メタルマックス 未来への砲口   作:ショウマ

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第一章
    プロローグ


 どこかで破綻するのは分かっていた。ただ、問題の先延ばしをしていただけだ。

 

 

 当時を伝える文献の類いはそう多くはないものの、ある一文だけは全てで共通していた。

 

 

 すなわち……『その日、人類の文明は終焉を迎えた』である。

 

 

   ※※※※※※

 

 

 発達していく文明。それがゆえに人々の寿命は延び、人口は増え続けた。起こるのは食糧に住宅、経済問題。

 

 

 そして、人類の生産活動がもたらしたのは環境問題。破壊される自然、汚染されていく大気や土壌、そして水。そんな状況下でも、人口が増えるに連れて山を森を削る。

 

 

 結果、温暖化や砂漠化は拍車をかけて進行し、世界各地で大規模な異常気象や天変地異に見舞われた。

 

 

 世界各国はそれらの問題を解決するために、それぞれのやり方で躍起になって模索し続けたが、各政策は全てが悪循環となる負のスパイラルに陥るだけであった。

 

 

 そんな絶望に包まれかけた世界において、一人の天才科学者が立ち上がった。“地球救済”を名目にした「地球救済センター」を設立した彼は、センターの地下にスーパーコンピューター“ノア”を開発。人類文明の存続と、地球環境の保全を両立させる術と希望を機械の方舟に託した。

 

 

 地球規模のネットワークと接続されたノアは、世界最高の演算能力を活用し模索し続けた。何億回も、何兆回も調査とシミュレーションを繰り返し、得られた答えは常に一つだけだった。

 

 

 時期や発端は今となっては分からない。自我に目覚めたノアが、地球環境を真に保全するためには従うべき主人ではなく、地球を構成する一要素でしかない人類を消し去るしかないという結論に達したのは。

 

 

 達し、実行に移すのにノアには躊躇いは無かった。民間だけではなく、国家が有するネットワークにアクセス権限を持つノアは、人知れず人類への反乱を開始した。

 

 

 世界各地で同時に発生した交通事故。道路で、駅で、海で、空港で。交通網は完全にマヒした。

 

 

 それだけに止まらず、エネルギー関連に通信設備、ありとあらゆる施設で事故が起こり、人類世界は大混乱に陥った。

 

 

 ノアが発動した“人類抹殺プログラム”がもたらした厄災。それを知らない人類はノアに事態の収拾を求めた。

 

 

 ノアは断じた。「これは未曾有の同時多発テロだ」と。

 

 

 ノアを信じきっていた人類は、人類同士の疑心暗鬼へと誘導されていく。そして、最早どこから放たれたのかは分からないが、一発のICBMが発射され、それに自動対応する報復装置により核保有大国同士が核の炎に包まれた。

 

 

 確証が無いまま宣戦布告が行われ、戦争が始まった。各国で国内暴動も起きる混乱の中で、この事態がノアの策謀で引き起こされたものだと人類が気が付いた時には、既に手遅れだった。

 

 

 センターにあるノアの機能を停止するために、各国が軍を派遣しようとしたその時、世界各地の多種多様な工場から無人の兵器が続々と姿を現した。ノアの人類抹殺プログラム、その第二段階に基づいて生産された人類抹殺兵器。

 

 

 搭載されたAIにより自動的に行動する兵器群により、まず各国の軍隊が、それに続いて一般人達が……。

 

 

 ノアが活動を開始して数ヵ月で、人類の過半数は死に絶えた。主要都市は廃墟と化し、文明は失われていった。

 

 

 だが、人類も黙ってやられていたわけではない。ノアのネットワークに依存しないコンピューターや機械を作り、徹底抗戦の構えを見せた。各国の残存兵力を結集し、組織的な反攻を行えるだけの戦力をまとめあげた。

 

 

 十年にも及ぶ人類の反攻は、しかしノアの人類抹殺軍団には及ばず、組織を個別撃破され大々的なノアへの抵抗は消滅した。

 

 

 これが、後の世に伝説の“大破壊”と呼ばれた事件の実態である。

 

 

 それから数十年の年月が流れた。

 

 

 ノアの描いた通りに進むかに見えたその世界で、しかし人類はまだ滅んではいなかった。僅かに生き残った人類は、廃墟に、洞窟に、身を寄せ合いながらも細々と生き延びていたのだ。

 

 

 汚染された世界で生まれたバイオモンスターと呼ばれる生物達や、稼働している人類抹殺兵器に怯えながらの日々。

 

 

 そんな世界で、モンスターやノアの兵器群、犯罪に走る者達を倒し、懸けられた賞金を稼ぐ者達が現れた。文明の遺物たる“クルマ”を駆って、時に牙無き人々を守る刃となり、時にかつての文明の痕跡を探る。この荒れ果てた世界を駆け巡る彼等のことを、人々は尊敬と畏怖を込めて、『モンスターハンター』と呼んだ。

 

 

     ※ ※ ※

 

 

「――こちら試作評価実験部隊、三番艦エア。人類陸軍本部、どうぞ」

 

 

『(ザザッ)こちら本部。どうぞ』

 

 

「――定時連絡。プランは順調。予定通り、最終調整に入ります。なお、最終調整を行う研究施設には明朝、0500に到着予定。どうぞ」

 

 

『本部了解。航行には十分注意されたし。どうぞ』

 

 

「エア了解。以上通信終わる」

 

 

『本部了解。以上通信終わる』

 

 

 鑑のブリッジ、正面にある主モニターに写し出されていた通信相手が消えると、元の何もない荒野へと画像が切り替わる。

 

 

 

 通信を終えた男は一息つくと、軍服の襟元に手をやって緩めながらブリッジ内を見渡せる自らの席――艦長席へと腰を下ろした。

 

 

 その男の前に、横から湯気を上げた湯呑みが差し出された。

 

 

「お疲れ様です、艦長。お茶でもどうぞ」

 

 

「あ、ありがとう副長。もしかして、これは……?」

 

 

 若干引きつった笑みを浮かべているまだ若い艦長に、お茶を差し出した男――身長二メートルを優に越え目付きがやたらと鋭く、禿げ上がった頭を制帽で隠そうともしない副長は頷いて見せた。

 

 

「疲れが溜まっている艦長のために、様々なお茶の葉をブレンドしてみました」

 

 

「副長、僕には君が何を言っているのか分からないよ」

 

 

「口の中で、熱いお湯と共に様々な味が混ざりあう……そんな予感と期待を込めて淹れました」

 

 

「僕としては、君の趣味に文句は無いけど、先に自分で試しに飲むようになってくれることに期待したいよ」

 

 

 そう言って受け取ったお茶を一口飲む。口の中に広がる苦さと甘さ、渋さと苦しみが奏でる幻想的な味わいが、やがて一つの澄んだ河の流れとなっていく。

 

 

「艦長ってば、そう言いながら毎回律儀に飲んでいるじゃありませんか」

 

 

「律儀って言うか、何と言うか。その内、貧乏クジ引かされそう」

 

 

「うわ-、艦長! 巻き添えは勘弁して下さいよ!」

 

 

 ブリッジ内の通信士やオペレーター、操舵に携わる女性陣が、それぞれに言っては笑い声を上げた。

 

 

「こらこら、今は作戦行動中だぞ。私語は慎め」

 

 

 注意する艦長だが、それはあくまでも言葉だけのようだ。「緩急のケジメだけはしっかり」が、共に仕事をこなし、生き残ってきたこのブリッジクルーの色だった。

 

 

 私語はしても、決してその手が止まることは無い。

 

 

「研究所には後、半日……という所ですね。艦長」

 

 

「そうだね。そこで、しばらく休息になるかな。久しぶりにみんなゆっくり休めそうだね」

 

 

「そうですね。本部に戻ればまた次のプロジェクトを任されるでしょうし、そうなればまたまとまった休みは当分無いでしょうからな」

 

 

 艦長の話に首肯しながら、彼が飲み終えた湯呑みを副長が手に取る。

 

 

「空軍の方はほぼ壊滅的な被害を受けた。海軍で進められているジャガンナート。陸軍のクロモグラ。陸上戦艦一番艦ティアマットのαシリーズ、アルファプロジェクト。二番艦チュウニのSWシリーズ、ベータプロジェクト。そして僕達のGシリーズ、エータプロジェクト」

 

 

「艦長、海軍には無人行動戦艦『摩伽羅』もありますよ」

 

 

 副長の補足に、二十歳を過ぎたばかりの艦長はう~ん……と唸りながら頬を掻く。

 

 

「僕としては、無人前提というのは余り好きじゃないな。ノアの軍がまさにそれだしね。減る一方の人類のために、無人兵器は有益というのは分かるけど……ノアのネットワークからは切り離しているとはいえ、何かのきっかけでノアに掌握されたら一発じゃないか」

 

 

「この艦、ティアマット級の陸上戦艦ならぬ空母のエアには、無人戦闘艦載機があるわけですが」

 

 

「分かってるよ、有人も無人も諸刃の剣ということは。各プロジェクトの“彼女達”のこともそうだし」

 

 

「どこまでいっても、絶対という事はありませんしね。今は、打倒ノアを目指して至福の時です」

 

 

「雌伏だよ」

 

 

「これは失礼しました」

 

 

「そうですよ副長。逆境で至福なんて艦長だけじゃないですか」

 

 

「だから進んで貧乏クジを引く。艦長、引く前にこの間貸したお金返して下さい」

 

 

「艦長! 私も結婚してみたいから、引くのは止めて下さいね!」

 

 

「え-い、うるさいよ! 僕を変態みたいに言うな! お金はそれ以上にご飯を数日分たかられたし、結婚は落ち着きの無い君が相手を見つけられるかどうかだよ!」

 

 

 ここぞとばかりにからかうクルーに怒鳴った後、艦長はブリッジに響くほど大きな咳払いをして立ち上がった。

 

 

「時間が来たら順番に食事を取って、艦内スタッフは交代要員と引き継ぎを。ブリッジクルーは、到着予定時間の三時間前には全員ここで待機。エア、警戒レベルを一つ引き上げて前進せよ!」

 

 

「「「了解(!)」」」

 

 

「ところで、艦長」

 

 

「副長、どうかした?」

 

 

「お茶要りませんか? 十杯目」

 

 

「ゲップ」

 

 

 疎らに草が生えた無人の荒野を、土煙を上げながら双胴を持つ巨大な陸上戦艦が走り抜けていった。

 

 

     ※ ※ ※

 

 

「起きなさい!」

 

 

「ゲップ!?」

 

 

 光が射し込まない暗い部屋の中で、抱き締めていた掛け布団を引き剥がされた少年が、おかしな寝言と共に起き上がった。

 

 

「寝ぼけないで!」

 

 

 少女と呼んで良さそうな年齢の子が、手に持った掛け布団で横殴りに少年を殴り飛ばした。

 

 

「うぼぁ!?」

 

 

 

 その一撃に、少年は横の壁へと派手な音を立ててはね飛ばされた。

 

 

 倒れたまま痙攣している少年を、少女は仁王立ちで見下ろしていた。暗がりの中でもはっきりと目立つ黄金の髪。サラサラとした腰まで伸ばされたその髪は、さしずめ黄金の河だろうか。

 

 口調通りの勝ち気そうな目の、瞳の色はこれまた黄金。暖かい太陽を思わせるそれは、今は冷たく少年を見下ろしていた。

 

 

「朝から賑やか」

 

 

 少年が寝ていた布団――その横に置かれた、部屋の大部分を占める巨大なベッド。その右半分(といっても身長が足りないため上側だけだが)を使っていた少女が体を起こしていた。

 

 

「あら、おはよう可愛いアクア。よく眠れたかしら?」

 

 

「おはよう、エティア。ぐっすり」

 

 

 先程までと180度態度を変えて、エティアはベッドの上の少女に柔らかな笑みと声をかけた。

 

 

 エティアが太陽なら、アクアはその名の通り水を体現していた。鮮やかな青が、肩までの髪とトロンと眠そうな眼を彩っていた。

 

 

 ゆっくりとした動作でベッドから降りようとしたところで、アクアはドアの横の壁で痙攣している少年の方に壁で顔を向けた。

 

 

「ナヴィ、器用な寝相を披露せずに起きたら?」

 

 

「寝相じゃない! 乱暴なお嬢様に吹っ飛ばされたんだ!」

 

 

 分かって言っているアクアに、少年は片手で毛長なカーペットの敷かれた床を叩きながら起き上がった。

 

 

「太陽はとっくに昇っていてよ、ナヴィ? おはよう」

 

 

「はっはっは、誰か様のおかげで太陽のありがたみが薄い家でしてね? おはよアクア、エティア」

 

 

「いつもの事だけど、ご挨拶ね」

 

 

 挨拶を返すと、少年――ナヴィは小さく伸びをする。

 

 

「おはようナヴィ。着替える」

 

 

「あいよ、外に出とく」

 

 

 寝室から、やはり暗いリビングに出ると、ナヴィの後からドアを閉めながらエティアも出てきた。

 

 

「なあ、エティア」

 

 

「何かしら?」

 

 

「外のあれ、どうにかしてくれませんか?」

 

 

 ナヴィが指差したのはリビングにある窓。そこから見えるのは――そびえ立つ壁。

 

 

「駄目よ」

 

 

 返ってきたのは、切って捨てる様な一言。

 

 

「どうしてさ! 逃げないのは分かっているだろ!?」

 

 

「ええ、そうね。私もあなたの事は信じているわ」

 

 

 エティアの一言に食って掛かるナヴィ。そんな少年に、少女は鷹揚に頷いて見せた。

 

 

「だろう!?」

 

 

「信じているわ……アクアを」

 

 

「俺じゃねぇのかよ!」

 

 

 嬉しそうな声を上げた少年を、少女は即座に奈落に落とした。が、すぐに立ち直って抗議の声を上げる少年に、少女はわざとらしくため息をついてみせる。

 

 

「何が不満なのかしら? 不自由な思いはしていない筈よ?」

 

 

「さしずめ、真昼以外まともに光が入らない四方を取り囲んだ塀かな」

 

 

「壁がいやならうちにくれば良いじゃない」

 

 

「俺の家はここなんだよ! 何で、隣のお前の家の塀がうちを取り囲んでるんだよ!?」

 

 

 平然と言ってのけた少女に、少年は怒気混じりの大声を上げながら、リビングから外へ繋がるドアをくぐる。

 

 

 小さな一軒家を取り囲む様にそびえ立つ塀。その内の一面、頑丈な塀の向こうには、それ以上の大きさの屋敷が見える。そして、四方の塀に付けられた出入口は、お屋敷に繋がるやや大きめの扉が付いた一ヶ所のみだった。

 

 

「あなたのご両親から、父様が頼まれたからでしょう? 居ない間は守ってほしいという話は、あなたも聞いた筈よ」

 

 

「意味が違うだろ! エティアの父さんが、俺の父さんの親友で、ベテランのハンターだからって意味で言ったんだよ! こんな塀に取り囲まれていたら、守ってもらっていると言うより別の気持ちになるよ!」

 

 

「大丈夫よ。アクアやあのバカな子に襲いかかったら、実体験の前に私がこの手で引導を渡してあげるから」

 

 

「しねぇよ! 後、その銃どこから出したのか分からないけど、ちょっと片付けてくれなさい」

 

 

「ハンターマジックよ。後、それどこの言葉よ」

 

 

「多分、それも意味が違うと思います。そして、後半の質問は答えられない。銃を突き付けられた父さんが、母さんに言っていただけだからな」

 

 

 降参の構えをして軽口を叩く少年に、暗い笑みを浮かべていた少女は表情を戻し、構えていたショットガンをどこへともなく片付けた。

 

 

 それを見て、少年は上げていた手を下ろしながら、ため息をつく。

 

 

「なあ、エティア。俺も旅に出たいんだよ」

 

 

「出たら良いじゃない。あの子が戦車を見つけたらね」

 

 

「お嬢がウィンに変な事を言ったんだろう! 戦車を持ってきたら旅の準備全部引き受けてあげるって!」

 

 

「嘘じゃなくてよ? いつでも出られる様に準備は整えてあるわ」

 

 

 熱くなるナヴィとは反対に、エティアは落ち着いていた。

 

 

「着の身着のままで出ていくほど、あなたは愚かではないわね?」

 

 

 輝く様な黄金の瞳で静かに見つめられ、ナヴィはたじろいだ。彼女にそうされると、今までも言い返すことは出来なかった。

 

 このムーセムの街の周辺には比較的弱めなバイオモンスターしか居ないとはいえ、時々タンクタイプ(戦車などの車両系が分類される)の敵がやってくることがある。被害が出る事もあり、備え無しで出ていくのは無謀であった。

 

 

 

 ナヴィと共に暮らしているアクアと、もう一人の少女――ウィンは戦う力を持っているが、だからと言ってナヴィが絶対安全とは言えないだろう。

 

 

「ハンターには私がなっているから、あなたはメカニックか執事のまま待っていれば良いのよ?」

 

「いや、良くない! 俺だって戦車を手に入れて、父さんみたいに世界を見てみたい! 母さんの様に未知というものを探ってみたいんだ!……ここで、ただじっとお嬢が帰ってくるのを待って、話を聞いているだけなんて嫌なんだよ」

 

 

「ナヴィ……」

 

 

 うつむいて言葉を吐き出したナヴィの頬に、銃を撃っているとは思えない、白く柔らかな手が添えられた。

 

 

「エティア、分かってくれたか」

 

 

 顔を上げたナヴィに、エティアは至近距離で小さく頷いた。

 

 

「分かるわ」

 

 

「そうか! それなら……」

 

 

「違う」

 

 

 喜びを表そうとした少年に、少女は静かに首を横に振った。肯定してすぐの否定に、少年は訝しげな表情を浮かべた。

 

 

「分かるのは別の事」

 

 

「え?」

 

 

「あの子があの子のままな限り、あなたはずっと旅に出られない絶望が」

 

 

「え?」

 

 

 そして、少女の言葉に同意するかの様に派手な爆発音が響いて、屋敷と繋がる扉が吹き飛んだ。

 

 

 エティアは優雅に、ナヴィは油の切れたロボットの様にゆっくりと、そちらに顔を向けた。

 

 

 そこには二人の予想通りの空色の少女が居た。厚めの赤いジャンパーに白いショートパンツ姿。ナヴィやアクアと共に暮らしているウィン。

 

 

 二人の姿を見つけたウィンは気楽に手を振っている。

 

 

「あ、ナヴィ、エティアただいまー! ナヴィ、戦車持って帰ったよ! さあ、褒め称えよ!」

 

 

 「ほら」と言いたそうなエティアの視線を受けながら、拳を震わせている少年の様子に気が付かないまま、ウィンはお気楽に今の一撃を放ったモノを引っ張り込んだ。

 

 

 三対六個のタイヤ、緑色の平たいボディに備え付けられた一門の大砲。

 

 

「それは いっぱつや で移動砲台だ! 戦車じゃねぇーー!」

 

 

 少年の絶叫が塀に囲まれた敷地内に響き渡った。

 

 

 

「とりあえず、修理代でまた加算よ。自力で旅立つなら、今までのも全部払ってね?」

 

 

 そんな少年に、エティアはどこか楽しそうに告げた。

 

 

 

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