ビヨンド・ザ・ストラトス   作:アオトル

12 / 14

4月。

新入生たちが期待や喜びを胸に入学する季節。

織斑一夏は新たに担任する生徒たちの教室へと向かっていた。



第8話 新入生

 

教室はここだな。 よし、行くか。

 

 

「あ、織斑先生。会議はもう終わったんですか?」

 

「あぁ、そうだ。少し会議が伸びてしまったんだ。ありがとう、ウラキ先生。先にクラスへの挨拶をしてくれて。」

 

「いやいや、このくらいどうってことないですよ。今年の生徒も皆しっかり者でしたから何も問題はありませんでした。」

 

「そうか、それは良かった。」

 

コウ・ウラキ先生と軽く会話を交わした後、一夏は教壇に上がり教室を見渡した。

 

「さて、皆に自己紹介をしよう。僕は今日から君たちの担任教師になる織斑一夏だ。君たちは狭き門をくぐってこのMS学園に入学した生徒だ。そんな君たちをより優秀な人材に育て上げ、送り出すのが僕達の仕事だ。」

 

自己紹介が終わると教室中から歓声が溢れた。

 

「スゲー、本物の織斑一夏だ。」 「やっぱりかっこいい~。」 「「「一夏様~!!」」」 「お兄様って呼ばせてください!」 「兄貴って呼ばせてください!」 「ちくわ大明神」 「おい、誰だ今の。」

 

「…もう慣れたがやはり毎年凄いな。どうなっているんだか。」

 

「それだけ織斑先生が凄いってことですよ。多少の差は在っても、此処にいる皆にとって織斑先生は憧れですから。」

 

「それは嬉しいな。 さて… 静かに!」

 

 しーん…

 

「それでよし。 それじゃあウラキ先生、お願いします。」

 

「さすがだなぁ。 あ、いえ、了解しました。それじゃあ皆、続きを話すぞ。」

 

「まず、皆も知っているだろうけどMSの正式名称はモビルスーツ。これは日本の篠ノ之インダストリーズで開発された有人操縦人型ロボだ。同じ会社ではISなんかが有名かな。MSはその汎用性の高さから、スポーツ、警察、消防、軍隊、探査機、建設機械、等の様々な場所で活躍しているんだ。そして、このMS学園は君達がMSを正しく扱えるよう育成する事が目的の教育機関だ。この学園では、色んな国の若者が技能を高める為に日々努力をしているんだ。 それじゃあ皆、今日からの3年間しっかり勉強するように。」

 

「はい!」

 

 

そして、休み時間を挟んで授業が開始された。

 

 

「…という訳だ。さて、皆。今の中で分からない事や質問がある生徒は居るかい?」

 

「ウラキ先生、質問が有ります。」

 

「それじゃあマリーダさん。質問をどうぞ。」

 

「はい。 MSの操縦には思考で操作するISの技術が用いられていますが、何故ペダルやレバー等での操作が必要なのですか?」

 

「なるほど、それは良い質問だ。 それじゃあ詳しく説明しよう。」

 

「まず、君はISとMSの違いが分かるかい?単純でいいよ。」

 

「…機体の大きさですか?」

 

「その通り。ISはそこまで大きくないから纏っている様な感覚か、或いは単純に体が大きくなったような感覚で操縦する事になる。 それに、体を直接動かすから操縦に必要なイメージがしやすいんだ。」

 

「そしてMSだけど、これは正しく(まさしく)巨人と言える大きさだ。それに、パイロットはコクピットに座っているから操縦に必要なイメージがしづらいんだ。」

 

「こういった理由が有るからペダルやレバーなんかの装置が必要になるんだ。まぁ、簡単に言うなら思考操縦だとISよりも操縦が難しくなるからだね。 だから基本的な操縦はペダルやレバーで、思考操作はそのサポートに使われているんだ。有るのと無いのとでは機体の反応速度が全く違うからね。」

 

「分かったかい?」

 

「はい、有難うございました。つまり、操縦を簡単にする為に必要という事ですね。」

 

「その通り。他の皆も理解できたかな? …大丈夫そうだね。 因みに、熟練にもなると思考だけでほとんどの操縦を行えるようになる人が居たりするね。(一夏の方をチラ見) さて、そろそろ時間だ。この授業はこの辺で終わろうか。」

 

「「「有難うござました。」」」

 

 

一夏が教室を出るとマリーダが呼び止めた。

 

「あの、織斑先生。お久しぶりです。」

 

「ん?あぁ、マリーダか。久しぶりだな。君が合格したことは知っていたよ。遅くなったけど合格おめでとう。」

 

「ありがとうございます。ですが、どうして私が合格したことを知っていたのですか?」

 

「それはジンネマンさんからの電話が有ったからだな。君が合格したことを嬉しそうに教えてくれたよ。」

 

「そっ、そうですか。マスターが…」

 

「そのマスター呼びはジンネマンさんが嫌がるから止めた方がいいぞ。」

 

「すいません。どうしても直しづらくて。」

 

「まぁ、少しずつでいいから直していけばいいさ。 …後、ジンネマンさんは”お父さん”て呼んだら多分喜ぶと思うぞ。」

 

「分かりました。ありがとうございます。」

 

「よし。それじゃあ、そろそろ予鈴が鳴るから戻ろうか。」

 

「はい。」

 

 

 

 

「さて、これから皆には再来週に行われるクラス対抗戦。これに出場するクラス代表を決めてもらう。これはクラス委員長の役割も有るから慎重に選ぶように。立候補する者、或いは推薦する者、誰か居ないか?」

 

「あれ?誰も手を挙げないんですか?」

 

「誰も居ないのか?」

 

「はい、先生。」

 

「はい、どうぞ。」

 

「私達はまだMSをほとんど操縦していないので決められません。」

 

それを聞いて全員がうなずいた。

 

「…確かに。織斑先生どうしましょう?」

 

「うん。この場合は皆の考えが正解だな。」

 

「というと?」

 

「まず、代表を決めようにも誰が一番上手くMSを扱えるか分からないからな。」

 

「なるほどぉ。」

 

「さて皆。君たちは今回の場合どうやって選ぶ?」

 

「はい。確か対抗戦前までに実技の授業が有ったので、その時の結果で決めます。」

 

「うん、それもいいが、半分正解だな。授業で優秀な生徒を選んでその生徒が放課後に戦って決める。実技から対抗戦までの時間も短いからこれが正解だな。」

 

「なるほど。分かりました。皆これで良いかい?」

 

「「「はい!」」」

 

「実技が有る日の放課後アリーナ使用許可は僕が取っておこう。」

 

「それじゃあ皆さん。実技がしっかりできる様に勉強しておいてください。」

 

「よし、じゃあ今日の授業はここまで。」

 

「「「ありがとうございました。」」」

 

 

 

 

職員室にて

 

「やぁ、ハマーン。君の方はどうだった?」

 

「あぁ、私のクラスはなかなか優秀だな。特にジュドー・アーシタ。奴は今回のクラスの中でも別格だな。あれは呑み込みが良いというだけではない。人間的・精神的な強さが桁違いだな。あいつは間違いなくエースパイロットになるだろうな。」

 

「そうか。…やはりな。」

 

「む、知っていたのか?」

 

「”こっち”ではどうなのかは分からなかったけど、”あっち”では彼の実力は僕の耳にも届いていたよ。」

 

「ふむ、なるほど。ところで貴様の方はどうなんだ?」

 

「今年は前年よりも更に優秀な生徒が多いからな。こっちも皆優秀だよ。ただ、」

 

「ただ、なんだ?」

 

「一人、気になる生徒が居るんだ。今日は入学直後で色々あるだろうから、明日の放課後にでも話を聞くつもりだ。」

 

「ほう。貴様がそこまで興味を持つ人間か。それは私も少し気になるな。 イチカ。そいつの名は?」

 

一夏はその生徒に関する資料をハマーンに手渡しながら答えた。

 

「バナージ・リンクス。それがその生徒の名だ。」

 





最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただければ幸いです。


今回から”ガンダムキャラ”のタグを追加しました。

コウ・ウラキが登場しましたが、ちゃんとコウ・ウラキになっているか、自信が全くありません。なので、{ウラキ君が頑張って教師っぽく振舞おうとしている}、という事にすれば…多分我慢できると思います。(山田先生枠かな?) 私がそもそも彼について詳しくは知らないので… 本当に申し訳ありません。 (どうしても、綺麗なウラキとバーサーカーなウラキが混じってしまう…)

因みに、一夏は逆シャアの時にアムロが着ていた青いジャケットを着ています。

授業と同時に、一部設定の説明を行いました。

今回は少し、字数が少ないかもしれません。物足りなかったら申し訳ありません。


:感想返信のコーナー:

この学園ですが、本当にデカいです。IS学園とポケモンのラルースシティを混ぜ合わせたような感じの島です。歩道が動きます。

女尊男卑の思想は、世論が以前の男女平等主義に戻ったので、”表向き”には無くなりました。 …さて、一度でも差別的な思考をした人間が果たして、昔の世論に戻ったからと言ってそう簡単に考えを改められるでしょうか。 
原作でチョロインと言われたセシリア・オルコットは、織斑一夏の雄姿を見てようやく改心しました。 彼女はチョロインなんて言われていますが、一夏が実際に行動で示したから改心したのであって、それ以外では恐らく一切考えを変えなかったのだと思います。 人の心は言葉だけではなかなか変わりませんからね。 現に、一夏と口論していますし(これは違うか?)、この年齢で十分過激な思考をしていましたし。 
原作の彼女が出会った男達がみっともなかった中での一夏との出会い、彼女にとってこれは、”ずっと見続けていたヘドロの中から現れた最高級品質の美しい宝石”くらいの出会いだったのでしょう。 すぐに惚れてしまったのは無理も有りませんね。

すいません。補足でかなり脱線しました。
因みに私はオルコッ党というわけではありません。


感想、有難うございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。