厄介な事になった!!……』
そこには喪服(の様な物?)を来た…恐らくだが、鎮魂の仕事をしている者だ。本で見たことがある。だが明らかに異常で、皮膚は薄く、骨が見える程の異形だったのだ。しかも骨の形が歪になっている。
「なんだ、あの骨は!動いてるぞ!」
『……!!私の見張り番だった者だ 私にうっかりふれてああなったのだろう もはや自我はない 殺せ!!……』 殺せ
「ち、まあやってみるか!剣の試験台になってもらうとするか。」 切れ
破壊しろ
「マ"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!!」
大きな金切り声を上げる。不愉快だ。会話が出来る相手とも思えない。殺すしかないだろう。
「声のでけえ野郎だな!とっとと黙らせてやるぜ!!」
俺は剣を投げつけてみた。正直岩を破壊できる程なら普通に斬りつけたら終わりそうだったので、試しにやってみたのだ。
「オラッ!喰らえ!!」 殺せ
!ボジャア!
「ッ!!思ったより派手に吹っ飛んだな…骨片がこっちにまで飛んできたぜ!」
俺は服に付いた骨片を振り払う。
『……!! 躊躇はしないのか 面白い !!……』
「あ? 何が面白いんだ?」
『……!!私に適正を持っている者が久し振りなのでな それとなんだが 聞きたい事がある!!……』
「なんだ?そろそろ外に出たいんだが…」
『……!!お前の故郷の葉の色は何色だ!!……』
「? 黒だが…」
『……!!何でもない くだらない事を聞いてしまった 先へ行くとしよう!!……』
嘘がバレバレだが武器が無いので捨てるわけにもいかず、連れて行く事にした。
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!!ドゴォ!!
剣に言われた場所を叩き切ると、膨大な光が入って来て目が痛かった。どうやら外にちゃんと繋がっていたらしい。目を休めた後、外を観察すると一つの大きな城が見えた。周りの景色が妙に薄暗い上、草木が全て緑色なのも気になる点だ。自分達の住んでいた所の植物は黒しかなかったので、もしや相当遠い所に来たのか?と思っていると…
『……!! よく見ろ 廃城がある それに城だ 旗が 薄汚れてて解りにくいが タオヤカ帝国じゃないか !!……』
馬鹿な。タオヤカ帝国は世界で一番の富豪国だぞ。特に美に関して世界一を名乗れる程うるさいのに汚れたままにするのは不自然だ。
「んな訳あるか。あそこは美にうるさいで有名な国だぞ。あれがタオヤカ帝国な…ん?」
誰かがこちらに向かって歩いてくる。見た目は…かなり汚れた布を被った‘’骨‘’だった。また敵か!
「マ"…"マ"…ッ…テ"」
…言葉を喋っている?会話出来るならした方が良い。親父の教えだ。俺は持っている剣を地面に刺し、あくまで堂々と話す。
「そこから動くな。俺に何のようだ?怪しい動きを見せたら殺すぞ。」
そう言うと直ぐに動きは止まった。一応距離は二遷移石程*1はあるな。 切れ
『!!…… 何をやっている 殺せ 危険だぞ……!!』
「俺のやる事に口を出すな。……おい骨。止まってるだけじゃわかんねえぞ。ゆっくりでいいから何か言えよ。」
言葉はちゃんと伝わるようで、かなりゆっくりだが喋ってくれた。
「"ワ" …ワ"タ"…シ"……テ"ー……"ニ""ョ"」
テーニョ?帝女の事か?タオヤカ帝国のか?確かに。言われて見れば砂で汚れた布はかなりの生地だ。滑らか度が凄いな。それに風になびく度に少し光っている様に見える。
「お前はタオヤカ帝国のサクラ帝女か?」 殺せ
そう聞くと、とても嬉しそうに頷いている。骨を軋む音を立てながら。うーむ、奴の言う通りならあの汚れた城は本当にタオヤカ帝国なのか……しかし参ったな。城の旗が汚れていて、王女が骨の魔物と化しているという状況的に、タオヤカ帝国が無事だとは思えない。仮に帝女の様に敵対しない魔物が跋扈しているとしても、俺に何か得があるとも思えない。しかしここで王女を放って別の所に行くというのもなにか勿体無い気がする。一応聞いてみるか。
「サクラ、俺と一緒に強くなる旅でもするか?お前がそんな姿になったのには理由があるはず。それが何者かによる作為的な行動だったとしたらお前も憎いはずだ。お前を骨に変えた野郎をぶっ殺したいなら俺と一緒に来い。」
『!!…… 正気か オマエ そいつは魔物だぞ 今は大丈夫だとしても いつか暴走するかもしれないんだぞ ……!!』
サクラ帝女が申し訳無さそうに俯いている。
確かに、魔物というのは基本狂暴なものだ。偶に大人しいのもいるがそれは魔力を使い果たした馬鹿な魔物のみ。彼女にあてて考えてみれば、今は魔力を使い果たした、いわば弱く魔力を操れない愚か者だから正気を保っているとも言える。また魔力が溜まればどうなるか分からない。だがそんな事は百も承知だ。だからこそなのだ。意識があるなら感情で暴走を抑えれるというのが俺の考えだ。今使い果たした魔力が戻る時までに、精神力を鍛えておけば良いだけだ。まあ、もし暴走したらその場で叩き切ればそれで良い。
「………"ワ"タ……"シ""イ"…"イ""キ"タ""…イ」
「という事だそうだぞ、カルナ。どうせ暴走するなら切れば良い。単純だろ?」
『!!…… しかし ……!!』
こいつ、くそ面倒くせえな。隣に住んでたトゥトゥぐらいうウゼー
脳裏に思い浮かんだ奴らの顔。目の前で首が飛んだトゥトゥ……あーあ、もういない奴らの事を考えると虚しくなるな。とっととこの剣黙らせて行くか。
「カルナ!俺の言う事が聞けねえなら置いてくぞ!」
『!!…… なに ……!!』
分かりやすく動揺してやがる。
「聞こえなかったのか?俺はこいつを連れて行くッつッてんだ。ごちゃごちゃ言ってねえで俺に従え。剣なんだからよ!」
『!!…… いいだろう ……!!』
圧をかけてやったらあっさり許してきた。しかも無駄に偉そうにだ。時間の無駄だから今後はやめて欲しい。
「よし。どうやら一緒に行けるらしいぞ。」
「…!…!…!…!」
飛び跳ねて喜んでやがる。あんな骨のなりでよく動けるな…まあその分運動出来るというのは分かった。俺の旅にも同行出来るだろう。…さてどうしようか。とりあえず人気のある所に行きたかったが、タオヤカ帝国が魔物の巣窟となった(と思われる)今、そこに行く意味は魔物と殴り合う危険と比べると薄い。じゃあ他の国に行くかと思うがこの近くに国はない。タオヤカ帝国はかなり領地が広く、鍛えられた馬に乗っても隣国まで一週間はかかるだろう。もちろん国が魔物に乗っ取られたからと言って領地全てが魔物にやられているとは言わない…というよりは言いたくないが、
「サクラ!何か安全な場所はあるか?」
するとあまり考える事無く話してきた。
「"ワ"タ"シ"ノ"オ""ヘ"ヤ"!」
元気よく言った割にやばい事を口にしやがった。
「は?何言ってんだ。お前の部屋は帝国にあるんだろ?だったら危険な所にもう一度行くという事になるんじゃないか!例え部屋が安全でも道中が危険だろ。」
「"ダ"イ"ジ"ョ""ウ"ブ"!"テ"ン"イ"デ"キ"ル"!」
テンイ?ああ転移か。俺が魔王に使われたあの魔法。思い出してもイライラしてきた。早く強くならなければ………ちげえ。今はそれよりも転移が出来るとはどういうことか聞くべきだ。あの魔法はかなりの…なんか高等なやつだ。こんな魔物、いや子供に出来るとは思えん。
「お前に出来るのか?あの魔法を。そうは見えないんだが…」
「"ワ"タ"シ"ニ"ハ"デ"キ"ナ"イ "デ"モ"デ"キ"ル"バ"シ"ョ"ア"ル" "マ"ホ"ー"ジ"ン"ッ"テ"イ"ウ"ノ"…」
……そうか反応型魔法陣か!あれなら高位の魔術師が一度設置してしまえば何度でも利用できる。点検は必要になるが、それでもかなり便利になるだろう。というかやっぱりこいつの帝国は凄いな。転移の魔法陣を作れるとなると相当な実力者だ。それを点検含めて永続的に雇えるとなると相当な資金があるんだな…だがそんな帝国を魔王は一瞬にして魔物の巣窟に変化させたのだ。やはり魔王は強い。……はっ!また思考がずれてしまった。早くその魔法陣が何処にいるか聞かなければ。
「その魔法陣ってのは何処にある?」
「"ジ"ョ"ウ"モ"ン"ノ"マ"エ"デ"ア"イ"コ"ト"バ"ヲ"イ"ウ"ノ"。」
「合言葉?というか城の外から入れるって大丈夫なのか?合言葉を敵に覚えられたりとか色々あるだろ。」
「"ワ"タ"シ"ノ"コ"エ"ジ"ャ"ナ"イ"ト"ダ"メ"ナ"ノ"…"ス"ゴ"イ"デ"シ"ョ"!」
そりゃ凄いな。声で個人を認識できる魔法とは…なんか魔法陣を造った魔術師達と話がしてみたくなってきたな。この実力だと国一個を落とせる力は確実にあるだろうし、話して魔法の勉強でもさせてもらうとするか。恐らく生きてるだろう、その実力なら。
「そりゃ凄いな。まあとりあえず城門の所まで行くか。」
俺がそう言うと、骨が吹っ飛ぶんじゃないかという程の音をたてながら頷いた。
「"ウ"ン"!!」
『!!…… しょうがあるまい とりあえずは 向かうとしよう……!!』
次話も遅くなるやもしれぬ。許して欲しい。
物語を読んでくれた人々に幸あれ!